「ひと」を含む故事・ことわざ・慣用句
「ひと」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 247 件
天道、人を殺さず(てんどう、ひとをころさず)
天は人を見捨てるような無慈悲なことはしないということ。
天に口なし人を以て言わしむ(てんにくちなしひとをもっていわしむ)
天はものを言ったりしないが、その意思は人の口を通じて伝えられるということ。つまり、天の声である世論は真実を語っているということ。
天の時は地の利に如かず、地の利は人の和に如かず(てんのときはちのりにしかず、ちのりはひとのわにしかず)
戦いにおいて、いかに天候や気候の条件が良くても、地理的条件の有利さには及ばない。 その地理的な有利さも団結した人々の力には及ばないということ。
天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず(てんはひとのうえにひとをつくらず、ひとのしたにひとをつくらず)
人間は生まれながらに平等であり、身分の上下や貴賎などの差別はないということ。
天を怨みず人を尤めず(てんをうらみずひとをとがめず)
自分の身がどんなに不遇でも、天を恨んだり人をとがめたりしないで、自己の人格形成に努めるべきであるということ。
東西南北の人(とうざいなんぼくのひと)
あちらこちらをさまよい歩き、住所が定まらないひと。
十で神童、十五で才子、二十過ぎれば只の人(とおでしんどう、じゅうごでさいし、はたちすぎればただのひと)
子どものころは並外れた秀才と思われていた人も、成長すれば平凡な人間になることが多いということ。
虎は死して皮を留め、人は死して名を残す(とらはししてかわをとどめ、ひとはししてなをのこす)
虎は死後立派な皮を残して珍重され、人は死後その功績により名声が語り継がれるということ。 「虎」は「豹」、「留め・留む」は「残し・残す」ともいう。
無い物食おうが人の癖(ないものくおうがひとのくせ)
十分にある物は欲しがらず、ないとわかっている物をほしがること。わがままを言うこと。 「無い物食おうが人の癖」ともいう。
情けは人の為ならず(なさけはひとのためならず)
他人に親切にすれば、巡り巡って自分に返ってくるということ。
茄子の花と親の意見は千に一つも無駄はない(なすびのはなとおやのいけんはせんにひとつもむだはない)
茄子の花に無駄花がないように、親が子どもにいう意見もすべて子どもの役に立つことばかりで、一つとして無駄がないということ。
七度尋ねて人を疑え(ななたびたずねてひとをうたがえ)
物がなくなった時には、自分でよく探してみるのが先で、軽率に人を疑ってはいけないという戒めの言葉。 七回探しても見つからない時に、はじめて他人を疑うべきとの意から。 「七度探して人を疑え」
二八余りは人の瀬越し(にはちあまりはひとのせごし)
十六歳頃は、人生を左右する大事な時期であるということ。「二八」は十六歳、「瀬越し」は重大な時期のこと。
抜き足して来るひとに碌な者なし(ぬきあししてくるひとにろくなものなし)
音をさせないように近づく者は、何か後ろ暗い所があるので碌(ろく)な者ではないということ。
盗人にも一理屈(ぬすびとにもひとりくつ)
どんなことでも、こじつければ理屈はつけられるということ。 盗みは悪いことだが、それを正当化する三分ほどの理屈があるとの意から。 「泥棒にも三分の道理」「盗人にも一理屈」ともいう。
盗みする子は憎からで縄掛くる人が恨めしい(ぬすみするこはにくからでなわかくるひとがうらめしい)
盗みをした我が子を憎まず、その子を捕まえて縄を掛けた相手を恨むという、親の身びいきのたとえ。
寝ていて人を起こすな(ねていてひとをおこすな)
人を働かせようと思うなら、まず自分が率先して模範を示せということ。 横着して自分は寝たままで人を起こすようなことはするなとの意から。
年年歳歳花相似たり、歳歳年年人同じからず(ねんねんさいさいはなあいにたり、さいさいねんねんひとおなじからず)
花は年ごとに変わることなく咲くが、人の境遇は年ごとに変化していく。 自然が変わらないのに対して、人の世ははかなく移りやすいことのたとえ。
農は人真似(のうはひとまね)
農業は人のやる事を真似していれば人並みの収穫はあるということ。
測り難きは人心(はかりがたきはひとごころ)
人の心ほど理解しがたいものはないということ。また、人の心が変わりやすく頼りにならないことにもいう。
白玉楼中の人となる(はくぎょくろうちゅうのひととなる)
文人が死ぬことのたとえ。 「白玉楼」は文人が死後に行くといわれる白玉造りの高楼のことで、その中の人となるとの意から。
花一時、人一盛り(はないっとき、ひとひとさかり)
花が咲き誇るのもほんの一時であるように、人も盛んな時はごく短い一時期に過ぎないということ。
花は桜木、人は武士(はなはさくらぎ、ひとはぶし)
花は桜が最も美しく、人は武士が一番だということ。桜がぱっと咲いて散るように、武士の死に際も潔いことから。
馬鹿の一つ覚え(ばかのひとつおぼえ)
愚か者が、たった一つ覚えていることを得意げに振りかざすことをあざけっていう言葉。
人、木石に非ず(ひと、ぼくせきにあらず)
感情を持たない木や石とは違い、人は喜怒哀楽をさまざまな形で表す感情豊かな動物であるということ。 「人は岩木に非ず」ともいう。
人当たりがいい(ひとあたりがいい)
人と接する態度がよく、相手にいい印象をあたえること。
人ある中に人なし(ひとあるなかにひとなし)
世の中に人間はたくさんいるが、役に立つ立派な人間はなかなかいないということ。
一泡吹かせる(ひとあわふかせる)
不意をついて、相手を驚き慌てさせること。
一息入れる(ひといきいれる)
物事の途中で少し休むこと。
人一寸(ひといっすん)
身長差は、少しの違いでもかなり違っているように見えるということ。
人衆ければ則ち狼を食らう(ひとおおければすなわちおおかみをくらう)
多数の力が強大であることのたとえ。 人数が多ければ、一人では到底勝てない狼をも倒して食ってしまうとの意から。
人衆ければ天に勝つ(ひとおおければてんにかつ)
人の勢力が強い時は、道理に背いても、一時的には天の理に勝つこともあるということ。
人が変わる(ひとがかわる)
それまでと別の人であるかのように、性格や顔つき、人柄などが変わること。
人が悪い(ひとがわるい)
人が困ることをして喜ぶような性格。意地の悪い性格。
人聞きが悪い(ひとぎきがわるい)
よその人に聞かれた誤解を招く恐れがあるさま。
人食い馬にも合い口(ひとくいうまにもあいくち)
乱暴者にも頭の上がらない相手や気の合った者がいるように、どんな人間にもその人に合った相手がいることのたとえ。 人に噛み付く癖のある馬でも、相性のいい乗り手に対してはおとなしいことから。 「人噛み馬にも合い口」「人食らい馬にも合い口」ともいう。
人屑と縄屑は余らぬ(ひとくずとなわくずはあまらぬ)
縄の切れ端でも何かの役に立つように、つまらない人間のようでも、その能力に応じて使い道があるということ。
一癖も二癖もある(ひとくせもふたくせもある)
性格などが普通とは違っていて、油断ならない雰囲気を感じさせる様子。
一口に言う(ひとくちにいう)
短い言葉で伝えること。手短に言うこと。
一口乗る(ひとくちのる)
複数の人で行う儲け話などに加わること。
一口物に頬焼く(ひとくちものにほおやく)
ちょっとしたことに手を出して、意外な失敗をすることのたとえ。 一口で食べられるような食べ物で、口の中をやけどすることから。
人肥えたるが故に貴からず(ひとこえたるがゆえにたっとからず)
人間の価値は、外見ではなく内面で決まるということ。見かけより実質が重要であるということのたとえ。
人こそ人の鏡(ひとこそひとのかがみ)
他人は自分の姿を映す鏡のようなものであるから、他人の言動を見て自分の行いを正す手本にせよということ。
一言多い(ひとことおおい)
言う必要のない余計な事を言うこと。
人事言えば影が差す(ひとごといえばかげがさす)
噂をしていると、不思議と噂の当人がその場に現れるということ。 略して「噂をすれば影」とも、「人事言えば影が差す」いう。
人事言わば筵敷け(ひとごといわばむしろしけ)
噂をすれば、その当人が現れることがよくあるから、その人の席を用意しておいたほうがいいということ。軽々しく噂話をするものではないという戒めの言葉。
人盛んにして神祟らず(ひとさかんにしてかみたたらず)
人の運勢が盛んな時は、神仏でもこれをとどめることが出来ないということ。
人酒を飲む、酒酒を飲む、酒人を飲む(ひとさけをのむ、さけさけをのむ、さけひとをのむ)
酒の飲み始めは人に自制する心があるが、そのうちに惰性で酒を飲むようになり、やがては酒に飲まれて乱れてしまうということ。酒はほどほどに飲めという戒めの言葉。
一芝居打つ(ひとしばいうつ)
作り事を言ったり、見せたりして人を騙そうとすること。
一筋縄では行かない(ひとすじなわではいかない)
普通のやり方では思うようにいかない、うまく対処できないこと。 「一筋縄」は一本の縄のことで、普通のやり方のたとえ。 一本の縄だけでは対処できず、二本、三本と使うような状態との意から。
一筋の矢は折るべし十筋の矢は折り難し(ひとすじのやはおるべしとすじのやはおりがたし)
一人の力は弱くても、大勢が力を合わせれば強大な力を発揮できるということ。 一本の矢は簡単に折ることができるが、十本では折るのは難しいとの意から。
一つ穴の貉(ひとつあなのむじな)
一見無関係のように見えて、実は同類・仲間であることのたとえ。 多くは悪事をはたらく仲間のことをいう。 「同じ穴」は「一つ穴」とも、「貉」は「狸」「狐」ともいう。
一つ釜の飯を食う(ひとつかまのめしをくう)
同じ職場で働いたり苦楽を共にしたりすること。また、そのように過ごす親しい仲間のこと。 「一つ釜の飯を食う」ともいう。
一つ事は同じ事(ひとつことはおなじこと)
言い方を変えてみても、結局言っていることは同じ事だということ。わかりきっている、という気持ちを表す言葉としても使う。
一粒の麦(ひとつぶのむぎ)
人々を幸福にするために、自ら進んで犠牲になる人のたとえ。また、その行為のこと。一粒の麦が地に落ちることによって多くの実を結び、永遠の命を得ると説いたキリストの言葉から。
一つ間違えば(ひとつまちがえば)
一つでも悪いことがあれば最悪の事態になる可能性があることを表す言葉。
一つ屋根の下に住む(ひとつやねのしたにすむ)
同じ家で共に暮らすこと。
一つよければまた二つ(ひとつよければまたふたつ)
人間の欲望には限りがないということ。 一つ願いが叶えば、もう一つ、さらにもう一つと欲が出て満足することがないとの意から。
人と入れ物は有り合わせ(ひとといれものはありあわせ)
人と器物は多いほうが便利だが、たとえ少なくてもうまく使えばなんとかなるということ。 「人と入れ物は有り次第」ともいう。
一時違えば三里の遅れ(ひとときちがえばさんりのおくれ)
少しの間でもぐずぐずしていると、たちまち大きな差が開くということ。 「一時」は約二時間、「三里」は約十二キロメートル。 一時遅れると、旅程に三里の遅れが出るとの意から。 「ひととき」は「いっとき」ともいう。 また「一時三里」ともいう。
人と屏風は直ぐには立たぬ(ひととびょうぶはすぐにはたたぬ)
屏風は折り曲げないと立たないように、人も真っ正直なだけでは世の中を渡っていくことはできないということ。
人通りに草生えず(ひとどおりにくさはえず)
よく使っている道具はさびつかないというたとえ。 人の通りが多い道には雑草が生えないとの意から。 「繁盛の地に草生えず」ともいう。
人に勝たんと欲する者は必ず先ず自ら勝つ(ひとにかたんとほっするものはかならずまずみずからかつ)
人に勝とうと思うなら、まず自分自身の色々な欲望に打ち勝つ必要があるということ。
人に七癖、我が身に八癖(ひとにななくせ、わがみにやくせ)
他人の癖は目につきやすが、自分の癖にはなかなか気がつかないから自戒せよということ。
人には飽かぬが病に飽く(ひとにはあかぬがやまいにあく)
長わずらいの病人が、看病する人や周囲の人から嫌がられることをいう言葉。病人に飽きたわけではないが、病気に飽き飽きしてしまったということ。
人に一癖(ひとにひとくせ)
どんな人間でも、必ず一つぐらいは癖があるということ。
人に施しては慎みて念うこと勿れ(ひとにほどこしてはつつしみておもうことなかれ)
他人に与えた恩恵のことは、恩着せがましくならないように、早くその事を忘れるように心がけよということ。
人の過ち我が幸せ(ひとのあやまちわがしあわせ)
口には出せないが、他人の失敗は、自分には幸せなのだということ。
人の意見は四十まで(ひとのいけんはしじゅうまで)
40歳を過ぎた人間に意見をしても効果がないということ。また、それくらいの年齢になると、本人の考えを尊重すべきであるということ。
人の痛いのは三年でも辛抱する(ひとのいたいのはさんねんでもしんぼうする)
他人の苦痛は自分とは無関係だから平気であるということ。
人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し(ひとのいっしょうはおもにをおうてとおきみちをゆくがごとし)
人生は長く苦しいものだから、辛抱強く努力を重ねて着実に進んでいかなければならないという教え。徳川家康の遺訓から。
人の一寸、我が一尺(ひとのいっすん、わがいっしゃく)
人の欠点は少しのことでも目につくが、自分の欠点はどんなに大きくても気がつかないというたとえ。
人の初事は咎めぬもの(ひとのういごとはとがめぬもの)
初恋に悩む人間の言葉は、たとえ誤りがあっても、咎めたりしないものだということ。「初言」は初めて言う言葉。転じて、初めて恋人に語りかける言葉。
人の噓は我が嘘(ひとのうそはわがうそ)
人の受け売りで話をすると、もしその話が嘘だった時は、自分が嘘をついたことになる。人の話を簡単に受け売りするなということ。
人の生まるるや憂いと倶に生まる(ひとのうまるるやうれいとともにうまる)
人間は生まれる時から心配ごとがつきまとい、一生心配事の連続であるということ。
人の噂は倍になる(ひとのうわさはばいになる)
噂話は、事実よりずっと大げさに伝わるということ。
人の噂も七十五日(ひとのうわさもしちじゅうごにち)
世間の噂は長く続かず、やがて忘れられるということ。 噂話も75日もすれば治まり、忘れられてしまうとの意から。
人の踊る時は踊れ(ひとのおどるときはおどれ)
みんなが何かする時は自分も一緒にやるほうがよいということ。
人の口に戸は立てられぬ(ひとのくちにとはたてられぬ)
世間の噂話は止めることができないということ。 「立てる」は閉めることで、「閉てる」とも書く。 「開いた口に戸は立てられぬ」「世間の口に戸は立てられぬ」ともいう。
人の苦楽は壁一重(ひとのくらくはかべひとえ)
壁一つ隔てただけで隣の様子がわからないように、他人の苦しみや楽しみは他人事で自分とはなんの係わりもないということ。