「つ」を含む故事・ことわざ・慣用句
「つ」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 1117 件
軒を連ねる(のきをつらねる)
ぎっしりと家が立ち並んでいるさま。
熨斗を付ける(のしをつける)
人に物を喜んで進呈するたとえ。
喉元過ぎれば熱さを忘れる(のどもとすぎればあつさをわすれる)
苦しいことも過ぎてしまえば忘れてしまうことのたとえ。また、苦しい時に受けた恩義も楽になったら忘れてしまうことのたとえ。 熱いものを飲んでも、のどを過ぎれば口に入れた時の熱さを忘れてしまうことから。
述べて作らず(のべてつくらず)
昔から伝えられていることを述べるだけで、自分の意見は差し挟まないということ。
鑿と言えば槌(のみといえばつち)
万事に気が利くこと。また、気を利かすべきだという教え。 鑿をくれと言われれば、それを使う時に必要な槌も一緒に渡すとの意から。
飲む、打つ、買う(のむ、うつ、かう)
男の道楽の代表的なものを並べたことば。大酒を飲む、博打を打つ、女を買うこと。
吐いた唾は呑めぬ(はいたつばはのめぬ)
一度口から出した言葉は取り消すことができないというたとえ。発言には十分注意するようにとの戒めのことば。
吐いた唾を呑む(はいたつばをのむ)
一度言ったことを無責任にひるがえすこと。
肺腑を衝く(はいふをつく)
心の奥底に衝撃を与えることのたとえ。また、深い感銘を与えることのたとえ。 「肺腑」は肺臓のこと。転じて心の底のこと。 「衝く」は「突く」とも書く。 また、「肺腑を貫く」「肺腑を抉る」ともいう。
謀は密なるを貴ぶ(はかりごとはみつなるをたっとぶ)
計略は秘密に進めることが大事だということ。 「謀は密なるを良しとす」ともいう。
掃き溜めに鶴(はきだめにつる)
つまらない所に、そこには似つかわしくない優れたものがあることのたとえ。 「掃き溜め」は、ごみ捨て場のこと。 ごみ捨て場に舞い降りた美しい鶴との意から。
箔が付く(はくがつく)
値打ちが上がること。貫禄がつくこと。「箔」は金属を紙のように薄くたたきのばしたもの。その箔が付いて立派になることから。
白髪三千丈(はくはつさんぜんじょう)
長年の悲しみや心配のために、白髪が非常に長く伸びることを誇張して言った言葉。
走れば躓く(はしればつまずく)
物事は急ぐと失敗しやすいので、落ち着いてじっくり取り組めということ。 焦って走ると、躓(つまづ)いて転んでしまうとの意から。
蜂の巣をつついたよう(はちのすをつついたよう)
大騒ぎになって、手がつけられない様子。蜂の巣をつつくと、多くの蜂がいっせいに飛び出す様子から。
白虹日を貫く(はっこうひをつらぬく)
臣下が君主に対して反乱を起こす予兆のたとえ。白い虹は武器、太陽は君主の象徴と解釈され、白い虹が太陽を貫いてかかることから、兵乱が起こり君主に危害を加える前兆とされたことから。
初物七十五日(はつものしちじゅうごにち)
その年の初めての収穫品を食べると、寿命が七十五日延びるということ。
鳩を憎み豆を作らぬ(はとをにくみまめをつくらぬ)
つまらないことにこだわって、大事なことをしないために、自分や世間に損害を招くことのたとえ。鳩が豆をついばむのを嫌がって、豆を作るのをやめてしまうということから。
話を詰める(はなしをつめる)
しっかりと結論が出せるところまで議論を進めること。
鼻っ柱が強い(はなっぱしらがつよい)
相手に負けまいとする気持ちが強く、簡単に主張を曲げたり、くじけたりしないこと。
鼻に反りを打つ(はなにそりをうつ)
鼻高々と自慢すること。「反りを打つ」とは反りかえらせるという意。
鼻に付く(はなにつく)
似たようなことが何度も繰り返され、飽きて嫌になること。 または、人の言動が煩わしく感じて嫌になること。 嫌な臭いが鼻に付いて消えなくなるという意味から。
腹が立つ(はらがたつ)
怒ること。立腹すること。
腹が立つなら親を思い出せ(はらがたつならおやをおもいだせ)
腹が立って怒りそうになったときには親のことを思い浮かべると、問題を起こして心配をかけたくないという気持ちになって、怒りをしずめることができるということ。 「腹が立つなら親を思い出すが薬」ともいう。
腹鼓を打つ(はらつづみをうつ)
満腹になって満足し、鼓を鳴らすように腹を叩いて音を鳴らすこと。 「腹鼓」は「はらつづみ」と読むのが正しいとされるが、「はらづつみ」と読まれる場合も多く、一般的となっている。
腹に一物(はらにいちもつ)
心に何かたくらみを抱いていること。 「腹」は心の中のこと。 「胸に一物」ともいう。
腹の立つ事は明日言え(はらのたつことはあすいえ)
腹立たしくても怒りに任せて物を言うのではなく、じっくりと考えてから言うほうが失言しないということ。
腹の立つように家蔵建たぬ(はらのたつようにいえくらたたぬ)
世の中には腹が立つことが多いので、腹を立てるのは簡単だが、家や蔵を建てるくらいの金を稼ぐのは簡単にはいかないということ。
春の雪とおばの杖は怖くない(はるのゆきとおばのつえはこわくない)
春の雪はたとえ大雪でもすぐに溶ける。また、おばが杖で叩いても力が弱い。恐れるに足りないことを並べていった語。
葉を欠いて根を断つ(はをかいてねをたつ)
小さな欠点を直そうして、根本をだめにしてしまうことのたとえ。余分な枝葉を刈り取ろうとして、大事な根を傷つけてしまうということから。
半畳を打つ(はんじょうをうつ)
他人の言動を茶化したり野次ったりすることのたとえ。 「半畳」は、芝居小屋などで見物人が敷いた小さなござのこと。 芝居に不満な時、その半畳を舞台に投げ込んだことから。 「半畳を打つ」ともいう。
馬鹿があればこそ利口が引き立つ(ばかがあればこそりこうがひきたつ)
愚かな人間がいて利口な人間が目立つように、世の中は種々雑多な人間で成り立っている。世の中はさまざまな人間が、持ちつ持たれつの関係で生きているということ。
馬鹿と鋏は使いよう(ばかとはさみはつかいよう)
人を使うときは、使い方次第で役に立たせることができるということ。 鋏(はさみ)も使い方次第で切れたり切れなかったりするように、愚かな人間も上手に使えば役に立つということ。
馬鹿に付ける薬はない(ばかにつけるくすりはない)
愚かな者の頭を賢くする薬はない。愚か者は救いようがないということ。
馬鹿の一つ覚え(ばかのひとつおぼえ)
愚か者が、たった一つ覚えていることを得意げに振りかざすことをあざけっていう言葉。
博打を打つ(ばくちをうつ)
失敗する可能性が高いと分かった上で成功することに期待してやってみること。
ばつが悪い(ばつがわるい)
その場に居続けることが気まずいと感じること。
ばつを合わせる(ばつをあわせる)
その場の状況に応じて調子を合わせること。
万卒は得易く、一将は得難し(ばんそつはえやすく、いっしょうはえがたし)
平凡な人物はたくさんいるが、優秀な人物に巡り会うのは難しいということ。 平凡な兵士を集めることは難しくないが、一人の名将を得ることは難しいとの意から。
膝を打つ(ひざをうつ)
何か思いついたり、感心したりした時に行う動作。
肘鉄を食う(ひじてつをくう)
誘いや申し出を拒絶されること。 「肘鉄砲」は肘で突きのけること。転じて、誘いや申し込みをはねつけること。 「食う」は受けること。 「ひじでっぽう」は「ひじてっぽう」ともいう。 また、略して「肘鉄を食う」「肘を食う」ともいう。
秘事は睫(ひじはまつげ)
目のすぐそばにある睫が見えないように、秘事・秘伝は案外身近にあるが、容易に気がつかないものだということ。
額を集める(ひたいをあつめる)
関係者が集まって話し合いをすること。
羊を以て牛に易う(ひつじをもってうしにかう)
小さな物を大きな物の代わりにするたとえ。また、本質に変わりがないが、工夫して少しでも良くしようとするたとえ。いけにえの牛をあわれんで羊を代用するということから。
筆舌に尽くし難い(ひつぜつにつくしがたい)
文章でも言葉でも十分に表現できないということ。「筆舌」は、文章と言葉の意。
必要の前に法律なし(ひつようのまえにほうりつなし)
必要に迫られた緊急事態の時は、法律など気にしていられないということ。
必要は発明の母(ひつようははつめいのはは)
発明は必要に迫られるからこそ生まれるということ。
人衆ければ天に勝つ(ひとおおければてんにかつ)
人の勢力が強い時は、道理に背いても、一時的には天の理に勝つこともあるということ。
一芝居打つ(ひとしばいうつ)
作り事を言ったり、見せたりして人を騙そうとすること。
一つ穴の貉(ひとつあなのむじな)
一見無関係のように見えて、実は同類・仲間であることのたとえ。 多くは悪事をはたらく仲間のことをいう。 「同じ穴」は「一つ穴」とも、「貉」は「狸」「狐」ともいう。
一つ釜の飯を食う(ひとつかまのめしをくう)
同じ職場で働いたり苦楽を共にしたりすること。また、そのように過ごす親しい仲間のこと。 「一つ釜の飯を食う」ともいう。
一つ事は同じ事(ひとつことはおなじこと)
言い方を変えてみても、結局言っていることは同じ事だということ。わかりきっている、という気持ちを表す言葉としても使う。
一粒の麦(ひとつぶのむぎ)
人々を幸福にするために、自ら進んで犠牲になる人のたとえ。また、その行為のこと。一粒の麦が地に落ちることによって多くの実を結び、永遠の命を得ると説いたキリストの言葉から。
一つ間違えば(ひとつまちがえば)
一つでも悪いことがあれば最悪の事態になる可能性があることを表す言葉。
一つ屋根の下に住む(ひとつやねのしたにすむ)
同じ家で共に暮らすこと。
一つよければまた二つ(ひとつよければまたふたつ)
人間の欲望には限りがないということ。 一つ願いが叶えば、もう一つ、さらにもう一つと欲が出て満足することがないとの意から。
人に勝たんと欲する者は必ず先ず自ら勝つ(ひとにかたんとほっするものはかならずまずみずからかつ)
人に勝とうと思うなら、まず自分自身の色々な欲望に打ち勝つ必要があるということ。
人に施しては慎みて念うこと勿れ(ひとにほどこしてはつつしみておもうことなかれ)
他人に与えた恩恵のことは、恩着せがましくならないように、早くその事を忘れるように心がけよということ。
人は一代、名は末代(ひとはいちだい、なはまつだい)
人のからだは死ねば滅びてしまうが、その人の名は後世にまで残るので、死後に名前を残すような立派なことをせよということ。
人は病の器(ひとはやまいのうつわ)
人はいろいろな病気にかかりやすく、まるで病の入れ物みたいであるということ。
人を呪わば穴二つ(ひとをのろわばあなふたつ)
人に悪いことをすれば、いつか自分の身にもはね返ってくるというたとえ。 「穴」は、墓穴のこと。 人を呪い殺そうとすれば、いつか自分もその報いで殺されることになるので、二つの墓穴が必要になるとの意から。
日に就り、月に将む(ひになり、つきにすすむ)
学業や事業などが着実に進むことのたとえ。 「就り」は成り、「将む」は進むこと。 事が日ごとに成り、月ごとに進むとの意から。
陽の照っているうちに干し草を作れ(ひのてっているうちにほしくさをつくれ)
好機は逃さずに役に立てよということ。 「太陽の照っているうちに干し草を作れ」ともいう。
暇を潰す(ひまをつぶす)
空いている時間を、何か別のことをして過ごすこと。
百丈の木に登って一丈の枝より落つる(ひゃくじょうのきにのぼっていちじょうのえだよりおつる)
気が緩んだ時に、危険が潜んでいるから気をつけよという戒めの言葉。高い木に登った時は用心しているので落ちることはないが、低い所まで降りると油断して落ちるということから。
百日の説法、屁一つ(ひゃくにちのせっぽう、へひとつ)
長い間苦労してきたことが、わずかな失敗によって無駄になってしまうことのたとえ。 百日間も説いてきた説法も、お坊さんのおならを一つでありがたみがなくなってしまうとの意から。
百年河清を俟つ(ひゃくねんかせいをまつ)
いつまで待っても実現する見込みがないことのたとえ。また、どんなに待っても無駄なことのたとえ。 常に濁っている中国の黄河の水が澄むのを百年待ち続けることから。 単に「河清を俟つ」、また「百年黄河の澄むを俟つ」ともいう。
瓢箪に釣り鐘(ひょうたんにつりがね)
差がありすぎて比べものにならないことのたとえ。また、釣り合いがとれないことのたとえ。瓢箪も釣り鐘もつり下げることは出来るが、重さも大きさも比較にならないことから。
火を付ける(ひをつける)
物に点火すること。または、事件や議論などの原因を作ること。
貧ほど辛いものはなし(ひんほどつらいものはなし)
悲しいことやつらいことがたくさんある世の中で、貧乏ほどつらいことはないということ。
微に入り細を穿つ(びにいりさいをうがつ)
非常に細かいところまで気を配る様子。
ピリオドを打つ(ぴりおどをうつ)
物事を終わりにすること。
風雲急を告げる(ふううんきゅうをつげる)
大事変が今にも起こりそうな、緊迫した情勢のたとえ。
富貴には他人集まり、貧賤には親戚も離る(ふうきにはたにんあつまり、ひんせんにはしんせきもはなれる)
地位や財産のある者には赤の他人も寄ってくるが、貧乏な者には親戚さえも寄り付かないということ。
風雪に耐える(ふうせつにたえる)
困難なことや辛いことなどに耐えて、それを乗り越えること。
斧鉞を加える(ふえつをくわえる)
文章に手を加えて直すこと。添削すること。 「斧鉞」は斧(おの)と鉞(まさかり)のこと。 斧や鉞で削るとの意から。
河豚食う無分別、河豚食わぬ無分別(ふぐくうむふんべつ、ふぐくわぬむふんべつ)
河豚(ふぐ)には毒があるのでむやみに食べるのも愚かだが、毒を恐れておいしい河豚を食べないのも愚かであるということ。 「河豚食う無分別河豚食わぬ無分別」ともいう。
符節を合するが如し(ふせつをがっするがごとし)
二つのものがぴったり合うことのたとえ。 「符節」は、後日の証拠とするために、木や竹の札に文字などを書き中央に割り印を押して二つに割り、二人が一片ずつ持つようにしたもの。 その符節を合わせたように一致するとの意から。 「符節を合わすが如し」ともいう。
二つに一つ(ふたつにひとつ)
二つの内の一方。 または、二つのどちらかを選ばなければならない状態。
二つ返事で(ふたつへんじで)
間を置かずに快諾する様子。