「も」を含む故事・ことわざ・慣用句
「も」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 1267 件
落ち武者は薄の穂にも怖ず(おちむしゃはすすきのほにもおず)
怖いと思えば、なんでもないものまで怖く感じることのたとえ。戦に負けて逃げる落ち武者は、揺れるすすきの穂まで怖がるということから。
お手の物(おてのもの)
たやすく出来るもの。得意とするもの。 自分の手中にした物との意から。
男鰥に蛆が湧き、女寡に花が咲く(おとこやもめにうじがわき、おんなやもめにはながさく)
妻のいない男は身の回りの世話をしてくれる人がいなくなり不潔な生活になりがちなのに対し、未亡人は、夫にわずらわされることがなくなり、自分の身を美しく清潔に出来るので、世間の男にもてはやされ華やかだということ。
落とした物は拾い徳(おとしたものはひろいどく)
落し物は不注意な落とし主の責任だから、拾った人の物にしてもかまわないということ。
驚き、桃の木、山椒の木(おどろき、もものき、さんしょのき)
たいそう驚いたということを「き」の語呂合わせでいった言葉。
同い年夫婦は火吹く力もない(おないどしみょうとはひふくちからもない)
同い年の夫婦は仲が良く、いつも笑ってばかりいるので、火吹き竹を吹いて火をおこすためのふくれっ面もできないということ。
同じ羽の鳥は集まるものだ(おなじはねのとりはあつまるものだ)
同じような趣味や考え方の人間は、自然と集まって仲間になるということ。
鬼瓦にも化粧(おにがわらにもけしょう)
鬼瓦のように器量のよくない女性も、化粧ひとつでそれなりにきれいに見えるというたとえ。
鬼に衣(おににころも)
不必要なこと。また、不釣り合いなことのたとえ。 鬼はもともと裸で衣服を必要としないことから。 また、慈悲深い善人のようにみせかけて内面は恐ろしいこと。狼に衣。
鬼にもなれば仏にもなる(おににもなればほとけにもなる)
相手次第、出方次第で、鬼のようにこわい存在にもなれば、仏のようにやさしい存在にもなるということ。
鬼の目にも涙(おにのめにもなみだ)
鬼のように無慈悲な者でも、時には情け深い心を起こし、目に涙をうかべることがあるというたとえ。
鬼の目にも見残し(おにのめにもみのこし)
鬼のようにくまなく目を光らせている人でも、時には見落としや不注意があるというたとえ。
鬼も十八、番茶も出花(おにもじゅうはち、ばんちゃもでばな)
器量が悪くても、年ごろになれば誰でも娘らしい魅力が出てくるということ。 鬼の娘でも十八という年ごろになれば娘らしくなるし、安い番茶も入れたては香りがよくおいしいとの意から。 単に「鬼も十八」また「番茶も出花」ともいう。
鬼も頼めば人食わず(おにもたのめばひとくわず)
相手の好きな事であっても、こちらから頼むともったいぶってしてくれないことのたとえ。 鬼に食べてくれとこちらから頼めば、かえってたべないとの意から。 「頼めば鬼も人食わず」ともいう。
鬼も角折る(おにもつのおる)
悪人がふとしたきっかけで、善いことをしたり真人間になったりすることのたとえ。 鬼が邪悪のシンボルである角を折ることから。
己に如かざる者を友とするなかれ(おのれにしかざるものをともとするなかれ)
自分をより向上させるためには、自分より劣った者を友として交際すべきではないという教え
己を以て人を量る(おのれをもってひとをはかる)
人はとかく自分を基準にして、他人のことを判断しがちだということ。
溺れる者は藁をも摑む(おぼれるものはわらをもつかむ)
危険が差し迫っているときは、頼りにならないものにまで頼ろうとするということ。 溺れかけている者は、水に浮かぶ藁のような頼りないものにもすがりついて助かろうとするとの意から。
思い内にあれば色外に現る(おもいうちにあればいろそとにあらわる)
心の中で思っていることは、自然と言動や態度にあらわれるということ。
思い面瘡、思われ面皰(おもいおもくさ、おもわれにきび)
人に恋したり、誰かに思いを寄せられたりすると、にきびができるということ。「面瘡」は、にきびの意。
思い立ったが吉日(おもいたったがきちじつ)
何かをしようと思ったら、その日が吉日としてすぐに始めるのがよいということ。「吉日」は暦で縁起がいい日。
思い半ばに過ぐ(おもいなかばにすぐ)
考えてみると思いあたるふしが多く、十分に推し量ることができるということ。 思い当たるところが全体の半分以上あるとの意から。
思いも寄らない(おもいもよらない)
まったく予測できないこと。思いつきもしないこと。
思い邪なし(おもいよこしまなし)
心が純粋で、邪念も偽りもまったくないということ。
思いを致す(おもいをいたす)
これまで意識しなかった物事に心を向け、じっくりと考えること。
思いを馳せる(おもいをはせる)
遠く離れているものに思いを巡らすこと。
思いを晴らす(おもいをはらす)
恨みや不満の原因を取り除いてすっきりすること。 また、望みを遂げて気分を良くすること。
思いを寄せる(おもいをよせる)
何かに心を惹かれること。 また、特定の人を恋い慕うこと。
思うこと言わねば腹ふくる(おもうこといわねばはらふくる)
思っていることを我慢して言わずにいると、腹の中の物がつかえているようですっきりしないということ。 「物言わねば腹ふくる」「言わねば腹ふくる」ともいう。
思う事一つ叶えばまた一つ(おもうことひとつかなえばまたひとつ)
欲望には限りがないということ。一つ望みが叶うと、すぐにまた次を望む意から。
思う壺に嵌まる(おもうつぼにはまる)
期待通りの結果になる。狙い通りになる。 「壺」は、ここでは博打でさいころを入れて振る道具のこと。 さいころの目を思った通りに出すとの意から。
思う仲には垣をせよ(おもうなかにはかきをせよ)
親しい間柄でも遠慮がなくなると不仲のもとになるので、節度を守れという戒めの言葉。 「思う仲には垣をせよ」「良い仲には垣をせよ」「睦まじき仲に垣をせよ」「近しき仲にも垣を結え」などともいう。
思うに任せない(おもうにまかせない)
物事が思い通りに進まないこと。
思うに別れて思わぬに添う(おもうにわかれておもわぬにそう)
思い焦がれた相手とは結ばれず、好きではない相手と結婚すること。人の縁や運命は、思い通りにならないということ。
思う念力、岩をも徹す(おもうねんりき、いわをもとおす)
心を込めて一心に事を行えば、どんなことでも必ず成し遂げられるというたとえ。
思うようなら子と三人(おもうようならことさんにん)
人生が思い通りになるなら、夫婦と子ども一人の三人で暮らすのが一番いいということ。
思えば思わるる(おもえばおもわるる)
こちらが相手に好意を持てば、相手も好意を持ってくれるようになるということ。
重きを置く(おもきをおく)
あるものを大切だと考え、そこに力を入れること。
重きを成す(おもきをなす)
価値あるものとして重んじられること。 また、重要な地位や役職を占めること。
玩具にする(おもちゃにする)
相手を見くびってもてあぞぶ。慰みものにする。
玩具箱を引っ繰り返したよう(おもちゃばこをひっくりかえしたよう)
部屋などがひどく散らかっていることのたとえ。
表看板にする(おもてかんばんにする)
世の中に何かを示すための表面上の名目にすること。 「表看板」は、劇場の正面に、上演内容や出演者などを記して掲げる看板のこと。
表に立つ(おもてにたつ)
世間にその存在を示して行動すること。
面も振らず(おもてもふらず)
他に心を向けず、その事だけに一生懸命に取り組んでいるさま。
表を繕う(おもてをつくろう)
内情を知られないように、見かけを立派に整えること。
重荷に小づけ(おもににこづけ)
重い負担がある上に、さらに負担が加わること。 「小づけ」は、大きな荷物の上に乗せる小さな荷物のこと。 「大荷に小づけ」ともいう。
重荷を下ろす(おもにをおろす)
義務や責任を果たし、負担から解放されて気が楽になること。 また、心配事などがなくなりほっとすること。
親思う心にまさる親心(おやおもうこころにまさるおやごころ)
子どもが親を思う気持ちよりも、親の子どもに対する愛情のほうがより深いというたとえ。「親思う心にまさる親心けふの音づれ何ときくらん」という吉田松陰の辞世の歌から。
親方思いの主倒し(おやかたおもいのしゅたおし)
主人のためを思ってしたことが、逆に主人に不利益をもたらすこと。
親が親なら子も子(おやがおやならこもこ)
親と子はよく似るものだということ。親がだめだと子どももだめだというように、悪いところが似た場合に多く使われる。
親が死んでも食休み(おやがしんでもしょくやすみ)
どんなに忙しくても食後の休憩は大切だということ。
親子の仲でも金銭は他人(おやこのなかでもきんせんはたにん)
金銭に関しては、親子の間でも他人と同じようにけじめをつけるべきだということ。
親ずれより友ずれ(おやずれよりともずれ)
子どもにとっては、親から受ける影響よりも友達から受ける影響のほうが大きいということ。
親と月夜はいつも良い(おやとつきよはいつもよい)
親がそばに居る時は何の不安もなく、明るい月の夜は安心して歩けるので、どちらもありがたいということ。
親の意見と茄子の花は千に一つも無駄はない(おやのいけんとなすびのはなはせんにひとつもむだはない)
茄子の花に無駄花がないように、親が子どもにいう意見も一つも無駄がなく、すべて子どもの役に立つことばかりであるということ。
親はなくとも子は育つ(おやはなくともこはそだつ)
親がいなくても、子どもはなんとか成長していく。世の中は、そう心配することもないというたとえ。
親は木綿着る、子は錦着る(おやはもめんきる、こはにしききる)
親は一生懸命働き質素に暮らして財産を築き、子はその苦労を知らずにぜいたくをして、親の財産を浪費するというたとえ。
及びも付かない(およびもつかない)
差がありすぎて、到底かなわない。
折も折(おりもおり)
ちょうどその時。この大事な時にあたって。
愚か者に福あり(おろかものにふくあり)
愚か者は欲も野心もないので、人に恨まれたり憎まれたりすることもなく、平穏無事で幸福な人生を送ることができるということ。
お椀を持たぬ乞食はない(おわんをもたぬこじきはない)
仕事に必要な道具はちゃんと揃えておけということ。 乞食でも、貰い物を入れるお椀はどんな時も持っているとの意から。
女の一念、岩をも徹す(おんなのいちねん、いわをもとおす)
女が執念深いことのたとえ。
女の髪の毛には大象も繋がる(おんなのかみのけにはたいぞうもつながる)
女の魅力には、男の心を引きつける強い力があるというたとえ。女の髪の毛で足を繋がれて動けなくなった大きな象を、煩悩にとらわれて悟れない人にたとえた仏教の経典から。
女は己を説ぶ者のために容づくる(おんなはおのれをよろこぶもののためにかたちづくる)
女は自分を愛してくれる男のために、よりいっそう念入りに化粧をし着飾ったりするということ。
女寡に花が咲く(おんなやもめにはながさく)
未亡人は、夫にわずらわされることがなくなり、自分の身を美しく清潔に出来るので、世間の男の目を引き華やかだということ。
恩を以て怨みに報ず(おんをもってうらみにほうず)
恨みのある者に対して、復讐するのではなく、逆に恩徳を施すような広い心で接すること。
会心の笑みをもらす(かいしんのえみをもらす)
思い描いた通りの結果となり、満足して喜びの表情をすること。
書いた物が物を言う(かいたものがものをいう)
口約束はあてにならないが、紙に書いた物は証拠になるということ。
海中より盃中に溺死する者多し(かいちゅうよりはいちゅうにできしするものおおし)
海で溺れて死ぬ人より酒の飲みすぎで死ぬ人の方が多いということ。
買うは貰うに勝る(かうはもらうにまさる)
人から物を貰えば得したような気がするが、気持ちの負担になるし相手に借りができてしまったりする。物はもらうよりも自分で買うほうがよいということ。
顔に紅葉を散らす(かおにもみじをちらす)
若い女性が恥ずかしさのあまり、まるで紅葉の葉を散らすように顔をぱっと赤くする様子。 単に「紅葉を散らす」ともいう。
顔を曇らせる(かおをくもらせる)
心配事や悲しみなどで暗い表情をすることのたとえ。
懸かるも引くも折による(かかるもひくもおりによる)
事を始めるのも終わらせるのも時機が大事だというたとえ。
欠き餅と焼き餅は焼くほどよい(かきもちとやきもちはやくほどよい)
嫉妬心は少し強烈な方が効果があるということ。「欠き餅」とは、正月の餅を手で割って小さくしたもの。嫉妬する意味のやきもちと餅ををかけた言葉。
隠れもない(かくれもない)
世間に広く知れわたっているさま。 また、その事実が隠そうとしても隠せないほど明白なさま。
陰では王様の事も言う(かげではおうさまのこともいう)
誰であろうと陰口を言われない者はいないということ。 陰では王様でさえ悪口を言われるとの意から。 「陰では殿の事も言う」ともいう。
陰に託して影を求む(かげにたくしてかげをもとむ)
方法を間違うことのたとえ。 物陰に入って自分の影を探すとの意から。
影も形もない(かげもかたちもない)
そこに人や物が存在していたことを示すものがまったくない。跡形もない。 「影も形も見えない」ともいう。
嘉肴ありと雖も食らわずんばその旨きを知らず(かこうありといえどもくらわずんばそのうまきをしらず)
何事も自分で体験してみなければ、その価値やすばらしさがわからないということ。 「嘉肴」は、おいしい料理。 どんなにおいしい料理も、自分で食べてみなければそのおいしさはわからないとの意から。
傘と提灯は戻らぬつもりで貸せ(かさとちょうちんはもどらぬつもりでかせ)
傘と提灯は、必要な時以外は忘れがちな物だから、貸す時は返してもらえないつもりで貸せということ。