「牛」に関連する故事・ことわざ・慣用句一覧
「牛」に関連する故事・ことわざ・慣用句の一覧です。
商いは牛の涎(あきないはうしのよだれ)
商売のこつは牛のよだれのように細く長く切れ目なく、気長に辛抱して続けることだということ。
牛に対して琴を弾ず(うしにたいしてことをだんず)
愚か者にいくら立派な道理を説いても何の役にも立たないことのたとえ。牛に琴を聞かせても反応がないことから。
牛に引かれて善光寺参り(うしにひかれてぜんこうじまいり)
人に連れられてある場所へ出かけて行くこと。また、自分の意思ではなく他人の誘いによって、よい方向に導かれることのたとえ。 善光寺の近くに住んでいた不信心な老婆が布をさらしていると、その布を牛が角にひっかけて逃げてしまった。老婆は牛を追いかけて善光寺に着き、その縁によって信仰するようになったという故事から。
牛の歩み(うしのあゆみ)
ゆっくりと歩く牛のように、ものごとの進み方が遅いことのたとえ。
牛の一散(うしのいっさん)
日頃は決断の遅い人が、深く考えもせずむやみに行動することのたとえ。 歩みののろい牛が、何かのはずみで一目散に走り出すことから。
牛の角を蜂が刺す(うしのつのをはちがさす)
なんとも感じないこと、あるいは効果がないことのたとえ。牛は蜂に角を刺されても、まったく痛くもかゆくも感じないことから。
牛も千里馬も千里(うしもせんりうまもせんり)
早い遅い、上手い下手の違いがあっても結局は同じところに到達するというたとえ。牛がゆっくりと歩いても馬が早く走っても千里の道のりはやはり千里で、同じ目的地に着くことから。
牛を馬に乗り換える(うしをうまにのりかえる)
不利な方から有利な方へ乗りかえることのたとえ。 足ののろい牛から足の速い馬に乗り換えることから。
牛を食らうの気(うしをくらうのき)
幼い頃から大きな目標を持っていることのたとえ。 虎(とら)や豹(ひょう)は、子どもの時から自分より大きな牛を食おうとするほどの激しい気性を持っているの意から。 「食牛の気」ともいう。
馬に乗るまでは牛に乗れ(うまにのるまではうしにのれ)
高い地位につくためには、まず低い地位で力をつけよということ。また、最善の策がとれない時は、次善の策をとれということ。 馬は牛よりも速いが乗るのが難しいので、ひとまず牛に乗って練習せよとの意から。
遅牛も淀、早牛も淀(おそうしもよど、はやうしもよど)
早い遅いの差はあっても、結果は同じだからあわてることはないということ。 「淀」は京都市伏見区にある地名で、集荷場として栄えた場所。 荷物を運ぶ牛の歩みに多少の差があっても、結局行き着く所は淀であるとの意から。 「早牛も淀、遅牛も淀」ともいう。
女賢しゅうして牛売り損なう(おんなさかしゅうしてうしうりそこなう)
女は利口そうに見えても、目先の利にとらわれて大局を見通せずに失敗するというたとえ。 女がでしゃばりすぎて売り物の牛について余計なことを言い、売り損なってしまったという話から。
九牛の一毛(きゅうぎゅうのいちもう)
多数の中のわずかな一部分のこと。取るに足りないことのたとえ。 「九牛」は、多くの牛のこと。 多くの牛の中の一本の毛のことから。
牛耳を執る(ぎゅうじをとる)
集団の中心となって思うままに主導権を握ること。中国の春秋戦国時代、諸侯が同盟を結ぶ時、中心となる人物が牛の耳を裂いて出した血をすすって結束を誓い合ったという故事から。「牛耳る」という言葉もここから出たもの。
暗がりから牛を引き出す(くらがりからうしをひきだす)
区別がつきにくいこと。また、動作が鈍いこと。 暗い所に黒い牛がいても姿がはっきりしないことから。 単に「暗がりから牛」、または「暗がりの牛」「闇から牛を引き出す」「暗闇から牛を引き出す」ともいう。
鶏口となるも牛後となるなかれ(けいこうとなるもぎゅうごとなるなかれ)
たとえ小さな集団でもその頭になるほうが、大きな集団で人の尻についているよりもよいというたとえ。 「鶏口」は、鶏の口のことで小さな集団の長のたとえ。 「牛後」は、牛の尻のことで強大な者につき従って使われる者のたとえ。 略して「鶏口牛後(けいこうぎゅうご)」ともいう。
呉牛、月に喘ぐ(ごぎゅう、つきにあえぐ)
取り越し苦労をするたとえ。「呉牛」は、中国の呉地方にいる水牛のこと。呉牛は暑さが苦手で、月を太陽と見誤って喘いだということから。
舐犢の愛(しとくのあい)
親が子どもを可愛がりすぎることのたとえ。 「舐犢」は親牛が子牛を舐めることで、舐めるように可愛がることから。
角を矯めて牛を殺す(つのをためてうしをころす)
わずかな欠点を直そうとして、かえって全体をだめにしてしまうたとえ。 「矯める」は、矯正すること。 曲がっている牛の角をまっすぐに直そうとして、牛を死なせてしまうことから。 「角を直して牛を殺す」ともいう。
年寄りの言うことと牛の鞦は外れない(としよりのいうこととうしのしりがいははずれない)
経験豊富な年寄りの意見に間違いはないということ。 「鞦」は、馬や牛の尻にかけて鞍を固定する紐のこと。
鶏を割くに焉んぞ牛刀を用いん(にわとりをさくにいずくんぞぎゅうとうをもちいん)
小さな事柄を処理するのに、大がかりな手段は必要ないということ。 「焉んぞ」は、どうしての意。 「牛刀」は、牛を料理するときに使う大きな包丁。 鶏をさばくのに、どうして牛刀を使う必要があるだろうかという意味から。
羊を以て牛に易う(ひつじをもってうしにかう)
小さな物を大きな物の代わりにするたとえ。また、本質に変わりがないが、工夫して少しでも良くしようとするたとえ。いけにえの牛をあわれんで羊を代用するということから。
風馬牛(ふうばぎゅう)
たがいに遠く離れていることのたとえ。 「風」は盛りがつくこと。 盛りのついた馬や牛が、雌雄互いに求め合っても遠く隔たっていて会う事が出来ないとの意から。 転じて、自分とは無関係であること。また、そのような態度をとること。 「風する馬牛も相及ばず(ふうするばぎゅうもあいおよばず)」ともいう。
牝牛に腹突かれる(めうしにはらつかれる)
油断していた相手に不意打ちされ、ひどい目に遭うたとえ。 雄牛に比べておとなしい牝牛に、突然腹を突かれることから。