「下」を含む故事・ことわざ・慣用句
「下」を含む故事・ことわざ・慣用句の一覧です。五十音順に表示しています。
商い上手の仕入れ下手(あきないじょうずのしいれべた)
客に物を売るのはうまいが、仕入れがへたで儲からないということ。
上げたり下げたり(あげたりさげたり)
褒めたり貶したりして、本音がわからないようす。
足下から鳥が立つ(あしもとからとりがたつ)
身近なところで、突然思いもかけないことが起きることのたとえ。また、急に思い立って物事を始めるようす。
足下につけ込む(あしもとにつけこむ)
相手の弱点を見抜いてそれにつけ込むたとえ。 「足下につけ込む」とも書く。
足下に火が付く(あしもとにひがつく)
危険が身辺に近づいているたとえ。
足下にも及ばない(あしもとにもおよばない)
相手の実力があまりにもすぐれていて、自分とは比べものにならないこと。
足下にも寄りつけない(あしもとにもよりつけない)
相手の実力があまりにもすぐれていて、自分とは比べものにならないこと。
足下の明るいうち(あしもとのあかるいうち)
自分が不利な状態にならないうちに、手遅れにならないうちに、ということ。
足下へも寄り付けない(あしもとへもよりつけない)
相手の実力があまりにもすぐれていて、自分とは比べものにならないこと。
足下を固める(あしもとをかためる)
自分の立場や状況を安定させること。
足下を見る(あしもとをみる)
相手の弱点を見抜いてそれに付け込むたとえ。 「足下を見る」とも書く。
頭が下がる(あたまがさがる)
相手の人がらや行いが立派で、感心すること。心から敬服すること。
頭を下げる(あたまをさげる)
謝ること。お辞儀をすること。また、感服すること。尊敬すること。
鞍上人なく、鞍下馬なし(あんじょうひとなく、あんかうまなし)
乗り手が巧みに馬を乗り回し、乗り手と馬が一体となって見えるさま。乗り手と馬の呼吸が合い、鞍の上の人と鞍の下の馬が渾然一体となっている意から。
言う口の下から(いうくちのしたから)
言ったとたんに。言ったすぐあとから。
医者上手にかかり下手(いしゃじょうずにかかりべた)
物事はうまく行うためには相手を信用しなければならないというたとえ。 どんな名医でも、患者が信頼して従わなければ病気を治すことは出来ないとの意から。
板子一枚下は地獄(いたごいちまいしたはじごく)
船乗りという仕事の危険なことのたとえ。「板子」は和船の底に敷く板。その板の下は、落ちれば死につながる恐ろしい海だということから。
一葉落ちて天下の秋を知る(いちようおちててんかのあきをしる)
わずかな前兆を見て、その後の大事を予知するたとえ。
いつも柳の下に泥鰌はいない(いつもやなぎのしたにどじょうはいない)
一度うまくいったからといって、いつも同じようにうまくいくとはかぎらないというたとえ。 柳の下で一度泥鰌を捕まえたからといって、そこでいつも泥鰌を捕まえられるとはかぎらないことから。
上を下へ(うえをしたへ)
上にあるべきものが下へ、下にあるべきものが上へというような、ごった返した大騒動のこと。
上を下への大騒ぎ(うえをしたへのおおさわぎ)
上にあるべきものが下へ、下にあるべきものが上へというような、ごった返した大騒動のこと。
縁の下の力持ち(えんのしたのちからもち)
他人のために、人目につかないところで苦労や努力をすること。また、そのような人のこと。
大木の下に小木育たず(おおきのしたにおぎそだたず)
大きな権力の庇護の下では立派な人間は育ちにくいということ。 大きな木の下は採光や風通しが悪く、小さな木が育たないとの意から。
大木の下に小木育つ(おおきのしたにおぎそだつ)
強大な権力を持つ人物のもとには、その庇護を受けている者がたくさんいることのたとえ。
屋下に屋を架す(おくかにおくをかす)
無駄なことをするたとえ。 屋根の下にさらに屋根を架けるとの意から。
男を下げる(おとこをさげる)
不名誉なことをして、男としての面目を失うこと。
重荷を下ろす(おもにをおろす)
義務や責任を果たし、負担から解放されて気が楽になること。 また、心配事などがなくなりほっとすること。
嬶天下にからっ風(かかあでんかにからっかぜ)
上州(群馬県)名物といわれる嬶天下とからっ風の二つを並べて、上州人の気質や風土性を言ったことば。
頭を下ろす(かしらをおろす)
頭髪を剃り落として尼僧になること。 「頭を下ろす」ともいう。
肩の荷が下りる(かたのにがおりる)
重たい責任や負担から解放され、気が楽になること。 単に「荷が下りる」ともいう。
肩の荷を下ろす(かたのにをおろす)
義務や責任を果たし、負担から解放されて気が楽になること。 「荷を下ろす」ともいう。
瓜田に履を納れず、李下に冠を正さず(かでんにくつをいれず、りかにかんむりをたださず)
人から疑われるような行動は避けるべきであるという戒めの言葉。 「瓜田」は、瓜(うり)を育てている畑。 「李下」は、李(すもも)の木の下。 瓜を盗むのではないかと疑われるので瓜田では靴を履きなおしてはいけない、李を盗むのではないかと疑われるので李の木の下では冠をかぶりなおしてはいけないということ。 単に「瓜田に履を納れず」「李下に冠を正さず」ともいう。 また、「李下の冠、瓜田の履」ともいう。
金は天下の回り持ち(かねはてんかのまわりもち)
金は人から人へと渡り回っていくものだから、いつか自分の所にも回ってくるはずだから、今は貧しくてもくよくよするなということ。
金は天下の回り物(かねはてんかのまわりもの)
金は人から人へと渡り回っていくものだから、いつか自分の所にも回ってくるはずだから、今は貧しくてもくよくよするなということ。
竈の下の灰まで(かまどのしたのはいまで)
家の中の物すべて、財産すべてということ。 かまどの灰にいたるまで残らず全部との意から。
髪を下ろす(かみをおろす)
頭髪を剃り落として尼僧になること。 「頭を下ろす」ともいう。
下問を恥じず(かもんをはじず)
身分や年齢の低い者に物事を尋ねることを、恥ずかしいとか体裁が悪いと思わず、素直に聞くという姿勢が大切だということ。
看板を下ろす(かんばんをおろす)
掲げていた主張などを取り消すこと。 また、その日の営業活動を終わりにすること。営業をやめて廃業すること。
学者の取った天下なし(がくしゃのとったてんかなし)
学者は学問の上で政治を論ずるが、実際は理屈どおりにはいかず、学者に現実の国家を治める能力はないということ。
聞き上手の話し下手(ききじょうずのはなしべた)
人の話を上手に聞く人は、自分が人に話すのは下手だということ。
狐が下手の射る矢を恐る(きつねがへたのいるやをおそる)
まともな人間は相手にしやすいが、無茶苦茶な人間は相手にしにくいということ。 下手な者の射る矢はどこへ飛ぶかわからないので避けようがないとの意から。 「狐が下手の射る矢を恐る」「下手の鉄砲烏が怖じる」ともいう。
強将の下に弱卒なし(きょうしょうのもとにじゃくそつなし)
上に立つ者がすぐれていれば、その部下もまたすぐれているということ。 勇敢な大将の下に弱い兵士はいないという意味から。 「強将の下に弱卒なし」ともいう。
清水の舞台から飛び下りる(きよみずのぶたいからとびおりる)
思い切った大きな決断し、覚悟を決めて物事を行うことのたとえ。 「清水の舞台」は、京都の清水寺にある、山の斜面にせり出すように造られた観音堂の舞台のこと。 その舞台から飛び降りるほどの覚悟で物事を実行することから。
器量を下げる(きりょうをさげる)
世間からたいしたことのない人物だと思われてしまうようなことをして、人としての価値を落とすこと。
口自慢の仕事下手(くちじまんのしごとべた)
口は達者だが、仕事はさっぱりできないこと。
口の下から(くちのしたから)
言ったとたんに。言ったすぐあとから。
軍門に下る(ぐんもんにくだる)
戦争に負けて降伏すること。また、競争や試合に負けること。 「陣門」は、陣営の入り口のこと。投降して敵の陣門に入るとの意から。 「軍門に下る」ともいう。
下戸と化け物はない(げことばけものはない)
世の中に化け物がいないように、まったく酒の飲めない人間はいないということ。
下戸の肴荒らし(げこのさかなあらし)
酒の飲めない人が、酒の肴を手当たりしだいに食い荒らすこと。
下戸の建てたる蔵もなし(げこのたてたるくらもなし)
酒を飲めない下戸が金を貯めて家を蔵を建てられるわけでもない。財産を残すことと飲酒は関係ないということ。
下戸の手強(げこのてごわ)
酒を飲めない下戸は、酒飲みのように簡単にこちらの話しに乗ってこないから、容易に付け入ることが出来ず厄介だということ。
下種の後思案(げすのあとじあん)
愚かな者は必要なときは考えが浮かばず、事が終わった後に名案が思い浮かぶということ。 「下種の後知恵」ともいう。 また「下種」は「下衆」とも書く。
下衆の後思案(げすのあとじあん)
愚かな者は必要なときは考えが浮かばず、事が終わった後に名案が思い浮かぶということ。 「下種の後知恵」ともいう。 また「下種」は「下衆」とも書く。
下種の後知恵(げすのあとぢえ)
愚かな者は必要なときは考えが浮かばず、事が終わった後に名案が思い浮かぶということ。 「下種の後知恵」ともいう。 また「下種」は「下衆」とも書く。
下衆の後知恵(げすのあとぢえ)
愚かな者は必要なときは考えが浮かばず、事が終わった後に名案が思い浮かぶということ。 「下種の後知恵」ともいう。 また「下種」は「下衆」とも書く。
下種の一寸、のろまの三寸、馬鹿の開けっ放し(げすのいっすん、のろまのさんずん、ばかのあけっぱなし)
戸を閉める時に、下種は一寸閉め残し、のろまな者は三寸閉め残し、愚か者は開けっ放しにしてしまう。戸の閉め方で、その人の品性・性格がわかるということ。
下種の勘ぐり(げすのかんぐり)
品性の卑しい愚かな人間は、何かにつけて邪推するということ。
下種の口に戸は立てられぬ(げすのくちにとはたてられぬ)
品性の卑しい人間は、人の迷惑など考えず勝手なことをいいふらすが、防ぎようがないということ。
下種の逆恨み(げすのさかうらみ)
品性の卑しい人間は、人の親切な忠告も悪口と思い、逆に忠告してくれた人を恨むということ。
下種の謗り食い(げすのそしりぐい)
品性の卑しい人間は、まずいとけちをつけながらも、意地汚くたくさん食べるということ。「謗り食い」は文句を言いながら食べること。
下種は槌で使え(げすはつちでつかえ)
愚かな者は、道理を説明してもなかなか理解しないため、叩いたり叱りつけたりして使わなければならないという教え。
下駄と焼き味噌(げたとやきみそ)
見た目が似ていても、実質はまったく違うことのたとえ。 「焼き味噌」は、味噌を板に塗って遠くからあぶった料理。焼いた形が下駄に似ていることから。
下駄も阿弥陀も同じ木の切れ(げたもあみだもおなじきのきれ)
尊卑の違いはあっても、もとは同じであることのたとえ。また、出発点が同じでも、その人の心がけ次第で後に大きな差が出てくることのたとえ。 足で踏まれる下駄も、人から拝まれる阿弥陀の仏像も、もとは同じ木から作られたものであるとの意から。 「下駄も仏も同じ木の切れ」ともいう。
下駄も仏も同じ木の切れ(げたもほとけもおなじきのきれ)
尊卑の違いはあっても、もとは同じであることのたとえ。また、出発点が同じでも、その人の心がけ次第で後に大きな差が出てくることのたとえ。 足で踏まれる下駄も、人から拝まれる阿弥陀の仏像も、もとは同じ木から作られたものであるとの意から。 「下駄も仏も同じ木の切れ」ともいう。
下駄を預ける(げたをあずける)
相手に物事の処理や責任などを委ねること。相手に下駄を預けると、自分は歩き回ることができなくなることから。
下駄を履かせる(げたをはかせる)
物事を実際よりもよく見せたり多く見せたりすること。
下馬評(げばひょう)
その人と直接関わりのない人たちが好き勝手に行う批評や噂。
「下馬」は、下馬先(城門や社寺にある馬を待たせておく所)のこと、下馬先で主人を待つ供の者があれこれ批評をしあったことから。恋に上下の隔てなし(こいにじょうげのへだてなし)
恋愛感情を抱くのに、身分や地位などの上下は関係ないということ。
コンマ以下(こんまいか)
その人の能力や価値が標準以下であることのたとえ。
呉下の阿蒙(ごかのあもう)
いつまでたっても昔のままで、少しも進歩のない人のこと。「呉下」は中国の呉地方、「阿」は親しみを表して人名に付ける語。魯粛が呂蒙に再会して、学問の上達の早さに驚き、呉にいた時の阿蒙ではないと言ったという故事から。
五重の塔も下から組む(ごじゅうのとうもしたからくむ)
物事はすべて順序よく進めていってこそ、成功するというたとえ。
三尺下がって師の影を踏まず(さんじゃくさがってしのかげをふまず)
師につき従う時、弟子は三尺ほど後ろを歩いて、師の影を踏んではいけないということ。 弟子は師を敬い礼儀を失わないように心がけるべきであるという戒めの言葉。 「弟子七尺去って師の影を踏まず」「七尺去って師の影を踏まず(踏むな)」ともいう。
四十過ぎての道楽と七つ下がって降る雨は止みそうで止まぬ(しじゅうすぎてのどうらくとななつさがってふるあめはやみそうでやまぬ)
中年になってから始めた道楽と、七つ下がりに降り出した雨は、なかなかやまないということ。「七つ下がり」は午後四時過ぎのこと。
下地は好きなり御意はよし(したじはすきなりぎょいはよし)
もともと好きなところへ、相手から好意をもって勧められ、こんなに都合のいいことはないということ。
下手に出る(したてにでる)
へりくだった態度で相手に接すること。 「下に出る」ともいう。
下に出る(したにでる)
へりくだった態度で相手に接すること。 「下に出る」ともいう。
下にも置かない(したにもおかない)
客などを非常に丁寧にもてなす様子。 下座につかせないとの意から。 「下へも置かない」ともいう。
下腹に毛がない(したはらにけがない)
老獪な人物や腹黒い人物のたとえ。年老いた狼や狸の下腹には毛がないという言い伝えから。
下へも置かない(したへもおかない)
客などを非常に丁寧にもてなす様子。 下座につかせないとの意から。 「下へも置かない」ともいう。
下いびりの上へつらい(しもいびりのかみへつらい)
自分より下の者にいばる人間は、上の者には媚びへつらうものだということ。
車軸を下す(しゃじくをくだす)
激しく雨が降るさま。大雨のさま。 「車軸」は車の車輪に取り付ける軸こと。 その車軸のような太い雨が降るとの意から。 「車軸を下す」ともいう。
修身斉家治国平天下(しゅうしんせいかちこくへいてんか)
天下を治めるには、まず自分の心と行いを正しくし、次に家庭を整え、次に国家を治めて天下を平和にすべきだということ。
城下の盟(じょうかのちかい)
敵に攻め込まれて結ぶ、屈辱的な降伏の約束のこと。敵に首都まで攻撃されて、自分の城のそばで交わす盟約の意から。
上戸に餅、下戸に酒(じょうごにもち、げこにさけ)
見当違いでありがた迷惑であることのたとえ。酒好きに餅、酒の飲めない人に酒を出すということから。
上戸は毒を知らず下戸は薬を知らず(じょうごはどくをしらずげこはくすりをしらず)
酒飲みは酒が体に害になることを知らずに飲み過ぎ、酒を飲めない者は酒の効用を知らない。 酒は飲み方次第で、毒にも薬にもなるということ。
上手は下手の手本、下手は上手の手本(じょうずはへたのてほん、へたはじょうずのてほん)
下手な人が上手な人のやり方を手本にするのは当たり前だが、上手な人も下手な人のやり方が参考になることもあるというたとえ。
上知と下愚とは移らず(じょうちとかぐとはうつらず)
生まれつき賢い者、また、生まれつき愚かな者はあとからの教育や環境で変わるものではないということ。「上知」はすぐれた知恵、「下愚」はきわめて愚かなこと。
情張りは棒の下(じょうはりはぼうのした)
素直でいるほうが得であるということ。 強情を張る人は恨みを買って棒で打たれるということから。
臍下丹田に力を入れる(せいかたんでんにちからをいれる)
「臍下丹田」は臍(へそ)のやや下の腹部のことで、そこに力を入れると健康が得られ勇気がわくととされる。転じて、度胸を据えてどっしり落ち着くことをいう。
声涙、倶に下る(せいるい、ともにくだる)
感情を抑えきれず、涙を流しながら語るさま。
千里の行も足下より始まる(せんりのこうもそっかよりはじまる)
大きな目標・目的を達成するためには、身近なことからこつこつと努力を積み重ねていくことが大切であるということ。 千里の道のりも踏み出した一歩から始まるとの意から。 「千里の行も足下より始まる」ともいう。
糟糠の妻は堂より下さず(そうこうのつまはどうよりくださず)
貧しく苦しい時から苦労をともにし長年連れ添った妻は、たとえ自分が出世しても家から追い出すわけにはいかないということ。
袖の下(そでのした)
賄賂のこと。 人目につかないように、こっそり袖の下から贈るとの意から。
袖の下に回る子は打たれぬ(そでのしたにまわるこはうたれぬ)
叱られて逃げるような子は追いかけてでも打ちたくなるが、叱られてもすがりついてくる子は、かわいくて打てないということ。
空に三つ廊下(そらにみつろうか)
天気が安定しないことを洒落て言う言葉。 「降ろうか」、「照ろうか」、「曇ろうか」の三つの「ろうか」を「廊下」に掛けた言葉。
頼む木の下に雨漏る(たのむこのもとにあめもる)
頼みにしていたのに、当てが外れることのたとえ。 雨宿りした木陰にも雨が漏ってくるとの意から。 「頼む木の下に雨漏る(たのむこのもと(きのした・きのもと)にあめもる)」ともいう。
断を下す(だんをくだす)
決定する。決断する。
地下に眠る(ちかにねむる)
死んで埋葬されていること。また、宝物などが埋蔵されていること。
地下に潜る(ちかにもぐる)
非合法な社会運動や政治活動などを、取り締まりや世間の目の届かない所で秘密裏に行うこと。
調子を下げる(ちょうしをさげる)
杖の下に回る犬は打てぬ(つえのしたにまわるいぬはうてぬ)
自分を慕ってくるくるものには残酷な仕打ちはできないということ。 追い払おうと振り上げた杖の下に、甘えてじゃれついてくる犬は人情として打つことはできないとの意から。
鉄槌を下す(てっついをくだす)
この上なく厳しい罰を与えること。 「鉄槌」は大きな金槌のこと。
手を下す(てをくだす)
その人本人が直接行うこと。
天下の憂いに先立ちて憂い、天下の楽しみに後れて楽しむ(てんかのうれいにさきだちてうれい、てんかのたのしみにおくれてたのしむ)
すぐれた政治家や指導者は、人々よりも先に国のことを心配し、人々が楽しんだ後で自身も楽しむべきだということ。 「[[先憂後楽*https://yoji.jitenon.jp/yojid/1517.html]]」ともいう。
天下は回り持ち(てんかはまわりもち)
天下の君主となる者は、次々と変わるものだということ。また、貧富貴賎の運命は人々の間を回るというたとえ。
天下晴れて(てんかはれて)
世間を気にせずに、堂々と物事を行うことができる状態。気兼ねすることなく。
天下分け目(てんかわけめ)
勝負が決まる重大な場面や時期のこと。 天下を取るか取られるかの重大な分かれ目との意から。
天下分け目の戦い(てんかわけめのたたかい)
今後の運命が決まる重要な戦いのこと。特に関ヶ原の戦いをいう。
天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)
天地の間に自分にまさる尊大な者はいないということ。釈迦が誕生してすぐに七歩歩み、右手で天を指し、左手で地を指して唱えたといわれる言葉。「天下」は「てんが」とも読む。
天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず(てんはひとのうえにひとをつくらず、ひとのしたにひとをつくらず)
人間は生まれながらに平等であり、身分の上下や貴賎などの差別はないということ。
灯台下暗し(とうだいもとくらし)
身近なことはかえってわかりにくいたとえ。「灯台」は、燭台のこと。まわりを明るくてらすが燭台のすぐ下は陰になって暗いことから。
塔は下から組め(とうはしたからくめ)
高い塔は下から組むように何事も基礎が大事だということ。
桃李もの言わざれども下自ずから蹊を成す(とうりものいわざれどもしたおのずからけいをなす)
徳のある人のもとへは、自然に人々が集まることのたとえ。 桃や李(すもも)は何も言わないがその花や実に惹かれて人が集まり、木の下には自然に小道ができるとの意から。 「蹊」は小道のこと。 「成蹊」ともいう。
どの面下げて(どのつらさげて)
恥知らずで厚かましい態度を罵っていう言葉。
七下がり七上がり(ななさがりななあがり)
人生は不安定で、何度も浮き沈みを繰り返すということ。
七つ下がりの雨と四十過ぎての道楽はやまぬ(ななつさがりのあめとしじゅうすぎてのどうらくはやまぬ)
七つ下がりから降り出した雨と、中年になってから覚えた道楽はなかなかやまないということ。「七つ下がり」は午後四時過ぎのこと。
荷が下りる(にがおりる)
重たい責任や負担から解放され、気が楽になること。 単に「荷が下りる」ともいう。
荷を下ろす(にをおろす)
義務や責任を果たし、負担から解放されて気が楽になること。 「荷を下ろす」ともいう。
根を下ろす(ねをおろす)
ものごとが受け入れられてしっかりと定着すること。 また、地位などが確固たるものになること。
上り一日、下り一時(のぼりいちにち、くだりいっとき)
物事を作り上げるのには多くの時間と労力を要するが、壊すのはたやすいことのたとえ。 上るときには一日かかる道も、下るときにはわずかな時間しかかからないとの意から。
上り坂あれば下り坂あり(のぼりざかあればくだりざかあり)
人生には、栄える時もあれば衰える時もあるということ。
暖簾を下ろす(のれんをおろす)
その日の営業活動を終わりにすること。 また、営業をやめること。廃業すること。
話上手の聞き下手(はなしじょうずのききべた)
話が上手い人は自分の話に夢中になり、相手の話を聞くのが下手なことが多いということ。
話は下で果てる(はなしはしもではてる)
雑談は、話をしているうちにだんだんと下品になっていき、最後は性に関する話になっておしまいになるということ。
鼻の下が長い(はなのしたがながい)
女性に対して甘いこと。女性の色気に惑わされやすいこと。
花の下より鼻の下(はなのしたよりはなのした)
花を楽しむより、鼻の下にある口に食べさせることのほうが大事だということ。
鼻の下を長くする(はなのしたをながくする)
女性の色香に惑わされて甘い態度をとること。
花の下の半日の客、月の前の一夜の友(はなのもとのはんじつのかく、つきのまえのいちやのとも)
卑下も自慢のうち(ひげもじまんのうち)
表面では謙遜しているふりをしながら、内心では人をうらやましがらせることを意図して話す様子。過度の謙遜は自慢の一種であるということ。
一つ屋根の下に住む(ひとつやねのしたにすむ)
同じ家で共に暮らすこと。
日の下に新しきものなし(ひのもとにあたらしきものなし)
新発見とか新発明といわれているものでも、この世にあるすべてのものは本当に新しいものはなく、これまでにあったものに多少の手を加えて新しい形に変化させたにすぎないということ。
普天の下、率土の浜(ふてんのもと、そっとのひん)
全世界のこと。 「普天の下」は天の下、「率土の浜」は地の果てのこと。 「[[普天率土(ふてんそつど)*https://yoji.jitenon.jp/yojih/3845.html]]」ともいう。
下手があるので上手が知れる(へたがあるのでじょうずがしれる)
下手な人間がいるからこそ、上手な人間の巧みさがわかるということ。だから世の中には下手な人間も必要であり、どんな人間でもそれなりに役に立つということ。
下手が却って上手(へたがかえってじょうず)
下手な人は念入りに仕事をするので、かえって上手な人より立派な仕上がりになることがあるということ。
下手すると(へたすると)
成り行き次第で悪い結果になりかねないということを表す言葉。 「下手すると」ともいう。
下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる(へたなてっぽうもかずうちゃあたる)
数多く試みれば、まぐれ当たりで成功することもあるというたとえ。 鉄砲を撃つのが下手な者でも、数多く撃てば命中することもあることから。
下手の射る矢(へたのいるや)
まともな人間は相手にしやすいが、無茶苦茶な人間は相手にしにくいということ。 下手な者の射る矢はどこへ飛ぶかわからないので避けようがないとの意から。 「狐が下手の射る矢を恐る」「下手の鉄砲烏が怖じる」ともいう。
下手の考え休むに似たり(へたのかんがえやすむににたり)
よい考えも出ないのにあれこれ考えるのは、時間の無駄だということ。 もとは将棋や碁で、下手な人の長考をあざけって言った言葉。 「下手の思案は休むに同じ」ともいう。
下手の思案は休むに同じ(へたのしあんはやすむにおなじ)
よい考えも出ないのにあれこれ考えるのは、時間の無駄だということ。 もとは将棋や碁で、下手な人の長考をあざけって言った言葉。 「下手の思案は休むに同じ」ともいう。
下手の長糸、上手の小糸(へたのちょういと、じょうずのこいと)
下手な人ほど無駄なことをして、上手な人ほど要領よくやるというたとえ。 裁縫の下手な人はむやみに長い糸を針につけるが、上手な人は必要な長さだけの糸をつけて縫いやすくすることから。 単に「上手の小糸」とも、また「下手の長糸遣い」ともいう。
下手の鉄砲烏が怖じる(へたのてっぽうからすがおじる)
まともな人間は相手にしやすいが、無茶苦茶な人間は相手にしにくいということ。 下手な者の射る矢はどこへ飛ぶかわからないので避けようがないとの意から。 「狐が下手の射る矢を恐る」「下手の鉄砲烏が怖じる」ともいう。
下手の道具調べ(へたのどうぐしらべ)
下手な者にかぎって、道具にこだわり注文をつけるということ。
下手の長糸遣い(へたのながいとづかい)
下手な人ほど無駄なことをして、上手な人ほど要領よくやるというたとえ。 裁縫の下手な人はむやみに長い糸を針につけるが、上手な人は必要な長さだけの糸をつけて縫いやすくすることから。 単に「上手の小糸」とも、また「下手の長糸遣い」ともいう。
下手の長口上(へたのながこうじょう)
話の下手な人にかぎって、長々と話をするということ。 上方いろはがるたの一つ。 「下手の」は「下手な」ということもある。 また「下手の長口上」ともいう。
下手の長談義(へたのながだんぎ)
話の下手な人にかぎって、長々と話をするということ。 上方いろはがるたの一つ。 「下手の」は「下手な」ということもある。 また「下手の長口上」ともいう。
下手の真ん中、上手の縁矢(へたのまんなか、じょうずのふちや)
物事は、時のはずみで意外な結果になり得ることのたとえ。 下手な人の矢が的の真ん中を射抜いたり、上手な人の矢が的から外れて縁に当たったりするとの意から。
下手の物好き(へたのものずき)
下手なくせに、その事が非常に好きで熱心なこと。 「下手の物好き」「下手の悪好き」ともいう。
下手の横好き(へたのよこずき)
下手なくせに、その事が非常に好きで熱心なこと。 「下手の物好き」「下手の悪好き」ともいう。
下手の悪好き(へたのわるずき)
下手なくせに、その事が非常に好きで熱心なこと。 「下手の物好き」「下手の悪好き」ともいう。
下手をすると(へたをすると)
成り行き次第で悪い結果になりかねないということを表す言葉。 「下手すると」ともいう。
幕が下りる(まくがおりる)
芝居などの催しものが終わること。また、物事に決着がついて終わること。
幕を下ろす(まくをおろす)
ものごとが終わること。 芝居の終演後に舞台の幕を閉めることから。
実るほど頭の下がる稲穂かな(みのるほどあたまのさがるいなほかな)
人は学問や徳が深まると、かえって謙虚になることのたとえ。 稲穂は実が入ると重くなり頭を下げることから。 「実るほど頭を垂れる稲穂かな」「実る稲田は頭垂る」ともいう。
椋の木の下にて榎の実を拾う(むくのきのもとにてえのみをひろう)
道理にかなっていなくても主張を曲げないこと、また強情で人の意見に従わないことのたとえ。 榎の木を椋の木と誤り、榎の実が生った後も椋の木だと言い張ることから。 「椋の木の下にて榎の実を拾う」「椋は生っても木は榎」ともいう。
目尻を下げる(めじりをさげる)
女性に見とれたりして、表情や態度に緊張感がなくなる様子。
柳の下にいつも泥鰌はいない(やなぎのしたにいつもどじょうはいない)
一度うまくいったからといって、いつも同じようにうまくいくとはかぎらないというたとえ。 柳の下で一度泥鰌を捕まえたからといって、そこでいつも泥鰌を捕まえられるとはかぎらないことから。
野に下る(やにくだる)
公職にある人が、職を辞して民間の生活に入るたとえ。「野」は、民間の意。
病上手に死に下手(やまいじょうずにしにべた)
よく病気にかかる人は、自分の健康に気を遣い、長生きすることが多いということ。
勇将の下に弱卒なし(ゆうしょうのもとにじゃくそつなし)
上に立つ者がすぐれていれば、その部下もまたすぐれているということ。 勇敢な大将の下に弱い兵士はいないという意味から。 「強将の下に弱卒なし」ともいう。
嫁は下から婿は上から(よめはしたからむこはうえから)
婿は自分の家より家柄がよい家から貰うと家の格が上がり、嫁は自分の家より低い家柄から貰うと威張らずによく働くので家のためによいということ。 「婿は大名から貰え嫁は灰小屋から貰え」「嫁は下から婿は上から」ともいう。
寄らば大木の下(よらばおおきのした)
人を頼るなら、社会的に勢力がある人がよいというたとえ。 身を寄せるなら、大きな木の下が安全であることから。 「立ち寄らば大木の陰」「立ち寄らば大樹の陰」「寄らば大木の下」ともいう。
李下に冠を正さず(りかにかんむりをたださず)
人から疑われるような行動は避けるべきであるという戒めの言葉。 「瓜田」は、瓜(うり)を育てている畑。 「李下」は、李(すもも)の木の下。 瓜を盗むのではないかと疑われるので瓜田では靴を履きなおしてはいけない、李を盗むのではないかと疑われるので李の木の下では冠をかぶりなおしてはいけないということ。 単に「瓜田に履を納れず」「李下に冠を正さず」ともいう。 また、「李下の冠、瓜田の履」ともいう。
李下の冠、瓜田の履(りかのかんむり、かでんのくつ)
人から疑われるような行動は避けるべきであるという戒めの言葉。 「瓜田」は、瓜(うり)を育てている畑。 「李下」は、李(すもも)の木の下。 瓜を盗むのではないかと疑われるので瓜田では靴を履きなおしてはいけない、李を盗むのではないかと疑われるので李の木の下では冠をかぶりなおしてはいけないということ。 単に「瓜田に履を納れず」「李下に冠を正さず」ともいう。 また、「李下の冠、瓜田の履」ともいう。
理屈上手の行い下手(りくつじょうずのおこないべた)
理屈を言うのは上手だが、いざ実践となるとさっぱりだめなこと。
溜飲が下がる(りゅういんがさがる)
不平や不満が消え去り、すっきりした気分になること。「溜飲」は消化不良の時に、胃から突き上げてくる酸っぱい液で、それがなくなるということから。
両方聞いて下知をなせ(りょうほうきいてげちをなせ)
争い事に判断を下す時は、両方の言い分を公平に聞いてから判断すべきだということ。「下知」は「げじ」とも言い、指図・命令の意。
輦轂の下(れんこくのもと)
皇居のある地のこと。「輦轂」は天子の乗り物のことで、天子の乗る車の下の意から。
若木の下で笠を脱げ(わかぎのしたでかさをぬげ)
若木が将来どんな大木に育つのかわからないように、若者も将来どんなに偉くなるかわからないので、ばかにしないで敬意を表して接すべきだということ。
我が事と下り坂に走らぬ者なし(わがこととくだりざかにはしらぬものなし)
自分に関することとなれば、下り坂で自然と早足になるように、自ら進んで走りまわるということ。