「い」を含む故事・ことわざ・慣用句
「い」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 2678 件
長い浮き世に短い命(ながいうきよにみじかいいのち)
この世が長く続いているのに比べて、人の命ははかなく短いということ。 「長い月日に短い命」ともいう。
長居する鷺蟇目に遭う(ながいするさぎひきめにあう)
長く同じ場所に留まっている鷺は、目立つために人間に狙われ、蟇目の矢(矢の一種である鏑矢)で射られる。 長居は慎むべきであるという戒め。 「長居する鷺汁になる」ともいう。
永い眠りにつく(ながいねむりにつく)
死ぬことを眠りに見立てた婉曲(えんきょく)表現。直接的な死の表現を避け、穏やかな眠りにたとえることで、故人への哀悼と慎ましさを表す。
長居は恐れ(ながいはおそれ)
他人の家に長く居るのはよくないということ。
長居は無用(ながいはむよう)
その場に長く居るのはよくないので、早々に引き上げたほうがよいということ。
長い目で見る(ながいめでみる)
現状だけで判断せず、気長に将来を見守ること。
長い物には巻かれろ(ながいものにはまかれろ)
力のある者には反抗せずに、おとなしくしているのが得策だということ。
長い草鞋を履く(ながいわらじをはく)
1.旅に出発すること。 2.罪を犯した者が、追及を逃れるために土地を離れて旅に出ること。 3.商人や仲介者が、取引において価格を偽ること。物の値段をごまかして利益を得る行為。 「穿く」は「履く」とも書く。 また、「長い草鞋を履く」ともいう。
長追いは無益(ながおいはむえき)
勝ちに乗じて深追いすると、思わぬ反撃を受け不利な立場に陥ることもあるので、ほどほどにするのが賢明ということ。 「長追いは無用」ともいう。
長崎ばってん、江戸べらぼう、神戸兵庫のなんぞいや、ついでに丹波のいも訛(ながさきばってん、えどべらぼう、こうべひょうごのなんぞいや、ついでにたんばのいもなまり)
各地の方言の特徴をとらえて語調よくいったことば。
名が高い(ながたかい)
その人の価値や能力が高く評価され、その名が広く世間に知れ渡っていること。
流れ川に大魚なし(ながれがわにたいぎょなし)
大人物や才能ある者がその力を発揮するには、適した環境が必要であるということ。 大きな魚は深い淵(ふち)に棲むもので、流れの速い浅い川にはいないことから。
流れに枕し石に漱ぐ(ながれにまくらしいしにくちすすぐ)
負け惜しみが強いことのたとえ。また、屁理屈をつけて自分の間違いを正当化することのたとえ。晋の孫楚が「石に枕し、流れに漱ぐ」というべきところを間違えて「石に漱ぎ、流れに枕す」といった時、「石に漱ぐとは歯を磨くこと、流れに枕すとは耳を洗うことだ」とこじつけた故事から。夏目漱石の号もこの故事から。
亡き数に入る(なきかずにいる)
死んだ人の仲間になること。死亡すること。
泣き寝入り(なきねいり)
不本意だがどうしようもないため、しかたなくあきらめること。
「―で済ませない」泣きを入れる(なきをいれる)
泣きついて、詫びたり哀願したりすること。
泣く時は泣いて渡れ(なくときはないてわたれ)
その時々の状況や心情に応じて世間を渡って行けという教え。
泣く泣くもよい方を取る形見分け(なくなくもよいほうをとるかたみわけ)
どんな時でも、人間は欲だけは忘れないということ。親などが死んで悲しんでいる時でも、形見分けで良い物を選ぶということから。
泣くに泣けない(なくになけない)
泣きたくても泣けないほど無念で悔しい様子。
なけなしの無駄遣い(なけなしのむだづかい)
金をあまり持っていないものは、安物買いや無計画に金を使って、結局は無駄遣いをすることのなるということ。「なけなし」は、ほんのわずかしかないこと。
仲人は宵の口(なこうどはよいのくち)
仲人は結婚式での務めを終えたら、長居せずに引き上げたほうがよいということ。 「仲人は宵のうち」「仲人は宵の程」ともいう。
情けに刃向かう刃なし(なさけにはむかうやいばなし)
情けをかけてくれた人に、誰も刃向かうことは出来ないということ。
情け容赦もない(なさけようしゃもない)
相手に対して遠慮や手加減をすることなく、物事を進める様子。
茄子の花と親の意見は千に一つも無駄はない(なすびのはなとおやのいけんはせんにひとつもむだはない)
茄子の花に無駄花がないように、親が子どもにいう意見もすべて子どもの役に立つことばかりで、一つとして無駄がないということ。
為すようにならないで、なるようになる(なすようにならないで、なるようになる)
世の中は自分の思ったようにはいかず、結局はなるようにしかならないということ。
なってない(なってない)
出来が悪い。お話にならない。問題にならない。なっていない。
夏は日向を行け、冬は日陰を行け(なつはひなたをいけ、ふゆはひかげをいけ)
夏にあえて暑い日向を、冬にあえて寒い日陰を行くように、進んでつらい道を求めて身体を鍛錬せよということ。
何かと言うと(なにかというと)
なにかある度に同じ言動をする様子。なにかにつけて。 「何かと言えば」ともいう。
名に恥じない(なにはじない)
名声や評判などに、実力が伴っているさま。
何もせずにいることは悪を為していることなり(なにもせずにいることはあくをなしていることなり)
何もしないでいることは、それだけでもう悪行を為しているのと同じことであるということ。
難波の葦は伊勢の浜荻(なにわのあしはいせのはまおぎ)
物の呼び名、風俗、習慣などは、地方によって異なるというたとえ。 難波では「葦(あし)」と呼んでいる植物を、伊勢では「浜荻(はまおぎ)」と呼ぶとの意から。
何をか言わんや(なにをかいわんや)
あまりにもひどい状態で、呆れて言葉がない様子。
名主の跡は芋畑(なぬしのあとはいもばたけ)
名家のほどんどは、何代も続くことなくつぶれてしまうというたとえ。 名主の家が没落して、その跡が芋畑になっているとの意から。 名主という立場は多忙で、自分の家の仕事まで手が回らなくなったり、その立場ゆえの出費が多くなったりすることから言われた言葉。
名のない星は宵から出る(なのないほしはよいからでる)
最初に出て来るものに、たいしたものはないというたとえ。また、心待ちにしている人は現れず、待ってもいない者が早々にやって来ることのたとえ。
名は体を表す(なはたいをあらわす)
名はそのものの実体を示しているということ。
鍋の鋳掛けが釣り鐘を請け合ったよう(なべのいかけがつりがねをうけあったよう)
自分の能力以上の仕事を引き受けて、大騒ぎをすることのたとえ。 鍋を修理する鋳掛け屋が、釣り鐘作りを請け負ったようだとの意から。
生酔い、本性違わず(なまよい、ほんしょうたがわず)
酒に酔っても、その人の本来の性質は変わらないということ。 「酒飲み」は「生酔い」「上戸」ともいう。
波風が絶えない(なみかぜがたえない)
絶えず揉め事や争い事がある様子。
名も無い(なもない)
名前が知られていないことのたとえ。 また、有名ではないことのたとえ。
習い、性と成る(ならい、せいとなる)
習慣も続けていると、しまいにはその人の生まれつきの性質のようになるということ。
習い性となる(ならいせいとなる)
何度も同じことを繰り返すことで、それが習慣となり、しまいにはその人の生まれつきの性質のようになるということ。
習うは一生(ならうはいっしょう)
人間には学ぶべきことがたくさんあるため、いくつになっても常に学び続ける必要があるという戒め。
並ぶ者がない(ならぶものがない)
一番優れていて、その人に匹敵する者がいないということ。
鳴り物入り(なりものいり)
大げさに宣伝すること。 「鳴り物」は、歌舞伎で用いられる太鼓や笛などの楽器のこと。
成るは厭なり、思うは成らず(なるはいやなり、おもうはならず)
なかなか物事は思い通りにはいかないというたとえ。 実現しそうなものは気に入らず、反対に気に入ったものはうまくいかないとの意から。 多く、縁談についていう言葉。
成るも成らぬも金次第(なるもならぬもかねしだい)
物事がうまくいくかどうかは、すべて金の力で決まるということ。
難産、色に懲りず(なんざん、いろにこりず)
苦しんだことを忘れ、懲りずに同じことを繰り返すことのたとえ。 難産の苦しみに懲りずに、また色事を行うとの意から。
爾に出ずるものは爾に返る(なんじにいずるずるものはなんじにかえる)
自分がやった行いの報いは、よいことでも悪いことでも、いつか自分自身に返ってくるということ。
汝の敵を愛せよ(なんじのてきをあいせよ)
自分に悪意を持ち、迫害してくる相手にこそ、慈愛の心を持って接するのが真の愛だということ。
汝の隣人を愛せよ(なんじのりんじんをあいせよ)
自分自身のことだけ考えずに、まわりの人々にも愛情を持って接しなさいということ。
何でも来い(なんでもこい)
どのような事でも受け入れる自信があるさま。
何でも来いに名人なし(なんでもこいにめいじんなし)
何でも器用にこなす人は、何をさせてもそれなりにやってのけるが、どれも名人といえるほどの腕前ではないということ。
何の事は無い(なんのことはない)
特別に重要なことではない。大したことではない。
似合い似合いの釜の蓋(にあいにあいのかまのふた)
どんなものにも、それぞれ似合いの相手があるというたとえ。
煮え切らない(にえきらない)
考えなどがはっきりとせず、なかなか決断できない様子。態度がはっきりとしない様子。
匂い松茸、味しめじ(においまつたけ、あじしめじ)
きのこの中で匂いがいいのは松茸、味がいいのはしめじ、とそれぞれの特長をいうことば。
二階から目薬(にかいからめぐすり)
思うようにいかず、もどかしいことのたとえ。また、回りくどくて効果のないことのたとえ。 二階から階下の人に目薬をさそうとしても、上手くいかないことから。 「天井から目薬」ともいう。
荷が重い(にがおもい)
その人が備えている能力に比べて、責任や負担が重すぎる様子。
逃がした魚は大きい(にがしたさかなはおおきい)
手に入れそこなったものは惜しさが加わって、特にすぐれたもののように感じられるというたとえ。「魚」は「うお」とも読む。 「逃した魚は大きい」「逃げた魚は大きい」「釣り落とした魚は大きい」ともいう。
憎い憎いはかわいいの裏(にくいにくいはかわいいのうら)
男女間の愛情表現は、わかりにくく微妙なもので憎いという表現も、裏を返せば、かわいいと言っている場合もあるということ。
憎まれ子世に出ず(にくまれこよにいず)
人から憎まれるような者にかぎって、世の中では幅をきかせているということ。 「憚る」とは幅をきかすこと。 「憎まれっ子」は「憎まれ子」ともいう。 また、「憎まれ子国にはびこる」「憎まれ子国にはだかる」「憎まれ子世に出ず」「憎まれ者世に憚る」などともいう。
逃ぐるが一の手(にぐるがいちのて)
困難に直面したら、とりあえず逃げて身の安全をはかるのが上策だということ。また、面倒なことは避けるのが一番いい方法だということ。
逃げも隠れもしない(にげもかくれもしない)
責任や追及から逃げず、堂々とその事に当たる様子。
西と言えば東と言う(にしといえばひがしという)
人の言う事にいちいち反論するようす。
西と言ったら東と悟れ(にしといったらひがしとさとれ)
人の言葉には表と裏があるもので、言葉の裏に隠された真意を察することが大切であるということ。 人が西と言っても、本意は東だと悟らなければいけないとの意から。
西も東も分からない(にしもひがしもわからない)
その土地の地理がまったくわからないこと。 また、物事の判断がつかないこと。
日計足らずして歳計余りあり(にっけいたらずしてさいけいあまりあり)
一見、利益が上がっていないように思えるが、長い目で見ると確実に利益があるということ。 日々の計算では儲けがないように見えるが、一年を通じるとちゃんと利益があるとの意から。
日光を見ずして結構と言うな(にっこうをみずしてけっこうというな)
日光東照宮のすばらしさを称えた言葉。日光東照宮を見ないうちは「結構」という褒め言葉を使うなということ。「日光」と「結構」を語呂合わせした言葉。
二進も三進も行かない(にっちもさっちもいかない)
物事が行き詰まってどうにもならない様子。 「二進(にっち)」「三進(さっち)」は、そろばんの割り算から出た語で、計算のやりくりの意。
煮て食おうと焼いて食おうと(にてくおうとやいてくおうと)
どのような扱いをしても問題ないことのたとえ。
似ても似つかない(にてもにつかない)
全く似ていないこと。
煮ても焼いても食えない(にてもやいてもくえない)
どうにも扱いようがなく持て余す様子。また、思いどおりにならず、どうしようもないこと。
二兎を追う者は一兎をも得ず(にとをおうものはいっとをもえず)
一度に二つのものを手に入れようと欲張ると、結局どちらも手に入れられなくなることのたとえ。 一度に二匹のうさぎを捕えようとすると、結局一匹も捕らえられないことから。
二度教えて一度叱れ(にどおしえていちどしかれ)
子どもをしつける時の心得を示した言葉。子どもの過ちや失敗は頭ごなしに怒らず、繰り返してよく教え諭し、それでも聞かない時にたまに叱るくらいがよいということ。
二度聞いて一度物言え(にどきいていちどものいえ)
人の言うことは何度聞き直してでもよく聞き、自分は口数を少なく余計なことを言わないほうがよいということ。
二の句が継げない(にのくがつげない)
あきれて次に言うべき言葉が出ないこと。「二の句」は次に言う言葉の意。
二の舞を演じる(にのまいをえんじる)
前の人と同じ失敗を繰り返すこと。 「二の舞」は舞楽で、安摩(あま)という舞の次に、それを真似て演じるこ滑稽な舞のこと。 単に「二の舞」ともいう。
二の矢が継げない(にのやがつげない)
次に打つべき手段がないことのたとえ。 「二の矢」は、二度目に射る矢。 二度目に射る矢がないとの意から。
二百二十日の荒れ仕舞(にひゃくはつかのあれじまい)
「二百二十日」は、立春から数えて二百二十日目の日(九月十一日頃)のこと。 この時期は台風が多く発生するため、農家の厄日とされており、この日を過ぎると台風が少なくなることから生まれた言葉。
鰾膠もない(にべもない)
まるで愛想がないこと。 「鰾膠」はニベ科の海魚などの浮き袋から作る強い粘着力のある膠(にかわ)のことで、その粘着力がないことから。