「い」を含む故事・ことわざ・慣用句
「い」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 2677 件
厭と頭を縦に振る(いやとかぶりをたてにふる)
うわべの態度と本心とがまるで違うことのたとえ。 口ではいやだと言いながら、首を縦にふって承諾することから。
甍を争う(いらかをあらそう)
家々がすき間なく立ち並んでいるさま。 「甍」は、棟瓦のこと。 棟瓦の高さを競うように多くの家がぎっしり並んでいるとの意から。
いらぬお世話の蒲焼(いらぬおせわのかばやき)
余計なおせっかいだということ。「世話を焼く」と「蒲焼」をかけて言ったしゃれ。
いらぬ物も三年立てば用に立つ(いらぬものもさんねんたてばようにたつ)
今は必要ない物でも、役に立つことがあるかもしれないので、むやみに捨てるものではないということ。 今は不要な物も、三年も取っておけばきっと役に立つ機会があるとの意から。
入り鉄砲に出女(いりでっぽうにでおんな)
江戸時代、幕府が諸大名の謀反を警戒して、江戸に持ち込まれる鉄砲と、江戸にとどめていた大名の妻女が国元に帰るのを関所で厳しく取り締まったこと。
入り船あれば出船あり(いりふねあればでふねあり)
港に入ってくる船もあれば出て行く船があるように、世の中のことはさまざまであるということ。
入り船に良い風出船に悪い(いりふねによいかぜでふねにわるい)
一方に良いことはもう一方には悪く、両方に良いことはないというたとえ。 入り船に都合のよい順風は、出船にとっては逆風になるとの意から。 「出船によい風は入り船に悪い」ともいう。
炒り豆に花が咲く(いりまめにはながさく)
衰えていたものが、再び栄えることのたとえ。また、ありえないことが実現することのたとえ。 炒った豆に芽が出て花が咲くということから。 「炒り豆に花」ともいう。
居留守を使う(いるすをつかう)
家にいるのに、不在のふりをする。
入るを量りて出ずるを為す(いるをはかりていずるをなす)
収入の額を計算し、それに見合った支出をするということ。
入れ替わり立ち替わり(いれかわりたちかわり)
次から次へと絶え間なく人が現れるさま。
色男、金と力はなかりけり(いろおとこ、かねとちからはなかりけり)
美男子は、経済力も腕力もないものだということ。美男子をからかった川柳。
色香に迷う(いろかにまよう)
女性のあでやかな容姿に惑わされ自分を失ってしまうこと。
色が褪せる(いろがあせる)
以前のような新鮮さが感じられなくなること。 古くなって色が薄くなるとの意から。 「色褪せる」ともいう。
色気と痔の気のない者はない(いろけとじのけのないものはない)
人は誰でも似たり寄ったりだということ。痔で悩む人が多いことから、色気と痔の気の語呂を合わせて生まれたことわざ。
色気より食い気(いろけよりくいけ)
色欲より食欲が上だということ。また、外観より内容を取ることにもいう。
色気を示す(いろけをしめす)
社会的地位などへの誘いに積極的な関心を示すこと。
色気を出す(いろけをだす)
うまくいけば物事が都合よくいくかもしれないと欲を出す。 また、あるものに対して興味や関心を示す。
色の白いは七難隠す(いろのしろいはしちなんかくす)
色が白ければ、顔かたちに多少の欠点があっても気にならないということ。
色眼鏡で見る(いろめがねでみる)
先入観や偏見をもって物事を判断する。
色目を使う(いろめをつかう)
相手の気を引くような態度をとる。気のありそうな素ぶりを見せる。
色よい返事(いろよいへんじ)
望みに叶った期待通りの返事。
色を失う(いろをうしなう)
思いがない事態に直面して、驚きや恐怖で顔色が青ざめる。
色を付ける(いろをつける)
物事の扱いで、相手に多少の利益を与えること。
色をなす(いろをなす)
怒りで顔色を変える。
曰く言い難し(いわくいいがたし)
簡単には言い表せない、説明できないということ。
曰く付き(いわくつき)
何らかの好ましくない事情があること。
鰯網で鯨捕る(いわしあみでくじらとる)
思いがけない幸運や収穫を得たりすることのたとえ。また、あるはずのないことのたとえ。
鰯で精進落ち(いわしでしょうじんおち)
せっかくの努力がつまらないことで報われなくなることのたとえ。また、長い間の努力が十分に報われないことのたとえ。 「精進落ち」は菜食で身を慎む精進期間が終わって、魚肉類を食べること。 精進期間中に鰯のようなつまらない魚をうっかり食べてそれまでの努力を無駄にするとの意から。また、精進期間が終わったのに鰯のようなつまらない魚で祝いをするとの意から。
鰯の頭も信心から(いわしのあたまもしんじんから)
どんなつまらないものでも、信じる心があれば尊く思われるということ。節分の夜、鰯の頭をひいらぎの枝に刺して門口に置くと鬼気を追い払うといわれてきたことから。
言わずと知れた(いわずとしれた)
説明する必要もなく。言うまでもなく。わかりきっている。
言わずもがな(いわずもがな)
言う必要のない。言わないほうがいい。言うべきではないこと。また、言うまでもなく。もちろん。言うまでもなくはっきりとしていること。
言わぬが花(いわぬがはな)
はっきりと口に出していうより、黙っていたほうが趣があるということ。
言わぬことは聞こえぬ(いわぬことはきこえぬ)
口に出して言わなければ、相手に伝わらず理解させることができないということ。
言わぬは言うに勝る(いわぬはいうにまさる)
口に出して言うより黙っていたほうが、深い意味を相手に伝えることがあるということ。
謂われを聞けば有難や(いわれをきけばありがたや)
わけがわからず見てつまらないものも、その由来を聞くと急にありがたみが増すということ。
意を汲む(いをくむ)
相手の意向や事情を好意的に推察する。
意を決する(いをけっする)
きっぱりと心を決める。
意を体する(いをたいする)
他人の意見や教えを理解し、それに従う。
異を立てる(いをたてる)
異なる意見や反対の意見を述べること。
意を尽くす(いをつくす)
相手に理解してもらうために、自分の考えをすべて言い表すこと。また、わかりやすく丁寧に言うこと。
意を強くする(いをつよくする)
他人の支持を得て、自信を深めること。他人の賛同を心強く思うこと。
異を唱える(いをとなえる)
他人の考えに反対し、異なる意見を主張すること。
威を振るう(いをふるう)
権威を誇示する。
意を迎える(いをむかえる)
相手に気に入られるように、言いなりになる。迎合する。
意を用いる(いをもちいる)
心を配る。気にかける。
夷を以て夷を制す(いをもっていをせいす)
他国同士を争わせ、自国の安全と利益を図ること。 「夷」は、外国のこと。 「以夷制夷」ともいう。
陰影に富む(いんえいにとむ)
表現などに変化があり、深い味わいがあること。
殷鑑遠からず(いんかんとおからず)
戒めとなる失敗の例は、すぐ身近にあるというたとえ。 殷の国民が鑑(かがみ)とすべき手本は、遠い時代に求めなくても、前代の夏(か)の滅亡がよい戒めであるとの意から。
因果の小車(いんがのおぐるま)
悪行に対しては悪い報いがすぐにめぐってくるということ。 小さな車輪がくるくる回転するように、悪い行いは悪い結果となってすぐに回ってくるとの意から。
因果を含める(いんがをふくめる)
事情を説明して諦めさせること。
慇懃を通ずる(いんぎんをつうずる)
男女がひそかに情交を結ぶ。 「慇懃」は、親しい交際のこと。
咽喉を扼する(いんこうをやくする)
大事な地点を占める。 「扼する」は、要所をおさえること。
印綬を解く(いんじゅをとく)
官職を辞めること。 「印綬」は昔、中国で天子から官吏を任命された時、その印として与えられた官印とそれを身につけるための紐のことで、その印綬を身体からはずすことから。 反対に官職に就くことを「印綬を帯びる」という。
員数を揃える(いんずうをそろえる)
質はともかく、決められた数を揃える。
陰徳あれば必ず陽報あり(いんとくあればかならずようほうあり)
人知れず善い行いをする者には、必ず善い報いがあるということ。
引導を渡す(いんどうをわたす)
最終的な宣告をして相手をあきらめさせること。 また、相手の命がまもなくなくなることをわからせること。 「引導」は、葬式の際、死者の霊を極楽浄土に導くために僧が経文や仏語を唱えること。 その引導を授けるの意から。
陰に籠もる(いんにこもる)
不平や不満が表にあらわれず、心の中にくすぶっている。陰気な感じがする。
員に備わるのみ(いんにそなわるのみ)
数の中には入っているが、実際には何の役にも立たないこと。実権を持っていないこと。
陰に陽に(いんにように)
あるときは人知れず、あるときは表立って。常に。
因縁を付ける(いんねんをつける)
つまらない理由を付けて、文句を言ったり脅したりすること。
浮いた噂(ういたうわさ)
男女関係についての色っぽいうわさ。
有為転変は世の習い(ういてんぺんはよのならい)
この世の一切の事物は因縁によって生じ、常に変化し続けていくはかないものであるということ。
憂いも辛いも食うての上(ういもつらいもくうてのうえ)
悲しい・辛いなどの不満は、衣食が満たされているから言える事なので、食べることさえままならない状況ではそんな事は言っていられないということ。
ウエイトを置く(うえいとをおく)
あるものを大切だと考え、そこに力を入れること。
植木屋の庭できが多い(うえきやのにわできがおおい)
気が多いこと。 「気が多いこと」と「木が多いこと」をかけて言ったしゃれ。
飢えたる犬は棒を恐れず(うえたるいぬはぼうをおそれず)
生活に困った人間は、危険な事や悪い事をするのを恐れないことのたとえ。 飢えた犬は、人間が棒を持っていても恐れずに、食べ物にありつこうとするという意味から。
上を見れば方図がない(うえをみればほうずがない)
上を見ればきりがないから、節度をわきまえよということ。「方図」は際限の意。
魚は鯛(うおはたい)
魚のなかでは鯛が最上であるということ。比喩的に同種類の中の最上をもいう。
浮かぶ瀬がない(うかぶせがない)
苦しい境遇や立場から逃れる機会が得られない様子。 「浮かぶ瀬」は、川の浅い所。転じて、場所や機会の意。
浮世は衣装七分(うきよはいしょうしちぶ)
とかく世間では外見を重んじ、うわべで内容を判断しがちだということ。七分は十分の七のことで、衣装で七分がた評価が下される意から。
鶯鳴かせたこともある(うぐいすなかせたこともある)
若いころは魅力的で異性にもてはやされたこともあったと、老女が昔を自慢していうことば。女性の美しさを梅、男性を鶯にたとえて枝にとまらせて鳴かせたという意味。
受けがいい(うけがいい)
周囲の人に好評であること。人気があること。
有卦に入る(うけにいる)
運が向いてきて、すべてがうまくいくこと。「有卦」は陰陽道でいう幸運が七年続くという年回りのこと。
動きが取れない(うごきがとれない)
制約があり思うように行動出来ないこと。 また、窮地に追い込まれ、自分の力ではその状態から抜け出せないこと。
兎を見て犬を呼ぶ(うさぎをみていぬをよぶ)
事を見極めてから対策をしても遅くないということ。 また、一見手遅れに見えても、対策次第で間に合うこともあるので、あきらめてはいけないということ。 兎を見つけてから猟犬を呼ぶという意味から。 また、兎を見つけてから猟犬を呼んでも遅すぎるとの意味で、手遅れのたとえとして用いられることもある。
牛に対して琴を弾ず(うしにたいしてことをだんず)
愚か者にいくら立派な道理を説いても何の役にも立たないことのたとえ。牛に琴を聞かせても反応がないことから。
牛に引かれて善光寺参り(うしにひかれてぜんこうじまいり)
人に連れられてある場所へ出かけて行くこと。また、自分の意思ではなく他人の誘いによって、よい方向に導かれることのたとえ。 善光寺の近くに住んでいた不信心な老婆が布をさらしていると、その布を牛が角にひっかけて逃げてしまった。老婆は牛を追いかけて善光寺に着き、その縁によって信仰するようになったという故事から。
牛の一散(うしのいっさん)
日頃は決断の遅い人が、深く考えもせずむやみに行動することのたとえ。 歩みののろい牛が、何かのはずみで一目散に走り出すことから。
牛の角突き合い(うしのつのつきあい)
仲が悪く、何かにつけて争い合うこと。