「食」を含む故事・ことわざ・慣用句
「食」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 160 件
骨肉相食む(こつにくあいはむ)
肉親同士が激しく争うこと。「骨肉」は、親子・兄弟などの血のつながった者の意。
米食った犬が叩かれずに糠食った犬が叩かれる(こめくったいぬがたたかれずにぬかくったいぬがたたかれる)
大きな悪事をはたらいた者が罪を逃れ、小さな悪事を犯した者が罰せられるたとえ。
魚は殿様に焼かせよ餅は乞食に焼かせよ(さかなはとのさまにやかせよもちはこじきにやかせよ)
人には向き不向きがあるので、しっかりと適した者を選べというたとえ。 魚はゆっくり火を通した方がいいので殿様のようにおっとりした人が適しており、餅は何度もひっくり返しながら焼くほうがよいので乞食のようにがつがつした人が適しているとの意から。 「餅は乞食に焼かせよ魚は殿様に焼かせよ」ともいう。
三人旅の一人乞食(さんにんたびのひとりこじき)
三人で旅をする時には、その中の一人が仲間はずれになりがちだということ。また、三人で事をすると、貧乏くじをひいて損をすることが多いということ。
坐しても食らえば山も空し(ざしてもくらえばやまもむなし)
働かずに暮らせば、山のような財産があってもやがては尽きてしまうということ。
塩辛を食おうとて水を飲む(しおからをくおうとてみずをのむ)
手回しがよすぎるとかえって間が抜けていたりすることのたとえ。または、物事の順序が前後することのたとえ。 塩辛を食べると喉が渇くであろうと考えて、前もって水を飲んでおくとの意から。
死にたいと麦飯食いたいほど大きな嘘はない(しにたいとむぎめしくいたいほどおおきなうそはない)
人間は時には心にもないことを言うということ。死にたいと言っても本当に死ぬ気のある者はいないし、麦飯を食べたいと言っても本当は粗食を好むわけではないということ。
背負い投げを食う(しょいなげをくう)
大事な局面で信頼していた人に裏切られて酷い思いをすること。 「背負い投げ」は「せおいなげ」とも読む。
食が進む(しょくがすすむ)
食欲が増して、たくさん食べられる。
食が細い(しょくがほそい)
多くの量を食べることができないこと。小食であること。
食言(しょくげん)
前に言ったことと違うことを言ったり、したりすること。嘘をつくこと。 口から出した言葉をもう一度口に入れるという意味から。
食後の一睡、万病円(しょくごのいっすい、まんびょうえん)
食後のひと眠りはからだによいというたとえ。「万病円」は、万病に効果があるといわれる丸薬。
食後の一睡、万病丹(しょくごのいっすい、まんびょうたん)
食後のひと眠りはからだによいというたとえ。「万病丹」は、万病に効果があるといわれる丸薬。
食指が動く(しょくしがうごく)
食欲が起こること。また、何かが欲しいと思ったり、何かをしたい気持ちになること。「食指」は人差し指のことで、中国鄭の子公が自分の人指し指が動くのを見て、ごちそうにありつける前兆であると言ったという故事から。
食膳に供する(しょくぜんにきょうする)
料理をして食事として出すこと。
食膳に上る(しょくぜんにのぼる)
食事として出ること。
食を願わば器物(しょくをねがわばうつわもの)
物事を行うためには準備の必要があるということ。 食べ物を求めるには入れるための器が必要ということから。
寝食を忘れる(しんしょくをわすれる)
寝ることや食べることを忘れるほどに熱心に取り組むこと。
親は泣き寄り、他人は食い寄り(しんはなきより、たにんはくいより)
不幸があったとき、身内は心から悲しんで集まるが、他人は葬儀のご馳走を目当てに集まるということ。 身内は困ったときに心から助けようとしてくれるが、他人はうわべだけの同情しか見せないというたとえ。 単に「他人は食い寄り」ともいう。
祖父は辛労、子は楽、孫は乞食(じじはしんろう、こはらく、まごはこじき)
金持ちも長続きはしないことのたとえ。 祖父が苦労して財産を築き、子が楽をして、孫は乞食になるほどに落ちぶれるということから。
自慢の糞は犬も食わぬ(じまんのくそはいぬもくわぬ)
誰にも相手にされないこと。 自慢をする者はまわりの人に嫌われ、糞をかぎ回る犬でさえ、そういう人間の糞は避けるという意味から。
粋が身を食う(すいがみをくう)
遊びの道に通じた粋人は、遊興の道にふけって最後は身を滅ぼしてしまうということ。
据え膳食わぬは男の恥(すえぜんくわぬはおとこのはじ)
女のほうから誘っているのに、それに応じないのは男の恥だということ。「据え膳」は、目の前に用意された食膳のこと。俗に女性からの誘いのこと。
すかを食う(すかをくう)
期待した通りにならないこと。当てが外れること。 「すか」は「肩透かし」という意味。
総好かんを食う(そうすかんをくう)
関わりのある全ての人から嫌われること。
その手は食わない(そのてはくわない)
相手の計略を見抜き、それには引っかからないということ。
傍杖を食う(そばづえをくう)
自分と関係のないことで、思いがけない災難を受けること。 喧嘩している近くにいたために、打ち合っている杖で打たれることから。 「側杖を食う」とも書く。
大食腹に満つれば学問腹に入らず(たいしょくはらにみつればがくもんはらにいらず)
食べ過ぎて満腹になると、頭の働きが鈍くなり、学問に集中できなくなるということ。
蛸の共食い(たこのともぐい)
同類のものが害し合うことのたとえ。
蛸は身を食う(たこはみをくう)
資本や財産を食い減らすたとえ。蛸は空腹になると自分の足を食うといわれるところから。
蓼食う虫も好き好き(たでくうむしもすきずき)
人の好みはさまざまであるというたとえ。 辛い蓼の葉を好んで食べる虫もいるように、人の好みはいろいろあるとの意から。
他人の飯を食う(たにんのめしをくう)
親元を離れ、他人の間に揉まれて実社会の経験を積むこと。
抱いた子の塵を食うを知らぬ(だいたこのちりをくうをしらぬ)
内輪のことには案外気が回らないというたとえ。 抱いている子どもが、ごみを口に入れても気がつかないことがあるとの意から。
朔日ごとに餅は食えぬ(ついたちごとにもちはくえぬ)
世の中はいつもいい事ばかりあるとは限らないというたとえ。 正月に餅が食べられても、毎月の朔日(ついたち)に餅が食べられるわけではないという意。
痛棒を食らわす(つうぼうをくらわす)
厳しく叱ったり、責めたりすること。 「痛棒」は座禅で、心が乱れている人を打ち付けるための棒。
吊るし上げを食う(つるしあげをくう)
その場にいる大勢の人たちから厳しく責め立てられること。
東家に食して西家に眠らん(とうかにしょくしてせいかにねむらん)
欲が深いことのたとえ。昔、中国斉の国の美女が両隣の男性から求婚され、東側の家は金持ちだが醜男、西側の家は貧乏だが美男だった。母親がどちらに嫁ぐのか尋ねたところ、昼間は東側の家で過ごし、夜は西側の家で過ごしたいと答えたという故事から。
年を食う(としをくう)
年を取ること。年老いること。
隣の餅も食ってみよ(となりのもちもくってみよ)
世の中の事は、実際に経験しないとわからないというたとえ。 おいしそうに見える隣家の餅も、食べてみなければ味はわからないとの意から。
毒を食らわば皿まで(どくをくらわばさらまで)
一度悪事に手を染めた以上、後戻りはできないので、徹底的に悪に徹しようとすることのたとえ。 どうせ毒を食べてしまったのならば、その皿までなめてしまおうとの意から。
貪欲は必ず身を食う(どんよくはかならずみをくう)
強すぎる欲望は身を滅ぼすという戒め。
無い物食おう(ないものくおう)
十分にある物は欲しがらず、ないとわかっている物をほしがること。わがままを言うこと。 「無い物食おうが人の癖」ともいう。
泣く口は物食う(なくくちはものくう)
泣いているときであっても、食べることだけはやめられないということ。
何食わぬ顔(なにくわぬかお)
事実を知っていながら、何も知らないような顔つきをすること。またはそのような態度をとること。
煮て食おうと焼いて食おうと(にてくおうとやいてくおうと)
どのような扱いをしても問題ないことのたとえ。
煮ても焼いても食えない(にてもやいてもくえない)
どうにも扱いようがなく持て余す様子。また、思いどおりにならず、どうしようもないこと。
塗り箸で素麺を食う(ぬりばしでそうめんをくう)
滑ってはさみにくいことから、物事のやりにくい様子のたとえ。 「塗り箸で素麺(そうめん)を食う」「塗り箸で鰻(うなぎ)を挟む」ともいう。
猫の魚を食わぬ振り(ねこのさかなをくわぬふり)
内心は欲しくてたまらないのに、うわべだけ遠慮することのたとえ。 また、その場だけのことで長続きしないことのたとえ。 猫が大好きな魚を辞退するとの意から。 「猫の精進」「猫の魚を食わぬ振り」ともいう。
弾みを食う(はずみをくう)
他の事柄の影響を受けて、予想外の事態に巻き込まれること。
働かざる者食うべからず(はたらかざるものくうべからず)
怠けて働こうとしない人間に食べる資格はないということ。働かずに遊び暮らす者を戒める言葉。
鳩が豆鉄砲を食ったよう(はとがまめでっぽうをくったよう)
突然のことに驚いて、きょとんとしている様子のたとえ。 「豆鉄砲」は、豆や丸めた紙などを弾に使うおもちゃの鉄砲。 豆鉄砲で撃たれてた鳩が、突然のことにびっくりして目を丸くしている様子から。 「鳩に豆鉄砲」「豆鉄砲を食った鳩のよう」ともいう。
春の夕飯食って三里(はるのゆうめしくってさんり)
春は晩飯を食べたあとでも三里の道を歩けるほど日が長いということ。 「春の夕飯食って三里」ともいう。
馬鹿の大食い(ばかのおおぐい)
愚か者にかぎって大食をするということ。また、食事の作法をわきまえないことの非難していう言葉。 「阿保の大食い」ともいう。
肘鉄砲を食う(ひじでっぽうをくう)
誘いや申し出を拒絶されること。 「肘鉄砲」は肘で突きのけること。転じて、誘いや申し込みをはねつけること。 「食う」は受けること。 「ひじでっぽう」は「ひじてっぽう」ともいう。 また、略して「肘鉄を食う」「肘を食う」ともいう。
肘鉄砲を食わす(ひじでっぽうをくわす)
誘いや申し出を拒絶すること。 「肘鉄砲」は肘で突きのけること。転じて、誘いや申し込みをはねつけること。 「食わす」は、くらわすこと、与えること。 「ひじでっぽう」は「ひじてっぽう」ともいう。 また、「肘鉄砲を食わせる」「肘を食わせる」ともいう。
人衆ければ則ち狼を食らう(ひとおおければすなわちおおかみをくらう)
多数の力が強大であることのたとえ。 人数が多ければ、一人では到底勝てない狼をも倒して食ってしまうとの意から。
人食い馬にも合い口(ひとくいうまにもあいくち)
乱暴者にも頭の上がらない相手や気の合った者がいるように、どんな人間にもその人に合った相手がいることのたとえ。 人に噛み付く癖のある馬でも、相性のいい乗り手に対してはおとなしいことから。 「人噛み馬にも合い口」「人食らい馬にも合い口」ともいう。
一人口は食えぬが二人口は食える(ひとりぐちはくえぬがふたりぐちはくえる)
結婚して二人で暮らせば節約できることが多くなり、無駄が多くなりがちな一人暮らしよりも経済的であるということ。 「二人口は過ごせるが一人口は過ごせぬ」ともいう。
人を食う(ひとをくう)
相手を見下した態度や言動を取ること。
冷や飯を食う(ひやめしをくう)
冷たい扱いをされるたとえ。長男が家督を継ぐとされていた時代、次男以下の男子は冷遇され、家族の食事のあとに冷えた飯を食べていたことから。
不意打ちを食う(ふいうちをくう)
いきなり襲われたり、予想外の災難にあったりすること。
夫婦喧嘩は犬も食わない(ふうふげんかはいぬもくわない)
夫婦喧嘩は長続きせずにすぐに仲直りするものなので、他人が仲裁に入るものではないということ。 何でも食べる犬ですら食べない(気に止めない)との意から。
河豚食う馬鹿、食わぬ馬鹿(ふぐくうばか、くわぬばか)
河豚(ふぐ)には毒があるのでむやみに食べるのも愚かだが、毒を恐れておいしい河豚を食べないのも愚かであるということ。 「河豚食う無分別河豚食わぬ無分別」ともいう。
河豚は食いたし命は惜しし(ふぐはくいたしいのちはおしし)
おいしい河豚は食べたいが、毒にあたって命を落とすのが怖くて手が出せない。いい思いはしたいが、あとのたたりが怖くてためらうことのたとえ。
武士は食わねど高楊枝(ぶしはくわねどたかようじ)
武士は貧しくて食事ができなくても、食べたふりをして楊枝を使い、他人に空腹を見せないようにするということ。転じて、貧しくても誇りを持って生きるべきだということ。
弁当持ち先に食わず(べんとうもちさきにくわず)
お金や物をたくさん持っている人は、なかなか自分の物を使おうとしないことのたとえ。 特に、金持ちが金を使わないことをいう場合が多い。 弁当を運ぶ役目の人は、人より先に弁当を食べたりしないとの意から。
巻き添えを食う(まきぞえをくう)
自分と関係のない事故や事件に巻きこまれて損害をうけること。
味噌の味噌臭きは食われず(みそのみそくさきはくわれず)
いかにも専門家のようにふるまう人は、真にその道の達人とはいえないということ。 いかにも味噌だという味噌くさい味噌は食べられたものではなく、上等な味噌には味噌臭さがないとの意から。
道草を食う(みちくさをくう)
目的地にそのまま向かわず、途中で寄り道をしたり他のことに時間を費やしたりすること。 馬が道端の雑草を食べて、歩みが止まってしまうことから。
身で身を食う(みでみをくう)
自分で自分をだめにすることのたとえ。 自分で自分のからだを食べるとの意から。 「身で身を詰める」ともいう。
無駄飯を食う(むだめしをくう)
仕事をするわけでもなく、毎日ぶらぶらして暮らすこと。
餅屋餅食わず(もちやもちくわず)
日頃から仕事で使用しているものは、自分のためには使用しないということ。 また、他人の面倒を見るばかりで、自分のことには手が回らないこと。 「駕籠舁き」は、駕籠に人を乗せて運ぶことを職業にしている人。 駕籠舁きは、自分の駕籠には乗らないとの意から。
物は言い残せ、菜は食い残せ(ものはいいのこせ、さいはくいのこせ)
言葉と食事は少し控えめな方がよいということ。 言葉は言いすぎてしまうことがあるので思ったことを全部言い尽くさないほうがよく、食事はおかずを少し残すくらいのほうが品がよいとの意から。
夜食過ぎての牡丹餅(やしょくすぎてのぼたもち)
時機を逸して値打ちがなくなったり、ありがたみが薄れてしまうことのたとえ。夜の食事が終わったあとに牡丹餅をもらってもあまりうれしくないことから。
痩せの大食い(やせのおおぐい)
痩せている人が、からだに似合わず案外大食いであるということ。
闇討ちを食う(やみうちをくう)
予期せぬ卑怯な不意打ちにあうこと。 「闇討ち」は、闇の中で不意打ちをする意。 「闇討ちに遭う」ともいう。
行き大名の帰り乞食(ゆきだいみょうのかえりこじき)
はじめに無計画に金を使い、あとでどうにもならなくなること。 旅に出て、行きは大名のように贅沢に金を使い、帰りは旅費が足りなくなり乞食のようなみじめな思いをするとの意から。
夢に餅食う(ゆめにもちくう)
夢ではないかと思うような幸運が舞い込むことのたとえ。 「夢に餅」「夢に餅食う」ともいう。
禄を食む(ろくをはむ)
給料をもらって生計を立てること。
割を食う(わりをくう)
損をすること。または、不利な立場に立たされること。