「お金」に関連する故事・ことわざ・慣用句一覧
「お金」に関連する故事・ことわざ・慣用句の一覧です。
挨拶より円札(あいさつよりえんさつ)
お礼の言葉より、金銭をもらうほうがありがたいということ。「拶」と「札」を語呂合わせにしたことば。
愛想づかしも金から起きる(あいそづかしもかねからおきる)
女が男につれなくなり愛想をつかすようになるのは、金銭上の問題からだということ。
阿堵物(あとぶつ)
金銭のこと。「阿堵」は「この」の意。中国、晋の王衍が金銭を忌んで「この物」と呼んだという故事から。
穴を埋める(あなをうめる)
欠損を補う。特に、金銭や人員を補充すること。
ある時払いの催促なし(あるときばらいのさいそくなし)
金の都合がついた時に返せばいい、催促は一切しないという寛大な借金の返済条件をいう言葉。
意地が汚い(いじがきたない)
食べ物や金銭などに対する欲が深い。 「意地汚い」ともいう。
一銭を笑う者は一銭に泣く(いっせんをわらうものはいっせんになく)
わずかな金銭を粗末に扱うものは、いつかそのわずかな金銭に泣くはめになる。たとえわずかな金額でも大事にしなければならないという戒めのことば。
上前を撥ねる(うわまえをはねる)
人に取り次いで渡す金銭の一部を、不当に自分のものにすること。 「上前」は「上米(うわまい)」が変化した語とされる。
江戸っ子の往き大名還り乞食(えどっこのゆきだいみょうかえりこじき)
江戸っ子は気前がよく無計画なので、往きは大名のように贅沢をしてお金を使い果たし、帰りには乞食のように一文無しになるということ。
江戸っ子は宵越しの銭は使わぬ(えどっこはよいごしのぜにはつかわぬ)
江戸っ子はその日に稼いだお金はその日のうちに使ってしまうということ。江戸っ子の気前のよさを自慢して言った言葉。
大阪の食い倒れ(おおさかのくいだおれ)
大阪の人は飲食にお金をかけて、財産をつぶしてしまうということ。 「京の着倒れ」と対で使われることが多い。
親子の仲でも金銭は他人(おやこのなかでもきんせんはたにん)
金銭に関しては、親子の間でも他人と同じようにけじめをつけるべきだということ。
負わず借らずに子三人(おわずからずにこさんにん)
人の世話にならず、借金もなく、子どもが三人ぐらいいる家庭が理想的で幸福だということ。
貸し借りは他人(かしかりはたにん)
金銭の貸し借りについては、親子の間でも他人と同じようにけじめをつけるべきだということ。
敵の前より借金の前(かたきのまえよりしゃっきんのまえ)
敵の前では平然とできても、借金をしている相手の前では頭が上がらないということ。
金轡を嵌める(かなぐつわをはめる)
金銭を渡して苦情を言わせないようにすること。また、賄賂を渡して口止めすること。 馬に轡をはめて、乗り手の思いのままに走らせることから。
金縛りにあったよう(かなしばりにあったよう)
恐怖などで急に体がこわばって身動きができない様子。 また、借金など金銭に関する都合により自由を奪われている状態のこと。 「金縛り」は、鎖などで縛りつけること。
金請けするとも人請けするな(かねうけするともひとうけするな)
借金の保証人になっても、身元保証人にはなるなということ。人の保証人になると厄介なことが多いことをいう。
金が唸る(かねがうなる)
あり余るほど金銭があるさま。 「唸る」は、ため込んでいるものが溢れでそうになること。
金に飽かす(かねにあかす)
惜しむことなく、金銭をふんだんに使うこと。 「飽かす」は、有り余っているものを十分に使うこと。 多く、「金に飽かして」の形で、惜しむことなく金を使うことに対して、呆れたり馬鹿にしたりする気持ちで使われる。
金の光は阿弥陀ほど(かねのひかりはあみだほど)
金の力が絶大であることのたとえ。 金銭は阿弥陀如来の威光にも匹敵するという意味から。
金は三欠くに溜まる(かねはさんかくにたまる)
義理と人情と交際の三つを欠くぐらいでなければ、お金はたまらないということ。
金を回す(かねをまわす)
手持ちの金銭を融通する。また、利潤をあげるために他へ投資する。
借りる時の地蔵顔、返す時の閻魔顔(かりるときのじぞうがお、かえすときのえんまがお)
お金を借りる時は地蔵菩薩のようにやさしい顔をするが、返す時は閻魔大王のような不機嫌な顔をするということ。
借りる八合、済す一升(かりるはちごう、なすいっしょう)
人に物やお金を借りたら、少し多めに返すか、お礼を添えて返すのが常識であるということ。 「済す」は、返済すること。 八合借りたら、一升にして返すべきであるとの意から。
京の着倒れ、大坂の食い倒れ(きょうのきだおれ、おおさかのくいだおれ)
京都の人は衣装にお金をかけ、大阪の人はぜいたくな飲食をして、そのために財産をなくしてしまう人さえあるということ。
金銭は他人(きんせんはたにん)
金銭に関しては、たとえ親子の間でも、他人と同じようにけじめをつけなければならないということ。
首が回らない(くびがまわらない)
借金が重なって、お金の遣り繰りがつかなくなるさま。
後光より台座が高くつく(ごこうよりだいざがたかくつく)
ものごとは、目立たない基礎の部分に案外お金がかかるということ。 仏像は人目につく光背より、目立たない台座のほうが費用がかかるとの意から。
五両で帯買うて三両で絎ける(ごりょうでおびこうてさんりょうでくける)
肝心なものより、付随するものに予想以上にお金がかかるということ。「絎ける」は、表から縫い目が見えないように縫うこと。五両で買った帯をさらに三両かけて絎けるということから。
財布の紐が堅い(さいふのひもがかたい)
必要なものかどうかをしっかりと確認して、金銭を無駄に使わないこと。
財布を握る(さいふをにぎる)
金銭の出し入れに関する権限を持つこと。 「財布の紐を握る」ともいう。
先立つ物(さきだつもの)
物事を行おうとした時に最初に必要になる物。特に金銭をいう。
死に金を使う(しにがねをつかう)
使っても無駄になる金銭の使い方をすること。
娑婆っ気が多い(しゃばっけがおおい)
世間の名誉や物欲、金銭欲などが強い様子。
自転車操業(じてんしゃそうぎょう)
借金と返済を繰り返しながらどうにか仕事を続けること。また、そのような経営状態。 自転車は止まると倒れるということから。
自腹を切る(じばらをきる)
自分が支払う必要のない経費などをあえて自分の金銭で支払うこと。
人生、意気に感ず(じんせい、いきにかんず)
人は相手の心意気に感じて行動するのであって、金銭や名誉のためではないということ。
雀の涙(すずめのなみだ)
ごく僅かなもののたとえ。雀が流す少量の涙の意で、多くは金銭について言われる。
千貫のかたに編笠一蓋(せんがんのかたにあみがさいっかい)
大きな元手のわりに利益が少なく、損益が釣り合わないことのたとえ。 「千貫」は銭の単位。一貫の千倍。転じて非常に高価なこと。 千貫の借金の担保が、編み笠一つということから。 「一蓋」は「ひとがい」とも読む。
銭あれば木物も面を返す(ぜにあればきぶつもつらをかえす)
どんなに冷淡な者でも、金の力にはなびくというたとえ。 金銭があれば、感情がない木仏さえも振り向くとの意から。
只より高い物はない(ただよりたかいものはない)
ただで物をもらうと、代わりに物事を頼まれたり、返礼にお金がかかったりして、かえって高いものにつくということ。
台所を預かる(だいどころをあずかる)
家庭や組織などで、金銭のやりくりを任される。
長袖よく舞い、多銭よく賈う(ちょうしゅうよくまい、たせんよくかう)
素質と条件に恵まれた者が有利で、思い通りに事が運べるというたとえ。 長袖の着物を着た人は舞うと美しく見え、多くの金銭を持つ者は商売がしやすいとの意から。 「賈う(かう)」は、「商う(あきなう)」ともいう。
手付けを打つ(てつけをうつ)
契約を履行する保証として、いくらかの金銭を渡すこと。手付金を渡すこと。
手を付ける(てをつける)
ある物事を始めること。着手すること。 または、あるものを使い始めること。特に他人の金銭をいう。 また、立場が下の女性と肉体関係をもつこと。
時は金なり(ときはかねなり)
時間は金銭と同じように貴重なものだから無駄にしてはいけないということ。
銅臭(どうしゅう)
金銭にとりつかれた人。金銭で立身出世した人をそしることば。
無い物は金と化け物(ないものはかねとばけもの)
お金も化け物も、ありそうに見えても実際にはないということ。
盗人に追い銭(ぬすびとにおいせん)
損をしたうえに、さらに損をすることのたとえ。 泥棒に入られたれたうえに、さらに金銭までやることから。 「泥棒に追い銭」ともいう。
掃き溜めと金持ちは溜まるほど汚い(はきだめとかねもちはたまるほどきたない)
金持ちは、お金がたまればたまるほど欲深くけちになるというたとえ。「掃き溜め」は、ごみ捨て場のこと。
腹を痛める(はらをいためる)
子どもを産むこと。出産の痛みを経験するとの意から。 または、自分の金銭を使うこと。
懐が暖かい(ふところがあたたかい)
手持ちの金銭が多くあること。
懐が寒い(ふところがさむい)
手持ちの金銭が少ないこと。 「懐が寂しい」ともいう。
弁当持ち先に食わず(べんとうもちさきにくわず)
お金や物をたくさん持っている人は、なかなか自分の物を使おうとしないことのたとえ。 特に、金持ちが金を使わないことをいう場合が多い。 弁当を運ぶ役目の人は、人より先に弁当を食べたりしないとの意から。
仏の沙汰も銭(ほとけのさたもぜに)
この世は金次第でどうにでもなるということのたとえ。 仏がその人を救うかどうかさえも寄付した金銭の多さで変わるということから。
身銭を切る(みぜにをきる)
必ずしも自分が支払う必要のない費用をあえて自分の金銭で支払うこと。
湯水のように使う(ゆみずのようにつかう)
金銭などを惜しがる様子もなく無駄に使うこと。
宵越しの銭は使わぬ(よいごしのぜにはつかわぬ)
その日に儲けたお金はその日に使ってしまい、翌日には残さないということ。
養生に身が痩せる(ようじょうにみがやせる)
養生のために気を使ったり、金銭の心配をして、かえって心労で痩せてしまうということ。
世の中は年中三月常月夜、嬶十七俺二十、負わず借らずに子三人(よのなかはねんじゅうさんがつじょうつきよ、かかあじゅうしちおれはたち、おわずからずにこさんにん)
世の中は、いつも三月頃の温暖な気候で、夜は明るい月夜、妻は十七歳自分は二十歳、責任も借金もなく、子どもは三人持つ暮らしが望ましいということ。江戸時代の庶民のささやかな願望をいった言葉。