「ず」で終わる故事・ことわざ・慣用句
「ず」で終わる故事・ことわざ・慣用句 — 371 件
風する馬牛も相及ばず(ふうするばぎゅうもあいおよばず)
たがいに遠く離れていることのたとえ。 「風」は盛りがつくこと。 盛りのついた馬や牛が、雌雄互いに求め合っても遠く隔たっていて会う事が出来ないとの意から。 転じて、自分とは無関係であること。また、そのような態度をとること。 「風する馬牛も相及ばず(ふうするばぎゅうもあいおよばず)」ともいう。
笛吹けども踊らず(ふえふけどもおどらず)
誘ったり勧めたりしても、相手がそれに応じて動かないことのたとえ。
俯仰、天地に愧じず(ふぎょう、てんちにはじず)
自分にやましいところや恥じるところは何一つないということ。 「俯」はうつむくこと、「仰」はあおぐこと。 うつむいて地に恥じるところがなく、あおいで天に恥じるところがないとの意から。
吹く風枝を鳴らさず(ふくかぜえだをならさず)
世の中がよく治まり平和なようすのたとえ。 吹く風が静かで枝は音も立てないとの意から。
覆水、盆に返らず(ふくすい、ぼんにかえらず)
離縁した夫婦の仲はもとどおりにならないことのたとえ。また、一度してしまったことは取り返しがつかないというたとえ。 中国の太公望が出世して斉に封ぜられた時、離縁した妻が復縁を求めてやってきた。太公望は盆の水をひっくり返し「こぼれた水を元に戻せたら希望通りにしよう」と言って復縁を断ったという故事から。
文は遣りたし書く手は持たず(ふみはやりたしかくてはもたず)
恋文を書いて送りたいが文字が書けない、また代筆を頼むのも恥ずかしいと思い悩む心情をいう言葉。 「文は遣りたし書く手は持たぬ」ともいう。
古川に水絶えず(ふるかわにみずたえず)
栄えた旧家は、衰退してしまってもたやすく潰れることはないというたとえ。また、基礎のしっかりしたものは簡単には壊れないというたとえ。 水が枯れてしまったように見える古い川でも、川底では細々と流れが続いているとの意から。
下手が却って上手(へたがかえってじょうず)
下手な人は念入りに仕事をするので、かえって上手な人より立派な仕上がりになることがあるということ。
弁当持ち先に食わず(べんとうもちさきにくわず)
お金や物をたくさん持っている人は、なかなか自分の物を使おうとしないことのたとえ。 特に、金持ちが金を使わないことをいう場合が多い。 弁当を運ぶ役目の人は、人より先に弁当を食べたりしないとの意から。
仏造って魂入れず(ほとけつくってたましいいれず)
ほとんど仕上がっているのに、肝心な部分が抜け落ちていること。 仏像を作っても、魂を入れ忘れるとの意から。
煩悩の犬は追えども去らず(ぼんのうのいぬはおえどもさらず)
いくら追い払っても離れない犬のように、煩悩というものは、人の心から離れないということ。
負けず劣らず(まけずおとらず)
両者が同じ程度で、優劣がつけにくいこと。互角なさま。
学ぶに暇あらずと謂う者は暇ありと雖も亦学ぶ能わず(まなぶにいとまあらずというものはいとまありといえどもまたまなぶあたわず)
勉強したくても時間がないなどという人は、もともと学ぶ意欲がないのだから、たとえ暇があったとしても勉強はしないということ。
自ら彊めて息まず(みずからつとめてやまず)
自分から進んでつとめ励んで、それを怠らないことのたとえ。「彊」はつとめること、「息まず」は休まない意。
水清ければ魚棲まず(みずきよければうおすまず)
あまりにも心が清らかで真面目な人は、逆に人から敬遠されて孤立してしまうというたとえ。水が清らかすぎると、餌もなく隠れる所もないので魚が棲みつかない意から。
味噌の味噌臭きは食われず(みそのみそくさきはくわれず)
いかにも専門家のようにふるまう人は、真にその道の達人とはいえないということ。 いかにも味噌だという味噌くさい味噌は食べられたものではなく、上等な味噌には味噌臭さがないとの意から。
道に遺を拾わず(みちにいをひろわず)
世の中が太平で人々が満ち足りた暮らしをしていることのたとえ。 「遺」は落ちている物のことで、人々が落ちている物を拾おうとしないほど太平であるとの意から。 「道に遺ちたるを拾わず」ともいう。
三日にあげず(みっかにあげず)
間をおかないで。度々。 高い頻度を表す言葉。
無常の風は時を選ばず(むじょうのかぜはときをえらばず)
風が咲いている花を散らすのに時を選ばないように、人の命もいつ果てるのか、まったく予測はつかないということ。
明鏡も裏を照らさず(めいきょうもうらをてらさず)
どんな賢人でも目が届かないことがあるというたとえ。 曇りのない鏡でも、ものの裏までは映さないことから。
名人は人を謗らず(めいじんはひとをそしらず)
名人は人の欠点を悪く言うようなことはしないということ。
盲蛇に怖じず(めくらへびにおじず)
知識や知恵のない者は、平気で後先のことを考えずに行動してしまうことのたとえ。 盲人は、蛇がいても見えていないので全く怖がらないとの意から。
目は毫毛を見るも睫を見ず(めはごうもうをみるもまつげをみず)
人の欠点は細かい点までわかるが、自分のことはなかなか気がつかないというたとえ。 「毫毛」は細かい毛。 目は細かい毛さえも見ることができるのに、自分の睫(まつげ)は見ることができないとの意から。
物がなければ影ささず(ものがなければかげささず)
原因がなければ結果は起こらないというたとえ。物体がなければ影はできない意から。
焼け石に水(やけいしにみず)
援助や努力がわずかで、何の役にも立たないこと。焼けた石に少量の水をかけても冷めないことから。
痩せ馬鞭を恐れず(やせうまむちをおそれず)
こき使われて疲れた馬は鞭で打たれることに慣れてしまい、鞭を恐れなくなり主人の命令を聞かない。 同じように、生活に困っている人間も刑罰を恐れずに悪事を働くということ。
病は口より入り、禍は口より出ず(やまいはくちよりいり、わざわいはくちよりいず)
病気は飲食物と共に体の中に入り込み、禍は口から出る言葉によって引き起こされる。口は慎まなければいけないという戒めのことば。
山高きが故に貴からず(やまたかきがゆえにたっとからず)
外観がよくても、内容が伴わなければ立派とはいえないということ。物事は見かけだけで判断してはいけないというたとえ。
山の芋鰻とならず(やまのいもうなぎとならず)
世の中では突拍子もない変化は起こらないというたとえ。
矢も楯もたまらず(やもたてもたまらず)
思いつめてじっとしていられない様子。 矢でも楯でも勢いを抑えることができないとの意から。
八幡の藪知らず(やわたのやぶしらず)
迷うこと、また出口がわからなくなることのたとえ。 「八幡の藪知らず」は千葉県市川市八幡の森の通称。 古くから禁足地とされている場所で、一度入ると迷って二度と出られないとの言い伝えがあることから。
勇者は懼れず(ゆうしゃはおそれず)
勇気のある者は信念を持って行動するので臆することがないということ。
悠揚迫らず(ゆうようせまらず)
困難な状況や切迫した事態にも、普段と変わらずゆったりと落ち着いているさま。
往くに径に由らず(ゆくにこみちによらず)
小細工せずに、正大に事をおこなうことのたとえ。「径」は小道・近道・横道のこと。道を行く時は径を通らずに大通りを行くという意味から。
酔いどれ怪我せず(よいどれけがせず)
酔っ払いは足もとがおぼつかないが、案外怪我をしない。我を忘れて無心な人は、大きな失敗をしないものだというたとえ。
洋の東西を問わず(ようのとうざいをとわず)
東洋も西洋も区別なく。世界中どこでも。
欲には目見えず(よくにはめみえず)
欲のために理性を失い、正常な判断ができなくなること。 「欲には目見えず」「欲に目が無い」ともいう。
預言者郷里に容れられず(よげんしゃきょうりにいれられず)
優れた人物であっても、身近な人には認められず尊敬されにくいということ。 すぐれた預言者も、子どもの頃からよく知っている人たちにとっては、普通の人しか思えないため尊ばれないとの意から。
由らしむべし知らしむべからず(よらしむべししらしむべからず)
為政者は人民を施政に従わせればよく、その意義や道理を人民にわからせる必要はないということ。
選れば選り屑(よればよりくず)
欲を出してあれこれ迷って選ぶと、かえって悪い物を選んでしまうということ。
楽人楽を知らず(らくじんらくをしらず)
苦労を知らない人は安楽のありがたさを知らない。苦労してはじめて、安楽の大切さを知るということ。
落花枝に返らず、破鏡再び照らさず(らっかえだにかえらず、はきょうふたたびてらさず)
一度こわれた男女の仲は、再びもとに戻ることはないというたとえ。散り落ちた花は再びもとの枝に返ることはなく、割れた鏡は再び物をうつすことはできない意から。
良工は材を択ばず(りょうこうはざいをえらばず)
すぐれた技術を持つ人は、材料の良し悪しなど問題にしないということ。
両雄並び立たず(りょうゆうならびたたず)
同程度の力を持つ二人の英雄は、必ずどちらかが倒れるまで争うので、共存することは出来ないというたとえ。
論語読みの論語知らず(ろんごよみのろんごしらず)
知識は持っているが、実行が伴わない人をあざけっていう言葉。 書物を読んでも知識として理解するだけで、それを生かして実行できていなかったり真の意義を理解できていなかったりすること。
ローマは一日にしてならず(ろーまはいちにちにしてならず)
大事業は、長い年月の努力なしでは成し遂げられないというたとえ。
我が心石に非ず、転ずべからず(わがこころいしにあらず、てんずべからず)
心が確固として不動であることのたとえ。 自分の心は石ではないから、転がして動かすことはできないということ。
我が身の臭さ我知らず(わがみのくささわれしらず)
自分の欠点はなかなか気がつかないというたとえ。
脇目も振らず(わきめもふらず)
他に心を奪われず、その事だけに一生懸命に取り組んでいるさま。
和して同ぜず(わしてどうぜず)
人と協調していくが、道理を曲げてまでは同調しないということ。
笑う顔に矢立たず(わらうかおにやたたず)
笑顔で接してくる者には、憎しみも自然に消えるというたとえ。