一饋に十起(いっきにじっき)
国を治める人が、よい政治をしようとして、知恵のある人をすすんで迎え、その話に耳を傾けることにひたむきであるたとえ。自分の食事や身のまわりのことはあとにしてでも、人々のための務めに打ち込む姿を表すこともある。
「一饋」は一度の食事のことで、「饋」には食べ物をすすめるという意味がある。
中国の古い伝説の王朝である夏の禹王は、鐘や太鼓などを掛け並べておき、道理を教えに来た者は太鼓を、正しい行いを説きに来た者は鐘を鳴らすようにと告げて、四方から人が訪ねてくるのを待った。そのころの禹王は、一度ごはんを食べるあいだに十回も立ち上がって客に会い、髪を一度洗うあいだにも、洗いかけの髪を手に持ったまま三度も客の前に出た。この言葉は、そのありさまを記した『淮南子』氾論訓の一節にもとづく。
「一饋に十起」「一饋に十起す」ともいう。十度を七度にした「一饋に七度立つ」の形もある。同じ話にちなむ四字熟語として[[一饋十起*https://yoji.jitenon.jp/yojie/2093.html]]がある。すぐれた人を迎えることに力を尽くすという点で、[[三顧の礼*https://kotowaza.jitenon.jp/kotowaza/2404.php]]や四字熟語の[[握髪吐哺*https://yoji.jitenon.jp/yoji/254.html]]も近い。