人の上に立つ人の心得ことわざ — 25 件
部下や後輩を持つと、それまでとは別の難しさが出てきます。ここでは、人を預かる側が自分に向けることわざを集めました。まず自分が動くこと、人を見出して活かすこと、叱り方と評価の公平さ、耳の痛い意見を聞くこと、そして驕らず引き際を心得ること。人の動かし方ではなく、自分の振る舞いを確かめるための言葉です。
ことわざ一覧
提灯持ちは先に立て(ちょうちんもちはさきにたて)
率いる立場の者が後ろへ回っていては、任は務まらない。 自ら列の頭へ出て、進む向きを身をもって指し示せ。
源清ければ流れ清し(みなもときよければながれきよし)
清らかな水源を持った川は、下流も自然に清らかになるように、上に立つ者の行いが正しければ、下の者の行いも正しくなるということ。
勇将の下に弱卒なし(ゆうしょうのもとにじゃくそつなし)
率いる者に力があれば、その組の隅々まで気が張り、腰の引けた者が出ない。 また、力量のある者のもとへは、名を聞いた人が自ら望んで加わる。
桃李もの言わざれども下自ずから蹊を成す(とうりものいわざれどもしたおのずからけいをなす)
中身の備わった人は、こちらから触れ回らずとも人を引き寄せる。聞き及んだ者が次々に足を運び、いつしかそこへ向かう往来が絶えなくなる。 「蹊」は人が踏み分けてできた細道。 「成蹊」ともいう。
威あって猛からず(いあってたけからず)
威厳があり、しかも温厚で荒々しくないようす。孔子の人柄を弟子が評したことばで、君子の理想的な人柄をいうことば。
天下の憂いに先立ちて憂い、天下の楽しみに後れて楽しむ(てんかのうれいにさきだちてうれい、てんかのたのしみにおくれてたのしむ)
すぐれた政治家や指導者は、人々よりも先に国のことを心配し、人々が楽しんだ後で自身も楽しむべきだということ。 「先憂後楽」ともいう。
天の時は地の利に如かず、地の利は人の和に如かず(てんのときはちのりにしかず、ちのりはひとのわにしかず)
戦いにおいて、いかに天候や気候の条件が良くても、地理的条件の有利さには及ばない。 その地理的な有利さも団結した人々の力には及ばないということ。
使う者は使われる(つかうものはつかわれる)
上に立つ側の一日は、下の者の都合に合わせて動く時間で埋まっていく。 指図する立場のはずが、気づけば指図される側と変わらなくなる。
千里の馬は常にあれども伯楽は常にはあらず(せんりのうまはつねにあれどもはくらくはつねにはあらず)
有能な人材はいつの世にもいるが、その能力を見出して育てる優れた指導者は少ないということのたとえ。 「千里の馬」は、一日に千里も走れるほどの優れた馬。転じて、優れた才能の人物。 「伯楽」は牛馬の良し悪しを見分ける名人のこと。転じて、人物を見抜いて、その才能を引き出し育てる優れた指導者のこと。 いつの時代にも、一日に千里を走るほどの優れた馬はいるが、その名馬の能力を引き出す伯楽は、いつもいるわけではないということから。
三顧の礼(さんこのれい)
立場が上の人が礼を尽くして、すぐれた才能を持つ人を招くこと。 または、立場が上の人が立場が下の人に礼を尽くして、仕事を依頼すること。 「三顧」は三回訪問すること。 古代中国の三国時代、蜀の皇帝劉備が諸葛亮を迎え入れるために住居を三回訪問したという故事から。 単に「三顧」ともいう。
死馬の骨を買う(しばのほねをかう)
すぐれた人材を集めるために、つまらないものでも優遇することのたとえ。 昔、名馬を買うために出かけた使者が大金を払って死んだ名馬の骨を買って帰った。その行動に王は怒ったが、使者は「死んだ馬の骨に大金を投じれば、必ず生きた名馬を売りに来る者が現れるでしょう」と言った。その言葉通り、一年も経たないうちに王のもとに三頭の名馬が集まってきたという故事に基づく。
来る者は拒まず(きたるものはこばまず)
訪ねてくる相手を選り好みせず、来たいという者はそのまま迎え入れること。 素性や思惑を問わないところに、この言い方の懐の深さがある。
備わらんことを一人に求むるなかれ(そなわらんことをいちにんにもとむるなかれ)
万能な人間などいないのだから、一人の人間に完全無欠を要求してはいけないということ。
大木の下に小木育たず(おおきのしたにおぎそだたず)
大きな権力の庇護の下では立派な人間は育ちにくいということ。 大きな木の下は採光や風通しが悪く、小さな木が育たないとの意から。
ひそかに諌めて公に褒めよ(ひそかにいさめておおやけにほめよ)
人を叱ったり注意したりする時は、他の人の居ないところで行い、褒める時はみんなの前で行えということ。人の心を傷つけず、やる気にさせるには、それが良い方法だということ。
罪の疑わしきは軽くし、功の疑わしきは重くす(つみのうたがわしきはかるくし、こうのうたがわしきはおもくす)
罪状が疑わしいときはなるべく罪を軽く、功績の疑わしいときはできるだけ手厚く賞するのがよいということ。 「罪の疑わしきは軽くせよ、功の疑わしきは重くせよ」ともいう。
泣いて馬謖を斬る(ないてばしょくをきる)
規律や秩序を維持するために私情を捨て、たとえ愛する者であっても違反した場合には厳しく処罰することのたとえ。 中国の三国時代、蜀の諸葛孔明は、臣下の馬謖が命令に従わずに魏に大敗したため、泣きながら馬謖を斬ったという故事から。
両方聞いて下知をなせ(りょうほうきいてげちをなせ)
争い事に判断を下す時は、両方の言い分を公平に聞いてから判断すべきだということ。「下知」は「げじ」ともいい、指図・命令の意。
大人は大耳(たいじんはおおみみ)
徳の高いすぐれた人は、些細なことを問いただしたり非難したりしないということ。
千人の諾諾は一士の諤諤に如かず(せんにんのだくだくはいっしのがくがくにしかず)
他人の言葉になんでも賛同して従う千人は、権勢に媚びずに正しいと思うことを主張する一人には及ばないということ。 「諾諾」は言われるままに「はい」と受けるだけの態度、「諤諤」は相手が誰であろうと思ったままを口にする態度をいう。
人を以て言を廃せず(ひとをもってげんをはいせず)
語り手の格が低いからといって、中身のある一言まで捨ててはならない。 「発言が立派だからといって人まで取り立てはしない」という半句と背中合わせに置かれている。
忠言、耳に逆らう(ちゅうげん、みみにさからう)
忠告の言葉は耳が痛く、素直に聞き入れられにくいということ。
綸言汗の如し(りんげんあせのごとし)
いったん流れ出た汗が肌へ戻ることはない。上に立つ者が口にした言葉もこれと同じで、あとで引き取ることはかなわない。
高慢は出世の行き止まり(こうまんはしゅっせのいきどまり)
自分の出世を自慢ばかりするようになると、その人は向上しないということ。また、人から嫌われてそれ以上の出世もできなくなるということ。
功成り名遂げて身退くは天の道なり(こうなりなとげてみしりぞくはてんのみちなり)
りっぱな仕事を成し遂げて名声を得たら、その地位にとどまらず退くのが、自然の摂理にかなった身の処し方であるということ。
