「ない」で終わる故事・ことわざ・慣用句
「ない」で終わる故事・ことわざ・慣用句 — 309 件
掛け替えのない(かけがえのない)
ひじょうに大切で、他に代用できるものがないということ。
影も形もない(かげもかたちもない)
そこに人や物が存在していたことを示すものがまったくない。跡形もない。 「影も形も見えない」ともいう。
風上にも置けない(かざかみにもおけない)
性質や行動が下品で卑劣な人間をののしっていう言葉。 悪臭のある物は臭くて困るので、風上に置くわけにはいかないとの意から。 「風上に置けない」ともいう。
蟹を縦に歩かせることはできない(かにをたてにあるかせることはできない)
横に歩く蟹を縦に歩かせるのは無理なように、生まれつきの性格は変えられないということ。
金と塵は積もるほど汚い(かねとちりはつもるほどきたない)
金持ちになればなるほど、欲深くけちになることをあざけっていうことば。
金持ちと灰吹きは溜まるほど汚い(かねもちとはいふきはたまるほどきたない)
金持ちは、財産を増やそうとしたり、減らすまいとしてけちになり、心が卑しくなるというたとえ。「灰吹き」はたばこの吸い殻を入れる竹筒のことで、吸い殻が溜まることと金が貯まることをかけている。
神も仏もない(かみもほとけもない)
困難な状況から救ってくれる神様も仏様もいないと嘆いていう言葉。
可もなく不可もない(かもなくふかもない)
特によくもなく、悪くもないこと。普通であること。
間然する所がない(かんぜんするところがない)
非難すべき欠点がまったくないこと。 「間然」は、非難・批判すること。
感に堪えない(かんにたえない)
非常に深い感動を覚えて、その感情を隠すことができないさま。 古くは「感に堪える」ともいい表した。
柄にもない(がらにもない)
その人の性格や能力、地位などに似つかわしくない言動をするさま。
眼中に無い(がんちゅうにない)
まったく気にしない。関心がない。 「眼中」は目に見える範囲のこと。転じて、意識や関心の届く範囲。
気が置けない(きがおけない)
気兼ねや遠慮の必要がなく親しく付き合えるようす。
気が気でない(きがきでない)
とても気になって落ち着かないさま。
気が知れない(きがしれない)
相手の考えや気持ちが理解できない。どんなつもりでいるのかわからない。
気が進まない(きがすすまない)
自ら積極的に何かをしようという気持ちにならないこと。
気が乗らない(きがのらない)
それをしたいという気持ちにならないこと。また、興味が湧かないこと。
聞き捨てならない(ききずてならない)
聞いたことをそのまま黙って聞き流すわけにはいかない。
切っても切れない(きってもきれない)
切ろうとしても切れないほど、強い繋がりや関係がある様子。
気に食わない(きにくわない)
自分の好みや考えに合わず気に入らない様子。
気に染まない(きにそまない)
不満な点があって、それを積極的に受け入れようと思わない様子。
木を見て森を見ない(きをみてもりをみない)
小さいことに気を取られて、全体を見ないことのたとえ。
食い足りない(くいたりない)
物事の内容が不十分で、不満のあるさま。 食べても食べても満足できないとの意から。
食えない(くえない)
ずるがしこく、気を許すことができない。油断ができない。
「―人だ」口が減らない(くちがへらない)
あれこれと屁理屈をつけて反論したり、負け惜しみを言ったりするようす。
口には関所がない(くちにはせきしょがない)
人の口から出る言葉をさまたげる関所はない。だから何を言っても自由だというたとえ。
首が危ない(くびがあぶない)
解雇されそうな状態のこと。
首が回らない(くびがまわらない)
借金が重なって、お金の遣り繰りがつかなくなるさま。
鍬を担げた乞食は来ない(くわをかたげたこじきはこない)
働く者は貧乏になることはないことのたとえ。 鍬を持ってしっかり働く人は乞食にはならないので、鍬をかついだ乞食などは来るはずがないとの意から。
ぐうの音も出ない(ぐうのねもでない)
他人から間違いなどを指摘されても、一言も言い返すことができない様子。 「ぐう」は苦しいときに出る声のこと。
犬馬の養い(けんばのやしない)
父母をただ養うだけで、尊敬する気持ちのないこと。 父母を養うのに、ただ衣食の面倒をみるだけで、まるで犬や馬を養うように敬う気持ちがないとの意から。
下戸と化け物はない(げことばけものはない)
世の中に化け物がいないように、まったく酒の飲めない人間はいないということ。
言を俟たない(げんをまたない)
わかりきっていることで、あらためて言う必要がないこと。
事ともしない(ことともしない)
まったく気にしない。問題にもしない。
子ほど喜ばせにくいものはなく親ほど喜ばせやすいものはない(こほどよろこばせにくいものはなくおやほどよろこばせやすいものはない)
親の愛情を当然と思っている子どもを喜ばせるのは難しいが、親は子どものわずかな孝養でも大喜びするということ。
転んでもただでは起きない(ころんでもただではおきない)
たとえ失敗しても、そこから何か利益を得ようとする欲深くて抜け目のないことのたとえ。
今度と化け物には行き会った事がない(こんどとばけものにはいきあったことがない)
「今度はきっと」などという約束があてにならないことを皮肉った言葉。
災難の先触れはない(さいなんのさきぶれはない)
人はいつ災難に遭うかわからないから、日頃の用心が大切であるということ。
酒と産には懲りた者がない(さけとさんにはこりたものがない)
酒の飲みすぎも出産も辛く苦しいものだが、もうやめたという者もない。酒を飲むこと、子どもを持つことはやはり楽しみがあるということ。
座がもたない(ざがもたない)
会話が続かなかったり、面白味がなくなったりして気まずい雰囲気になること。
様は無い(ざまはない)
見苦しい様子。みっともない様子。 「様」は無様という意味。
歯牙にもかけない(しがにもかけない)
まったく問題にしないで無視するようす。「歯牙」は歯と牙(きば)。転じて言葉・議論の意で、わざわざ取り上げて議論の対象にしないことをいう。
下にも置かない(したにもおかない)
客などを非常に丁寧にもてなす様子。 下座につかせないとの意から。 「下へも置かない」ともいう。
下腹に毛がない(したはらにけがない)
老獪な人物や腹黒い人物のたとえ。年老いた狼や狸の下腹には毛がないという言い伝えから。
しつこい坊主に檀那がない(しつこいぼうずにだんながない)
しつこいものは人に嫌われるというたとえ。「檀那」は、檀家のこと。財物の寄進をしつこく言う僧侶は嫌われるということから。
死にたいと麦飯食いたいほど大きな嘘はない(しにたいとむぎめしくいたいほどおおきなうそはない)
人間は時には心にもないことを言うということ。死にたいと言っても本当に死ぬ気のある者はいないし、麦飯を食べたいと言っても本当は粗食を好むわけではないということ。
始末に負えない(しまつにおえない)
どうすることもできない。手に負えない。
示しが付かない(しめしがつかない)
教える側の立場としてよい例にならないこと。手本にならない。
姑の十七、見た者ない(しゅうとめのじゅうしち、みたものない)
姑は自分の若い頃のことを引き合いに出して嫁に小言を言うが、誰も姑の若い時を知らないので当てにはならないということ。
手段を選ばない(しゅだんをえらばない)
あらゆる方法を使って目的を果たそうとすること。
性に合わない(しょうにあわない)
そのものが性格や好みに合わないこと。
しょうもない(しょうもない)
つまらないやばかばかしいなどの意味を表す言葉。 「仕様もない」が変化してできた言葉。
尻の持って行き場がない(しりのもっていきばがない)
不平や不満、苦情などを訴える所がないこと。
知る由もない(しるよしもない)
その物事を知るための手がかりや方法が一つもないこと。
吝ん坊と灰吹きは溜まるほど汚い(しわんぼうとはいふきはたまるほどきたない)
けちん坊は、金を貯めれば貯めるほど遣うのが惜しくなり、よけい物惜しみして意地汚くなるということ。「吝ん坊」は、けちん坊。「灰吹き」は煙草の吸殻入れ。
冗談じゃない(じょうだんじゃない)
調子に乗った相手に注意を与える時に使う言葉。 または、相手の意思と自分の意思が異なっている時に使う言葉。
如才がない(じょさいがない)
気が利いていて配慮が行き届いている様子。 「如才」は「如在」が変化したもので、手抜かりという意味。 「如才ない」ともいう。
人後に落ちない(じんごにおちない)
他人にひけをとらないこと。「人後」は、他人のうしろの意。
捨てたものではない(すてたものではない)
一見役に立たないように見えても、まだ見込みがあること。
隅に置けない(すみにおけない)
思いのほか才能や知識があって油断できないようす。
相撲にならない(すもうにならない)
能力に違いがありすぎて、勝負にならないこと。
背に腹は代えられない(せにはらはかえられない)
大事のためには、犠牲を払うのもやむを得ないというたとえ。 腹には大切な臓器が詰まっており、その腹を守るためであれば背中が犠牲になってもやむを得ないとの意から。 「背より腹」ともいう。
世話がない(せわがない)
手間がかからない様子。 または、呆れ果ててどうすることもできない様子。
是非も無い(ぜひもない)
どうしようもない。仕方ない。 好ましくない結果を認めるしかない時に使う言葉。
そうは問屋が卸さない(そうはとんやがおろさない)
そう簡単に相手の望みに応じられないということ。また、物事は都合よく自分の思い通りには運ばないというたとえ。そんな安値では問屋が卸してくれないということから。
底が知れない(そこがしれない)
限度がはかれないほど深いこと。程度が甚だしいこと。
その手は食わない(そのてはくわない)
相手の計略を見抜き、それには引っかからないということ。
反りが合わない(そりがあわない)
性格や考え方などが相手と合わず、うまくいかないこと。 刀の反りが鞘に合わないとの意から。
ぞっとしない(ぞっとしない)
その物事によい感情をもてないこと。あまり感心しない。
竹と人の心の直ぐなのは少ない(たけとひとのこころのすぐなのはすくない)
竹は意外に真っ直ぐなものは少なく、人も心が曲がらず正直な者は少ないということ。
ただでは置かない(ただではおかない)
このままでは済ませない、必ず仕返しをするの意。 捨てぜりふ、脅し文句に用いる語。
ただでは済まない(ただではすまない)
このままでは済まない。このままでは終わらない。
ただの鼠ではない(ただのねずみではない)
ただものではない。油断のならない人物である。
只より高い物はない(ただよりたかいものはない)
ただで物をもらうと、代わりに物事を頼まれたり、返礼にお金がかかったりして、かえって高いものにつくということ。
只より安い物はない(ただよりやすいものはない)
ただで物を貰うことより安く上がることはないということ。
太刀打ちができない(たちうちができない)
相手のほうが力が上で、勝負にならない。相手にならない。 「太刀打ちできない(たちうちできない)」ともいう。
立場が無い(たちばがない)
信用を失ったり評価が下がったりして、面目を失う。
立つ瀬が無い(たつせがない)
立場が無くなる。面目を失う。
棚から牡丹餅は落ちてこない(たなからぼたもちはおちてこない)
思いがけない幸運は、まず舞い込むことはないということ。
他の追随を許さない(たのついずいをゆるさない)
ある事柄について他の誰も真似できないほど、大きく抜きん出ているさま。