「い」を含む故事・ことわざ・慣用句
「い」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 2678 件
名物に旨い物なし(めいぶつにうまいものなし)
名物と言われている物には、案外旨い物がない。名と実は必ずしも一致しないということ。
命脈を保つ(めいみゃくをたもつ)
何とか命が繋がること。 「命脈を繋ぐ」ともいう。
目から入って耳から抜ける(めからはいってみみからぬける)
見ただけで何も覚えず、理解していないことのたとえ。
目がいい(めがいい)
物事を判断したり性質を見抜いたりする能力が優れていること。
目が高い(めがたかい)
人や物事を判断したり性質を見抜いたりする能力が優れていること。
目が離せない(めがはなせない)
心配で見続けていないと安心できない。見守る必要がある。 また、魅力的で、ずっと見ていたくなる。
目じゃない(めじゃない)
問題として取り上げる必要のないこと。 また、実力などが自分よりも下で、相手にならないこと。
メスを入れる(めすをいれる)
ある問題を根本的に解決するために、大胆な手段をとること。 医者がメスを用いて病気の元となっている部分を取り除くことから。
滅相もない(めっそうもない)
とんでもない。あるべきことではない。
目で見て口で言え(めでみてくちでいえ)
何事も自分の目で確認してから口にせよということ。見てもいないことをとやかく言ってはいけないという戒めのことば。
目で物を言う(めでものをいう)
言葉にすることなく、目配せなどをして相手に気持ちを伝えること。
目に一丁字なし(めにいっていじなし)
まったく字が読めないこと。 「一丁字」は一つの文字のこと。 「丁」は个(か)の誤用で、「个」は人やものなどを数える語。 「一丁字を知(識)らず」ともいう。
目に入る(めにはいる)
自然と目に入ってくること。視野に入ること。
目は口ほどに物を言う(めはくちほどにものをいう)
目の表情だけでも、口で話すのと同じくらい、相手に気持ちを伝えることができるということ。
目も当てられない(めもあてられない)
状態があまりにもひどく、まともに見ていることができないさま。
雌鳥うたえば家滅ぶ(めんどりうたえばいえほろぶ)
夫よりも妻の勢力が強い家は、家庭内がうまくいかずにやがて破滅するということ。 雄鶏よりも先に雌鳥が時を告げることは、不吉な兆しであるとの言い伝えから。
雌鶏歌えば家滅ぶ(めんどりうたえばいえほろぶ)
妻が権威を振るうような家は、平和な家庭関係が保てずに崩壊してしまうというたとえ。 雌鶏が雄鶏よりも先に鳴いて朝の時を告げるのは不吉な兆しとされていたことから。
面目を一新する(めんぼくをいっしんする)
今までの様子を改めること。
燃え杭には火がつきやすい(もえぐいにはひがつきやすい)
一度関係のあった者は、いったん縁が切れても再び元の関係に戻りやすいというたとえ。 多くは男女の関係をいう。 「燃え杭」は燃え残りの木のことで、簡単に火がつくことから。 「焼け木杭には火がつきやすい」ともいう。
勿怪の幸い(もっけのさいわい)
思いがけない幸運のこと。「物怪の幸い」とも書く。
持ったが病(もったがやまい)
持たなければ何もなかったものをなまじ持ったばっかりに、いらぬ苦労をするということ。
持って来い(もってこい)
最も適しているようす。うってつけ。
以て瞑すべし(もってめいすべし)
ここまでできれば、もう死んでもよい。また、満足すべきであるということ。 「瞑す」は、安らかに死ぬこと。
物言う花(ものいうはな)
美人のたとえ。言葉を話す美しい花の意。
物言えば唇寒し秋の風(ものいえばくちびるさむしあきのかぜ)
余計なことを言うと、思いがけない災難を招くということ。松尾芭蕉の句。
物は言いなし事は聞きなし(ものはいいなしことはききなし)
ものは言い方によって、相手に良くも悪くも受け取られる。また、聞き手の聞き方次第で受け取る感じも違ってくるということ。
物は言い残せ、菜は食い残せ(ものはいいのこせ、さいはくいのこせ)
言葉と食事は少し控えめな方がよいということ。 言葉は言いすぎてしまうことがあるので思ったことを全部言い尽くさないほうがよく、食事はおかずを少し残すくらいのほうが品がよいとの意から。
物は言いよう(ものはいいよう)
ものは言い方次第で、相手に良くも悪くも受け取られるということ。
物は祝いがら(ものはいわいがら)
縁起が悪いとされていることでも、やり方や言い方を変えれば、めでたく祝えるようになるということ。
物も言いようで角が立つ(ものもいいようでかどがたつ)
ものは言い方ひとつで相手の感情をそこなうことがあるから、言葉遣いに気をつけたほうがいいということ。
物を言う(ものをいう)
効力を発揮すること。また、役立つこと。
物を言わせる(ものをいわせる)
そのものが持っている力を存分に発揮させること。
貰い物に苦情(もらいものにくじょう)
勝手で貪欲なさまのたとえ。人から貰った物にまで苦情をいうことから。
門外漢(もんがいかん)
その事について専門家でない人や直接関係ない人。 「門」はその道、「漢」は男のことで、門外の男との意から。
門前市を成す(もんぜんいちをなす)
権勢や名声を慕い、多くの人が訪れることのたとえ。 門の前に大勢の人が集まって、まるで市場のようであるとの意から。
問題にならない(もんだいにならない)
比較や批判の対象とする価値がないこと。
門に入らば笠を脱げ(もんにいらばかさをぬげ)
礼儀の大切さを教えた言葉。また、礼儀は適切な場所で行えというたとえ。人の家の門内に入ったら笠を脱ぐのが礼儀だということから。
刃に掛かる(やいばにかかる)
刃物によって命を奪われること。
野鶴、群鶏に在り(やかく、ぐんけいにあり)
鶏(にわとり)の群れの中に一羽だけ鶴(つる)がいるように、平凡な人々の中に一人だけ際立って優れた人物がいる様子のたとえ。 「夜鶴の鶏群に在るが如し」ともいう。
焼き餅と欠き餅は焼く方が良い(やきもちとかきもちはやくほうがよい)
女性は冷淡よりむしろ、適度にやきもちを焼くくらいのほうがかわいいということ。「欠き餅」とは、正月の餅を手で割って小さくしたもの。嫉妬する意味のやきもちと餅ををかけた言葉。
焼き餅は狐色(やきもちはきつねいろ)
女性の適度なやきもちはかわいいが、焼きすぎると嫌われる。餅を狐色に焼くように、ほどよい程度に焼くのがよいということ。
焼きを入れる(やきをいれる)
刺激を与えてだらけた気持ちを引き締めること。 また、規律を乱したものに制裁を加えること。 刀の刃を高温で焼いて鍛えるとの意から。
役者が一枚上(やくしゃがいちまいうえ)
能力や駆け引きなどが一段とすぐれていること。 芝居の番付や看板で、上位のものから順に名前が書かれていることから。
焼け跡の釘拾い(やけあとのくぎひろい)
大金を使ったあとで、わずかな節約をしたりけちったりすることのたとえ。焼け跡で釘を拾っても何の役にも立たない意から。
焼け石に水(やけいしにみず)
援助や努力がわずかで、何の役にも立たないこと。焼けた石に少量の水をかけても冷めないことから。
安きこと泰山の如し(やすきことたいざんのごとし)
どっしりと安定していて、ものに動じない様子のたとえ。 「泰山」は、中国山東省にある大きな山で、その泰山のように落ち着いてどっしりしているとの意から。
安物買いの銭失い(やすものかいのぜにうしない)
値段の安いものは品質も悪く、買い替えや修理などで高くついて、結局は損をするということ。
鑢と薬の飲み違い(やすりとくすりののみちがい)
鑢と薬は、聞いた時はわずかな違いだが、実際は大きな違いがあり、早とちりや早合点は間違いのもとになるというたとえ。「や」と「く」に八と九を掛けていった言葉。
痩せの大食い(やせのおおぐい)
痩せている人が、からだに似合わず案外大食いであるということ。
屋台が傾く(やたいがかたむく)
財産を使い尽くし、その家を支えることが出来なくなること。
厄介になる(やっかいになる)
生活の面倒をみてもらうこと。いろいろと世話になること。
厄介払い(やっかいばらい)
何かと人に迷惑をかけていた者や面倒なことを追い払うこと。
宿取らば一に方角、二に雪隠、三に戸締り、四には火の元(やどとらばいちにほうがく、ににせっちん、さんにとじまり、しにはひのもと)
昔、旅先で宿を取る時に、確認しておくべき事柄を順序だてて並べた言葉。「雪隠」は、便所のこと。
柳の下にいつも泥鰌はいない(やなぎのしたにいつもどじょうはいない)
一度うまくいったからといって、いつも同じようにうまくいくとはかぎらないというたとえ。 柳の下で一度泥鰌を捕まえたからといって、そこでいつも泥鰌を捕まえられるとはかぎらないことから。
柳は緑花は紅(やなぎはみどりはなはくれない)
柳は緑色、花は紅色をしているように、自然があるがままの美しい姿で人工が加わっていないこと。また、物事には自然の理が備わっていることのたとえ。春の美しい景色の形容としても使われる言葉。
野に遺賢なし(やにいけんなし)
すぐれた人材はすべて官吏になり民間に残っていないということ。また、人材が集まり正しい政治が行われ、国が安らかに治まっているということ。「野」は民間、「遺賢」は埋もれている賢者の意。
矢の催促(やのさいそく)
矢を次々と射るような、ひっきりなしの厳しい催促のこと。 「矢のような催促」ともいう。
藪医者の玄関(やぶいしゃのげんかん)
外見ばかり立派にして実質の伴わないことのたとえ。腕に自信のない医者ほど玄関を立派にするということから。
藪医者の手柄話(やぶいしゃのてがらばなし)
実力のない者ほど自慢話をしたがるというたとえ。
藪医者の病人選び(やぶいしゃのびょうにんえらび)
実力のない者にかぎって仕事のえり好みをするというたとえ。 「藪薬師の病人選び」ともいう。
藪をつついて蛇を出す(やぶをつついてへびをだす)
余計なことをして、かえって思わぬ災難を招くことのたとえ。 「藪をたたいて蛇を出す」とも、略して「藪蛇」ともいう。
病膏肓に入る(やまいこうこうにいる)
道楽や趣味などに熱中して、手がつけられなくなることのたとえ。「膏」は心臓の下、「肓」は横隔膜の上の部分で、ともに治療が難しい箇所といわれる。病気がついに膏肓に至ったということから、元来は病気が重くなり治る見込みがなくなったという意。
病上手に死に下手(やまいじょうずにしにべた)
よく病気にかかる人は、自分の健康に気を遣い、長生きすることが多いということ。
病治りて薬師忘る(やまいなおりてくすしわする)
苦しい時が過ぎて楽になると、助けてもらった恩を忘れてしまうということ。 「薬師」は、医者。 病気が治ると世話になった医者のこともすっかり忘れてしまうとの意から。
病には勝たれぬ(やまいにはかたれぬ)
どんなに強い人も、病気になったらどうすることも出来ないということ。
病は癒ゆるに怠る(やまいはいゆるにおこたる)
病気は治りかかる頃につい油断して養生を怠り再発を招くことが多いということ。病気は治り際が大事だということ。
病は気から(やまいはきから)
病気は心の持ち方しだいで良くも悪くもなるということ。
病は口より入り、禍は口より出ず(やまいはくちよりいり、わざわいはくちよりいず)
病気は飲食物と共に体の中に入り込み、禍は口から出る言葉によって引き起こされる。口は慎まなければいけないという戒めのことば。
病は治るが癖は治らぬ(やまいはなおるがくせはなおらぬ)
病気は治療次第で治るが、身についた癖を治すのは難しいということ。
病を護りて医を忌む(やまいをまもりていをいむ)
自分に欠点や過ちがあっても、人の忠告を聞こうとしないことのたとえ。 病気があるのに医者にかかるのを嫌がるとの意から。
山の芋鰻とならず(やまのいもうなぎとならず)
世の中では突拍子もない変化は起こらないというたとえ。
山の芋を蒲焼にする(やまのいもをかばやきにする)
あまりにも早計な行為のたとえ。 [[蕪は鶉となり、山芋は鰻となる*https://kotowaza.jitenon.jp/kotowaza/4562.php]](起こるはずのないことが時には起こることのたとえ)という言葉でたとえとして用いられている山芋がまだ鰻にもなっていないのに蒲焼にしようとすることから。
山より大きな猪は出ぬ(やまよりおおきないのししはでぬ)
入れ物よりも大きな中身などあり得ないというたとえ。また、大げさな言い方もほどほどにしろということ。 いくら大きな猪でも、山より大きい猪はいないとの意から。
矢も楯もたまらない(やもたてもたまらない)
思いつめてじっとしていられない様子。 矢でも楯でも勢いを抑えることができないとの意から。
槍でも鉄砲でも持って来い(やりでもてっぽうでももってこい)
どんな手段を用いても構わないのでかかってこいの意。 固い決意をしたりやけになったりしたときにいう言葉。 「矢でも鉄砲でも持って来い」ともいう。
憂患に生き安楽に死す(ゆうかんにいきあんらくにしす)
人は心配事がある時は心をいため、命を守る努力をするが、憂いがなくなると心がゆるみ、思わぬ死を招くこともあるということ。
幽明境を異にする(ゆうめいさかいをことにする)
死に別れること。 「幽」はあの世。「明」はこの世。 死んであの世とこの世の境界を越え、別々になるという意味から。 「幽明処を隔つ(ゆうめいところをへだつ)」ともいう。
勇名を馳せる(ゆうめいをはせる)
勇敢であるという評判が世間に知れ渡ること。
幽霊の正体見たり枯れ尾花(ゆうれいのしょうたいみたりかれおばな)
怖いと思っていると、何でもないものまで恐ろしく見えてしまうことのたとえ。 また、正体がわかると怖かったものも何でもなくなるということ。 「尾花」はススキの穂。 幽霊だと思って恐れていたものが、よく見ると枯れたススキの穂だったとの意から。 「化け物の正体見たり枯れ尾花」ともいう。
行き大名の帰り乞食(ゆきだいみょうのかえりこじき)
はじめに無計画に金を使い、あとでどうにもならなくなること。 旅に出て、行きは大名のように贅沢に金を使い、帰りは旅費が足りなくなり乞食のようなみじめな思いをするとの意から。