「え」を含む故事・ことわざ・慣用句
「え」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 722 件
手前味噌を並べる(てまえみそをならべる)
あれこれと自慢すること。 「手前味噌」は自分で作った味噌のこと。 自分の作った味噌を周りに自慢することから。 単に「[[手前味噌*https://yoji.jitenon.jp/yojic/1182.html]]」ともいう。
手を替え品を替え(てをかえしなをかえ)
さまざまな手段や方法を試してみること。
手を返す(てをかえす)
言葉や態度などをがらりと変えることのたとえ。
手を加える(てをくわえる)
作品などをよりよくするために修正したり、補ったりすること。手を入れる。
手を翻せば雲となり、手を覆せば雨となる(てをひるがえせばくもとなり、てをくつがえせばあめとなる)
人の心の変わりやすいことのたとえ。 手のひらを上に向ければ雲がわき、手のひらを下に向けると雨が降るとの意から。
天にあらば比翼の鳥地にあらば連理の枝(てんにあらばひよくのとりちにあらばれんりのえだ)
男女・夫婦の仲がきわめてむつまじいことのたとえ。 「比翼」は、雌雄それぞれが目と翼を一つずつ持ち、二羽がいつも一体となって飛ぶとされる想像上の鳥。 「連理」は、一本の木の枝が他の木の枝とくっついて木目が連なっていること。 略して「[[比翼連理*https://yoji.jitenon.jp/yojic/1402.html]]」ともいう。
天は二物を与えず(てんはにぶつをあたえず)
長所があれば必ず短所もあり、長所ばかりを備えた人はいないということ。 天は一人の人間にいくつもの長所を授けることはないとの意から。
天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず(てんはひとのうえにひとをつくらず、ひとのしたにひとをつくらず)
人間は生まれながらに平等であり、身分の上下や貴賎などの差別はないということ。
問い声よければいらえ声よい(といごえよければいらえごえよい)
こちらの出方しだいで、相手の態度も変わるというたとえ。聞き方が良ければ相手の答え方も良いということ。
東西を弁えず(とうざいをわきまえず)
物事の道理がわからない様子。 東と西の区別がつけられないということから。 「東西を弁えず」ともいう。
当を得る(とうをえる)
そのものが道理に適っていて適切であること。
十のことは十に言え(とおのことはとおにいえ)
物事を理解してもらうためには、過不足なく、順序立てて正確に話さなければいけないということ。
時に遇えば鼠も虎になる(ときにあえばねずみもとらになる)
時流に乗れば、つまらない者でも出世して権力をふるうようになるというたとえ。
時は得難くして失い易し(ときはえがたくしてうしないやすし)
好機はめったにめぐってこないし、油断するとすぐに去ってしまうということ。また、時は二度とめぐってこないので、わずかな時間も大切に過ごすべきであるということ。
時を得た一針は九針の手間を省く(ときをえたいっしんはきゅうしんのてまをはぶく)
すぐに対処しておけば、あとで大掛かりな手間をかけずにすむということ。 その時に一針縫っておけば、あとで九針縫う手間を省くことができるとの意から。 「適時の一針は九針の手間を省く」ともいう。
時を得る(ときをえる)
よい機会にめぐりあって栄えること。
所で吠えぬ犬はない(ところでほえぬいぬはない)
自分の住まいで吠えない犬はいないように、弱い者でも自分の縄張りでは威張るということ。
所を得る(ところをえる)
その人の能力と釣り合いのとれた地位や職に就くこと。
年問わんより世を問え(としとわんよりよをとえ)
年をとっているか若いかを問題にするよりも、その人の人生経験の内容を問題にせよということ。
年は争えない(としはあらそえない)
年老いると、気持ちは若いつもりでも体力の衰えは隠せないということ。
年寄りは家の宝(としよりはいえのたから)
経験の豊かな年寄りは何でもよく知っていて、家の宝のような存在だということ。
年寄れば愚に帰る(としよればぐにかえる)
年を取れば、子どものように愚かになってしまうということ。
取っ替え引っ替え(とっかえひっかえ)
次から次へと取り替えて試してみること。
鳶も居ずまいから鷹に見える(とびもいずまいからたかにみえる)
どんな人間でも、立ち振る舞いをきちんとすれば、立派に見えるというたとえ。 見栄えのよくない鳶でも、振る舞い次第では鷹のように見えるとの意から。
跳ぶ前に見よ(とぶまえにみよ)
行動を起こす前に、よく考えてしっかり準備せよということ。
朋あり遠方より来る(ともありえんぽうよりきたる)
遠くにいる友だちが、はるばる会いに来てくれた喜びをいう言葉。「朋」は、友の意。
虎は千里行って千里帰る(とらはせんりいってせんりかえる)
勢いが盛んで力強い行動力のたとえ。また、また、子を思う親の愛情深い行動力のたとえ。虎は一日に千里の道を進み、その後、再び同じ距離を戻ってくると言われることから。
虎を描いて狗に類す(とらをえがいていぬにるいす)
凡人が優れた人の真似をして、軽薄になることのたとえ。また、立派過ぎるものを求めて失敗することのたとえ。 虎を書こうとして犬の絵になってしまうということから。
虎を描いて猫に類す(とらをえがいてねこにるいす)
凡人が優れた人の真似をして、軽薄になることのたとえ。また、立派過ぎるものを求めて失敗することのたとえ。 「虎を描いて狗に類す」に同じ。
鳥疲れて枝を選ばず(とりつかれてえだをえらばず)
生活のためには職業を選んではいられないということ。疲れた鳥は枝を選ばずに、どこにでもとまるということから。
取る物も取り敢えず(とるものもとりあえず)
この上なく慌てて行動する様子。 必要な物を取る余裕もないという意味から。
取るより庇え(とるよりかばえ)
より多くの利益を求めずに、今あるものを失わないように守れということ。
度胸を据える(どきょうをすえる)
何事にも動じないと心に決める。覚悟を決める。
無い知恵を絞る(ないちえをしぼる)
難しい問題などに対して、よい方法がないかと必死になって知恵を出すことのたとえ。
苗の莠有るが若し(なえのゆうあるがごとし)
善人の中に悪人が交じっていることのたとえ。 「莠」は、はぐさ。穀物の稲に似た雑草で、稲の苗の成長を害する。 悪人が善人の中に紛れ込んでいる状況を、稲の苗の中に雑草である莠(はぐさ)が混じっている様子にたとえた言葉。
直き木に曲がる枝(なおききにまがるえだ)
どんなに正しい人でも欠点や弱点があることのたとえ。 まっすぐな木にも曲がった枝がついているとの意から。
長追いは無益(ながおいはむえき)
勝ちに乗じて深追いすると、思わぬ反撃を受け不利な立場に陥ることもあるので、ほどほどにするのが賢明ということ。 「長追いは無用」ともいう。
長崎ばってん、江戸べらぼう、神戸兵庫のなんぞいや、ついでに丹波のいも訛(ながさきばってん、えどべらぼう、こうべひょうごのなんぞいや、ついでにたんばのいもなまり)
各地の方言の特徴をとらえて語調よくいったことば。
泣くほど留めても帰れば喜ぶ(なくほどとめてもかえればよろこぶ)
帰る客を泣くように引き止める人でも、帰ってしまえば喜ぶものだということ。
鳴く虫は捕らえられる(なくむしはとらえられる)
芸があるために、身を誤ることのたとえ。鳴く虫は、その鳴き声のために捕まえられるということから。
七重の膝を八重に折る(ななえのひざをやえにおる)
この上ないほど丁寧な態度で、頼みごとをしたり詫びたりする様子。 実際には二重にしか折れない膝を、七重にも八重にも折りたいほどの気持ちだということ。
名無しの権兵衛(ななしのごんべえ)
何という名前なのかわからない人を指す言葉。
七度尋ねて人を疑え(ななたびたずねてひとをうたがえ)
物がなくなった時には、自分でよく探してみるのが先で、軽率に人を疑ってはいけないという戒めの言葉。 七回探しても見つからない時に、はじめて他人を疑うべきとの意から。 「七度探して人を疑え」
何かと言えば(なにかといえば)
なにかある度に同じ言動をする様子。なにかにつけて。 「何かと言えば」ともいう。
生の声(なまのこえ)
発言する場のない人々の率直な意見や感想のこと。
波風が絶えない(なみかぜがたえない)
絶えず揉め事や争い事がある様子。
名を得る(なをえる)
すぐれた実績などによって、その分野での名声を得ること。有名になること。
爾に出ずるものは爾に返る(なんじにいずるずるものはなんじにかえる)
自分がやった行いの報いは、よいことでも悪いことでも、いつか自分自身に返ってくるということ。
煮え切らない(にえきらない)
考えなどがはっきりとせず、なかなか決断できない様子。態度がはっきりとしない様子。
煮え湯を飲まされる(にえゆをのまされる)
信頼していた人に裏切られ、ひどい目にあわされることのたとえ。
西と言えば東と言う(にしといえばひがしという)
人の言う事にいちいち反論するようす。
煮ても焼いても食えない(にてもやいてもくえない)
どうにも扱いようがなく持て余す様子。また、思いどおりにならず、どうしようもないこと。
二兎を追う者は一兎をも得ず(にとをおうものはいっとをもえず)
一度に二つのものを手に入れようと欲張ると、結局どちらも手に入れられなくなることのたとえ。 一度に二匹のうさぎを捕えようとすると、結局一匹も捕らえられないことから。
二度教えて一度叱れ(にどおしえていちどしかれ)
子どもをしつける時の心得を示した言葉。子どもの過ちや失敗は頭ごなしに怒らず、繰り返してよく教え諭し、それでも聞かない時にたまに叱るくらいがよいということ。
二度聞いて一度物言え(にどきいていちどものいえ)
人の言うことは何度聞き直してでもよく聞き、自分は口数を少なく余計なことを言わないほうがよいということ。
担えば棒が折れる(になえばぼうがおれる)
二つの荷物がどちらとも同じように重いので、担ごうとすると担い棒が折れてしまうということ。 二つの物がどちらも捨てがたく、優劣もつけがたいことのたとえ。
二の舞を演じる(にのまいをえんじる)
前の人と同じ失敗を繰り返すこと。 「二の舞」は舞楽で、安摩(あま)という舞の次に、それを真似て演じるこ滑稽な舞のこと。 単に「二の舞」ともいう。
女房に惚れてお家繁盛(にょうぼうにほれておいえはんじょう)
亭主が女房に惚れ込んでいると、外で浮気や道楽もせず家庭円満になるということ。
女房は灰小屋から貰え(にょうぼうははいごやからもらえ)
妻を迎えるなら、自分より格下の家からもらうのがよいということ。 身分の高い家から妻をもらうと、親戚付き合いに苦労したり夫の権威が下がったりする恐れがあるとの意から。 「女房は台所から貰え」「女房は掃き溜めから拾え」「女房は庭から取れ」などともいう。
人間は考える葦である(にんげんはかんがえるあしである)
人間は自然の中ではか弱い存在であるが、思考する存在としては偉大であるということ。フランスの哲学者パスカルの「人間は自然のうちで最も弱い一本の葦にすぎない。しかしそれは考える葦である」という言葉から。
盗人と言えば手を出す(ぬすびとといえばてをだす)
他人に盗人と言われて、手を出して暴れるような者は本当に盗人であるということ。
盗人を捕らえて縄を綯う(ぬすびとをとらえてなわをなう)
物事が起こったり直前に迫ったりしてから、慌てて準備することのたとえ。 盗人を捕まえてから、泥棒を縛るための縄の準備を始めるとの意から。 「盗人」は「泥棒」、「捕らえて」は「見て」ともいう。 また、「泥棒を捕らえて縄を綯う」を略して「[[泥縄*https://kokugo.jitenon.jp/word/p37603]]」ともいう。
盗人を捕らえて見れば我が子なり(ぬすびとをとらえてみればわがこなり)
思いがけない事態に直面し、処置に窮することのたとえ。また、親しい者でも油断できないというたとえ。
濡れぬ先こそ露をも厭え(ぬれぬさきこそつゆをもいとえ)
一度過ちを犯すと、その後はもっと大きな過ちも平然と犯すようになるというたとえ。 濡れる前は露(つゆ)に濡れることさえ嫌がるが、いったん濡れてしまうといくら濡れても平気になるとの意から。 男女間の過ちについていうことが多い言葉。
根浅ければ則ち末短く、本傷るれば則ち枝枯る(ねあさければすなわちすえみじかく、もとやぶるればすなわちえだかる)
基礎がしっかりしていない物事は発展せず、いずれ衰えるということのたとえ。 「末」は枝や葉、「本」は幹こと。 根が十分張っていなければ枝葉も成長しない、幹がいためばいずれ枝も枯れることから。
寝返りを打つ(ねがえりをうつ)
寝たままの状態で、体の方向をかえること。 また、味方を裏切って敵の仲間に加わること。
根が生える(ねがはえる)
その場所に留まってすこしも動かないこと。
猫が肥えれば鰹節が痩せる(ねこがこえればかつおぶしがやせる)
一方がよくなれば他方が悪くなり、一方に利があれば他方に損があるというたとえ。鰹節を食べて猫は太るが、食べられた鰹節は痩せるとの意から。
猫の前の鼠(ねこのまえのねずみ)
恐ろしさのあまり、身がすくんで動けないようすのたとえ。
能書筆を択ばず(のうしょふでをえらばず)
書にすぐれた人は筆のよしあしに関係なく、どんな筆を使ってもすぐれた字を書くということ。
能なし犬は昼吠える(のうなしいぬはひるほえる)
才能のない者にかぎって必要のないときに大騒ぎしたり、大きなことを言ったりするというたとえ。
鑿と言えば槌(のみといえばつち)
万事に気が利くこと。また、気を利かすべきだという教え。 鑿をくれと言われれば、それを使う時に必要な槌も一緒に渡すとの意から。
矩を踰える(のりをこえる)
道徳や規律から外れること。「矩」は規則・おきて、「踰える」は超えるという意。
杯中の蛇影(はいちゅうのだえい)
疑えば、なんでもないことにまで神経を悩まし苦しむことのたとえ。杯に映った弓の影を蛇と見間違え、蛇を飲んだと思い込んで病気になったが、それが間違いだとわかると、たちまち治ったという故事から。
肺腑を抉る(はいふをえぐる)
心の奥底に衝撃を与えることのたとえ。また、深い感銘を与えることのたとえ。 「肺腑」は肺臓のこと。転じて心の底のこと。 「衝く」は「突く」とも書く。 また、「肺腑を貫く」「肺腑を抉る」ともいう。
這えば立て、立てば歩めの親心(はえばたて、たてばあゆめのおやごころ)
子どものすこやかな成長を楽しみに待つ親の気持ちを言ったことば。
箱根知らずの江戸話(はこねしらずのえどばなし)
実際には見たこともないものを、いかにも見てきたように話すことのたとえ。箱根を越えたことのない西国の人間が、江戸のことを得意気に話すということから。
歯応えがある(はごたえがある)
こちらの働きかけに対してはっきりとした反応が返ってくること。
始めを言わねば末が聞こえぬ(はじめをいわねばすえがきこえぬ)
話は順序立てて始めからきちんと話さなければ、何故そうなったのか理解できないということ。
恥を言わねば理が聞こえぬ(はじをいわねばりがきこえぬ)
隠しておきたい恥も場合によっては打ち明けなければ、相手に事情をよく理解してもらえないということ。