「ひ」を含む故事・ことわざ・慣用句
「ひ」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 712 件
七度尋ねて人を疑え(ななたびたずねてひとをうたがえ)
物がなくなった時には、自分でよく探してみるのが先で、軽率に人を疑ってはいけないという戒めの言葉。 七回探しても見つからない時に、はじめて他人を疑うべきとの意から。 「七度探して人を疑え」
七光り(ななひかり)
君主や親の権威のおかげで得をすること。
七尋の島に八尋の船を隠す(ななひろのしまにやひろのふねをかくす)
やっても無駄なことのたとえ。 「尋」は長さの単位。 七尋しかない島に八尋の船を隠すとの意から。
名は実の賓(なはじつのひん)
名誉や名声は徳に伴うべきものであるということ。 「実」は徳、「賓」は客の意。 名誉というものは徳という主人に対して客のようなものであるとの意から。
鳴りを潜める(なりをひそめる)
物音や声を立てないように静かにしている。 また、目立った活動をせずに、じっとしている。
名を広める(なをひろめる)
その名が世間で広く知られるようになるようになること。
握れば拳、開けば掌(にぎればこぶし、ひらけばてのひら)
たとえ同じものでも、気持ちや状況次第で変化することのたとえ。 手を握ると人を殴る拳になり、手を開けば人をなでる掌(てのひら)になるとの意から。
西から日が出る(にしからひがでる)
絶対にありえないことのたとえ。
西と言えば東と言う(にしといえばひがしという)
人の言う事にいちいち反論するようす。
西と言ったら東と悟れ(にしといったらひがしとさとれ)
人の言葉には表と裏があるもので、言葉の裏に隠された真意を察することが大切であるということ。 人が西と言っても、本意は東だと悟らなければいけないとの意から。
西も東も分からない(にしもひがしもわからない)
その土地の地理がまったくわからないこと。 また、物事の判断がつかないこと。
似て非なり(にてひなり)
外見は似ているように見えても、本質は違っていることのたとえ。
似て非なるもの(にてひなるもの)
外見は似ているけれども、その内実は異なるもののこと。
二八余りは人の瀬越し(にはちあまりはひとのせごし)
十六歳頃は、人生を左右する大事な時期であるということ。「二八」は十六歳、「瀬越し」は重大な時期のこと。
二百二十日の荒れ仕舞(にひゃくはつかのあれじまい)
「二百二十日」は、立春から数えて二百二十日目の日(九月十一日頃)のこと。 この時期は台風が多く発生するため、農家の厄日とされており、この日を過ぎると台風が少なくなることから生まれた言葉。
女房は掃き溜めから拾え(にょうぼうははきだめからひろえ)
妻を迎えるなら、自分より格下の家からもらうのがよいということ。 身分の高い家から妻をもらうと、親戚付き合いに苦労したり夫の権威が下がったりする恐れがあるとの意から。 「女房は台所から貰え」「女房は掃き溜めから拾え」「女房は庭から取れ」などともいう。
女房は山の神百国の位(にょうぼうはやまのかみひゃっこくのくらい)
女房はきわめて大切なものであるというたとえ。
女房百日、馬二十日(にょうぼうひゃくにち、うまはつか)
どんなものも、はじめのうちは珍しがられるが、すぐに飽きられてしまうというたとえ。 妻は百日、馬は二十日もすれば飽きてしまうとの意から。
抜き足して来るひとに碌な者なし(ぬきあししてくるひとにろくなものなし)
音をさせないように近づく者は、何か後ろ暗い所があるので碌(ろく)な者ではないということ。
盗人にも一理屈(ぬすびとにもひとりくつ)
どんなことでも、こじつければ理屈はつけられるということ。 盗みは悪いことだが、それを正当化する三分ほどの理屈があるとの意から。 「泥棒にも三分の道理」「盗人にも一理屈」ともいう。
盗人の取り残しはあれど火の取り残しはなし(ぬすびとのとりのこしはあれどひのとりのこしはなし)
盗難に遭っても取り残しがあるが、火事は全てを焼いてしまい残る物はないということ。火事の恐ろしさを言ったことば。
盗人の隙はあれど守り手の隙はなし(ぬすびとのひまはあれどまもりてのひまはなし)
盗難を防ぐのは難しいということ。 盗人はよい機会を狙って盗みに入るので暇もあるが、番をする方は盗人がいつ来るかわからないので休む暇がないことから。
盗人の昼寝(ぬすびとのひるね)
ひそかに悪事をたくらんで準備をしていること。また、何をするにも思惑があるということ。 盗人が夜の盗みに備えて昼寝をすることから。 「盗人の昼寝も当てがある」ともいう。
盗みする子は憎からで縄掛くる人が恨めしい(ぬすみするこはにくからでなわかくるひとがうらめしい)
盗みをした我が子を憎まず、その子を捕まえて縄を掛けた相手を恨むという、親の身びいきのたとえ。
猫の額(ねこのひたい)
土地の面積が狭いことのたとえ。
猫の額にある物を鼠が窺う(ねこのひたいにあるものをねずみがうかがう)
自分の実力を考えずに、大それたことや無謀なことをしようとすることのたとえ。 猫のそばにある物を、鼠がねらって様子をうかがうことから。
猫を追うより皿を引け(ねこをおうよりさらをひけ)
その場のがれより、根本を正すことが大事だというたとえ。皿をねらっている猫を追い払うより、皿を片付けるほうがいいということから。
鼠が塩を引く(ねずみがしおをひく)
小事が積み重なって大事になることのたとえ。また、ものが少しずつ減っていき、最後にはなくなってしまうことのたとえ。 鼠が盗んでいく塩は少量ずつだが、何度も盗まれているといつの間にか大量の塩が無くなってしまうことから。 「鼠が塩を嘗める」ともいう。
寝ていて人を起こすな(ねていてひとをおこすな)
人を働かせようと思うなら、まず自分が率先して模範を示せということ。 横着して自分は寝たままで人を起こすようなことはするなとの意から。
年年歳歳花相似たり、歳歳年年人同じからず(ねんねんさいさいはなあいにたり、さいさいねんねんひとおなじからず)
花は年ごとに変わることなく咲くが、人の境遇は年ごとに変化していく。 自然が変わらないのに対して、人の世ははかなく移りやすいことのたとえ。
能なし犬は昼吠える(のうなしいぬはひるほえる)
才能のない者にかぎって必要のないときに大騒ぎしたり、大きなことを言ったりするというたとえ。
農は人真似(のうはひとまね)
農業は人のやる事を真似していれば人並みの収穫はあるということ。
測り難きは人心(はかりがたきはひとごころ)
人の心ほど理解しがたいものはないということ。また、人の心が変わりやすく頼りにならないことにもいう。
白玉楼中の人となる(はくぎょくろうちゅうのひととなる)
文人が死ぬことのたとえ。 「白玉楼」は文人が死後に行くといわれる白玉造りの高楼のことで、その中の人となるとの意から。
白馬非馬論(はくばひばろん)
詭弁やこじつけのこと。 中国、周時代に公孫竜が、「馬」は形に名付けられた概念で「白」は色に名付けられたであるから「馬」と「白馬」は別の概念を表すという論を説いたことから。 「白馬は馬に非ず」「白馬非馬論」ともいう。
薄氷を履むが如し(はくひょうをふむがごとし)
きわめて危険な事に臨むことのたとえ。 薄く張った氷の上を歩くように、非常に危険な事をするとの意から。
裸百貫(はだかひゃっかん)
男は無一文の身ひとつでも百貫の値打ちがあるということ。「貫」は昔の貨幣の単位で、一貫は一文銭千枚のこと。「百貫」は、価値があることのたとえ。
白虹日を貫く(はっこうひをつらぬく)
臣下が君主に対して反乱を起こす予兆のたとえ。白い虹は武器、太陽は君主の象徴と解釈され、白い虹が太陽を貫いてかかることから、兵乱が起こり君主に危害を加える前兆とされたことから。
花一時、人一盛り(はないっとき、ひとひとさかり)
花が咲き誇るのもほんの一時であるように、人も盛んな時はごく短い一時期に過ぎないということ。
花は桜木、人は武士(はなはさくらぎ、ひとはぶし)
花は桜が最も美しく、人は武士が一番だということ。桜がぱっと咲いて散るように、武士の死に際も潔いことから。
反旗を翻す(はんきをひるがえす)
謀反を起こすこと。「反旗」は、謀反を起こして立てる旗で、それが風になびくということから。
馬鹿があればこそ利口が引き立つ(ばかがあればこそりこうがひきたつ)
愚かな人間がいて利口な人間が目立つように、世の中は種々雑多な人間で成り立っている。世の中はさまざまな人間が、持ちつ持たれつの関係で生きているということ。
馬鹿の一つ覚え(ばかのひとつおぼえ)
愚か者が、たった一つ覚えていることを得意げに振りかざすことをあざけっていう言葉。
日、西山に薄る(ひ、せいざんにせまる)
年老いて、死期が間近に迫っていることのたとえ。太陽が西の山に今にも沈もうとしている意から。
贔屓の引き倒し(ひいきのひきたおし)
贔屓をしすぎるあまりに、かえってその人に迷惑をかけてしまうこと。
贔屓目に見る(ひいきめにみる)
実際よりも好意的に判断すること。
火打ち石据え石にならず(ひうちいしすえいしにならず)
小さいものでは大きいものの代わりにはならないというたとえ。火打ち石は火をおこすときは役立つが、家の土台石にはならないということ。
日陰の梨(ひかげのなし)
形が整っていても内容が悪いもののたとえ。日が当たらない場所で実った梨は形はまあまあでも味がよくないことから。
日陰の豆も時が来ればはぜる(ひかげのまめもときがくればはぜる)
人より成長が遅れていても年ごろになれば一人前になるから心配は要らないというたとえ。日陰で育った豆でも時期が来れば自然とさやからはじけ出るとの意から。
日方と手間取りは日のうち(ひかたとてまどりはひのうち)
日雇いの仕事が夕方には終わるように、南風も夕方にはやむということ。「日方」は日のある方から吹く風。南西風、南東風のこと。「手間取り」は日雇い仕事のこと。
光を和らげ塵に同ず(ひかりをやわらげちりにどうず)
才能や学徳を隠して、俗世で目立たないように暮らすこと。また、仏や菩薩が衆生を救うために、本来の姿を隠して、塵のような俗世に現れること。 「[[和光同塵*https://yoji.jitenon.jp/yoji/236.html]]」ともいう。
光るほど鳴らぬ(ひかるほどならぬ)
口うるさい人は案外怖くないということ。また、口で偉そうに言うものにかぎって意外に弱いということ。稲光がすごいわりには雷鳴が小さいとの意から。
引かれ者の小唄(ひかれもののこうた)
どうにもならずに切羽詰まった者が、負け惜しみで強がりを言い、平気なふりをすることのたとえ。「引かれ者」は、刑場へ連れて行かれる罪人のこと。引かれ者が平静を装い、強がりを見せて小唄を口ずさんだことから。
日が浅い(ひがあさい)
その状態になったり、その物事を始めたりしてからそれほど日が経っていないこと。
日が当たらない(ひがあたらない)
地位や環境などに恵まれないこと。
火が消えたよう(ひがきえたよう)
急激に活気を失って、寂しい様子になること。
非学者、論に負けず(ひがくしゃ、ろんにまけず)
無学な者は道理を知らず、がむしゃらに自分の説を主張してなかなか議論に負けない。だから道理のわからない者を相手に議論しても意味がないということ。
東に近ければ西に遠い(ひがしにちかければにしにとおい)
一方に都合よければ、他方には都合が悪く、どちらにも偏らないようにするのは難しいということのたとえ。また、あたりまえであることのたとえ。
東は東、西は西(ひがしはひがし、にしはにし)
東洋と西洋の文化は本質的に異なるということ。イギリスの詩人キプリングの言葉から。
干潟の鰯(ひがたのいわし)
自滅するのを待つしかないことのたとえ。 干潟に取り残された鰯は死ぬしかないとの意から。
日が西から出る(ひがにしからでる)
ありえないことのたとえ。
引き合いに出す(ひきあいにだす)
比べたり、参考にしたり、証拠にしたりするために、例として持ち出すこと。
引き金になる(ひきがねになる)
ある物事が起こる直接の原因になること。 「引き金」は銃などで弾丸を発射するための金具。
蟇の息さえ天に昇る(ひきのいきさえてんにのぼる)
誰でも一心に事を行えば望みを遂げられるということ。 「蟇」は、ヒキガエルの別名。 一心に努力すればヒキガエルのような弱い生き物の吐息も、天まで届かせることができるとの意から。
引きも切らず(ひきもきらず)
途切れることなく続く様子。絶え間なく。
飛脚に三里の灸(ひきゃくにさんりのきゅう)
勢いのあるものにさらに勢いをつけるたとえ。「三里」は、膝頭の下の灸点で、ここに灸をすえると足を丈夫にするといわれている。足の速い飛脚が三里に灸をすえれば、さらに足が強くなることから。
低き所に水溜まる(ひくきところにみずたまる)
水が低い所に溜まるように、利益のある所に自然と人が集まるということ。
引くに引けない(ひくにひけない)
引き下がりたいと思っても、立場や状況などから簡単には引き下がれない状態にあること。
日暮れて途遠し(ひくれてみちとおし)
年老いてしまったのに、まだ目的を達するまでには程遠いことのたとえ。また、期限が迫っているのに、仕事が片付かないことのたとえ。
引けを取る(ひけをとる)
相手に負けること。 または、相手よりも劣ること。
卑下も自慢のうち(ひげもじまんのうち)
表面では謙遜しているふりをしながら、内心では人をうらやましがらせることを意図して話す様子。過度の謙遜は自慢の一種であるということ。
庇を貸して母屋を取られる(ひさしをかしておもやをとられる)
一部を貸したために、あとで全部を奪われてしまうことになるたとえ。また、恩を仇で返されることのたとえ。
膝が抜ける(ひざがぬける)
着物やズボンなどの膝の部分が薄くなったり、穴が開いたりすること。 または、膝に力が入らなくなること。
膝が笑う(ひざがわらう)
歩き疲れたりして膝に力が入らなくなり、がくがくすること。
膝っ子に目薬(ひざっこにめぐすり)
はなはだしい見当違いのたとえ。努力しても無駄なことのたとえ。 膝に目薬をさしても効果がないことから。 「尻に目薬」「目薬を尻へさす」「疝気さ目薬」ともいう。
膝とも談合(ひざともだんごう)
困ったときには相手を選ばずに相談したほうがよい、頼りにならないような相手でも何かしらの役には立つということ。 困り果てたときには、自分の膝でさえ相談相手になるとの意から。
膝を打つ(ひざをうつ)
何か思いついたり、感心したりした時に行う動作。
膝を折る(ひざをおる)
負けを認めて相手に従うこと。屈服すること。 膝を折り曲げて身を低くするということから。
膝を崩す(ひざをくずす)
正座をやめて、楽な座り方に変えること。
膝を屈する(ひざをくっする)
負けを認めて相手に従うこと。屈服すること。 膝を折り曲げて身を低くするということから。