遠水、近火を救わずについて

言葉 | 遠水、近火を救わず |
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読み方 | えんすい、きんかをすくわず |
意味 | 遠くのものは、急の用には役立たないというたとえ。遠くの水は、近くの火事を消す役には立たないという意から。 |
出典 | 『韓非子』 |
類句 | 遠い親戚より近くの他人(とおいしんせきよりちかくのたにん) |
「遠」を含むことわざ
足が遠のく(あしがとおのく)
今までよく言っていた場所へ、訪れる機会が少なくなる。疎遠になる。
中らずと雖も遠からず(あたらずといえどもとおからず)
ぴったり当たっていないが、ほぼ的中と言えるということ。 「中らず」は「当たらず」とも書く。
犬の遠吠え(いぬのとおぼえ)
弱い者や臆病な者が、陰で虚勢を張り陰口をたたくことのたとえ。弱い犬は、強い相手に対しては遠くから吠え立てることから。
殷鑑遠からず(いんかんとおからず)
戒めとなる失敗の例は、すぐ身近にあるというたとえ。殷の国民が鑑(かがみ)とすべき手本は、遠い時代に求めなくても、前代の夏(か)の滅亡がよい戒めであるという意から。
噂は遠くから(うわさはとおくから)
噂は事情を知っている人間からではなく、外部から発生することが多いということ。
遠慮会釈もない(えんりょえしゃくもない)
相手を気遣うこともなく、自分の思い通りに事を行うさま。 「会釈」は、思いやりの意。
「水」を含むことわざ
明日食う塩辛に今日から水を飲む(あすくうしおからにきょうからみずをのむ)
手回しがいいように見えて、実は無意味なことのたとえ。
汗水垂らす(あせみずたらす)
苦労をいとわず、一生懸命に働くさま。 水のように汗が垂れるほど働くことから。
汗水流す(あせみずながす)
一生懸命に働くさま。 水のように汗が流れるほど働くことから。
頭から水を浴びたよう(あたまからみずをあびたよう)
突然起こった恐ろしい出来事に、驚き恐れてぞっとすることのたとえ。
頭から水を掛けられたよう(あたまからみずをかけられたよう)
突然起こった恐ろしい出来事に、驚き恐れてぞっとすることのたとえ。
魚心あれば水心(うおごころあればみずごころ)
相手が好意を示せば、こちらもまた好意を持つ。 先方の出方次第で、こちらの態度が決まるということ。 もとは「魚、心あれば、水、心あり」で魚と心、水と心が一語化したものといわれる。 魚が水に好意を示せば、水もその魚に好意を持つであろうという意から。 「網心あれば魚心」「水心あれば魚心」ともいう。
「近」を含むことわざ
遠慮なければ近憂あり(えんりょなければきんゆうあり)
遠い将来を見越した考えを持っていないと、必ず目前に心配事が起こるということ。 「遠慮」は、先々のことを思慮すること。 「近憂」は、間近の憂いごとの意。 「遠き慮りなき者は必ず近き憂いあり」ともいう。
近江泥棒伊勢乞食(おうみどろぼういせこじき)
近江の人には商才があり、伊勢の人は倹約家であり、どちらも商人としての成功者が多いことを、江戸っ子がやっかみ半分に言った言葉。
学を好むは、知に近し(がくをこのむは、ちにちかし)
北に近ければ南に遠い(きたにちかければみなみにとおい)
一方に都合がよければ、他方には都合が悪いということのたとえ。また、あたりまえであることのたとえ。
君子、危うきに近寄らず(くんし、あやうきにちかよらず)
徳のある人は自分を大事にするので、危険なことには決して近づかないということ。
剛毅朴訥、仁に近し(ごうきぼくとつ、じんにちかし)
強固な意志を持ち、素朴で口数が少ない人物こそ、最高の徳である仁に最も近い人であるということ。
「火」を含むことわざ
秋葉山から火事(あきばさんからかじ)
人を戒める指導的立場の者が、自ら過ちを犯してしまうたとえ。「秋葉山」は火災除けの神を祭る静岡県の秋葉神社のこと。
足下に火が付く(あしもとにひがつく)
危険が身辺に近づいているたとえ。
熱火子に払う(あつびこにはらう)
緊急事態には、利己心が醜く現れることのたとえ。 炎が自分に迫ってきた時は、大事な我が子の方へでも炎を払いのけて助かろうとする意から。 「熱火、子にかく」とも。
油紙に火の付いたよう(あぶらがみにひのついたよう)
べらべらとよくしゃべる様子。油の付いた紙は、めらめらとよく燃えることから。
暗夜に灯火を失う(あんやにともしびをうしなう)
暗闇で明かりを失うように、頼りにしていたものを失って途方にくれることのたとえ。
家に女房なきは火のない炉のごとし(いえににょうぼうなきはひのないろのごとし)
家に主婦がいないのは、炉の中に火がないのと同じで、大事なものが欠けていて寂しいということ。
「救」を含むことわざ
遠水、近火を救わず(えんすい、きんかをすくわず)
薪を抱きて火を救う(たきぎをいだきてひをすくう)
害を除こうとして、かえって害を大きくしてしまうことのたとえ。火を消そうとして薪を抱えて火元に近づき、逆に火の勢いを強めてしまうということから。
同舟相救う(どうしゅうあいすくう)
ふだん仲が悪かったり見知らぬ者同士でも、利害が一致すれば、いざという時は助け合うというたとえ。同じ舟に乗り合わせた人々は、舟が沈みそうな時は力を合わせて助け合うという意から。
火を以て火を救う(ひをもってひをすくう)
弊害を除こうとして、かえってその弊害を大きくしてしまうことのたとえ。火は水で消すべきなのに、火を火で消そうとする意から。