「ひ」を含む故事・ことわざ・慣用句
「ひ」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 712 件
お髭の塵を払う(おひげのちりをはらう)
身分の高い人や権力のある人にこびへつらうたとえ。 中国宋の丁謂が、宰相である寇準の髭が吸い物で汚れたのを見て拭いたという故事から。
お百度を踏む(おひゃくどをふむ)
願い事が叶うように神前や仏前まで百回往復して祈願すること。また、頼みごとを聞き入れてもらうために、相手のところを何度も繰り返し訪ねること。
尾鰭が付く(おひれがつく)
話に誇張や嘘が付け加わって物事が大げさになることのたとえ。
尾鰭を付ける(おひれをつける)
事実ではないことも付け加えて、話を大げさにすることのたとえ。 魚の本体に尾や鰭を付け加えるとの意から。
お前百までわしゃ九十九まで(おまえひゃくまでわしゃくじゅうくまで)
夫婦がともに元気で仲睦まじく長生きしたいと願う言葉。「お前」は夫、「わしゃ」は妻のことで、この後に「共に白髪の生えるまで」と続く。
思う事一つ叶えばまた一つ(おもうことひとつかなえばまたひとつ)
欲望には限りがないということ。一つ望みが叶うと、すぐにまた次を望む意から。
玩具箱を引っ繰り返したよう(おもちゃばこをひっくりかえしたよう)
部屋などがひどく散らかっていることのたとえ。
親方日の丸(おやかたひのまる)
国家が後ろ盾になっている官庁や公営企業などは、倒産の心配もなく利益を図る必要もないだろうと、公務員の気楽さを皮肉っていうことば。
親の意見と茄子の花は千に一つも無駄はない(おやのいけんとなすびのはなはせんにひとつもむだはない)
茄子の花に無駄花がないように、親が子どもにいう意見も一つも無駄がなく、すべて子どもの役に立つことばかりであるということ。
親の意見と冷や酒は後で利く(おやのいけんとひやざけはあとできく)
親の意見は聞き流してしまいがちだが、後になると納得できて、ありがたいと思うようになるということ。冷酒は飲みやすく、あとから酔いが回ってくる意から。
親の光は七光り(おやのひかりはななひかり)
親の地位や名声のおかげで、子どもが恩恵を受け得をすること。
お山の大将俺一人(おやまのたいしょうおれひとり)
小さな集団や狭い世界の中で、自分が一番偉いと得意になって威張っている人のこと。
親を睨むと鮃になる(おやをにらむとひらめになる)
親に反抗したりおろそかに扱ったりしてはいけないという戒めの言葉。 親を睨んだりすると、ばちが当たって鮃(ひらめ)のように目がかたよってしまうとの意から。 「親を睨むと鰈(かれい)になる」ともいう。
尾を引く(おをひく)
物事が一段落しても、その影響がいつまでも残ること。
帰らぬ人となる(かえらぬひととなる)
死ぬこと。亡くなること。
顔から火が出る(かおからひがでる)
大変恥ずかしいおもいをすることのたとえ。 顔が真っ赤になる意から。
顔が広い(かおがひろい)
交際範囲がひろく、知り合いが多いことのたとえ。
懸かるも引くも折による(かかるもひくもおりによる)
事を始めるのも終わらせるのも時機が大事だというたとえ。
陰で糸を引く(かげでいとをひく)
自分自身は表に出ないで、裏で他人を意のままに動かすこと。 人形師が糸を引いて人形を操ることから。 「裏で糸を引く」ともいう。
陰になり日向になり(かげになりひなたになり)
あるときは表立って、あるときは人知れず、誰かに尽くしたり援助したりする様子。
陰日向がある(かげひなたがある)
人が見ているところとそうでないところとで、言動が変わること。
影を潜める(かげをひそめる)
今まで表だっていた人や物が姿を消すこと。 「影」は姿のこと。
駕籠に乗る人担ぐ人、そのまた草鞋を作る人(かごにのるひとかつぐひと、そのまたわらじをつくるひと)
人の生き方は、貧富の差や境遇によってさまざまであるということ。また、そのさまざまな人のつながりで、世の中はうまく成り立っているということ。 世の中には駕籠に乗る身分の人もいれば、その駕籠を担ぐひともいる。また、駕籠を担ぐひとの履く草履を作る人もいる。 人の世は持ちつ持たれつであるとの意から。
火事あとの釘拾い(かじあとのくぎひろい)
大損や浪費の後に、少しの節約をしたところで何の足しにもならないということ。 火事で家屋敷を焼失した後に、焼けた釘を拾っても役に立たないことから。
火事あとの火の用心(かじあとのひのようじん)
時機に遅れて役に立たないことのたとえ。 火事を出してしまってから火の用心をしても間に合わないとの意から。
火事場に煙草の火なく大水に飲み水なし(かじばにたばこのひなくおおみずにのみみずなし)
大勢の人がいても、本当に役に立つ人は少ないということ。 洪水の水はたくさんあっても、飲み水としては使えないとの意から。 「火事場に煙草の火なく大水に飲み水なし」ともいう。
数を言うまい羽織りの紐(かずをいうまいはおりのひも)
口数が多いとろくなことがないので、おしゃべりは慎めという戒めの言葉。「数を言うまい羽織りの紐よ、かたく結んで胸に置く」という俗謡から。
風邪は百病のもと(かぜはひゃくびょうのもと)
風邪はあらゆる病気のもとなので、たかが風邪と油断せず用心が必要であるということ。 「風邪は百病のもと」「風邪は百病の長」ともいう。
風邪を引く(かぜをひく)
テープや絆創膏などの粘着力が弱まって、役に立たなくなることのたとえ。
肩肘張る(かたひじはる)
人に弱みを見せないように、気負ったり威張ったりする様子。 肩をそびやかして肘を張る意から。
肩身が広い(かたみがひろい)
世間に対して面目がたち、得意げにするさま。
片山曇れば片山日照る(かたやまくもればかたやまひてる)
一方に悪いことがあれば、もう一方に良いことがあり、世の中は様々だということ。
火中の栗を拾う(かちゅうのくりをひろう)
自分の利益にはならないにもかかわらず、危険をおかすことのたとえ。猿におだてられた猫が、いろりの中で焼けている栗を拾おうとして大やけどをしたというラ・フォンテーヌ(詩人)の寓話から。
勝ちを拾う(かちをひろう)
勝てそうになかった勝負などで、運よく勝利を得ること。
餓えて死ぬは一人、飲んで死ぬは千人(かつえてしぬはひとり、のんでしぬはせんにん)
餓えて死ぬ人間は少ないが、酒の飲みすぎが原因で死ぬ人間は非常に多いということ。
活路を開く(かつろをひらく)
行き詰った状況から抜け出す方法を見つけること。 「活路」は、生きるための方法。
金鎖も引けば切れる(かなぐさりもひけばきれる)
鉄製の鎖も時には切れることがあるように、どんなに意志の強い人でも誘惑に負けることがあるというたとえ。
悲しい時は身一つ(かなしいときはみひとつ)
困ったり落ちぶれたりすると、他人は当てにならず、頼りになるのは自分だけだということ。「身一つ」は財産もなく自分の体だけという意。
金棒引き(かなぼうひき)
ささいなことを大げさに触れ回る人のこと。本来は、金棒を突き鳴らしながら夜警する人のこと。
金棒引き(かなぼうひき)
ささいなことを大げさに触れ回る人のこと。本来は、金棒を突き鳴らしながら夜警する人のこと。
金棒を引く(かなぼうをひく)
噂話などを大げさに触れ回ること。 「金棒」は、頭部に鉄輪を付けた棒のこと。昔、夜警などが棒を突き鳴らしながら歩いたことから。
金請けするとも人請けするな(かねうけするともひとうけするな)
借金の保証人になっても、身元保証人にはなるなということ。人の保証人になると厄介なことが多いことをいう。
金の光は阿弥陀ほど(かねのひかりはあみだほど)
金の力が絶大であることのたとえ。 金銭は阿弥陀如来の威光にも匹敵するという意味から。
金の光は七光(かねのひかりはななひかり)
金持ちの威光が広く及ぶようす。「七光り」は親などの威光で利益を受けること。
神は非礼を受けず(かみはひれいをうけず)
礼にはずれたことを願っても、神は聞き届けてはくれないということ。
紙一重の差(かみひとえのさ)
差が極めてわずかなこと。 単に「紙一重」ともいう。
烏の鳴かない日はあっても(からすのなかないひはあっても)
それだけは必ず毎日行われるということを強調していう語。 毎日必ず鳴く烏が鳴かない日があったとしてもの意。
彼も人なり、我も人なり(かれもひとなり、われもひとなり)
彼も自分と同じ人間なのだから、彼にできることが自分にできないはずはないということ。 努力を怠らなければ、他人にできることは何でもできるということ。
彼を知り己を知れば百戦殆うからず(かれをしりおのれをしればひゃくせんあやうからず)
敵と味方の情勢をしっかり把握して戦えば、何度戦っても負けることはないということ。 「殆うからず」は、危うくないという意味。
可愛さ余って憎さが百倍(かわいさあまってにくさがひゃくばい)
かわいいと思う気持ちが強ければ強いほど、いったん憎いと思いはじめると憎み方が特別に激しくなるということ。
皮切りの一灸(かわきりのひとひ)
なんでも最初は苦しいものだというたとえ。一番初めにすえる灸が、ひどく熱いと感じられることから。
川中には立てど人中には立たれず(かわなかにはたてどひとなかにはたたれず)
世渡りは難しいというたとえ。 流れが急な川の中に立つことはできても、世間に流されずに生きることは難しいとの意から。
皮引けば身が付く(かわひけばみがつく)
密接な関係にあるものは、一方に何かが生じると他方にも影響が及ぶことのたとえ。 皮を引っ張れば、その下の肉も一緒に付いてくることから。 「皮引けば身が痛い」ともいう。
肝胆を披く(かんたんをひらく)
心を開いて打ち明けること。
堪忍の忍の字が百貫する(かんにんのにんのじがひゃっかんする)
怒りを耐え忍ぶ事は、大きな価値があるということ。 じっと耐え忍ぶ「忍」の字には銭百貫の値打ちがあるとの意から。
楽屋から火を出す(がくやからひをだす)
自ら災いや騒ぎを引き起こしてしまうたとえ。「楽屋」は、内部の意。
眼中人なし(がんちゅうひとなし)
他人のことは考えず、思うままに振る舞うこと。人を人とも思わないこと。
聞いた百文より見た一文(きいたひゃくもんよりみたいちもん)
人から百文の値打ちと聞かされるよりも、自分の目で見たほうが値打ちがあるということ。
気が引ける(きがひける)
自分の言動や行動にやましさを感じ、気後れすること。
危殆に瀕する(きたいにひんする)
きわめて危ない状態になること。大きな危険にさらされること。「危殆」は、非常に危ないこと。
昨日は人の身、今日は我が身(きのうはひとのみ、きょうはわがみ)
人の運命は予測しがたく、他人にふりかかった災難が、いつ自分にもふりかかるかわからないということ。
気の利いた化け物は引っ込む時分(きのきいたばけものはひっこむじぶん)
長居する客や、なかなか引退せずに長く地位を占めている人を皮肉って言う言葉。 気の利いた化け物は引き時を心得ているとの意から。 単に「化け物も引っ込む時分」ともいう。
鬼面、人を嚇す(きめん、ひとをおどす)
鬼の面をかぶって人をおどかすかのように、大げさな見せかけで人をおどかすたとえ。 「嚇す」は「威す」とも書く。 また、「鬼面、人を驚かす」ともいう。
肝を冷やす(きもをひやす)
非常に驚いてぞっとする。身の危険を感じてひやりとする。
胸襟を開く(きょうきんをひらく)
心の中に思っていることをすっかり打ち明けること。「胸襟」は、胸と襟から転じて心の中の意。
今日の一針、明日の十針(きょうのひとはり、あすのとはり)
すぐにしなければならないことを先延ばしすると、余計に手間がかかるということのたとえ。 今日なら一針縫えば済むのに、明日に延ばせばほころびが広がり、十針も縫わなければならなくなるとの意から。
今日は人の上、明日は我が身の上(きょうはひとのうえ、あすはわがみのうえ)
他人に降りかかった不幸や苦しむ姿をみて、明日は自分に起こりえることかもしれないから用心せよ、という教え。
器用貧乏人宝(きようびんぼうひとだから)
器用な人は人の役に立って重宝がられるが、その人自身は大成せずに貧乏しているということ。 「細工貧乏人宝」「職人貧乏人宝」「巧者貧乏人宝」などともいう。
桐一葉(きりひとは)
桐の葉が一枚落ちるのを見て、秋の訪れを知ること。転じて、小さなできごとから衰亡の兆しを感じ取ることのたとえ。
気を引く(きをひく)
相手の気持ちをそれとなく探ること。 また、相手の関心を自分に向けさせようとすること。
食い物と念仏は一口ずつ(くいものとねんぶつはひとくちずつ)
食べ物は一口ずつでもみんなで分け合って食べたほうがよいということ。また、念仏は一人が一口ずつ唱えてもご利益があるということ。 「食い物」は「食べ物」ともいう。
櫛の歯を挽く(くしのはをひく)
物事が絶え間なく続く様子。櫛は、次々歯と歯の間を挽いて作ったことから。
薬師は人を殺せど薬人を殺さず(くすしはひとをころせどくすりひとをころさず)
物は使い方ひとつで、役にも立つし害にもなるということ。 「薬師」は、医者のこと。 薬によって人が死んだとしても、それは薬を処方した医者が殺したのであって、薬が人を殺したのではないとの意から。 「薬人を殺さず、薬師人を殺す」ともいう。
糞も味噌も一つ(くそもみそもひとつ)
見た目が似ていれば、良いものも悪いものも同じように扱うこと。すべてをごちゃまぜにしてしまうこと。 「糞も味噌も一緒」「糞も味噌も一つ」ともいう。
口が干上がる(くちがひあがる)
生活が苦しくなり、食べていけなくなること。
唇を翻す(くちびるをひるがえす)
人のことを憎んで悪くいうこと。
口を開く(くちをひらく)
話をしはじめること。
首縊りの足を引く(くびくくりのあしをひく)
首をくくって死のうとしている人の足を引っぱるような、むごいことをするたとえ。
暗がりから牛を引き出す(くらがりからうしをひきだす)
区別がつきにくいこと。また、動作が鈍いこと。 暗い所に黒い牛がいても姿がはっきりしないことから。 単に「暗がりから牛」、または「暗がりの牛」「闇から牛を引き出す」「暗闇から牛を引き出す」ともいう。
食わず貧楽高枕(くわずひんらくたかまくら)
貧しい暮らしでも、気楽で穏やかに暮らしていることのたとえ。