「い」から始まる故事・ことわざ・慣用句
「い」から始まる故事・ことわざ・慣用句 — 480 件
一臂の力を仮す(いっぴのちからをかす)
わずかな力を貸すこと。「一臂」は片方の肘のこと。転じて、わずかな力の意。「仮す」は貸す意。
一夫関に当たれば万夫も開くなし(いっぷかんにあたればばんぷもひらくなし)
地形がきわめて険しく、守備が固い場所のこと。 たった一人が関所を守っていれば、万人の兵が攻めても突破できないとの意から。
一服の清涼剤(いっぷくのせいりょうざい)
さわやかな気分にさせる事柄。
一服盛る(いっぷくもる)
人を殺すために、ひそかに毒薬を飲ませる。 「一服」は、粉薬一回分。
一辺倒(いっぺんとう)
一つのことに偏ること。毛沢東の論文で使われ、日本でも流行した語。
一歩譲る(いっぽゆずる)
能力などが、相手より一段階劣ること。 また、自分の主張を少し抑えて、相手の意見を聞き入れること。
一歩を踏み出す(いっぽをふみだす)
(目的や目標に向けて)新しいことを始める。着手する。
一本取られる(いっぽんとられる)
相手にやり込められる。議論で言い負かされる。 「一本」は、柔道や剣道などで一つ技が決まること。 「一本参る」ともいう。
一本取る(いっぽんとる)
剣道や柔道などで技が決まる。 議論などで言い負かす。相手をやり込める。
一本槍(いっぽんやり)
一つの方法や姿勢を終始押し通すこと。また、一本の槍だけで勝負を決めること。
何時にない(いつにない)
普段とは違っている。平生とは異なる。
溢美の言(いつびのげん)
ほめ過ぎのことば。 「溢美」は、ほめすぎること。
鷸蚌の争い(いつぼうのあらそい)
両者が争っている隙につけ入り、第三者が利益を横取りすることのたとえ。 「漁夫」は漁師のこと。漁父とも書く。 鴫(しぎ)と蛤(はまぐり)が争っている間に、漁師が両方とも捕まえたという中国の故事から。 「鷸蚌の争い」ともいう。
いつまでもあると思うな親と金(いつまでもあるとおもうなおやとかね)
独立と倹約を心がけよという戒めのことば。 親はいつまでも面倒見てくれるわけでもなく、金も使えばなくなることから。
いつも月夜に米の飯(いつもつきよにこめのめし)
飽きることのない気楽な生活のたとえ。また、現実はなかなかそうはいかないということ。 昔の人にとって月の光はありがたく、また米の飯は貴重だったため、それが毎日続けば言うことがないとの意から。 「月夜に米の飯」ともいう。
いつも柳の下に泥鰌はいない(いつもやなぎのしたにどじょうはいない)
一度うまくいったからといって、いつも同じようにうまくいくとはかぎらないというたとえ。 柳の下で一度泥鰌を捕まえたからといって、そこでいつも泥鰌を捕まえられるとはかぎらないことから。
乙夜の覧(いつやのらん)
天子が読書すること。 書物を読むことの大切さをいう言葉。 「乙夜」は午後十時ごろ。 「覧」は読書のこと。 天子はとても忙しいため、夜遅くになってはじめて読書する時間ができるとの意から。 「乙覧」と略して使うこともある。
佚を以って労を待つ(いつをもってろうをまつ)
味方はゆっくりと休養し、相手の疲れるのを待って戦うということ。味方はじっくりと休養を取って力を蓄え、遠くから攻めてくる敵の疲れるのを待って迎え討つということ。「佚」は気ままにのんびりするという意。
居ても立っても居られない(いてもたってもいられない)
不安なことや嬉しいことがあり、心がそわそわして落ち着かないさま。
いとこ同士は鴨の味(いとこどうしはかものあじ)
いとこ同士の夫婦は、味がよいとされる鴨肉のように仲がよいということ。
いとしい子には旅をさせよ(いとしいこにはたびをさせよ)
子どもがかわいいなら、甘やかして育てるより、世の中に出してつらさや苦しさを経験させたほうがいいということ。
糸目を付けない(いとめをつけない)
惜しみなく金を使うようす。 「糸目」は凧の表面につけて引き締めるための糸。 糸目を付けない凧が飛ぶように金を使うことから。
糸を引く(いとをひく)
表に出ないで、陰で自分の思い通りに人を動かす。 糸を引いて操り人形をうごかすことから。
居ない者貧乏(いないものびんぼう)
その場に居合わせない者は、分け前をもらえなかったり、自分のうわさ話をされたりして、いろいろと損をするということ。
田舎の学問より京の昼寝(いなかのがくもんよりきょうのひるね)
田舎で勉強するより、たとえ昼寝をしながらのんびり過ごしたとしても、都会に身を置いたほうがさまざまな人や物に接するため、多くのことを学ぶということ。
稲荷の前の昼盗人(いなりのまえのひるぬすびと)
神をも恐れない図々しい人のたとえ。 白昼堂々、稲荷神社の前で物を盗む不届き者のことから。
往に跡へ行くとも死に跡へ行くな(いにあとへゆくともしにあとへゆくな)
妻と離婚した男に嫁ぐのはいいが、妻と死別した男には嫁ぐものではないという戒め。 妻と死別した男の心には、亡き妻のよい思い出が残っていて、比較されることが多いことから。
意に介さない(いにかいさない)
気に掛けない。気にしない。気にもとめない。
意に介する(いにかいする)
気に掛ける。気にする。気にとめる。
意に適う(いにかなう)
考えや気持ちに合っている。気に入る。
イニシアチブを取る(いにしあちぶをとる)
率先して物事を行い、他を導く。主導権をにぎる。
意に染まない(いにそまない)
気に入らない。気乗りがしない。
意に満たない(いにみたない)
満足出来ない。気に入らない。
犬一代に狸一匹(いぬいちだいにたぬきいっぴき)
めったにない大きなチャンスのたとえ。犬が狸のような大物を捕らえるのは一生に一度あるかどうかということから。
犬が西向きゃ尾は東(いぬがにしむきゃおはひがし)
当たり前のことのたとえ。犬が東を向くと、当然尾は西を向くことから。
犬と猿(いぬとさる)
仲の悪い関係のたとえ。 単に「犬猿」、また「犬と猿」ともいう。
犬に論語(いぬにろんご)
道理の通じない相手には何を説いても無駄ということのたとえ。犬に論語を説いて聞かせても、まったくわからないことから。
犬の遠吠え(いぬのとおぼえ)
弱い者や臆病な者が、陰で虚勢を張り陰口をたたくことのたとえ。弱い犬は、強い相手に対しては遠くから吠え立てることから。
犬は人につき猫は家につく(いぬはひとにつきねこはいえにつく)
引っ越す時、犬は飼い主について行くが猫は家から離れようとしないということ。
犬は三日飼えば三年恩を忘れぬ(いぬはみっかかえばさんねんおんをわすれぬ)
犬は三日間餌をやってかわいがれば三年間恩を忘れない。犬でさえそうなのだから、人間は受けた恩を忘れてはいけないという戒めの言葉。
犬骨折って鷹の餌食(いぬほねおってたかのえじき)
苦労して手に入れかけたものを、横からかすめ取られてしまうことのたとえ。 鷹狩りで、犬が苦労して草むらから追い出した獲物を、鷹が取ることから。
犬も歩けば棒に当たる(いぬもあるけばぼうにあたる)
何かしようとすれば、災難に遭いやすいというたとえ。 または、何かをやっているうちに思わぬ幸運にめぐりあうことのたとえ。 犬はあちこち歩きまわり、人間の振り回す棒に当たる羽目になるということから、本来は出しゃばると思わぬ災難に遭うとの意味であったが、現在は幸運にめぐりあうとの意味でも用いられるため、幸運と災難のどちらの意味でも使われる言葉。 江戸いろはがるたの一つ。
犬も食わない(いぬもくわない)
嫌がって誰もまともに相手にしない、誰も取り合わないこと。 何でも食べる犬でさえも食べないとの意から。
犬も朋輩、鷹も朋輩(いぬもほうばい、たかもほうばい)
役目や地位が違っても、同じ職場で働けばみな同僚であることには変わりないので、仲良くすべきであるということ。 鷹狩りにおいて、犬と鷹は役目が違うが、同じ主人に仕える仲間であるとの意から。
意のある所(いのあるところ)
言おうとしている本当の気持ち。真意。
いの一番(いのいちばん)
真っ先。一番目。 「い」は「いろは」の一番目の文字であることから。
命あっての物種(いのちあってのものだね)
何事も命があるからこそできる。だから命に関わるような危険なことはなるべく避けたほうがいいということ。 「物種」は物の根源の意。
命から二番目(いのちからにばんめ)
命の次に大事なものの意で、非常に大切にしているもの。かけがいのないもの。
命知らず (いのちしらず)
死を恐れずに物事を行うこと。また、そのような人。
命長ければ恥多し(いのちながければはじおおし)
長く生きていれば、それだけ恥をかく事も多くなるということ。 「恥」は「辱」とも書く。 また、「長生きは恥多し」「長生きすれば恥多し」「長命すれば恥多し」などともいう。
命に替えても(いのちにかえても)
自分の命と引きかえにしても。 どんなことがあっても守り抜こうという気持ちを表す。
命に過ぎたる宝なし(いのちにすぎたるたからなし)
命以上に大切なものはこの世にないということ。
命の親(いのちのおや)
命を救ってくれた恩人。
命の洗濯(いのちのせんたく)
気晴らしをして、日ごろの苦労から解放されること。
命の綱(いのちのつな)
命をつなぎとめるために大切なもの。生きていくための頼みとなるもの。
命は鴻毛より軽し(いのちはこうもうよりかろし)
命は尊いものだが、正義のためなら捨てても少しも惜しくはないということ。「鴻毛」は鴻の羽毛で、きわめて軽いことのたとえ。
命を預かる(いのちをあずかる)
相手から信頼されて、その人の生き死にをゆだねられる。
命を預ける(いのちをあずける)
相手を信頼して、自分の生き死にをゆだねる。
命を懸ける(いのちをかける)
命を捨てる覚悟で物事に取り組む。
命を擲つ(いのちをなげうつ)
自分の命をそっくり投げ出す覚悟で物事を行うこと。 「擲つ」は、惜しげもなく投げ出すこと。
命を投げ出す(いのちをなげだす)
死んだつもりで一生懸命事に当たる。
井の中の蛙大海を知らず(いのなかのかわずたいかいをしらず)
他に広い世界があることを知らずに、自分の周りの狭い見識や知識にとらわれてこと。 小さな井戸に住んでいる蛙は、井戸の外の世界に大きな海があることなど知らないとの意から。 「坎井の蛙」「井底の蛙」「井蛙」などともいう。
胃の腑に落ちる(いのふにおちる)
理解・納得できる。 「がてん」は「がってん」とも読む。
祈らずとても神や守らん(いのらずとてもかみやまもらん)
行いが正しく慎み深ければ、ことさら神に祈らなくても自然に神の加護があるものだということ。 菅原道真の作といわれる「心だに誠の道に叶いなば祈らずとても神や守らん」より出た言葉。
祈るより稼げ(いのるよりかせげ)
困難に直面した時は、神仏に祈るより、自力で働いて解決しろということ。
位牌を汚す(いはいをけがす)
祖先の名誉や名声を傷つける。 「位牌」は、死者の戒名などを記した木の札。 「位牌に泥を塗る」ともいう。
医は仁術(いはじんじゅつ)
医術は病気を治すことによって、相手に仁徳を施す術でもあるということ。
衣鉢を継ぐ(いはつをつぐ)
学問・芸術などで、弟子が師から奥義を受け継ぐこと。 「衣鉢」は仏教語で僧侶が身にまとう袈裟と鉢のこと。転じて、その道の奥義の意。
衣鉢を伝う(いはつをつたう)
学問・芸術などで、師が弟子に奥義を教え伝えること。 「衣鉢」は仏教語で僧侶が身にまとう袈裟と鉢のこと。転じて、その道の奥義の意。
茨の道(いばらのみち)
苦難の多い人生のたとえ。 茨の生えている道の意から。
意表に出る(いひょうにでる)
相手の予想外のことをしたり言ったりする。 「意表」は、思いがけないこと。考えてもいなかったこと。
意表を突く(いひょうをつく)
相手の予想外のことをしたり言ったりして驚かせる。 「意表」は、思いがけないこと。考えてもいなかったこと。
韋編三度絶つ(いへんみたびたつ)
繰り返して書を読むこと。 「韋編」は、字を書いた木や竹の札を、なめし皮の紐(ひも)でとじた中国の昔の書物。 孔子は「易経」を愛読し繰り返し何度も読んだため、書物をとじている革紐が三度も切れたという故事から 「[[韋編三絶*https://yoji.jitenon.jp/yojih/3680.html]]」ともいう。
移木の信(いぼくのしん)
約束を確実に実行すること。中国秦の商鞅は法令を徹底させるために、都の南門に立てた木を北門に移した者に懸賞金を与えると布告し、その約束を守り人民を欺かないと実証したという故事から。
居仏が立ち仏を使う(いぼとけがたちぼとけをつかう)
座っている者が、立っている者に用事を頼むたとえ。「居仏」は、座像の仏のこと。
今鳴いた烏がもう笑う(いまないたからすがもうわらう)
今まで泣いていた子どもが、すぐに機嫌を直して笑うこと。
今の今まで(いまのいままで)
(あとに打ち消しの語を伴って)つい先程まで。たった今まで。
今の情けは後の仇(いまのなさけはのちのあだ)
一時の安易な同情による手助けは、かえって相手のためにならず、あとになって害になることがあるということ。
今はこれまで(いまはこれまで)
避けることができないさま。もはやどうしようもない。これで終わりだ。
今は昔(いまはむかし)
今から見ると昔のことだが。むかしむかし。