「だ」を含む故事・ことわざ・慣用句
「だ」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 545 件
涙に沈む(なみだにしずむ)
深い悲しみのため、嘆き悲しむこと。
涙に咽ぶ(なみだにむせぶ)
こみ上げてくる涙のために、声を詰まらせながら泣くこと。
涙を誘う(なみだをさそう)
おもわず涙を流してしまうさま。
涙を呑む(なみだをのむ)
泣きたいほどの悔しさや無念さを我慢すること。
涙を振るって(なみだをふるって)
私情を捨てて、相手に対してあえて厳しい態度で接すること。 流れでてくる涙を振り払っての意。
涙を揮って馬謖を斬る(なみだをふるってばしゅくをきる)
規律や秩序を維持するために私情を捨て、たとえ愛する者であっても違反した場合には厳しく処罰することのたとえ。 中国の三国時代、蜀の諸葛孔明は、臣下の馬謖が命令に従わずに魏に大敗したため、泣きながら馬謖を斬ったという故事から。
成るも成らぬも金次第(なるもならぬもかねしだい)
物事がうまくいくかどうかは、すべて金の力で決まるということ。
仁王立ち(におうだち)
仁王像のようにしっかりと立つこと。 「仁王」は、寺院の山門の両脇におかれている金剛力士像。 「仁王」は「二王」とも書く。
憎まれ子国にはだかる(にくまれこくににはだかる)
人から憎まれるような者にかぎって、世の中では幅をきかせているということ。 「憚る」とは幅をきかすこと。 「憎まれっ子」は「憎まれ子」ともいう。 また、「憎まれ子国にはびこる」「憎まれ子国にはだかる」「憎まれ子世に出ず」「憎まれ者世に憚る」などともいう。
二八の涙月(にっぱちのなみだづき)
二月と八月は商売が低調で、苦しい月だということ。
女房は台所から貰え(にょうぼうはだいどころからもらえ)
妻を迎えるなら、自分より格下の家からもらうのがよいということ。 身分の高い家から妻をもらうと、親戚付き合いに苦労したり夫の権威が下がったりする恐れがあるとの意から。 「女房は台所から貰え」「女房は掃き溜めから拾え」「女房は庭から取れ」などともいう。
盗人猛猛しい(ぬすっとたけだけしい)
悪事をはたらきながら、平然としていたり、居直ったりすること。
盗人と言えば手を出す(ぬすびとといえばてをだす)
他人に盗人と言われて、手を出して暴れるような者は本当に盗人であるということ。
根浅ければ則ち末短く、本傷るれば則ち枝枯る(ねあさければすなわちすえみじかく、もとやぶるればすなわちえだかる)
基礎がしっかりしていない物事は発展せず、いずれ衰えるということのたとえ。 「末」は枝や葉、「本」は幹こと。 根が十分張っていなければ枝葉も成長しない、幹がいためばいずれ枝も枯れることから。
猫を殺せば七代祟る(ねこをころせばしちだいたたる)
猫は執念深いので、殺せば子孫七代まで祟りがあるという俗説。
根絶やしにする(ねだやしにする)
ものごとの根本から取り除くこと。
寝ていて転んだ例なし(ねていてころんだためしなし)
何もしなければ失敗することもないということ。
狙いを定める(ねらいをさだめる)
目的達成のため、目標となる対象をしっかりと絞り込んで決めること。
寝る子は賢い親助け(ねるこはかしこいおやだすけ)
泣かずによく眠る子どもは、手がかからないので親にとってありがたいということ。
寝る子は育つ(ねるこはそだつ)
よく眠る子は元気で丈夫に育つということ。
上り一日、下り一時(のぼりいちにち、くだりいっとき)
物事を作り上げるのには多くの時間と労力を要するが、壊すのはたやすいことのたとえ。 上るときには一日かかる道も、下るときにはわずかな時間しかかからないとの意から。
上り坂あれば下り坂あり(のぼりざかあればくだりざかあり)
人生には、栄える時もあれば衰える時もあるということ。
蚤の小便、蚊の涙(のみのしょうべん、かのなみだ)
極めてわずかなことのたとえ。
肺肝を砕く(はいかんをくだく)
非常に苦心することのたとえ。「肺肝」は肺臓と肝臓のことで、転じて「心」の意。心が砕けてしまうほど考えるという意味。
杯中の蛇影(はいちゅうのだえい)
疑えば、なんでもないことにまで神経を悩まし苦しむことのたとえ。杯に映った弓の影を蛇と見間違え、蛇を飲んだと思い込んで病気になったが、それが間違いだとわかると、たちまち治ったという故事から。
掃き溜めと金持ちは溜まるほど汚い(はきだめとかねもちはたまるほどきたない)
金持ちは、お金がたまればたまるほど欲深くけちになるというたとえ。「掃き溜め」は、ごみ捨て場のこと。
掃き溜めに鶴(はきだめにつる)
つまらない所に、そこには似つかわしくない優れたものがあることのたとえ。 「掃き溜め」は、ごみ捨て場のこと。 ごみ捨て場に舞い降りた美しい鶴との意から。
箸の転んだもおかしい(はしのころんだもおかしい)
箸が転がるような、些細なことにもよく笑うこと。思春期の娘に対していうことが多い。
恥と頭は搔き次第(はじとあたまはかきしだい)
どんなに恥をかいてもいっこうに平気で、恥ずかしいことを続けていくこと。自由に頭を掻くように、恥をかき続けてもまるで気にしないことから。
始めが大事(はじめがだいじ)
何事も最初が肝心であるということ。最初にとった方法や態度があとあとにまで影響するので、よく考えて事を始めなければならないということ。
始めは処女の如く後は脱兎の如し(はじめはしょじょのごとくのちはだっとのごとし)
最初のうちはおとなしく振る舞って相手を油断させ、その後は見違えるほど素早く行動して敵を倒すこと。 始めは処女のように弱々しく振る舞い、その後は逃げる兎のようにすばやく行動するとの意から。
肌に粟を生ず(はだえにあわをしょうず)
恐ろしい目に遭って、ぞっとする様子。強い恐怖を覚えると皮膚に粟粒のようなものが出来ることから。
裸一貫(はだかいっかん)
自分の体のほかには、資本となるものを持っていないこと。 「貫」は昔の貨幣の単位。銭一千文。 裸の身だけが唯一の資本との意から。 「腕一本」「褌一貫」ともいう。
裸馬の捨て鞭(はだかうまのすてむち)
何もかもなくした状態になったあと、自暴自棄になって無茶苦茶なことをするたとえ。「捨て鞭」は、馬を速く走らせるために尻を鞭打つこと。人も荷物も乗せていない馬の尻を鞭打つということから。
裸で道中はならぬ(はだかでどうちゅうはならぬ)
何事にもそれなりの準備が必要だということ。 無一文では旅は出来ないとの意から。
裸で物を落とした例なし(はだかでものをおとしたためしなし)
もともと何も持っていない者は、損をする心配がないということ。
裸百貫(はだかひゃっかん)
男は無一文の身ひとつでも百貫の値打ちがあるということ。「貫」は昔の貨幣の単位で、一貫は一文銭千枚のこと。「百貫」は、価値があることのたとえ。
肌が合う(はだがあう)
その人と好みや考えなどが合っていること。
肌で感じる(はだでかんじる)
自身が直接経験して感じとること。
肌身離さず(はだみはなさず)
常に持ち歩いている様子。 または、非常に大事にすることのたとえ。
肌を許す(はだをゆるす)
女性が男性の誘いを受け入れて肉体関係を持つこと。
八分されてもまだ二分残る(はちぶされてもまだにぶのこる)
仲間外れにされても負けないということをしゃれていった言葉。「八分」は「村八分」の略で、仲間外れの意。まだ二分残っているから、完全には負けていないといったもの。
鼻声を出す(はなごえをだす)
女性が男性に甘えた声を出すこと。
花より団子(はなよりだんご)
外観より実利があるもののほうがよいということ。 食べられない花より、団子のほうがありがたいという意味から。
早くて悪し大事なし、遅くて悪し猶悪し(はやくてわるしだいじなし、おそくてわるしなおわるし)
早く仕上げた仕事の出来が悪いのは仕方がないが、仕上がりが遅くて出来が悪いのは許しがたいということ。
はやる芝居は外題から(はやるしばいはげだいから)
内容も大切だが、まずは見た目が良くなければならないということ。 人々の話題になるような芝居は、題名からして人をひきつけるものであるとの意から。
腹が立つなら親を思い出せ(はらがたつならおやをおもいだせ)
腹が立って怒りそうになったときには親のことを思い浮かべると、問題を起こして心配をかけたくないという気持ちになって、怒りをしずめることができるということ。 「腹が立つなら親を思い出すが薬」ともいう。
祖母育ちは三百安い(ばばそだちはさんびゃくやすい)
祖母に育てられた子どもは、甘やかされ大切にされるので、わがままで出来の悪い子になるということ。
万斛の涙(ばんこくのなみだ)
とめどなく流れる涙のこと。「斛」は石(こく)で、十斗のこと。万斛は、非常に多い分量のたとえ。
引き合いに出す(ひきあいにだす)
比べたり、参考にしたり、証拠にしたりするために、例として持ち出すこと。
膝とも談合(ひざともだんごう)
困ったときには相手を選ばずに相談したほうがよい、頼りにならないような相手でも何かしらの役には立つということ。 困り果てたときには、自分の膝でさえ相談相手になるとの意から。
膝を正す(ひざをただす)
正しい姿勢で座ること。 または、改まった態度をとること。
膝を乗り出す(ひざをのりだす)
相手の提案などに興味をひかれて乗り気になること。
左団扇(ひだりうちわ)
利き手ではない左手に団扇を持ってゆうゆうとあおぐことから、気楽でゆとりのある暮らしのたとえ。 一般的には利き手ではない左手に団扇を持つことで苦労がない様子を表した言葉。
左褄を取る(ひだりづまをとる)
芸者になること。芸者が左手で着物の褄(つま)を持って歩くところから。
左は勝手、右は得手(ひだりはかって、みぎはえて)
何でも巧みにやれることのたとえ。「勝手」は自由に使いこなせること、「得手」は得意とすること。左手も右手も自由自在に使えるということから。
左鮃右鰈(ひだりひらめみぎかれい)
鮃と鰈の見分け方をいったもの。目がからだの左側にあるのが鮃で、右側にあるのが鰈だということ。
左前(ひだりまえ)
商売などが不振で経済的に苦しくなること。また、左の衽(おくみ)を内側にして和服を着ること。
ひだるい時にまずい物なし(ひだるいときにまずいものなし)
空腹の時は、どんな食べ物でもおいしく感じるということ。 「ひもじい時にまずい物なし」「ひだるい時にまずい物なし」ともいう。
人と入れ物は有り次第(ひとといれものはありしだい)
人と器物は多いほうが便利だが、たとえ少なくてもうまく使えばなんとかなるということ。 「人と入れ物は有り次第」ともいう。
人の子の死んだより我が子の転けた(ひとのこのしんだよりわがこのこけた)
他人の子どもが死んだことよりも、自分の子が転んだことのほうが重要だということ。我が子の大事さのたとえ。また、自分の利益が一番大事ということのたとえ。
人の女房と枯れ木の枝ぶり(ひとのにょうぼうとかれきのえだぶり)
どうでもいいことのたとえ。また、良し悪しをとやかく言うべきでないことのたとえ。人の妻のことや枯れ木の枝ぶりは、あれこれ言ってもしようがないことから。
人は一代、名は末代(ひとはいちだい、なはまつだい)
人のからだは死ねば滅びてしまうが、その人の名は後世にまで残るので、死後に名前を残すような立派なことをせよということ。
人は落ち目が大事(ひとはおちめがだいじ)
人が落ちぶれた時こそ、見捨てずに援助や励ましを与えべきだということ。また、落ち目になった時こそ大事な時であるから、言動に注意すべきだということ。
人は陰が大事(ひとはかげがだいじ)
人間は人目に付く所の行動だけでなく、他人の見ていない所での行動が大事だということ。
一肌脱ぐ(ひとはだぬぐ)
相手を助けるために本気で力を貸すことのたとえ。 仕事をするときの姿、衣服の袖から腕を抜いて上半身の肌をあらわにする「肌脱ぎ」になることから力を尽くすことを意味する。
人は見目よりただ心(ひとはみめよりただこころ)
人は外見の美しさよりも、心の美しいことのほうが大切だということ。 「見目」は見た様子、顔立ちのこと。 単に「見目より心」ともいう。
一人の文殊より三人のたくらだ(ひとりのもんじゅよりさんにんのたくらだ)
優れた人物が一人で考えるより、愚か者でも何人かで考えたほうが良い考えが浮かぶことのたとえ。 「文殊」は知恵をつかさどる菩薩のこと。 「たくらだ」はじゃこう鹿に似た獣。じゃこう鹿を狩る時に、猟師が飛び出してきたたくらだを誤って狩ったことから、自分に無関係なことで死んだり傷ついたりする者のこと。転じて、愚か者・まぬけのことをいう。
火は火元から騒ぎ出す(ひはひもとからさわぎだす)
最初に騒ぎ出した者が、事件の張本人であることが多いということ。火事の時、まず火元の家人が騒ぎ立てることから。
暇を出す(ひまをだす)
使用人に休みを与えること。 または、解雇すること。 また、離縁すること。
火元は七代祟る(ひもとはしちだいたたる)
火事の火元は、周囲に迷惑をかけて長い間うらまれるということ。
百丈の木に登って一丈の枝より落つる(ひゃくじょうのきにのぼっていちじょうのえだよりおつる)
気が緩んだ時に、危険が潜んでいるから気をつけよという戒めの言葉。高い木に登った時は用心しているので落ちることはないが、低い所まで降りると油断して落ちるということから。
百年論定まる(ひゃくねんろんさだまる)
物の価値や人の功績などは長い年月が過ぎてから定まるということ。
放り出しの嗅ぎ出し(ひりだしのかぎだし)
最初に臭いと騒ぎ出すがおならをした当人であるということ。
尾大掉わず(びだいふるわず)
上に立つ者より下の者の勢いが強く、制御しにくいことのたとえ。 尾があまりに大きいと、自由に動かせないとの意から。
貧乏柿の核沢山(びんぼうがきのさねだくさん)
貧乏人に子どもが多いことのたとえ。「貧乏柿」は小さい渋柿、「核」は種のことで、渋柿は実が小さいのに種が多い意から。
貧乏人の子沢山(びんぼうにんのこだくさん)
貧乏な人にかぎって子どもが多いということ。
吹く風枝を鳴らさず(ふくかぜえだをならさず)
世の中がよく治まり平和なようすのたとえ。 吹く風が静かで枝は音も立てないとの意から。
布施だけの経を読む(ふせだけのきょうをよむ)
報酬が少ない時には、仕事に熱が入らずにいい加減になるということ。 「布施」は、僧侶に読経などの謝礼として渡す金品のこと。 布施が少ない時、僧侶は袈裟をつけずに経を読むとの意から。 「布施ない経は読まぬ」「布施だけの経を読む」「布施見て経を読む」ともいう。
札付き(ふだつき)
悪い意味で定評があること。またそのような人や商品。