「な」から始まる故事・ことわざ・慣用句
「な」から始まる故事・ことわざ・慣用句 — 239 件
名有り(なあり)
有名であること。名声があり、広く知られていること。著名。
名有りて実無し(なありてじつなし)
名声や評判ばかりが立派で、実際の内容や実力が伴わないこと。[[有名無実*https://yoji.jitenon.jp/member/yojic/1229]]とも。
内界の財貨(ないかいのざいか)
知識や徳、芸能などのように、人間の心の中に存在する無形の財産のこと。 外部に見えないが、精神や内面的な価値として重要なもの。
無いが意見の総仕舞(ないがいけんのそうじまい)
放蕩(ほうとう)や道楽(どうらく)は、金が尽きれば自然と収まるということ。 放蕩者は、どれだけ忠告しても金がある間は耳を貸さないが、金がなくなれば遊ぶこともできなくなり、忠告の必要もなくなることから。
ないが極楽、知らぬが仏(ないがごくらく、しらぬがほとけ)
貧しい者は贅沢を知らないので、欲に悩むこともなく幸せに暮らしていけるということ。
ない子では泣かれぬ(ないこではなかれぬ)
子育てには苦労があり時には泣かされることもあるが、たとえ苦労させられても子どもはいたほうがよいということ。 「ない子に泣かないが有る子に泣く」「ない子では泣かである子に泣く」などともいう。
内証は火の車(ないしょうはひのくるま)
外見は裕福そうに見えても、内実は非常に苦しく、家計や経済状況が極めて厳しいこと。 外部からはその困窮が分かりにくいが、内輪では財政的に追い詰められている様子。
内心忸怩たる思い(ないしんじくじたるおもい)
自らの行動や過ちに対して、深く恥じ入る気持ちを表す言葉。 自身の至らなさや失敗を強く意識し、申し訳なさや恥ずかしさに駆られる心情。
内助の功(ないじょのこう)
夫が外で十分働けるように、妻が家庭で陰ながら夫を助ける功績のこと。
無い袖は振れない(ないそではふれない)
いくら出したくても持っていなければ出しようがないということ。 着物に袖がなければ、いくら振りたくても振ることはできないとの意から。
無い知恵を絞る(ないちえをしぼる)
難しい問題などに対して、よい方法がないかと必死になって知恵を出すことのたとえ。
泣いて暮らすも一生、笑って暮らすも一生(ないてくらすもいっしょう、わらってくらすもいっしょう)
泣いて暮らすのも笑って暮らすのも、同じ一生に変わりがないのなら、なるべく楽しく暮らすほうがよいということ。
泣いて育てて笑うてかかれ(ないてそだててわろうてかかれ)
子育ては苦労が伴うものだが、子どもを立派に育て上げれば、老後にはその子が世話をしてくれ、安らかな余生を送ることができるということ。 また、将来の安楽のために、今の苦労を惜しまずに子育てに励むべきだという教え。
泣いて馬謖を斬る(ないてばしょくをきる)
規律や秩序を維持するために私情を捨て、たとえ愛する者であっても違反した場合には厳しく処罰することのたとえ。 中国の三国時代、蜀の諸葛孔明は、臣下の馬謖が命令に従わずに魏に大敗したため、泣きながら馬謖を斬ったという故事から。
泣いても笑っても(ないてもわらっても)
今更どんなことをしても。どんなにあがいても。
ない時の辛抱、ある時の倹約(ないときのしんぼう、あるときのけんやく)
金がない時はじっと辛抱し、金のある時は倹約を心がけよということ。
ない名は呼ばれず(ないなはよばれず)
名前のないものは呼びようがないということ。また、何もないところには噂は立たないということ。
無い物食おう(ないものくおう)
十分にある物は欲しがらず、ないとわかっている物をほしがること。わがままを言うこと。 「無い物食おうが人の癖」ともいう。
無い物ねだり(ないものねだり)
ないものや手に入らないものを無理にほしがること。また、実現できないことをむりにもとめること。
無い物は金と化け物(ないものはかねとばけもの)
お金も化け物も、ありそうに見えても実際にはないということ。
ないものはない(ないものはない)
存在しないものはどうしても存在しない、手に入らないものは手に入らない、という意味。 また、すべてのものが揃っている、欠けているものは何もないという意味でも使われる。 状況や文脈によって、対照的な二つの意味を持つ言葉。
苗の莠有るが若し(なえのゆうあるがごとし)
善人の中に悪人が交じっていることのたとえ。 「莠」は、はぐさ。穀物の稲に似た雑草で、稲の苗の成長を害する。 悪人が善人の中に紛れ込んでいる状況を、稲の苗の中に雑草である莠(はぐさ)が混じっている様子にたとえた言葉。
直き木に曲がる枝(なおききにまがるえだ)
どんなに正しい人でも欠点や弱点があることのたとえ。 まっすぐな木にも曲がった枝がついているとの意から。
なおのこと(なおのこと)
ある事柄に対して、さらに程度や影響が増す様子を表す言葉。 特定の条件や状況によって、元々の状況がさらに強調されたり、必然性が一層強まったりすることを意味する。 「なお」を強めた表現で、「なおさら」と同義。
鳴かず飛ばず(なかずとばず)
将来に備えて、じっと機会をうかがっていることのたとえ。
仲立ちより逆立ち(なかだちよりさかだち)
他人の間に立って仲介をすることは非常に気苦労が多く、時には骨が折れる作業であるため、むしろ逆立ちでもしていた方が楽だということ。
中中でもない(なかなかでもない)
とんでもない。思いもよらない。予想をはるかに超えた程度であり、意外な結果や状況を伴う様子。
仲に立つ(なかにたつ)
仲介役として、両者の間にはいること。
仲に入る(なかにはいる)
対立している両者の間にはいって、両者の関係が修復するようにつとめること。
鳴かぬなら鳴くまで待とう時鳥(なかぬならなくまでまとうほととぎす)
好機が来るまで、辛抱強く待つということ。徳川家康が詠んだとされ、家康の辛抱強い性格を表した句。 これに対し、織田信長が「鳴かぬなら殺してしまえ時鳥」、豊臣秀吉が「鳴かぬなら鳴かしてみせよう時鳥」と詠んだとされている。
仲のよいで喧嘩する(なかのよいでけんかする)
仲が良ければ良いほど、互いに遠慮や我慢がなくなり、かえって喧嘩に発展することが多いということ。 親しい間柄であるがゆえに、意見や感情を率直に出し合い、衝突が生じやすくなることを表す言葉。
仲を裂く(なかをさく)
親しい者同士や愛し合う者同士を無理に引きはなすこと。
仲を取り持つ(なかをとりもつ)
双方の仲立ちをすること。
中を取る(なかをとる)
中間をとること。折衷する。どちらか一方に偏ることなく、適度な解決策を見出すこと。 または、間にはいる。二者間に入り、仲裁すること。
長い浮き世に短い命(ながいうきよにみじかいいのち)
この世が長く続いているのに比べて、人の命ははかなく短いということ。 「長い月日に短い命」ともいう。
長生きは恥多し(ながいきははじおおし)
長く生きていれば、それだけ恥をかく事も多くなるということ。 「恥」は「辱」とも書く。 また、「長生きは恥多し」「長生きすれば恥多し」「長命すれば恥多し」などともいう。
長居する鷺蟇目に遭う(ながいするさぎひきめにあう)
長く同じ場所に留まっている鷺は、目立つために人間に狙われ、蟇目の矢(矢の一種である鏑矢)で射られる。 長居は慎むべきであるという戒め。 「長居する鷺汁になる」ともいう。
永い眠りにつく(ながいねむりにつく)
死ぬことを眠りに見立てた婉曲(えんきょく)表現。直接的な死の表現を避け、穏やかな眠りにたとえることで、故人への哀悼と慎ましさを表す。
長居は恐れ(ながいはおそれ)
他人の家に長く居るのはよくないということ。
長居は無用(ながいはむよう)
その場に長く居るのはよくないので、早々に引き上げたほうがよいということ。
長い目で見る(ながいめでみる)
現状だけで判断せず、気長に将来を見守ること。
長芋で足を突く(ながいもであしをつく)
思いもよらぬ弱者や無力な存在に足をすくわれ、失敗すること。 また、通常では考えられないような誇張された出来事のたとえ。 「芋幹」は「芋茎」、「衝く」は「突く」とも書く。 また、「長芋で足を突く」ともいう。
長い物には巻かれろ(ながいものにはまかれろ)
力のある者には反抗せずに、おとなしくしているのが得策だということ。
長い草鞋を履く(ながいわらじをはく)
1.旅に出発すること。 2.罪を犯した者が、追及を逃れるために土地を離れて旅に出ること。 3.商人や仲介者が、取引において価格を偽ること。物の値段をごまかして利益を得る行為。 「穿く」は「履く」とも書く。 また、「長い草鞋を履く」ともいう。
名が売れる(ながうれる)
名前が広く世間に知られること。有名になること。
長追いは無益(ながおいはむえき)
勝ちに乗じて深追いすると、思わぬ反撃を受け不利な立場に陥ることもあるので、ほどほどにするのが賢明ということ。 「長追いは無用」ともいう。
長口上は欠伸の種(ながこうじょうはあくびのたね)
長話は人を退屈させるから、話は簡潔にせよということ。
長崎ばってん、江戸べらぼう、神戸兵庫のなんぞいや、ついでに丹波のいも訛(ながさきばってん、えどべらぼう、こうべひょうごのなんぞいや、ついでにたんばのいもなまり)
各地の方言の特徴をとらえて語調よくいったことば。
流し目を送る(ながしめをおくる)
異性の気を引こうとして色目を使うこと。 「流し目」は、顔はそのままで瞳だけを横にむけること。
長尻(ながじり)
他人の家を訪れて話し込んでなかなか帰らないこと。 「長尻」や「長っ尻」ともいう。
名が高い(ながたかい)
その人の価値や能力が高く評価され、その名が広く世間に知れ渡っていること。
名が立つ(ながたつ)
評判が高くなり、世間の噂になることのたとえ。
名が通る(ながとおる)
名前が世間に広く知られていること。
名が泣く(ながなく)
高い名声や評判にそぐわないようなことをして、評価を下げること。
長持枕にならず(ながもちまくらにならず)
大は小を兼ねるとはいえ、大き過ぎるものは、必ずしも小さなものの代わりを果たせるわけではないということ。 長持(衣装箱)が大きくて枕に似ているからといって、その大きさゆえに枕としての役割を果たせないことから。
流れ川に大魚なし(ながれがわにたいぎょなし)
大人物や才能ある者がその力を発揮するには、適した環境が必要であるということ。 大きな魚は深い淵(ふち)に棲むもので、流れの速い浅い川にはいないことから。
流れ川を棒で打つ(ながれがわをぼうでうつ)
無駄骨を折ることや、やりがいのない行為のたとえ。 流れゆく川の水面を棒で叩いても、水の流れには何の影響も与えられないことから。
流れに棹さす(ながれにさおさす)
時流に乗って、物事が順調に進むことのたとえ。 棹を水底にさすことで、うまく水の流れに乗って舟を進めるとの意から。 「時流に逆らう」との意で用いることは本来誤用。
流れに枕し石に漱ぐ(ながれにまくらしいしにくちすすぐ)
負け惜しみが強いことのたとえ。また、屁理屈をつけて自分の間違いを正当化することのたとえ。晋の孫楚が「石に枕し、流れに漱ぐ」というべきところを間違えて「石に漱ぎ、流れに枕す」といった時、「石に漱ぐとは歯を磨くこと、流れに枕すとは耳を洗うことだ」とこじつけた故事から。夏目漱石の号もこの故事から。
流れに耳を洗う(ながれにみみをあらう)
世俗的な立身出世を避け、高潔な心でいることのたとえ。 中国古代、尭(ぎょう)から帝位を譲りたいといわれた隠士の許由(きょゆう)が、汚れた話を聞いたといって耳を洗い清めたという故事から。 「流れに耳を洗う」「潁水に耳を洗う」「耳を滌ぐ」ともいう。
流れる水は腐らず(ながれるみずはくさらず)
常に動いているものは、停滞することがないということ。
流れを汲みて源を知る(ながれをくみてみなもとをしる)
末を見て、その本(もと)を推し量ること。 また、言動を見れば、その人の人柄や気持ちが自然にわかるというたとえ。 流れている水を汲み取り、水源の様子を察知するとの意から。
流れを汲む(ながれをくむ)
家系・流儀・流派などを受けつぐこと。
亡き数に入る(なきかずにいる)
死んだ人の仲間になること。死亡すること。
泣き出しそう(なきだしそう)
今にも雨が降りだしそうな空の様子のこと。 涙が今にも目からこぼれ落ちそうであるとの意から。
泣き出しそうな空模様(なきだしそうなそらもよう)
今にも雨が降り出しそうな空。
泣きっ面に蜂(なきっつらにはち)
悪い事が重なって起こることのたとえ。 泣いている顔を、さらに蜂が刺すということから。 「泣き面に蜂」「泣きっ面を蜂が刺す」ともいう。
無きにしも非ず(なきにしもあらず)
全く無いとは言えない。無いということもない。少しはある。
無きになす(なきになす)
ないものとする。数にいれない。無視する。
泣き寝入り(なきねいり)
不本意だがどうしようもないため、しかたなくあきらめること。
「―で済ませない」泣きの涙(なきのなみだ)
涙を流して泣くほど、苦しくてつらいことのたとえ。
泣きべそをかく(なきべそをかく)
今にも泣きそうな顔をすること。
亡き者にする(なきものにする)
この世から消してしまうこと。殺すこと。 「亡き」は「無き」とも書く。
泣きを入れる(なきをいれる)
泣きついて、詫びたり哀願したりすること。
泣きを見せる(なきをみせる)
つらく悲しい思いをさせること。泣くような目にあわせること。
泣きを見る(なきをみる)
つらい場面や経験にあう。つらく苦しい結果になることのたとえ。
泣く口は物食う(なくくちはものくう)
泣いているときであっても、食べることだけはやめられないということ。
泣く子と地頭には勝てぬ(なくことじとうにはかてぬ)
道理の通じない相手にはかなわないから、争っても無駄ということのたとえ。 「地頭」は、中世の荘園管理に当たった権力ある役人。
泣く子に乳(なくこにちち)
効果がすぐに現れることのたとえ。泣いている赤ん坊に乳を与えれば、すぐに泣きやむことから。
泣く子は育つ(なくこはそだつ)
大きな声でよく泣く子どもは元気で、丈夫にたくましく育つということ。