「す」を含む故事・ことわざ・慣用句
「す」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 1223 件
無為にして化す(むいにしてかす)
人徳のある人が上に立つと、特別なことは何もしなくても、世の中は自然に治まるということ。 「無為にして治まる」「無為の治」ともいう。
向こうに回す(むこうにまわす)
戦いの相手として張り合うこと。敵にまわすこと。
虫が好かない(むしがすかない)
なんとなく気にくわないこと。
娘三人持てば身代潰す(むすめさんにんもてばしんだいつぶす)
娘を三人持てば、その嫁入り支度で財産がなくなるということ。
娘一人に婿八人(むすめひとりにむこはちにん)
一つの物事に対しての希望者が多くいること。 一人の娘に対して婿を希望する人が八人もいるとの意から。 「娘一人に婿三人」「娘一人に婿十人」ともいう。
むすめふさほせ(むすめふさほせ)
百人一首のかるた取りで、最初の一音を聞いて取れる札は七首。効率よく記憶するために、その七首の最初の文字を取って「む・す・め・ふ・さ・ほ・せ」と並べたもの。
胸がすく(むねがすく)
心につかえていた不平や不満などがなくなり、すっきりとした気分になること。
胸に釘針刺す(むねにくぎはりさす)
まるで胸に釘を打たれたように、弱点を突かれてうろたえること。 「胸に釘打つ」「胸に釘針刺す」ともいう。
胸焼けがする(むねやけがする)
食べ過ぎたり飲み過ぎたりして、みぞおち周辺に焼けるような不快感を覚えること。 「胸焼けがする」ともいう。
胸を焦がす(むねをこがす)
恋慕の情に苦しむこと。特に、異性に恋焦がれること。
夢寐にも忘れない(むびにもわすれない)
ほんのわずかな間も忘れないということ。 「寐」は眠ること。 眠って夢を見ている間も忘れないとの意から。
目頭を熱くする(めがしらをあつくする)
あることに感動して、涙が溢れ出しそうになること。 「目頭を熱くする」ともいう。
目が据わる(めがすわる)
怒ったり酒に酔ったりして、一点を見つめた目が少しも動かなくなる様子。
メスを入れる(めすをいれる)
ある問題を根本的に解決するために、大胆な手段をとること。 医者がメスを用いて病気の元となっている部分を取り除くことから。
目で殺す(めでころす)
色っぽい目つきで相手を魅き付け、夢中にさせるようす。「殺す」は悩殺するという意。
目にする(めにする)
見ること。特に、たまたま見ること。
目には青葉、山時鳥、初鰹(めにはあおば、やまほととぎす、はつがつお)
初夏のさわやかな風物を並べたことば。江戸時代の俳人山口素堂の句。
目に物言わす(めにものいわす)
言葉にすることなく、目配せなどをして相手に気持ちを伝えること。
目の敵にする(めのかたきにする)
許せない相手として、見るたびに強い不快感を抱くこと。 なにかにつけて敵視すること。
目を落とす(めをおとす)
視線を下のほうに向けること。
目を掠める(めをかすめる)
人の目の隙を狙って悪事をはたらくこと。
目を凝らす(めをこらす)
じっと見つめること。凝視すること。
目を覚ます(めをさます)
あることがきっかけとなり、本来の正しい自分の姿に戻ること。 「目を覚ます」ともいう。
目を三角にする(めをさんかくにする)
怒って、目尻の吊り上がったこわい目付きをすること。
目を据える(めをすえる)
じっと一点をみつめること。
目を逸らす(めをそらす)
それを見ていられずに、視線を別の方向にむけること。
目を通す(めをとおす)
文章などを一通りみること。大まかに読むこと。
目を盗む(めをぬすむ)
人に見られないように、こっそり何かを行うこと。
目を離す(めをはなす)
油断して視線を他のものに移すこと。
目を丸くする(めをまるくする)
ある出来事に驚いて、目をおおきく見開くこと。
目を回す(めをまわす)
気を失うこと。 また、あまりの忙しさに慌てふためくこと。
面目を一新する(めんぼくをいっしんする)
今までの様子を改めること。
面目を潰す(めんぼくをつぶす)
名誉をひどく傷付けられること。世間からの評判を落とすこと。
面目を施す(めんぼくをほどこす)
素晴らしいことをして、世間からの評判を高めること。
燃え杭には火がつきやすい(もえぐいにはひがつきやすい)
一度関係のあった者は、いったん縁が切れても再び元の関係に戻りやすいというたとえ。 多くは男女の関係をいう。 「燃え杭」は燃え残りの木のことで、簡単に火がつくことから。 「焼け木杭には火がつきやすい」ともいう。
沐猴にして冠す(もっこうにしてかんす)
見かけは立派でも中身が愚かな者をあざけって言う言葉。 「沐猴」は猿のこと。 ある者が楚の項羽のことを「冠をかぶって気取っていても中身は猿だ」と評したという故事から。
以て瞑すべし(もってめいすべし)
ここまでできれば、もう死んでもよい。また、満足すべきであるということ。 「瞑す」は、安らかに死ぬこと。
物盛んなれば即ち衰う(ものさかんなればすなわちおとろう)
何事も盛りに達したら必ず衰え始める。いつまでも盛んな時は続かないということ。
門戸を成す(もんこをなす)
一家を興すたとえ。また、一派をつくるたとえ。 「門戸を張る」「門戸を構える」ともいう。
門前市を成す(もんぜんいちをなす)
権勢や名声を慕い、多くの人が訪れることのたとえ。 門の前に大勢の人が集まって、まるで市場のようであるとの意から。
焼け野の雉、夜の鶴(やけののきぎす、よるのつる)
子を思う親の情愛が深いことのたとえ。 「雉」はきじのこと。 雉は野を焼かれたら危険を顧みずに巣にいる子どもを助けに戻り、鶴は霜の降りる寒い夜には自分の羽を広げて子を暖めるとの意から。 単に「焼け野の雉」「夜の鶴」、また「夜鶴子を思う」「子を思う夜の鶴」ともいう。 「焼け野の雉」は、身を隠すところのない雉のことから、危険にさらされることのたとえとしてもいわれる。
自棄を起こす(やけをおこす)
物事が思い通りにならず、投げやりな気持ちになること。
夜食過ぎての牡丹餅(やしょくすぎてのぼたもち)
時機を逸して値打ちがなくなったり、ありがたみが薄れてしまうことのたとえ。夜の食事が終わったあとに牡丹餅をもらってもあまりうれしくないことから。
野次を飛ばす(やじをとばす)
相手の言動を大声で冷やかしたりののしったりすること。
安かろう悪かろう(やすかろうわるかろう)
値段が安いものは品質が悪いだろうということ。 安いものには安いなりの理由があるはずとの意から。 「高かろう良かろう、安かろう悪かろう」ともいう。
安きこと泰山の如し(やすきことたいざんのごとし)
どっしりと安定していて、ものに動じない様子のたとえ。 「泰山」は、中国山東省にある大きな山で、その泰山のように落ち着いてどっしりしているとの意から。
易きに付く(やすきにつく)
楽な道を選ぶ。より簡単なほうを選ぶ。
安きを偸む(やすきをぬすむ)
将来のことを考えず、目先の安楽をむさぼること。 「[[偸安*https://kokugo.jitenon.jp/word/p35768]]」ともいう。
安物買いの銭失い(やすものかいのぜにうしない)
値段の安いものは品質も悪く、買い替えや修理などで高くついて、結局は損をするということ。
鑢と薬の飲み違い(やすりとくすりののみちがい)
鑢と薬は、聞いた時はわずかな違いだが、実際は大きな違いがあり、早とちりや早合点は間違いのもとになるというたとえ。「や」と「く」に八と九を掛けていった言葉。
痩せ法師の酢好み(やせほうしのすごのみ)
人間はとかく、自分にふさわしくない物や必要ない物を好むものだということ。 痩せている僧が、飲むと痩せるといわれる酢を好むということから。
藪薬師の病人選び(やぶくすしのびょうにんえらび)
実力のない者にかぎって仕事のえり好みをするというたとえ。 「藪薬師の病人選び」ともいう。
藪をつついて蛇を出す(やぶをつついてへびをだす)
余計なことをして、かえって思わぬ災難を招くことのたとえ。 「藪をたたいて蛇を出す」とも、略して「藪蛇」ともいう。
病治りて薬師忘る(やまいなおりてくすしわする)
苦しい時が過ぎて楽になると、助けてもらった恩を忘れてしまうということ。 「薬師」は、医者。 病気が治ると世話になった医者のこともすっかり忘れてしまうとの意から。
山の芋を蒲焼にする(やまのいもをかばやきにする)
あまりにも早計な行為のたとえ。 [[蕪は鶉となり、山芋は鰻となる*https://kotowaza.jitenon.jp/kotowaza/4562.php]](起こるはずのないことが時には起こることのたとえ)という言葉でたとえとして用いられている山芋がまだ鰻にもなっていないのに蒲焼にしようとすることから。
山をなす(やまをなす)
山のように高く積み上げられていること。 また、物がたくさんあること。
闇夜に烏、雪に鷺(やみよにからす、ゆきにさぎ)
まわりとよく似ていて、はっきりと区別がつかないことのたとえ。 「闇に烏」ともいう。
憂患に生き安楽に死す(ゆうかんにいきあんらくにしす)
人は心配事がある時は心をいため、命を守る努力をするが、憂いがなくなると心がゆるみ、思わぬ死を招くこともあるということ。
幽明境を異にする(ゆうめいさかいをことにする)
死に別れること。 「幽」はあの世。「明」はこの世。 死んであの世とこの世の境界を越え、別々になるという意味から。 「幽明処を隔つ(ゆうめいところをへだつ)」ともいう。
勇を鼓す(ゆうをこす)
勇気をふるい起こすこと。
雪と墨(ゆきとすみ)
真っ白な雪と真っ黒な墨のように、正反対のものやはっきりと違うもののたとえ。 「墨と雪」ともいう。
指を差す(ゆびをさす)
陰で、人の悪口を言ったり非難したりすること。
夢を結ぶ(ゆめをむすぶ)
夢を見ること。また、眠りにつくこと。
湯を沸かして水にする(ゆをわかしてみずにする)
せっかくの苦労を無駄にすることのたとえ。 せっかく沸かした湯を使わずに水にしてしまうことから。 「湯を沸かして水に入る」ともいう。
陽気発する処、金石も亦透る(ようきはっするところ、きんせきもまたとおる)
どんな困難なことでも、精神を集中すればできないことはないということ。 「陽気」は万物が生じて活動しようとする気。 陽気が発生すれば、金属や石のように硬いものでも貫くとの意から。
用を足す(ようをたす)
用事をすませること。 また、大小便をすませること。
横車を押す(よこぐるまをおす)
道理に合わないことを無理に押し通すこと。車を無理やり横に押して動かそうとする意から。
装いを新たにする(よそおいをあらたにする)
今までの印象を変えるため、外観などを新しくすること。
与太を飛ばす(よたをとばす)
ふざけて、いい加減なことを言うこと。でたらめなことを言うこと。
涎を垂らす(よだれをたらす)
非常に羨ましく思ったり欲しいと思ったりしながら、それを見聞きするさま。
世も末(よもすえ)
この世も終わりである。救いがたい世である。 現状を嘆いて言う言葉。
縒りを戻す(よりをもどす)
元の状態に戻すこと。特に、男女の関係が元通りになること。
世渡りの殺生は釈迦も許す(よわたりのせっしょうはしゃかもゆるす)
生活のためならば、多少の不道徳や無慈悲な行いはやむを得ないということ。
世を捨てる(よをすてる)
出家すること。俗世間から離れて静かに暮らすこと。
落花情あれども流水意なし(らっかじょうあれどもりゅうすいいなし)
一方には恋しく思う気持ちがあるのに、相手に思いが通じないことのたとえ。 散る花は流れる水を慕うが、川はそしらぬ顔で流れていくことから。
落花流水の情(らっかりゅうすいのじょう)
男女が慕い合う気持ちを持っていることのたとえ。散る花は、流れのままに流されて行きたいと思い、流れる水は散った花を浮かべて流れたいと思っている意から。
六国を滅ぼす者は六国なり(りっこくをほろぼすものはりっこくなり)
国が滅びるのは、国の内部に原因があるということ。また、悪い結果の原因は、自分自身にあることが多いことのたとえ。 「六国」は中国、戦国時代の斉(せい)・楚(そ)・燕(えん)・韓(かん)・魏(ぎ)・趙(ちょう)のこと。 六国が滅びたのは六国相互の争いの結果によるもので、他の国に滅ぼされたわけではないとの意から。
立錐の余地もない(りっすいのよちもない)
人や物ががぎっしりと詰まってまったく余裕がない様子。錐を立てるほどの隙間もない意から。
竜は一寸にして昇天の気あり(りゅうはいっすんにしてしょうてんのきあり)
すぐれた人物は幼少期からすぐれたところがあることのたとえ。 竜は一寸の大きさの頃から天に昇ろうとする気迫に満ちているということから。
竜を画いて狗に類す(りゅうをえがいていぬにるいす)
凡人が優れた人の真似をして、軽薄になることのたとえ。また、立派過ぎるものを求めて失敗することのたとえ。 「虎を描いて狗に類す」に同じ。