「い」を含む故事・ことわざ・慣用句
「い」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 2678 件
蓋世の気(がいせいのき)
意気がきわめて盛んなこと。「蓋」は覆い隠すという意。世の中を覆い尽くすほどの意気が旺盛だということから。
咳唾、珠を成す(がいだ、たまをなす)
詩文の才能が優れていることのたとえ。 「咳唾」は咳と唾。または、他人の言葉を敬っていう語。 何気なく口から出た言葉でさえ、珠玉のように美しい名句になっているとの意から。
我が強い(ががつよい)
他人の意見には従わず、自分の意見を押しとおす性質であることのたとえ。
餓鬼の花争い(がきのはなあらそい)
貧しい者が生活に関係ない趣味に熱中するたとえ。「餓鬼」は餓鬼道におち飢えと渇きに苦しんでいる亡者。餓鬼が食べられない花のことで争うことから。
がさを入れる(がさをいれる)
警察が家宅捜索をすること。 「がさ」は、「捜す」の「さが」を逆から読んだ言葉。
合点が行く(がてんがいく)
理解・納得できる。 「がてん」は「がってん」とも読む。
画餅(がべい)
役に立たないもののたとえ。絵にかいた餅のことから。
画餅に帰す(がべいにきす)
計画したことが失敗に終わることのたとえ。 「画餅」は絵に書いた餅のことで、実際には食べられないとの意から。
柄にもない(がらにもない)
その人の性格や能力、地位などに似つかわしくない言動をするさま。
画竜点睛を欠く(がりょうてんせいをかく)
最後の大切な仕上げを怠ったために、全体が不完全になったり、引き立たなかったりすることのたとえ。「画竜点睛」は、中国の絵の名人が壁に竜の絵を描き、最後に瞳を書き入れたら天に昇ったという故事から最後の大事な仕上げの意で、その仕上げを欠いてしまうということから。「睛」は、「瞳」の意。
雁が飛べば石亀も地団駄(がんがとべばいしがめもじだんだ)
身のほどもわきまえず、むやみに人のまねをしようとすること。 雁が飛び立つのを見て、自分も飛ぼうとした石亀が、飛べずにくやしがって地団駄を踏むことから。 単に「石亀も(の)地団駄」とも、「鷹が飛べば石亀も地団駄」「蛙が飛べば石亀も地団駄」ともいう。
眼光、紙背に徹す(がんこう、しはいにてっす)
書物の表面上の意味だけでなく、背後にある真意も読み取ること。読解力が鋭いことのたとえ。 紙の裏まで見通すとの意から。 「眼光紙背に徹る」ともいう。
眼中に無い(がんちゅうにない)
まったく気にしない。関心がない。 「眼中」は目に見える範囲のこと。転じて、意識や関心の届く範囲。
気合が入る(きあいがはいる)
ある物事に全力で取り組もうとする気力がわいている様子。 「気合が掛かる」ともいう。
気合を入れる(きあいをいれる)
精神を集中して力をこめること。 また、叱ったり励ましの言葉をかけたりして発奮させること。 「気合を掛ける」ともいう。
聞いた事は聞き捨て(きいたことはききすて)
人から聞いた事は、その場かぎりの話として聞き捨てるのがよいということ。 人から聞いた話を、面白半分に他の人にしゃべるなということ。
聞いた百文より見た一文(きいたひゃくもんよりみたいちもん)
人から百文の値打ちと聞かされるよりも、自分の目で見たほうが値打ちがあるということ。
利いた風(きいたふう)
よく知らないのに、知ったかぶって生意気な素振りをするさま。
聞いて呆れる(きいてあきれる)
言うことと実情がかけ離れすぎていて、まともに聞いていられない気持ちになること。
聞いて極楽、見て地獄(きいてごくらく、みてじごく)
話に聞くのと実際に見るのでは大差があるというたとえ。
聞いてびっくり、見てびっくり(きいてびっくり、みてびっくり)
聞かされた話が意外であることにびっくりし、実際に見てみると聞いた話とまったく違うので、またびっくりすること。
忌諱に触れる(きいにふれる)
目上の人がいやがる言動をして、ご機嫌を損なうこと。 「忌諱」は忌み嫌って避けること。 「きき」は「きい」とも読む。
黄色い声(きいろいこえ)
女性や子どもの甲高い声のこと。
気が多い(きがおおい)
多方面に興味や関心を持ち、移り気であるさま。
気が大きい(きがおおきい)
細かいことを気にせず、度量が大きいこと。
気が置けない(きがおけない)
気兼ねや遠慮の必要がなく親しく付き合えるようす。
気が重い(きがおもい)
心に負担を感じて気持ちが沈むさま。
気が気でない(きがきでない)
とても気になって落ち着かないさま。
気が知れない(きがしれない)
相手の考えや気持ちが理解できない。どんなつもりでいるのかわからない。
気が進まない(きがすすまない)
自ら積極的に何かをしようという気持ちにならないこと。
気が強い(きがつよい)
気性が激しく、自分の主張を変えないさま。
気が長い(きがながい)
気持ちがのんびりとしていて、焦ることがない様子。
気が乗らない(きがのらない)
それをしたいという気持ちにならないこと。また、興味が湧かないこと。
気が早い(きがはやい)
せっかちな様子。急いで物事をおこなう様子。
気が短い(きがみじかい)
せっかちで、すぐに怒ったりいらいらしたりする性質のこと。
気が滅入る(きがめいる)
憂鬱な気持ちになる。
気が弱い(きがよわい)
他人の目が気になって、自分の思い通りの言動ができない様子。
気が若い(きがわかい)
年齢の割に、気持ちの持ち方が若い様子。
聞き捨てならない(ききずてならない)
聞いたことをそのまま黙って聞き流すわけにはいかない。
聞くと見るとは大違い(きくとみるとはおおちがい)
人から聞いたのと実際に見るのとでは大きな違いがあるということ。
聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥(きくはいっときのはじ、きかぬはいっしょうのはじ)
知らないことを聞くのはほんの一時の恥で済むが、聞かずに知らないまま過ごすのは一生恥ずかしいということ。
気位が高い(きぐらいがたかい)
自分の品位に誇りをもっていて、他者を見下すような態度をとる様子。
騎虎の勢い(きこのいきおい)
勢いやはずみがついて途中でやめられなくなることのたとえ。「騎虎」は虎に乗ること。虎に乗って走り出すと、途中で降りたら虎に食い殺されるので仕方なく走り続けなければならないことから。
木七竹八塀十郎(きしちたけはちへいじゅうろう)
木を切るには七月、竹を切るには八月、土塀を塗るのは十月が適しているということ。月はいずれも陰暦で、人名のように語呂をあわせて覚えやすくしたもの。
気色が悪い(きしょくがわるい)
気味が悪く不快に感じるさま。
雉も鳴かずば撃たれまい(きじもなかずばうたれまい)
無用な発言をして、自ら災いを招くことのたとえ。 雉も鳴かなければ、人間に撃たれることもないのにという意味から。
鬼籍に入る(きせきにいる)
死亡すること。「鬼籍」は寺で、檀家の死者の氏名などを記録する名簿のことで、それに記入される意から。
機先を制する(きせんをせいする)
相手より先に行動を起こし、相手の出鼻をくじいて自分を有利にすること。「機先」は物事が起こる直前の意。
危殆に瀕する(きたいにひんする)
きわめて危ない状態になること。大きな危険にさらされること。「危殆」は、非常に危ないこと。
汚く稼いで清く暮らせ(きたなくかせいできよくくらせ)
稼ぐ時にはがめついくらいに金儲けをして、そのかわり使う時には使ってすがすがしい生活をせよということ。
北に近ければ南に遠い(きたにちかければみなみにとおい)
一方に都合がよければ、他方には都合が悪いということのたとえ。また、あたりまえであることのたとえ。
切っても切れない(きってもきれない)
切ろうとしても切れないほど、強い繋がりや関係がある様子。
狐虎の威を藉る(きつねとらのいをかる)
他人の権力に頼って、弱いものが空威張りすることのたとえ。 虎に捕らえられた狐が「天の神が私を百獣の長にした。だから私を食べると天の命令にそむくことになる。うそだと思うならついてきなさい。獣たちはみな逃げ出すはずだ」といった。 虎が狐のあとについていくと、獣たちがみな逃げて行った。 虎は自分を恐れて獣たちが逃げたことに気づかず、狐を恐れて逃げ出したと信じたという故事から。
狐の嫁入り(きつねのよめいり)
日が出たまま雨が降る天気。日照り雨。天気雨。
気に入る(きにいる)
自分の好みにあって満足する様子。
気に食わない(きにくわない)
自分の好みや考えに合わず気に入らない様子。
気に染まない(きにそまない)
不満な点があって、それを積極的に受け入れようと思わない様子。
気の利いた化け物は引っ込む時分(きのきいたばけものはひっこむじぶん)
長居する客や、なかなか引退せずに長く地位を占めている人を皮肉って言う言葉。 気の利いた化け物は引き時を心得ているとの意から。 単に「化け物も引っ込む時分」ともいう。
気の病(きのやまい)
精神の疲れなどが原因で起こる病気。
起爆剤になる(きばくざいになる)
ちょっとした事が、重大な事件や運動を引き起こすきっかけとなること。
木仏、金仏、石仏(きぶつ、かなぶつ、いしぼとけ)
融通の利かないひと。特に男女の情愛に疎いひとのこと。
君、君たらずと雖も臣は臣たらざるべからず(きみ、きみたらずといえどもしんはしんたらざるべからず)
主君が主君としての徳を持っていなくても、臣下は臣下としての道を守って忠義をつくさなければならないということ。
気味がいい(きみがいい)
嫌いな人の失敗などを見て、痛快な気分になる様子。 「いい気味」ともいう。
気味が悪い(きみがわるい)
不愉快に感じる。また、恐ろしく感じる。
肝が小さい(きもがちいさい)
ちょっとしたことですぐに慌てたりうろたえたりする様子。
肝が太い(きもがふとい)
度胸があって何事にも動じない性格のこと。
肝に銘じる(きもにめいじる)
忘れないように心の中に深く留めておくこと。
客人一杯手八杯(きゃくじんいっぱいてはちはい)
客に酒を一杯すすめる間に、主人が手酌で酒を八杯飲むということ。酒好きの人が客にかこつけて酒を飲むことにもいう。
客の朝起き宿の迷惑(きゃくのあさおきやどのめいわく)
泊り客がその家の人より早く起きるのは、対応に困って迷惑するということ。 「客の朝起き宿の迷惑」ともいう。
九牛の一毛(きゅうぎゅうのいちもう)
多数の中のわずかな一部分のこと。取るに足りないことのたとえ。 「九牛」は、多くの牛のこと。 多くの牛の中の一本の毛のことから。
九死に一生を得る(きゅうしにいっしょうをえる)
ほとんど助かる見込みがないと思われる危険な状態に陥りながら、かろうじて助かること。 「十のうち、九が死、一が生」のような助かる見込みがほとんどない状況で生き残るとの意から。 「万死に一生を得る」「万死の中に一生を得」「万死を出でて一生に遇う」「九死一生」などともいう。
九仞の功を一簣に虧く(きゅうじんのこうをいっきにかく)
長い間の努力も最後のわずかなところでやめてしまえば無駄になることのたとえ。 「九仞」は非常に高い、「一簣」は一杯のもっこの意。 高い山を築くのに、最後のもっこ一杯の土を虧く(欠く)と完成しないとの意から。
窮鳥懐に入れば猟師も殺さず(きゅうちょうふところにいればりょうしもころさず)
窮地に陥った者が救いを求めてくれば、どんな事情があっても助けるのが人情であるというたとえ。 追いつめられた鳥が自分のふところに飛び込んでくれば、さすがの猟師も殺したりは出来ないということから。
窮余の一策(きゅうよのいっさく)
追いつめられて困ったあげく、苦しまぎれに思いついた一つの方法のこと。「窮余」は、行き詰まった末という意。
今日あって明日ない身(きょうあってあすないみ)
人の命のはかないことや、人生の無常なことのたとえ。 また、死期が迫っていることのたとえ。
兄弟は他人の始まり(きょうだいはたにんのはじまり)
兄弟姉妹も成長すれば利害関係や結婚などによって、お互いの愛情が薄れ、やがて他人のようになってしまうというたとえ。
胸中、成竹あり(きょうちゅう、せいちくあり)
事をするにあたって、あらかじめ十分な見通しが立っていることのたとえ。 「成竹」は、事前に心の中で考えている計画のこと。 竹の絵を描くときには、胸の中に竹の形を思い浮かべてから描きはじめるとの意から。
京に田舎あり(きょうにいなかあり)
にぎやかな都にも、田舎のような寂しい場所や風習があるということ。
興に入る(きょうにいる)
面白がったり夢中になったりすること。
京の着倒れ、大坂の食い倒れ(きょうのきだおれ、おおさかのくいだおれ)
京都の人は衣装にお金をかけ、大阪の人はぜいたくな飲食をして、そのために財産をなくしてしまう人さえあるということ。