「ば」を含む故事・ことわざ・慣用句
「ば」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 625 件
変われば変わる(かわればかわる)
人や物がすっかり変わったことに対して、感心したり呆れたりしていう言葉。 「変わる」を強調した言い方。
汗馬の労(かんばのろう)
戦場での功績のこと。また、物事をまとめるために忙しく駆けずり回る苦労のこと。 「汗馬」は馬に汗をかかせることで、馬に汗をかかせるほどの働きとの意から。
看板倒れ(かんばんだおれ)
看板だけが立派で、実情が伴わないこと。 見かけはよくても、内容が乏しいこと。
看板に偽りあり(かんばんにいつわりあり)
外見と中身が一致していないこと。看板に掲げているものと、実際に売っているものが違っているということから。
看板に偽りなし(かんばんにいつわりなし)
外見と中身が一致していること。また、言動に行動が伴っていることのたとえ。看板に掲げているものと、実際に売っているものが同じということから。
看板に傷が付く(かんばんにきずがつく)
店などの信用や評判が落ちること。
看板にする(かんばんにする)
人目をひくために、あるものを宣伝の文句や表向きの名目として掲げて活動を行うこと。 また、飲食店などがその日の営業活動を終わりにすること。 閉店の際に看板をしまうことから。
看板を下ろす(かんばんをおろす)
掲げていた主張などを取り消すこと。 また、その日の営業活動を終わりにすること。営業をやめて廃業すること。
看板を掲げる(かんばんをかかげる)
世間にスローガンや活動内容などをはっきりと示すこと。
雁がたてば鳩もたつ(がんがたてばはともたつ)
身のほども考えず、むやみに人まねしようとすること。渡り鳥である雁が飛び立つのを見て、遠くまで飛べない鳩も飛び立つことから。
雁が飛べば石亀も地団駄(がんがとべばいしがめもじだんだ)
身のほどもわきまえず、むやみに人のまねをしようとすること。 雁が飛び立つのを見て、自分も飛ぼうとした石亀が、飛べずにくやしがって地団駄を踏むことから。 単に「石亀も(の)地団駄」とも、「鷹が飛べば石亀も地団駄」「蛙が飛べば石亀も地団駄」ともいう。
眼を飛ばす(がんをとばす)
悪意をもって、相手の顔を睨みつけること。 また、言いがかりの口実とする行為。
聞けば聞き腹(きけばききばら)
聞かなければ知らずにすんだのに、聞いたばかりに腹立たしくなるということ。
聞けば気の毒、見れば目の毒(きけばきのどく、みればめのどく)
聞けば聞いたで心を悩ませ、見れば見たで心を悩ませる。聞くもの見るものすべて煩悩の種となり気にかかるということ。
雉も鳴かずば撃たれまい(きじもなかずばうたれまい)
無用な発言をして、自ら災いを招くことのたとえ。 雉も鳴かなければ、人間に撃たれることもないのにという意味から。
驥足を展ばす(きそくをのばす)
すぐれた才能を持った人がそれを十分に発揮すること。「驥足」は駿馬のすぐれた脚力のことで、転じてすぐれた才能の意。
北に近ければ南に遠い(きたにちかければみなみにとおい)
一方に都合がよければ、他方には都合が悪いということのたとえ。また、あたりまえであることのたとえ。
来る者は拒まず(きたるものはこばまず)
自分を信じて頼ってくる者は、どんな人間でも拒まないということ。
狐七化け、狸は八化け(きつねななばけ、たぬきはやばけ)
狐は七つのものに化けることができるが、狸は八つのものに化けられる。狐よりも狸のほうが化けるのが上手だということ。 「狐の七化け狸の八化け」ともいう。
来て見ればさほどでもなし富士の山(きてみればさほどでもなしふじのやま)
何事もおおげさに言われるもので、実際に見てみると想像していたほどのものではないことが多いというたとえ。 富士山はすばらしいと言われているけれども、来てみればそれほどの山ではなかったとの意から。
気の利いた化け物は引っ込む時分(きのきいたばけものはひっこむじぶん)
長居する客や、なかなか引退せずに長く地位を占めている人を皮肉って言う言葉。 気の利いた化け物は引き時を心得ているとの意から。 単に「化け物も引っ込む時分」ともいう。
起爆剤になる(きばくざいになる)
ちょっとした事が、重大な事件や運動を引き起こすきっかけとなること。
牙を研ぐ(きばをとぐ)
相手に倒してやろうと、準備をして待ち構える様子。
牙を鳴らす(きばをならす)
歯ぎしりをして怒ったり悔しがったりするさま。また、敵意をむき出しにするさま。
君、辱めらるれば臣死す(きみ、はずかしめらるればしんしす)
主君が恥辱を受けた時には、臣下は命を投げ出しても、主君の恥辱をすすがなければならないということ。
窮すれば通ず(きゅうすればつうず)
行き詰って困りきると、かえって思いがけない道が開けてくるということ。
窮鳥懐に入れば猟師も殺さず(きゅうちょうふところにいればりょうしもころさず)
窮地に陥った者が救いを求めてくれば、どんな事情があっても助けるのが人情であるというたとえ。 追いつめられた鳥が自分のふところに飛び込んでくれば、さすがの猟師も殺したりは出来ないということから。
今日できることを明日まで延ばすな(きょうできることをあすまでのばすな)
やればすぐできることはを、明日やろうと一日延ばしにしないで思いついたらすぐにやれという戒めの言葉。
京へ筑紫に坂東さ(きょうへつくしにばんどうさ)
方向を示す助詞を京都では「へ」、九州では「に」、関東では「さ」を用いるように、地方によって方言に特徴があるということ。
気を配る(きをくばる)
さまざまな方面に配慮したり、注意を払ったりすること。
義理張るより頬張れ(ぎりばるよりほおばれ)
義理を欠くまいと無理な付き合いをするより、自分の利益や暮らしを優先せよということ。
苦あれば楽あり(くあればらくあり)
人生はいつも楽しいことばかりではなく苦しいこともある、逆に苦しいことばかりではなく楽しいこともあるということ。 「楽あれば苦あり」のあとに続けても言う。
薬も過ぎれば毒となる(くすりもすぎればどくとなる)
どんなによいものでも、度が過ぎれば害になるというたとえ。 病気を治すための薬も、適量以上に飲めば害になることから。
口あれば京に上る(くちあればきょうにのぼる)
その気になればなんでもできるというたとえ。 口さえあれば、道を尋ねながら都まででも行くことができるという意味から。
口から出れば世間(くちからでればせけん)
いったん口出したことは、いつの間にか世間に広まるから、口は慎めということ。
口が動けば手が止む(くちがうごけばてがやむ)
話に夢中になると、仕事をする手先がおろそかになるということ。
嘴が黄色い(くちばしがきいろい)
年が若くて経験が浅いことをあざけっていう言葉。ひな鳥の嘴が黄色いことから。
喧嘩過ぎての空威張り(けんかすぎてのからいばり)
喧嘩の最中は意気地なくこそこそし、喧嘩が終わったとたん虚勢を張って強がること。 「喧嘩過ぎての向こう鉢巻」ともいう。
喧嘩両成敗(けんかりょうせいばい)
喧嘩や争いをした者を、理非を問わず、双方とも同じように処罰すること。「成敗」は、処罰の意。
犬馬の心(けんばのこころ)
臣下が主君のために尽くし、恩に報いようとする忠誠心のこと。
犬馬の養い(けんばのやしない)
父母をただ養うだけで、尊敬する気持ちのないこと。 父母を養うのに、ただ衣食の面倒をみるだけで、まるで犬や馬を養うように敬う気持ちがないとの意から。
犬馬の齢(けんばのよわい)
自分の年齢をへりくだっていう言葉。 大きな功績を残すわけでもなく、犬や馬のようにただ重ねただけの年齢との意から。 「犬馬の年」ともいう。
犬馬の労(けんばのろう)
他人のために力を尽くして働くことをへりくだっていう言葉。犬や馬程度の苦労や労働の意から。
檄を飛ばす(げきをとばす)
自分の主張や考えを広く人々に知らせて同意を求めること。 「檄」は、自分の考えや行動を主張して同意を求めるための文書。もとは、古代中国で召集や説諭のために書いた文書のこと。 「発破をかける」「励まして元気付ける」といった意味で使うのは本来誤用とされる。 「激励」などに使われる「激」と「檄」の字が似ていることから生じたものとも考えられているが、「激を飛ばす」と書くのも誤り。
下戸と化け物はない(げことばけものはない)
世の中に化け物がいないように、まったく酒の飲めない人間はいないということ。
下種の一寸、のろまの三寸、馬鹿の開けっ放し(げすのいっすん、のろまのさんずん、ばかのあけっぱなし)
戸を閉める時に、下種は一寸閉め残し、のろまな者は三寸閉め残し、愚か者は開けっ放しにしてしまう。戸の閉め方で、その人の品性・性格がわかるということ。
下馬評(げばひょう)
その人と直接関わりのない人たちが好き勝手に行う批評や噂。
「下馬」は、下馬先(城門や社寺にある馬を待たせておく所)のこと、下馬先で主人を待つ供の者があれこれ批評をしあったことから。げらげら笑いのどん腹立て(げらげらわらいのどんばらたて)
大声で笑っていたかと思うと突然腹を立てるような感情の起伏の激しい人のこと。 「どん腹立て」の「どん」は、腹を立てることを強める接頭語。 「げたげた笑いのどん腹立て」ともいう。
口角、泡を飛ばす(こうかく、あわをとばす)
口の端からつばきを飛ばすほど、激しい調子でしゃべったり、議論したりするようす。
功罪相半ばする(こうざいあいなかばする)
功績と罪過とが半々で、よいとも悪いともいえないということ。
甲張り強くして家押し倒す(こうばりつよくしていえおしたおす)
必要以上の助けは、かえって悪い結果を招いてしまうということ。 「甲張り」は家などが倒れないようにあてがう材木のこと。 家が倒れないようにあてがう材木が強すぎて、逆に家を押し倒してしまうとの意から。 「甲張り」は「勾張り」とも書く。
弘法筆を択ばず(こうぼうふでをえらばず)
名人・達人と呼ばれる人は、どんな道具を使っても良い成果をあげるというたとえ。書の名人の弘法大師は、筆のよしあしを選ばず常にりっぱな字を書いたことから。
紺屋の白袴(こうやのしろばかま)
他人の事に忙しくて、自分のことをする暇がないこと。 「紺屋」は染物屋の総称。もとは、藍染め屋のこと。 染物屋が、自分の袴は染めずにいつも白袴をはいていることから。 一説には、あえて白い袴を身につけることで、染料を扱う技術力の高さ、また少しも袴を汚さないという職人気質を表したともいわれる。 紺屋は「こんや」、白袴は「しらばかま」ともいう。
虎穴に入らずんば虎子を得ず(こけつにいらずんばこじをえず)
危険なことも避けていては、大きな成功は得られないということ。 虎の住む穴に入らなければ、虎の子をつかまえることは出来ないとの意から。
ここばかりに日は照らぬ(ここばかりにひはてらぬ)
太陽が照っているのはここだけではない。つまり、どこに行っても生活できる所はあるという意で、うまくいかなくなって出て行く時の捨て台詞。
心ここに在らざれば視れども見えず(こころここにあらざればみれどもみえず)
心が他のことにとらわれて集中できなければ、視線を向けていても、何も見えないのと同じことであるということ。
心を配る(こころをくばる)
細かいところまで配慮したり、注意を払ったりすること。
乞食の系図話(こじきのけいずばなし)
言ってもどうにもならない愚痴をこぼしたり、見栄を張ったりすること。 「系図」は、代々の家系の系統を書き表したもの。 乞食が落ちぶれる前の系図の自慢話をするとの意から。
乞食も場所(こじきもばしょ)
何事をするにも、場所を選ぶことが大事だというたとえ。 乞食も座る場所によって稼ぎが違うとの意から。
乞食を三日すればやめられぬ(こじきをみっかすればやめられぬ)
悪い習慣が身についてしまうと、なかなか抜けられないというたとえ。 気楽な乞食の暮らしを三日も経験したならばやめることはできないとの意から。 「乞食を三日すれば忘れられぬ」ともいう。
事が延びれば尾鰭が付く(ことがのびればおひれがつく)
物事は長引くと余計な問題が起こって面倒になるので、なるべく早く処理せよということ。
尽く書を信ずれば則ち書無きに如かず(ことごとくしょをしんずればすなわちしょなきにしかず)
批判できる力を持たずに書物読んで、その全てを信じてしまうくらいなら、書物など読まないほうがよいということ。 どんな書物も完ぺきではないので、盲信してはいけないとの意から。
言葉多きは品少なし(ことばおおきはしなすくなし)
口数の多い人は軽薄で品位に欠けるという、おしゃべりを戒める言葉。
言葉が過ぎる(ことばがすぎる)
相手に対して、言わなくてもいいことや失礼なことを言うことのたとえ。
言葉尻を捕らえる(ことばじりをとらえる)
相手の言い間違いをとらえて、攻撃したり皮肉ったりすること。
言葉に甘える(ことばにあまえる)
相手からの親切や好意を受けいれること。 多く、「お言葉に甘えて」の形で使われる。
言葉に余る(ことばにあまる)
ことばだけで表現したり言い尽くしたりすることができない。
言葉の綾(ことばのあや)
言葉を飾って、じょうずに言い表すこと。 解釈の仕方によって、いろいろな意味に受け取れる微妙な表現。 「綾」は美しい織物の模様。 発言が誤解を招いた際の弁明として用いられることが多い。
言葉は国の手形(ことばはくにのてがた)
言葉のなまりは通行手形のように、その人の生まれ育った場所を示すということ。 「訛りは国の手形」「方言は国の手形」ともいう。
言葉は心の使い(ことばはこころのつかい)
心に思っていることは、自然に言葉に表れるということ。
言葉を返す(ことばをかえす)
相手の言ったことに対して答えること。 また、相手に反論したり口答えをしたりすること。 多くは、「お言葉を返す」との形で使われる。
言葉を飾る(ことばをかざる)
美しいことばで巧みに言い表すこと。また、きれいごとを言うこと。
言葉を尽くす(ことばをつくす)
聞く人が理解できるように、思いつくかぎりの言葉を使って詳しく話すこと。
言葉を濁す(ことばをにごす)
はっきりとは明言せず、曖昧な表現で済ますこと。 「口を濁す」ともいう。
子供川端、火の用心(こどもかわばた、ひのようじん)
子どもが川に落ちないように注意することと、火の用心をすることが大事だということ。
子ほど喜ばせにくいものはなく親ほど喜ばせやすいものはない(こほどよろこばせにくいものはなくおやほどよろこばせやすいものはない)
親の愛情を当然と思っている子どもを喜ばせるのは難しいが、親は子どものわずかな孝養でも大喜びするということ。
駒の朝走り(こまのあさばしり)
はじめに元気を出し過ぎて、最後まで続かないことのたとえ。 「駒」は、馬のこと。 馬は出発した朝は元気よく走るが、やがて疲れてしまう元気がなくなることから。 「駒の朝勇み」「小馬の朝駆け(朝勇み)」ともいう。
転ばぬ先の杖(ころばぬさきのつえ)
失敗しないように、前もって準備しておくことのたとえ。 転ぶ前に、あらかじめ杖を用意しておくべきとの意から。
衣ばかりで和尚はできぬ(ころもばかりでおしょうはできぬ)
形だけ整っていても役に立たないということ。また、人は見かけだけでは判断できないということ。 僧衣をまとっただけでは僧侶にはなれないとの意から。
今度と化け物には行き会った事がない(こんどとばけものにはいきあったことがない)
「今度はきっと」などという約束があてにならないことを皮肉った言葉。