尾を泥中に曳く
ことわざ「尾を泥中に曳く」の意味・読み方・異形などを解説します。
尾を泥中に曳く
おをでいちゅうにひく
| 言葉 | 尾を泥中に曳く |
|---|---|
| 読み方 | おをでいちゅうにひく |
| 意味 | 高い地位や役職に就いて身動きのとれない毎日を送るよりも、暮らし向きは苦しくとも、誰にも縛られずに日々を過ごすほうを選ぶという考え方。
「曳く」は、地面をこするように引いていくこと。「泥中」はぬかるみの中を表し、同じ意味で「塗中」と書く形もある。 もとは中国の古典『荘子』に載る話である。川で釣り糸を垂れていた荘子のところへ、楚という国の王から使いが来て、国の政治を任せたいと願い出た。荘子は「楚には、死んで三千年たつ神聖な亀を、王が布で包んで箱に納め、先祖を祭る建物に大事にしまっていると聞く。この亀にとっては、骨となって敬われるのと、命があって泥にまみれ、尾をずるずる引きながら這い回るのと、どちらがよかっただろうか」と問うた。使いが生きているほうだと答えると、荘子は「帰りなさい。わたしも泥の中で尾をずるずる引いていたい」と言って、申し出に応じなかった。 この故事を四字で言い表したのが曳尾塗中である。人に仕えて立派な着物を着るよりも、ぼろを着ても思うままに暮らしたいと願う錦着ての奉公より襤褸着ての我が世も、近い考えを表す句である。 |
| 例文 | 大きな会社からの誘いを断り、山あいの村で畑を耕している叔父は、尾を泥中に曳くような暮らしに満足している。 |
| 出典 | 『荘子』秋水 |
| 異形 | 尾を塗中に曳く(おをとちゅうにひく) |
| 場面 | 地位 / 自由 |
| 使用漢字 | 尾 / 泥 / 中 / 曳 / 塗 |
「尾」を含むことわざ
- 頭が動けば尾も動く(あたまがうごけばおもうごく)
- 危うきこと虎の尾を踏むが如し(あやうきこととらのおをふむがごとし)
- 伊勢は津で持つ津は伊勢で持つ尾張名古屋は城で持つ(いせはつでもつつはいせでもつおわりなごやはしろでもつ)
- 犬が西向きゃ尾は東(いぬがにしむきゃおはひがし)
- 犬の尾を食うて回る(いぬのおをくうてまわる)
- 鰯の頭をせんより鯛の尾に付け(いわしのかしらをせんよりたいのおにつけ)
- 尾に鰭付ける(おにひれつける)
- 尾羽打ち枯らす(おはうちからす)
- 尾鰭が付く(おひれがつく)
- 尾鰭を付ける(おひれをつける)
「泥」を含むことわざ
- 歩く足には泥が付く(あるくあしにはどろがつく)
- 砂に黄金、泥に蓮(いさごにこがね、でいにはちす)
- 位牌に泥を塗る(いはいにどろをぬる)
- 嘘つきは泥棒の始まり(うそつきはどろぼうのはじまり)
- 雲泥の差(うんでいのさ)
- 近江泥棒伊勢乞食(おうみどろぼういせこじき)
- 顔に泥を塗る(かおにどろをぬる)
- 泥酔(でいすい)
- 泥中の蓮(でいちゅうのはす)
- 泥裡に土塊を洗う(でいりにどかいをあらう)
「中」を含むことわざ
- 顎で背中を搔く(あごでせなかをかく)
- 麻の中の蓬(あさのなかのよもぎ)
- 頭の中が真っ白になる(あたまのなかがまっしろになる)
- 中らずと雖も遠からず(あたらずといえどもとおからず)
- 当て事と越中褌は向こうから外れる(あてごととえっちゅうふんどしはむこうからはずれる)
- 後先息子に中娘(あとさきむすこになかむすめ)
- 暗中的を射る(あんちゅうまとをいる)
- 石の物言う世の中(いしのものいうよのなか)
- 一文高の世の中(いちもんだかのよのなか)
- 意中の人(いちゅうのひと)
「曳」を含むことわざ
- 曳白(えいはく)
- 尾を泥中に曳く(おをでいちゅうにひく)
- 杖を曳く(つえをひく)
