「も」を含む故事・ことわざ・慣用句
「も」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 1267 件
生兵法は大怪我の基(なまびょうほうはおおけがのもと)
中途半端な知識や技術で物事を行うことはきわめて危険であるというたとえ。 「生兵法」は、未熟な兵法や武術のこと。また、十分身についていない知識や技術のこと。 中途半端に身につけた兵法や武術は、頼りになるどころか、かえって大けがの原因になるとの意から。 「生兵法は大疵(おおきず)の基」ともいう。 「基」は「元」とも書く。
名も無い(なもない)
名前が知られていないことのたとえ。 また、有名ではないことのたとえ。
並ぶ者がない(ならぶものがない)
一番優れていて、その人に匹敵する者がいないということ。
鳴り物入り(なりものいり)
大げさに宣伝すること。 「鳴り物」は、歌舞伎で用いられる太鼓や笛などの楽器のこと。
成るは厭なり、思うは成らず(なるはいやなり、おもうはならず)
なかなか物事は思い通りにはいかないというたとえ。 実現しそうなものは気に入らず、反対に気に入ったものはうまくいかないとの意から。 多く、縁談についていう言葉。
成るも成らぬも金次第(なるもならぬもかねしだい)
物事がうまくいくかどうかは、すべて金の力で決まるということ。
爾に出ずるものは爾に返る(なんじにいずるずるものはなんじにかえる)
自分がやった行いの報いは、よいことでも悪いことでも、いつか自分自身に返ってくるということ。
何でも来い(なんでもこい)
どのような事でも受け入れる自信があるさま。
何でも来いに名人なし(なんでもこいにめいじんなし)
何でも器用にこなす人は、何をさせてもそれなりにやってのけるが、どれも名人といえるほどの腕前ではないということ。
何としても(なんとしても)
たとえどのようなことが起きても。
荷が重い(にがおもい)
その人が備えている能力に比べて、責任や負担が重すぎる様子。
憎さも憎し(にくさもにくし)
憎んでも憎みきれないほど憎らしいこと。
憎まれ者世に憚る(にくまれものよにはばかる)
人から憎まれるような者にかぎって、世の中では幅をきかせているということ。 「憚る」とは幅をきかすこと。 「憎まれっ子」は「憎まれ子」ともいう。 また、「憎まれ子国にはびこる」「憎まれ子国にはだかる」「憎まれ子世に出ず」「憎まれ者世に憚る」などともいう。
逃げも隠れもしない(にげもかくれもしない)
責任や追及から逃げず、堂々とその事に当たる様子。
西も東も分からない(にしもひがしもわからない)
その土地の地理がまったくわからないこと。 また、物事の判断がつかないこと。
二十五菩薩もそれぞれの役(にじゅうごぼさつもそれぞれのやく)
二十五菩薩にもそれぞれの役目があるように、人間にも各自の役目があるということ。「二十五菩薩」とは、往生を願う信者が臨終の時に、阿弥陀仏とともに迎えに来るといわれる二十五体の菩薩のこと。
似たものは烏(にたものはからす)
よく似ているさまのたとえ。また、世の中には似たものがたくさんあるということ。
似た者夫婦(にたものふうふ)
夫婦は互いに性格や好みが似てくるものだということ。また、そういう夫婦。
二進も三進も行かない(にっちもさっちもいかない)
物事が行き詰まってどうにもならない様子。 「二進(にっち)」「三進(さっち)」は、そろばんの割り算から出た語で、計算のやりくりの意。
似て非なるもの(にてひなるもの)
外見は似ているけれども、その内実は異なるもののこと。
似ても似つかない(にてもにつかない)
全く似ていないこと。
煮ても焼いても食えない(にてもやいてもくえない)
どうにも扱いようがなく持て余す様子。また、思いどおりにならず、どうしようもないこと。
二兎を追う者は一兎をも得ず(にとをおうものはいっとをもえず)
一度に二つのものを手に入れようと欲張ると、結局どちらも手に入れられなくなることのたとえ。 一度に二匹のうさぎを捕えようとすると、結局一匹も捕らえられないことから。
二度聞いて一度物言え(にどきいていちどものいえ)
人の言うことは何度聞き直してでもよく聞き、自分は口数を少なく余計なことを言わないほうがよいということ。
鰾膠もない(にべもない)
まるで愛想がないこと。 「鰾膠」はニベ科の海魚などの浮き袋から作る強い粘着力のある膠(にかわ)のことで、その粘着力がないことから。
女房の妬くほど亭主もてもせず(にょうぼうのやくほどていしゅもてもせず)
妻が気をもむほど、夫はよその女性にもててはいないということ。
女房は貸すとも擂り粉木は貸すな(にょうぼうはかすともすりこぎはかすな)
すりこぎのように使うと減るものは、他人に貸してはいけないということ。
女房は灰小屋から貰え(にょうぼうははいごやからもらえ)
妻を迎えるなら、自分より格下の家からもらうのがよいということ。 身分の高い家から妻をもらうと、親戚付き合いに苦労したり夫の権威が下がったりする恐れがあるとの意から。 「女房は台所から貰え」「女房は掃き溜めから拾え」「女房は庭から取れ」などともいう。
似るを友(にるをとも)
境遇や性質の似た者同士が親友となること。 「似たるを友」ともいう。
鶏を割くに焉んぞ牛刀を用いん(にわとりをさくにいずくんぞぎゅうとうをもちいん)
小さな事柄を処理するのに、大がかりな手段は必要ないということ。 「焉んぞ」は、どうしての意。 「牛刀」は、牛を料理するときに使う大きな包丁。 鶏をさばくのに、どうして牛刀を使う必要があるだろうかという意味から。
任重くして道遠し(にんおもくしてみちとおし)
任務はきわめて重大で、遂行する道程は遠く、容易ではないということ。
忍の一字は衆妙の門(にんのいちじはしゅうみょうのもん)
忍耐を身につければ、どんなことでも出来るというたとえ。「衆妙の門」は、万物の深遠な道理の入り口のこと。
抜き足して来るひとに碌な者なし(ぬきあししてくるひとにろくなものなし)
音をさせないように近づく者は、何か後ろ暗い所があるので碌(ろく)な者ではないということ。
盗人にも三分の理(ぬすびとにもさんぶのり)
どんなことでも、こじつければ理屈はつけられるということ。 盗みは悪いことだが、それを正当化する三分ほどの理屈があるとの意から。 「泥棒にも三分の道理」「盗人にも一理屈」ともいう。
盗人にも仁義(ぬすびとにもじんぎ)
盗人の世界にも仁義や礼儀があるということ。
盗人の提灯持ち(ぬすびとのちょうちんもち)
悪人の手先となって、手助けをすること。「提灯持ち」は、夜道に提灯を持って先に行く人。転じて、人の手先になって、その人をほめ従う者。
盗人の隙はあれど守り手の隙はなし(ぬすびとのひまはあれどまもりてのひまはなし)
盗難を防ぐのは難しいということ。 盗人はよい機会を狙って盗みに入るので暇もあるが、番をする方は盗人がいつ来るかわからないので休む暇がないことから。
盗人の昼寝も当てがある(ぬすびとのひるねもあてがある)
ひそかに悪事をたくらんで準備をしていること。また、何をするにも思惑があるということ。 盗人が夜の盗みに備えて昼寝をすることから。 「盗人の昼寝も当てがある」ともいう。
盗人も戸締り(ぬすびともとじまり)
盗人も自分の物は盗まれないように戸締りをするということ。
塗り箸で芋を盛る(ぬりばしでいもをもる)
滑ってはさみにくいことから、物事のやりにくい様子のたとえ。 「塗り箸で素麺(そうめん)を食う」「塗り箸で鰻(うなぎ)を挟む」ともいう。
濡れぬ先こそ露をも厭え(ぬれぬさきこそつゆをもいとえ)
一度過ちを犯すと、その後はもっと大きな過ちも平然と犯すようになるというたとえ。 濡れる前は露(つゆ)に濡れることさえ嫌がるが、いったん濡れてしまうといくら濡れても平気になるとの意から。 男女間の過ちについていうことが多い言葉。
根浅ければ則ち末短く、本傷るれば則ち枝枯る(ねあさければすなわちすえみじかく、もとやぶるればすなわちえだかる)
基礎がしっかりしていない物事は発展せず、いずれ衰えるということのたとえ。 「末」は枝や葉、「本」は幹こと。 根が十分張っていなければ枝葉も成長しない、幹がいためばいずれ枝も枯れることから。
願ってもない(ねがってもない)
願ってもかないそうにないことが、幸運にも実現してありがたいと思うさま。
根がなくても花は咲く(ねがなくてもはなはさく)
根がない生け花にも花が咲くように、まったく事実無根のことでも噂が立つことがあるということ。
猫にもなれば虎にもなる(ねこにもなればとらにもなる)
相手や状況しだいで、おとなしくもなれば凶暴にもなるということのたとえ。
猫の手も借りたい(ねこのてもかりたい)
非常に忙しくて手が足りず、誰でもいいから手助けがほしいようす。
猫の額にある物を鼠が窺う(ねこのひたいにあるものをねずみがうかがう)
自分の実力を考えずに、大それたことや無謀なことをしようとすることのたとえ。 猫のそばにある物を、鼠がねらって様子をうかがうことから。
猫も杓子も(ねこもしゃくしも)
なにもかも。だれもかれもみんな。 猫の手と杓子が似ているところから。 また、神主も僧侶もという意味の「禰子(ねこ)も釈氏(しゃくし)」や、女性も子どももという意味の「女子(めこ)も弱子(じゃくし)も」などが語源との説もある。
猫も跨いで通る(ねこもまたいでとおる)
猫も跨いで通り過ぎるほど、おいしくない魚のこと。また、上手に食べ終わって、何も残っていない魚の骨のこと。
熱し易いものは冷め易い(ねっしやすいものはさめやすい)
物事に熱中しやすい人は、飽きるのも早いということ。
寝ても覚めても(ねてもさめても)
いつでも。四六時中。
根に持つ(ねにもつ)
人から受けた仕打ちをいつまでも忘れず、いまだにそのことを恨んでいる様子。
根も葉もない(ねもはもない)
何の根拠もないことのたとえ。
念力岩をも徹す(ねんりきいわをもとおす)
思いを込めて一心に事を行えば、どんなことでも必ずやり遂げられるというたとえ。
嚢中の物を探るが如し(のうちゅうのものをさぐるがごとし)
袋の中の物を探すように、非常に簡単なことのたとえ。 「嚢中」は袋の中。 「袋の物を探るが如し」ともいう。
軒を貸して母屋を取られる(のきをかしておもやをとられる)
一部を貸したために、ついには全部を奪われてしまうことのたとえ。また、恩を仇で返されることのたとえ。
残り物には福がある(のこりものにはふくがある)
最後まで残っている物の中には、意外によいものがあるということ。
喉元過ぎれば熱さを忘れる(のどもとすぎればあつさをわすれる)
苦しいことも過ぎてしまえば忘れてしまうことのたとえ。また、苦しい時に受けた恩義も楽になったら忘れてしまうことのたとえ。 熱いものを飲んでも、のどを過ぎれば口に入れた時の熱さを忘れてしまうことから。
蚤の息も天に上がる(のみのいきもてんにあがる)
誰でも一心に努力すれば望みを叶えられるということ。 一心に事を行えば、蚤のような小さなものの吐息も天に届かせることができるとの意から。
飲む者は飲んで通る(のむものはのんでとおる)
酒飲みは酒代がかかって大変だが、金が無いなら無いなりにやっていくものだということ。
掃き溜めと金持ちは溜まるほど汚い(はきだめとかねもちはたまるほどきたない)
金持ちは、お金がたまればたまるほど欲深くけちになるというたとえ。「掃き溜め」は、ごみ捨て場のこと。
箱根からこっちに野暮と化け物はなし(はこねからこっちにやぼとばけものはなし)
箱根からこちら側(関東を中心とした言い方で東側)には、野暮な人間と化け物はいないということ。江戸っ子が田舎者を相手に自慢する言葉。
箸にも棒にも掛からない(はしにもぼうにもかからない)
能力や程度などが劣っていて、どうにも扱いづらいことのたとえ。また、何の取り得もないことのたとえ。 小さな箸にも、大きな棒にも引っ掛からないとの意から。
箸の転んだもおかしい(はしのころんだもおかしい)
箸が転がるような、些細なことにもよく笑うこと。思春期の娘に対していうことが多い。
箸より重い物を持ったことがない(はしよりおもいものをもったことがない)
裕福な家庭で育てられるなどして、労働の経験がないことのたとえ。 食事で使う箸以上に重たい物を持ったことがないとの意から。 「箸より重い物を持たない」ともいう。
走り馬にも鞭(はしりうまにもむち)
勢いのあるものに、さらに勢いをつけることのたとえ。 走っている馬に、鞭を打ってさらに早く走らせる意から。 「駆ける馬にも鞭」「走る馬に鞭」「駆け馬に鞭」「行く馬に鞭」ともいう。
始めあるものは必ず終わりあり(はじめあるものはかならずおわりあり)
物事には始めがあるように必ず終わりがある。生あるものには必ず死が訪れ、栄えているものはいつか滅びるということ。
始めちょろちょろ、中ぱっぱ、赤子泣くとも蓋取るな(はじめちょろちょろ、なかぱっぱ、あかごなくともふたとるな)
御飯の上手な炊き方をいったもの。炊き始めは弱火で、中ごろは強火にし、途中で蓋を取ってはいけないということ。
働かざる者食うべからず(はたらかざるものくうべからず)
怠けて働こうとしない人間に食べる資格はないということ。働かずに遊び暮らす者を戒める言葉。
裸で物を落とした例なし(はだかでものをおとしたためしなし)
もともと何も持っていない者は、損をする心配がないということ。
八十八夜の別れ霜(はちじゅうはちやのわかれじも)
八十八夜を最後に、霜も降りなくなるということ。「八十八夜」は、立春から数えて八十八日目に当たる五月二日頃。「別れ霜」は晩春の頃、最後に降りる霜のこと。
八分されてもまだ二分残る(はちぶされてもまだにぶのこる)
仲間外れにされても負けないということをしゃれていった言葉。「八分」は「村八分」の略で、仲間外れの意。まだ二分残っているから、完全には負けていないといったもの。
這っても黒豆(はってもくろまめ)
誤りだとわかっていても、主張を押し通そうとすること。 小さな黒い物体を指して黒豆だと言った者が、その黒い物体が這い出したにもかかわらず黒豆だと言い張ることから。
初物七十五日(はつものしちじゅうごにち)
その年の初めての収穫品を食べると、寿命が七十五日延びるということ。
話は下で果てる(はなしはしもではてる)
雑談は、話をしているうちにだんだんと下品になっていき、最後は性に関する話になっておしまいになるということ。
鼻血も出ない(はなぢもでない)
金を全て使い果たして一円もないこと。
花も折らず実も取らず(はなもおらずみもとらず)
欲張って両方を手に入れようとして、結局どちらも得られないことのたとえ。
花も実もある(はなもみもある)
外観と内容がともに充実していること、または人情も道理もわきまえていることのたとえ。 花が咲いて美しいうえに実までなることから。
花を持たせる(はなをもたせる)
身を退いて、勝利や名誉などを人に譲ること。
幅を持たせる(はばをもたせる)
細かい部分を意図的に明言せず、融通が利くようにすること。