「ない」を含む故事・ことわざ・慣用句
「ない」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 380 件
内界の財貨(ないかいのざいか)
知識や徳、芸能などのように、人間の心の中に存在する無形の財産のこと。 外部に見えないが、精神や内面的な価値として重要なもの。
無いが意見の総仕舞(ないがいけんのそうじまい)
放蕩(ほうとう)や道楽(どうらく)は、金が尽きれば自然と収まるということ。 放蕩者は、どれだけ忠告しても金がある間は耳を貸さないが、金がなくなれば遊ぶこともできなくなり、忠告の必要もなくなることから。
ないが極楽、知らぬが仏(ないがごくらく、しらぬがほとけ)
貧しい者は贅沢を知らないので、欲に悩むこともなく幸せに暮らしていけるということ。
ない子では泣かれぬ(ないこではなかれぬ)
子育てには苦労があり時には泣かされることもあるが、たとえ苦労させられても子どもはいたほうがよいということ。 「ない子に泣かないが有る子に泣く」「ない子では泣かである子に泣く」などともいう。
内証は火の車(ないしょうはひのくるま)
外見は裕福そうに見えても、内実は非常に苦しく、家計や経済状況が極めて厳しいこと。 外部からはその困窮が分かりにくいが、内輪では財政的に追い詰められている様子。
内心忸怩たる思い(ないしんじくじたるおもい)
自らの行動や過ちに対して、深く恥じ入る気持ちを表す言葉。 自身の至らなさや失敗を強く意識し、申し訳なさや恥ずかしさに駆られる心情。
内助の功(ないじょのこう)
夫が外で十分働けるように、妻が家庭で陰ながら夫を助ける功績のこと。
無い袖は振れない(ないそではふれない)
いくら出したくても持っていなければ出しようがないということ。 着物に袖がなければ、いくら振りたくても振ることはできないとの意から。
無い知恵を絞る(ないちえをしぼる)
難しい問題などに対して、よい方法がないかと必死になって知恵を出すことのたとえ。
泣いて暮らすも一生、笑って暮らすも一生(ないてくらすもいっしょう、わらってくらすもいっしょう)
泣いて暮らすのも笑って暮らすのも、同じ一生に変わりがないのなら、なるべく楽しく暮らすほうがよいということ。
泣いて育てて笑うてかかれ(ないてそだててわろうてかかれ)
子育ては苦労が伴うものだが、子どもを立派に育て上げれば、老後にはその子が世話をしてくれ、安らかな余生を送ることができるということ。 また、将来の安楽のために、今の苦労を惜しまずに子育てに励むべきだという教え。
泣いて馬謖を斬る(ないてばしょくをきる)
規律や秩序を維持するために私情を捨て、たとえ愛する者であっても違反した場合には厳しく処罰することのたとえ。 中国の三国時代、蜀の諸葛孔明は、臣下の馬謖が命令に従わずに魏に大敗したため、泣きながら馬謖を斬ったという故事から。
泣いても笑っても(ないてもわらっても)
今更どんなことをしても。どんなにあがいても。
ない時の辛抱、ある時の倹約(ないときのしんぼう、あるときのけんやく)
金がない時はじっと辛抱し、金のある時は倹約を心がけよということ。
ない名は呼ばれず(ないなはよばれず)
名前のないものは呼びようがないということ。また、何もないところには噂は立たないということ。
無い物食おう(ないものくおう)
十分にある物は欲しがらず、ないとわかっている物をほしがること。わがままを言うこと。 「無い物食おうが人の癖」ともいう。
無い物ねだり(ないものねだり)
ないものや手に入らないものを無理にほしがること。また、実現できないことをむりにもとめること。
無い物は金と化け物(ないものはかねとばけもの)
お金も化け物も、ありそうに見えても実際にはないということ。
ないものはない(ないものはない)
存在しないものはどうしても存在しない、手に入らないものは手に入らない、という意味。 また、すべてのものが揃っている、欠けているものは何もないという意味でも使われる。 状況や文脈によって、対照的な二つの意味を持つ言葉。
中中でもない(なかなかでもない)
とんでもない。思いもよらない。予想をはるかに超えた程度であり、意外な結果や状況を伴う様子。
泣く時は泣いて渡れ(なくときはないてわたれ)
その時々の状況や心情に応じて世間を渡って行けという教え。
泣くに泣けない(なくになけない)
泣きたくても泣けないほど無念で悔しい様子。
情け容赦もない(なさけようしゃもない)
相手に対して遠慮や手加減をすることなく、物事を進める様子。
茄子の花と親の意見は千に一つも無駄はない(なすびのはなとおやのいけんはせんにひとつもむだはない)
茄子の花に無駄花がないように、親が子どもにいう意見もすべて子どもの役に立つことばかりで、一つとして無駄がないということ。
為すようにならないで、なるようになる(なすようにならないで、なるようになる)
世の中は自分の思ったようにはいかず、結局はなるようにしかならないということ。
なってない(なってない)
出来が悪い。お話にならない。問題にならない。なっていない。
名に恥じない(なにはじない)
名声や評判などに、実力が伴っているさま。
名のない星は宵から出る(なのないほしはよいからでる)
最初に出て来るものに、たいしたものはないというたとえ。また、心待ちにしている人は現れず、待ってもいない者が早々にやって来ることのたとえ。
波風が絶えない(なみかぜがたえない)
絶えず揉め事や争い事がある様子。
名も無い(なもない)
名前が知られていないことのたとえ。 また、有名ではないことのたとえ。
並ぶ者がない(ならぶものがない)
一番優れていて、その人に匹敵する者がいないということ。
何の事は無い(なんのことはない)
特別に重要なことではない。大したことではない。
煮え切らない(にえきらない)
考えなどがはっきりとせず、なかなか決断できない様子。態度がはっきりとしない様子。
逃げも隠れもしない(にげもかくれもしない)
責任や追及から逃げず、堂々とその事に当たる様子。
西も東も分からない(にしもひがしもわからない)
その土地の地理がまったくわからないこと。 また、物事の判断がつかないこと。
二進も三進も行かない(にっちもさっちもいかない)
物事が行き詰まってどうにもならない様子。 「二進(にっち)」「三進(さっち)」は、そろばんの割り算から出た語で、計算のやりくりの意。
似ても似つかない(にてもにつかない)
全く似ていないこと。
煮ても焼いても食えない(にてもやいてもくえない)
どうにも扱いようがなく持て余す様子。また、思いどおりにならず、どうしようもないこと。
二の句が継げない(にのくがつげない)
あきれて次に言うべき言葉が出ないこと。「二の句」は次に言う言葉の意。
二の矢が継げない(にのやがつげない)
次に打つべき手段がないことのたとえ。 「二の矢」は、二度目に射る矢。 二度目に射る矢がないとの意から。
鰾膠もない(にべもない)
まるで愛想がないこと。 「鰾膠」はニベ科の海魚などの浮き袋から作る強い粘着力のある膠(にかわ)のことで、その粘着力がないことから。
抜き差しならない(ぬきさしならない)
動きがとれない、のっぴきならない様子。 抜くことも差すこともできないことから。
抜け目がない(ぬけめがない)
自分が損をしないように要領よく振るまう様子。
寧日がない(ねいじつがない)
焦りや不安などから、一日も心の休まる日がないことのたとえ。
願ってもない(ねがってもない)
願ってもかないそうにないことが、幸運にも実現してありがたいと思うさま。
猫でない証拠に竹を描いておき(ねこでないしょうこにたけをかいておき)
へたな絵をあざけっていう言葉。描いた虎が猫に間違えられないように、「竹に虎」の取り合わせで知られる竹を描き足すという意の川柳から。
猫の子一匹いない(ねこのこいっぴきいない)
まったく人がいないようす。
熱が無い(ねつがない)
熱烈な意気込みが感じられない様子。
根も葉もない(ねもはもない)
何の根拠もないことのたとえ。
寝るほど楽はない(ねるほどらくはない)
世の中で、のんびり寝ることほど楽なことはないということ。
退っ引きならない(のっぴきならない)
避けることも退くことも出来ず、動きがとれないようす。また、どうにもならないということ。
歯が立たない(はがたたない)
相手の能力が高すぎて勝負にならないこと。 または、その物事が難しすぎて処理できないこと。 硬くて噛み砕くことができないとの意から。
掃き溜めと金持ちは溜まるほど汚い(はきだめとかねもちはたまるほどきたない)
金持ちは、お金がたまればたまるほど欲深くけちになるというたとえ。「掃き溜め」は、ごみ捨て場のこと。
箸にも棒にも掛からない(はしにもぼうにもかからない)
能力や程度などが劣っていて、どうにも扱いづらいことのたとえ。また、何の取り得もないことのたとえ。 小さな箸にも、大きな棒にも引っ掛からないとの意から。
箸より重い物を持ったことがない(はしよりおもいものをもったことがない)
裕福な家庭で育てられるなどして、労働の経験がないことのたとえ。 食事で使う箸以上に重たい物を持ったことがないとの意から。 「箸より重い物を持たない」ともいう。
始まらない(はじまらない)
既に時機を逃しているため、今からいっても意味はないということ。何にもならない。むだだ。しょうがない。
鼻息が荒い(はないきがあらい)
物事に取り組もうとする意気込みが激しい様子。
鼻息を窺う(はないきをうかがう)
相手の機嫌や考えをそれとなく探ること。
花一時、人一盛り(はないっとき、ひとひとさかり)
花が咲き誇るのもほんの一時であるように、人も盛んな時はごく短い一時期に過ぎないということ。
端から和尚はない(はなからおしょうはない)
物事には順序や段階があり、一足飛びには上に進めないというたとえ。「端」は、物事の最初の意。
話にならない(はなしにならない)
話し合いができる状態ではないこと。 または、酷すぎて話す価値がないこと。
鼻血も出ない(はなぢもでない)
金を全て使い果たして一円もないこと。
歯の根が合わない(はのねがあわない)
寒さや恐怖で身体がふるえ、歯をかみしめていることが出来ないようす。
春の雪とおばの杖は怖くない(はるのゆきとおばのつえはこわくない)
春の雪はたとえ大雪でもすぐに溶ける。また、おばが杖で叩いても力が弱い。恐れるに足りないことを並べていった語。
馬鹿と暗闇おっかない(ばかとくらやみおっかない)
暗闇も怖いが、馬鹿も何をしでかすか予想できないので恐ろしいということ。
馬鹿に付ける薬はない(ばかにつけるくすりはない)
愚かな者の頭を賢くする薬はない。愚か者は救いようがないということ。
馬鹿は死ななきゃ治らない(ばかはしななきゃなおらない)
愚か者の性質は治そうとしても治らない、手の施しようがないということ。
ぱっとしない(ぱっとしない)
これといって目立つところがない様子。
日が当たらない(ひがあたらない)
地位や環境などに恵まれないこと。
引くに引けない(ひくにひけない)
引き下がりたいと思っても、立場や状況などから簡単には引き下がれない状態にあること。
一筋縄では行かない(ひとすじなわではいかない)
普通のやり方では思うようにいかない、うまく対処できないこと。 「一筋縄」は一本の縄のことで、普通のやり方のたとえ。 一本の縄だけでは対処できず、二本、三本と使うような状態との意から。
火のない所に煙は立たぬ(ひのないところにけむりはたたぬ)
火の気がない所に煙が立たないように、根拠がまったくないところに噂は立たない。噂が立つのは、なんらかの根拠があるはずだということ。
暇ほど毒なものはない(ひまほどどくなものはない)
暇があって時間を持て余すと、つまらない事を考えたり、しでかしたりする。暇になるとろくなことはないということ。
平仄が合わない(ひょうそくがあわない)
話のつじつまが合わないこと。 「平仄」は、漢詩を作る時の平声字と仄声字の配列の規則、転じて物事の道理。道筋。
びくともしない(びくともしない)
その物に何をしても少しも動かないこと。 または、何があっても動揺したり、驚いたりしないこと。
風采が上がらない(ふうさいがあがらない)
容姿や服装などの見た目が質素で垢抜けていないこと。
夫婦喧嘩は犬も食わない(ふうふげんかはいぬもくわない)
夫婦喧嘩は長続きせずにすぐに仲直りするものなので、他人が仲裁に入るものではないということ。 何でも食べる犬ですら食べない(気に止めない)との意から。
夫婦喧嘩もないから起こる(ふうふげんかもないからおこる)
金がなくて生活が苦しいと、しなくてもよい夫婦喧嘩も起こるということ。
布施ない経に袈裟を落とす(ふせないきょうにけさをおとす)
報酬が少ない時には、仕事に熱が入らずにいい加減になるということ。 「布施」は、僧侶に読経などの謝礼として渡す金品のこと。 布施が少ない時、僧侶は袈裟をつけずに経を読むとの意から。 「布施ない経は読まぬ」「布施だけの経を読む」「布施見て経を読む」ともいう。
二つよいことはない(ふたつよいことはない)
一方に都合のよいことは、もう一方には都合が悪く、どちらにもよいことはないということ。