「手」を含む故事・ことわざ・慣用句
「手」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 225 件
手を拱く(てをこまぬく)
何もしないで傍観すること。 「拱く」は、腕組みをするということ。 「こまねく」は「こまぬく」ともいう。
手を差し伸べる(てをさしのべる)
困っている人を進んで助けること。
手を擦る(てをする)
両手を擦り合わせること。 謝罪や感謝などの気持ちを表す動作。
手を染める(てをそめる)
ある物事を新しく始めること。
手を出して火傷する(てをだしてやけどする)
余計な手出しをして、ひどい目に遭うこと。
手を出す(てをだす)
ある物事に進んで関わりを持つこと。 または、暴力を振るうこと。 また、女性と関わりを持つために近づくこと。言い寄ること。
手を束ねる(てをつかねる)
腕組みをすること。 また、ある出来事が起こった際、なにもできずに傍観すること。
手を尽くす(てをつくす)
目的のために、できることを全てやってみること。
手を付ける(てをつける)
ある物事を始めること。着手すること。 または、あるものを使い始めること。特に他人の金銭をいう。 また、立場が下の女性と肉体関係をもつこと。
手を繋ぐ(てをつなぐ)
互いに協力して行動すること。
手を取る(てをとる)
相手の手を握り親愛の気持ちなどを表す。または、物事を親切・丁寧に教える様子。
手を握る(てをにぎる)
協力して取り組むこと。 または、和解すること。
手を抜く(てをぬく)
しなければいけないことをやらないこと。 または、力を尽くさず、いい加減にすること。
手を濡らさず(てをぬらさず)
自分で苦労せずに成果を得ようとする様子。
手を延ばす(てをのばす)
新しい方面や分野に進出すること。
手を離れる(てをはなれる)
役目を終えて責任がなくなること。 または、その人の所有ではなくなること。 また、世話をする必要がなくなること。
手を引く(てをひく)
それまでやってきたことを止めて、関係を断ち切ること。
手を翻せば雲となり、手を覆せば雨となる(てをひるがえせばくもとなり、てをくつがえせばあめとなる)
人の心の変わりやすいことのたとえ。 手のひらを上に向ければ雲がわき、手のひらを下に向けると雨が降るとの意から。
手を広げる(てをひろげる)
新しい方面や分野に進出して、活動の範囲を広げたり規模を大きくしたりすること。
手を回す(てをまわす)
物事をうまく進めるために事前に対策しておくこと。
手を結ぶ(てをむすぶ)
協力して物事に取り組むこと。
手を焼く(てをやく)
ある物事の扱いや処置に困ること。持て余すこと。
手を休める(てをやすめる)
行っている物事を一時的に中断して休憩すること。
手を緩める(てをゆるめる)
それまでの厳しいやり方や態度などを和らげること。
手を汚す(てをよごす)
面倒なことや好ましくないことを自らの手で行うこと。
手を煩わす(てをわずらわす)
人の世話になること。面倒をかけること。
遠火で手を焙る(とおびでてをあぶる)
たいした効果がないことのたとえ。遠く離れた火で手を焙ってもあまり暖かくない意から。
時を得た一針は九針の手間を省く(ときをえたいっしんはきゅうしんのてまをはぶく)
すぐに対処しておけば、あとで大掛かりな手間をかけずにすむということ。 その時に一針縫っておけば、あとで九針縫う手間を省くことができるとの意から。 「適時の一針は九針の手間を省く」ともいう。
七日通る漆も手に取らねばかぶれぬ(なぬかとおるうるしもてにとらねばかぶれぬ)
物事に直接かかわらなければ、害を受けることはないというたとえ。 漆の木のそばを何度通っても、手で触れなければかぶれることはないことから。
逃ぐるが一の手(にぐるがいちのて)
困難に直面したら、とりあえず逃げて身の安全をはかるのが上策だということ。また、面倒なことは避けるのが一番いい方法だということ。
盗人と言えば手を出す(ぬすびとといえばてをだす)
他人に盗人と言われて、手を出して暴れるような者は本当に盗人であるということ。
盗人の隙はあれど守り手の隙はなし(ぬすびとのひまはあれどまもりてのひまはなし)
盗難を防ぐのは難しいということ。 盗人はよい機会を狙って盗みに入るので暇もあるが、番をする方は盗人がいつ来るかわからないので休む暇がないことから。
濡れ手で粟(ぬれてであわ)
苦労せずに楽々と利益を得ることのたとえ。濡れた手で粟を掴むと、手に粟粒がたくさん付いてくることから。
猫の手も借りたい(ねこのてもかりたい)
非常に忙しくて手が足りず、誰でもいいから手助けがほしいようす。
喉から手が出る(のどからてがでる)
欲しくて欲しくてたまらないことのたとえ。
話上手の聞き下手(はなしじょうずのききべた)
話が上手い人は自分の話に夢中になり、相手の話を聞くのが下手なことが多いということ。
話上手は聞き上手(はなしじょうずはききじょうず)
話の上手な人は、相手の話を聞くときにもその立場で話を聞くので、上手に会話を続けることができるということ。
早い者に上手なし(はやいものにじょうずなし)
仕事が早いものには、仕上がりが雑になるという短所があるということ。
日方と手間取りは日のうち(ひかたとてまどりはひのうち)
日雇いの仕事が夕方には終わるように、南風も夕方にはやむということ。「日方」は日のある方から吹く風。南西風、南東風のこと。「手間取り」は日雇い仕事のこと。
左は勝手、右は得手(ひだりはかって、みぎはえて)
何でも巧みにやれることのたとえ。「勝手」は自由に使いこなせること、「得手」は得意とすること。左手も右手も自由自在に使えるということから。
独り自慢の褒め手なし(ひとりじまんのほめてなし)
ほめてくれる人がいないので、ただ独り自分で自慢をするということ。
火の手が上がる(ひのてがあがる)
講義や闘争などが勢いよく始まること。または、火事になること。
文は遣りたし書く手は持たず(ふみはやりたしかくてはもたず)
恋文を書いて送りたいが文字が書けない、また代筆を頼むのも恥ずかしいと思い悩む心情をいう言葉。 「文は遣りたし書く手は持たぬ」ともいう。
古木に手を掛くるな、若木に腰掛くるな(ふるきにてをかくるな、わかぎにこしかくるな)
将来性のないものにかかわりあうべきではなく、また将来性のあるものをあなどったり無理をさせたりしてはいけないというたとえ。 古い木は折れやすいので手をかけてはいけない、若い木は成長の妨げになるので腰掛けてはいけないとの意から。
下手があるので上手が知れる(へたがあるのでじょうずがしれる)
下手な人間がいるからこそ、上手な人間の巧みさがわかるということ。だから世の中には下手な人間も必要であり、どんな人間でもそれなりに役に立つということ。
下手が却って上手(へたがかえってじょうず)
下手な人は念入りに仕事をするので、かえって上手な人より立派な仕上がりになることがあるということ。
下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる(へたなてっぽうもかずうちゃあたる)
数多く試みれば、まぐれ当たりで成功することもあるというたとえ。 鉄砲を撃つのが下手な者でも、数多く撃てば命中することもあることから。
下手の射る矢(へたのいるや)
まともな人間は相手にしやすいが、無茶苦茶な人間は相手にしにくいということ。 下手な者の射る矢はどこへ飛ぶかわからないので避けようがないとの意から。 「狐が下手の射る矢を恐る」「下手の鉄砲烏が怖じる」ともいう。
下手の考え休むに似たり(へたのかんがえやすむににたり)
よい考えも出ないのにあれこれ考えるのは、時間の無駄だということ。 もとは将棋や碁で、下手な人の長考をあざけって言った言葉。 「下手の思案は休むに同じ」ともいう。
下手の長糸、上手の小糸(へたのちょういと、じょうずのこいと)
下手な人ほど無駄なことをして、上手な人ほど要領よくやるというたとえ。 裁縫の下手な人はむやみに長い糸を針につけるが、上手な人は必要な長さだけの糸をつけて縫いやすくすることから。 単に「上手の小糸」とも、また「下手の長糸遣い」ともいう。
下手の道具調べ(へたのどうぐしらべ)
下手な者にかぎって、道具にこだわり注文をつけるということ。
下手の長談義(へたのながだんぎ)
話の下手な人にかぎって、長々と話をするということ。 上方いろはがるたの一つ。 「下手の」は「下手な」ということもある。 また「下手の長口上」ともいう。
下手の真ん中、上手の縁矢(へたのまんなか、じょうずのふちや)
物事は、時のはずみで意外な結果になり得ることのたとえ。 下手な人の矢が的の真ん中を射抜いたり、上手な人の矢が的から外れて縁に当たったりするとの意から。
下手の横好き(へたのよこずき)
下手なくせに、その事が非常に好きで熱心なこと。 「下手の物好き」「下手の悪好き」ともいう。
下手をすると(へたをすると)
成り行き次第で悪い結果になりかねないということを表す言葉。 「下手すると」ともいう。
誉め手千人、悪口万人(ほめてせんにん、わるくちまんにん)
ほめる人が千人いれば、悪口を言う人は一万人いるということ。 世の中は褒める人よりもけなす人のほうが多いということ。 「誉め手」は「褒め手」とも書く。
諸手を挙げて(もろてをあげて)
無条件に、または心から喜んだり賛成したりするさま。
焼き餅焼くとて手を焼くな(やきもちやくとててをやくな)
嫉妬も度が過ぎると取り返しのつかないことになりかねない。やきもちは適度に焼けということ。焼き餅を焼くと、持て余す意の手を焼くをかけた言葉。
藪医者の手柄話(やぶいしゃのてがらばなし)
実力のない者ほど自慢話をしたがるというたとえ。
病上手に死に下手(やまいじょうずにしにべた)
よく病気にかかる人は、自分の健康に気を遣い、長生きすることが多いということ。
横手を打つ(よこでをうつ)
感じ入ったり、思い当たったりする時などに、思わず両方の手のひらを打ち合わせること。
理屈上手の行い下手(りくつじょうずのおこないべた)
理屈を言うのは上手だが、いざ実践となるとさっぱりだめなこと。
両手に花(りょうてにはな)
すばらしいものを二つ同時に手に入れることのたとえ。また、一人の男性が二人の女性を連れていることのたとえ。
六十の手習い(ろくじゅうのてならい)
年をとってから学問や稽古事を始めること。 「八十の手習い」ともいう。
忘れたと知らぬには手がつかぬ(わすれたとしらぬにはてがつかぬ)
忘れたとか知らないという者には、何を言っても無駄であるということ。