「む」で終わる故事・ことわざ・慣用句
「む」で終わる故事・ことわざ・慣用句 — 191 件
蛇は寸にして人を呑む(じゃはすんにしてひとをのむ)
優れた人物は、幼い頃から常人とは違ったところがあるというたとえ。大蛇はわずか一寸ほどの頃から、人間をのみ込もうとする気迫を持っているということから。
寿命が縮む(じゅみょうがちぢむ)
激しい恐怖や驚きなどを受けることのたとえ。
水中に火を求む(すいちゅうにひをもとむ)
いくら求めても得ることができないこと。
寸陰を惜しむ(すんいんをおしむ)
わずかの時間も大切にするということ。「寸陰」は、わずかの時間。
寸暇を惜しむ(すんかをおしむ)
少しの時間も無駄にせずに物事に取り組むこと。
清濁併せ呑む(せいだくあわせのむ)
清流も濁流ものみこむ大海のように、善も悪もすべて受け入れる度量の大きさのこと。
生を偸む(せいをぬすむ)
死ぬべき時に死なずに恥を忍んで生きながらえること。また、何もせず、ただいたずらに生きていること。「生」は生命・生活、「偸む」は貪るという意。
千石取れば万石羨む(せんごくとればまんごくうらやむ)
人間の欲望は次から次へと大きくなり、きりがないということ。千石取りになれば、次は万石取りを羨むということから。
前車の轍を踏む(ぜんしゃのてつをふむ)
前の人と同じような失敗を繰り返すことのたとえ。 「轍」は、車のわだちのこと。 転倒した前の車のわだちをたどり、同じように転倒するとの意から。 「前轍を踏む」「轍を踏む」「覆轍を踏む」ともいう。
前門に虎を防ぎ後門に狼を進む(ぜんもんにとらをふせぎこうもんにおおかみをすすむ)
一つの災いを逃れても、さらにまた別の災難に見舞われることのたとえ。 前門で虎の侵入を防いだと思ったら、すでに後門に狼が入っていたとの意から。 「前門に虎を防ぎ後門に狼を進む」ともいう。
大旱の雲霓を望む(たいかんのうんげいをのぞむ)
物事の到来を待ち望むことのたとえ。 「大旱」はひどい日照り、「雲霓」は雲と虹のこと。 ひどい日照りの時に、雨の前触れである雲や虹を待ち望むとの意から。
斃れて後、已む(たおれてのち、やむ)
命がある限り精一杯努力し続けること。 死んではじめてやめるとの意から。
箍が緩む(たががゆるむ)
緊張が緩んだり、年をとったりして、締まりがなくなること。 「箍(たが)」は、桶(おけ)や樽(たる)の周りにはめて緩まないようにする竹や金属の輪。
踏鞴を踏む(たたらをふむ)
勢いよく向かっていた的が外れたため、踏みとどまることができずに数歩進んでしまうこと。 「踏鞴(たたら)」は、大きなふいご(足で踏んで風を送る道具)のことで、勢いが余り踏みとどまろうとする姿が踏鞴を踏む姿と似ていることから。
他人の疝気を頭痛に病む(たにんのせんきをずつうにやむ)
自分には関係のない物事で、いらぬ心配をすることのたとえ。 「疝気」は漢方で腰・下腹部の病気のこと。 他人の疝気を心配して自分が頭痛になることから。 「人の疝気を頭痛に病む」「隣の疝気を頭痛に病む」ともいう。
卵を盗む者は牛も盗む(たまごをぬすむものはうしもぬすむ)
小さな悪事をはたらいた者は、いずれ大きな犯罪を犯すようになるということ。そのためにも、ちいさな悪事も見逃さずに戒めるべきであるということ。
卵を見て時夜を求む(たまごをみてじやをもとむ)
順序を考えず、あまりに早計に結果を求めるたとえ。 「時夜」は、鶏が夜明けに鳴いて時を知らせること。 卵のうちから、鶏に成長して時を告げることを待ち望むとの意から。
溜め息をすれば親の寿命が縮む(ためいきをすればおやのじゅみょうがちぢむ)
子どもがため息をつけば、親は寿命が縮むほど心配するから、親にそんな態度を見せてはいけないということ。
足るを知る者は富む(たるをしるものはとむ)
分相応の現状に満足できる者は、生活が貧しくても、心は安らかで豊かだということ。
駄目を踏む(だめをふむ)
無駄なことをする。つまらないことをする。
弾力に富む(だんりょくにとむ)
さまざまな状況や問題に応じて、適切に対応できる力があるさま。
知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ(ちしゃはみずをたのしみ、じんしゃはやまをたのしむ)
ものの道理をわきまえた人は、判断に迷いがないからよどみなく流れる川を愛し楽しむ。また、仁徳を備えた人は、静かな心で何事にも動じないからどっしりかまえた山を愛し楽しむということ。 単に「知者は水を楽しむ」「仁者は山を楽しむ」ともいう。
杖とも柱とも頼む(つえともはしらともたのむ)
全面的に頼りにすることのたとえ。
月を指せば指を認む(つきをさせばゆびをみとむ)
物事を説明しても、その文字や言葉にこだわって本質を理解しないということ。 月の説明をするために月を指さしても、月を見ずに指している指を見るとの意から。
土を踏む(つちをふむ)
その場所に到着すること。 その地の土を踏むという意味から。
鼓を鳴らして攻む(つづみをならしてせむ)
大きな声で相手の非や罪を言い立てて攻撃すること。 太鼓を打ち鳴らしながら敵陣に攻め込むとの意から。
爪の垢を煎じて飲む(つめのあかをせんじてのむ)
優れた人にあやかろうとするたとえ。 爪の垢のようなものでも、優れた人のものを煎じて飲めば、少しはその人に似るだろうという考えから。
手が込む(てがこむ)
隅から隅まで細かく工夫がされていて手間が掛かっていること。 また、物事が複雑に入り組んでいること。
寺の隣に鬼が棲む(てらのとなりにおにがすむ)
この世の中は、善人と悪人が入り混じっているというたとえ。慈悲深い寺の隣に冷酷な鬼が棲んでいるということから。
手を組む(てをくむ)
目的を果たすために互いに協力すること。
天下の憂いに先立ちて憂い、天下の楽しみに後れて楽しむ(てんかのうれいにさきだちてうれい、てんかのたのしみにおくれてたのしむ)
すぐれた政治家や指導者は、人々よりも先に国のことを心配し、人々が楽しんだ後で自身も楽しむべきだということ。 「[[先憂後楽*https://yoji.jitenon.jp/yojid/1517.html]]」ともいう。
天に口なし人を以て言わしむ(てんにくちなしひとをもっていわしむ)
天はものを言ったりしないが、その意思は人の口を通じて伝えられるということ。つまり、天の声である世論は真実を語っているということ。
時に臨む(ときにのぞむ)
ある物事が行われたり、起こったりする時になること。
徒党を組む(ととうをくむ)
悪事を働くために仲間が集まること。
鳶が鷹を生む(とびがたかをうむ)
平凡な親から優れた子どもが生まれることのたとえ。 「とび」は「とんび」とも読む。 「鳶が孔雀を生む」ともいう。
虎の尾を踏む(とらのおをふむ)
非常に危険なことをすることのたとえ。
虎は死して皮を留め、人は死して名を留む(とらはししてかわをとどめ、ひとはししてなをとどむ)
虎は死後立派な皮を残して珍重され、人は死後その功績により名声が語り継がれるということ。 「虎」は「豹」、「留め・留む」は「残し・残す」ともいう。
虎は千里の藪に栖む(とらはせんりのやぶにすむ)
優れたものは、広々として奥深い所にいるということ。虎は千里もあるような広い藪にすんでいるということから。
同気相求む(どうきあいもとむ)
気の合う者同士は、自然と寄り集まるということ。 「同気」は同じ気質のこと。
同病相憐れむ(どうびょうあいあわれむ)
同じような境遇や立場にある者は、互いの気持ちがよくわかるので同情し合うということ。 同じ病気の者同士は、互いにその苦痛がわかるので同情し合うとの意から。
同類相求む(どうるいあいもとむ)
同じたぐいの者同士は、自然に求め合って寄り集まるということ。
どじを踏む(どじをふむ)
間の抜けた失敗をすること。
どすを吞む(どすをのむ)
短い刃物などを懐に隠し持つこと。 「どす」は短刀のこと。
流れを汲む(ながれをくむ)
家系・流儀・流派などを受けつぐこと。
生唾を飲み込む(なまつばをのみこむ)
目の前にあるものに対して、欲しくてたまらない気持ちになること。 「生唾」は、美味しそうなものなどを見たときに、口の中に自然とたまる唾。
涙に沈む(なみだにしずむ)
深い悲しみのため、嘆き悲しむこと。
涙を呑む(なみだをのむ)
泣きたいほどの悔しさや無念さを我慢すること。
名を惜しむ(なをおしむ)
自分の名誉や名声を大事にすること。 また、他人の名誉や名声に傷がつくのを残念におもうこと。
錦の袋に糞を包む(にしきのふくろにふんをつつむ)
外観が立派で中身が見劣りすることのたとえ。
二鼠藤を嚙む(にそふじをかむ)
この世に生きる人間には刻々と死期が近づいていることのたとえ。 「二鼠」は日月(昼夜)の意。 「藤」は生命の意。
二の足を踏む(にのあしをふむ)
ものごとを進める決心がつかず、ためらうこと。 一歩目は進んでも、二歩目は足踏みすることから。
猫が糞を踏む(ねこがばばをふむ)
悪事を隠したまま知らん顔をすること。 猫が糞をしたあとに足で砂をかけて隠すようすから。 単に「[[猫糞*https://kokugo.jitenon.jp/word/p39481]]」ともいう。 また「猫が糞を隠したよう」ともいう。
螺子が緩む(ねじがゆるむ)
気持ちがたるんでしまい、だらしなくなること。
吐いた唾を呑む(はいたつばをのむ)
一度言ったことを無責任にひるがえすこと。
白紙で臨む(はくしでのぞむ)
事前に対策したり、先入観を持ったりすることなく、物事の取り組むこと。
鼻毛を読む(はなげをよむ)
女性が自身に惚れている男性の弱みに付け込んで弄ぶこと。
話が弾む(はなしがはずむ)
話題が尽きず、会話が盛り上がること。
腹の皮が張れば目の皮がたるむ(はらのかわがはればめのかわがたるむ)
満腹になれば、自然と眠くなるということ。また、飽食すると怠惰になることにもいう。
腹を読む(はらをよむ)
相手の言動から、相手の考えていることを推察すること。
針を含む(はりをふくむ)
言動に相手を傷つけようとする意図が感じられる様子。
枚を銜む(ばいをふくむ)
声を立てず、息をこらすことのたとえ。「枚」は昔、夜襲の時に、兵士や馬が声を出さないように口にくわえさせた棒のこと。「銜む」は、くわえる意。
場数を踏む(ばかずをふむ)
経験を積んで慣れること。
人酒を飲む、酒酒を飲む、酒人を飲む(ひとさけをのむ、さけさけをのむ、さけひとをのむ)
酒の飲み始めは人に自制する心があるが、そのうちに惰性で酒を飲むようになり、やがては酒に飲まれて乱れてしまうということ。酒はほどほどに飲めという戒めの言葉。
一つ屋根の下に住む(ひとつやねのしたにすむ)
同じ家で共に暮らすこと。
人の頼まぬ経を読む(ひとのたのまぬきょうをよむ)
頼まれもしないのによけいな手出しをするたとえ。ひとの迷惑も考えずにでしゃばるたとえ。
人は足るを知らざるを苦しむ(ひとはたるをしらざるをくるしむ)
人間の欲望には際限がなく、そのために苦しむということ。
人目を盗む(ひとめをぬすむ)
他人に見つからないようにこっそりと行うこと。
人を思うは身を思う、人を憎むは身を憎む(ひとをおもうはみをおもう、ひとをにくむはみをにくむ)
人に情けをかけることは自分のためになることであり、人を苦しめることはやがて自分の苦しみになるということ。
日に就り、月に将む(ひになり、つきにすすむ)
学業や事業などが着実に進むことのたとえ。 「就り」は成り、「将む」は進むこと。 事が日ごとに成り、月ごとに進むとの意から。
暇を盗む(ひまをぬすむ)
忙しい最中のわずかな時間を利用すること。
百尺竿頭一歩を進む(ひゃくしゃくかんとういっぽをすすむ)
目標を達成しても、さらに向上しようと努力すること。また、十分に説明をした上に、さらに一歩進めて説明すること。 百尺の竿の先端に達しても、さらに一歩進もうとするとの意から。 「百尺」は「ひゃくせき」ともいう。
貧にして楽しむ(ひんにしてたのしむ)
貧しくても、それなりに楽しみを持って生活していくということ。
布施だけの経を読む(ふせだけのきょうをよむ)
報酬が少ない時には、仕事に熱が入らずにいい加減になるということ。 「布施」は、僧侶に読経などの謝礼として渡す金品のこと。 布施が少ない時、僧侶は袈裟をつけずに経を読むとの意から。 「布施ない経は読まぬ」「布施だけの経を読む」「布施見て経を読む」ともいう。
舟に刻みて剣を求む(ふねにきざみてけんをもとむ)
古いしきたりや習わしにとらわれて、状況の変化に応じることができない愚かさのたとえ。 中国の楚の人が舟で長江を渡る途中に乗っている舟から剣を落としたため、慌てて舟べりに印をつけて、舟が岸に着いた後に印をつけた場所の川底を捜したという故事から。 「舟に刻(こく)して剣を求む」「剣を落として舟を刻む」「刻舟」ともいう。
臍を噛む(ほぞをかむ)
悔やんでも返らないことを悔やむたとえ。「臍」はへその意。自分の臍をかもうとしても及ばず、いらいらする意から。
骨に刻む(ほねにきざむ)
そのことを深く記憶して決して忘れないこと。
骨を惜しむ(ほねをおしむ)
苦労することを嫌がって、やるべきことをやらないこと。
洞が峠を決め込む(ほらがとうげをきめこむ)
有利なほうに付こうとして、形勢をうかがうこと。 「洞が峠」は、京都府と大阪府の境にある峠の名。 筒井順慶が洞が峠から山崎の合戦の形勢ををうかがい、優勢なほうに加勢しようとしたと伝えられたことから。史実に反しており、実際には撤兵して中立を保ったといわれている。
負けが込む(まけがこむ)
勝負などで、負けた回数が多くなること。
眉を読む(まゆをよむ)
相手の表情から、その人の気持ちを推察すること。 「眉毛を読む」ともいう。