「わ」を含む故事・ことわざ・慣用句
「わ」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 785 件
曰く言い難し(いわくいいがたし)
簡単には言い表せない、説明できないということ。
曰く付き(いわくつき)
何らかの好ましくない事情があること。
鰯網で鯨捕る(いわしあみでくじらとる)
思いがけない幸運や収穫を得たりすることのたとえ。また、あるはずのないことのたとえ。
鰯で精進落ち(いわしでしょうじんおち)
せっかくの努力がつまらないことで報われなくなることのたとえ。また、長い間の努力が十分に報われないことのたとえ。 「精進落ち」は菜食で身を慎む精進期間が終わって、魚肉類を食べること。 精進期間中に鰯のようなつまらない魚をうっかり食べてそれまでの努力を無駄にするとの意から。また、精進期間が終わったのに鰯のようなつまらない魚で祝いをするとの意から。
鰯の頭も信心から(いわしのあたまもしんじんから)
どんなつまらないものでも、信じる心があれば尊く思われるということ。節分の夜、鰯の頭をひいらぎの枝に刺して門口に置くと鬼気を追い払うといわれてきたことから。
言わずと知れた(いわずとしれた)
説明する必要もなく。言うまでもなく。わかりきっている。
言わずもがな(いわずもがな)
言う必要のない。言わないほうがいい。言うべきではないこと。また、言うまでもなく。もちろん。言うまでもなくはっきりとしていること。
言わぬが花(いわぬがはな)
はっきりと口に出していうより、黙っていたほうが趣があるということ。
言わぬことは聞こえぬ(いわぬことはきこえぬ)
口に出して言わなければ、相手に伝わらず理解させることができないということ。
言わぬは言うに勝る(いわぬはいうにまさる)
口に出して言うより黙っていたほうが、深い意味を相手に伝えることがあるということ。
謂われを聞けば有難や(いわれをきけばありがたや)
わけがわからず見てつまらないものも、その由来を聞くと急にありがたみが増すということ。
引導を渡す(いんどうをわたす)
最終的な宣告をして相手をあきらめさせること。 また、相手の命がまもなくなくなることをわからせること。 「引導」は、葬式の際、死者の霊を極楽浄土に導くために僧が経文や仏語を唱えること。 その引導を授けるの意から。
員に備わるのみ(いんにそなわるのみ)
数の中には入っているが、実際には何の役にも立たないこと。実権を持っていないこと。
浮いた噂(ういたうわさ)
男女関係についての色っぽいうわさ。
植木屋の庭できが多い(うえきやのにわできがおおい)
気が多いこと。 「気が多いこと」と「木が多いこと」をかけて言ったしゃれ。
上見ぬ鷲(うえみぬわし)
何者もおそれずゆったりと落ち着いている様子。また、他をはばからず傲慢にふるまうことのたとえ。鷲は強いので上空からの攻撃を警戒しなくてよいことから。
上を下への大騒ぎ(うえをしたへのおおさわぎ)
上にあるべきものが下へ、下にあるべきものが上へというような、ごった返した大騒動のこと。
魚を得て筌を忘る(うおをえてうえをわする)
目的を達成してしまうと、それに貢献したものの功労は忘れてしまうというたとえ。 「筌」は魚を捕るための道具。「せん」や「うけ」とも読む。 魚を得てしまえば、魚を捕らえるための筌は不用になり忘れてしまうとの意から。
浮世は回り持ち(うきよはまわりもち)
幸不幸、貧富、栄枯盛衰などは絶えず人から人へと回っていき、一ヶ所にとどまらないということ。
浮世渡らば豆腐で渡れ(うきよわたらばとうふでわたれ)
世渡りは、内面にやさしさと柔軟性をもち、物事のけじめはきっちりとつけよというたとえ。豆腐は外見が四角くきちんとした形だが、内は柔らかいことから。
受けに回る(うけにまわる)
こちらから攻める機会がなく、ただ相手からの攻撃を防ぐだけの立場になること。
兎の罠に狐がかかる(うさぎのわなにきつねがかかる)
思いがけない幸運や収穫を得ることのたとえ。
薄皮の剝けたよう(うすかわのむけたよう)
女性の肌が白くてきめが細かいことのたとえ。
薄気味が悪い(うすきみがわるい)
何となく怖くて気持ちが悪い。
嘘の皮(うそのかわ)
嘘の意味を強めた言い方。完全な嘘。
疑わしきは罰せず(うたがわしきはばっせず)
刑事訴訟で、犯罪事実がはっきりと証明されないときには、被告人を有罪にしてはならないという原則のこと。
歌物語の歌忘れ(うたものがたりのうたわすれ)
いちばん大事なことがぬけていることのたとえ。 「歌物語」は和歌にまつわる話。 歌物語を話しながら、歌の文句を忘れてしまうとの意から。
移れば変わる世の習い(うつればかわるよのならい)
時代が移り変われば世の中も変わっていくのが当然だということ。 「移り変わるは浮き世の習い」ともいう。
馬の背を分ける(うまのせをわける)
夕立などが、局所的であることのたとえ。 近い場所でも、雨が降っている所と降っていない所があるさま。 馬の片側の背のみが雨に濡れているとの意から。
馬も買わずに鞍買う(うまもかわずにくらかう)
物事の順序が逆であるたとえ。
海魚腹から川魚背から(うみうおはらからかわうおせから)
海の魚は腹から、川の魚は背から裂くのがよいということ。
有無を言わせず(うむをいわせず)
相手の承知不承知に関係なく。無理やりに。否応なしに。
裏へ回る(うらへまわる)
表立たないところで、人に気づかれないように行動すること。
売られた喧嘩は買わねばならぬ(うられたけんかはかわねばならぬ)
自分の身に危険が迫ってくれば、それを防がなければならないというたとえ。
瓜の皮は大名に剝かせよ、柿の皮は乞食に剝かせよ(うりのかわはだいみょうにむかせよ、かきのかわはこじきにむかせよ)
瓜の皮は厚くむき、柿の皮は薄くむいたほうがおいしいということ。 大名は大まかなので瓜の皮を厚くむかせる時に適し、貧乏な乞食は柿の皮を薄くむかせる時に適しているとの意から。
浮気と乞食はやめられぬ(うわきとこじきはやめられぬ)
悪い習慣はあらためにくいということ。 浮気も乞食も一度味をしめたらやめられないとの意から。 「浮気」と「乞食」の「き」を語呂合わせしたもの。
噂は遠くから(うわさはとおくから)
噂は事情を知っている人間からではなく、外部から生じることが多いということ。
噂をすれば影が差す(うわさをすればかげがさす)
噂をしていると、不思議と噂の当人がその場に現れるということ。 略して「噂をすれば影」とも、「人事言えば影が差す」いう。
上手に出る(うわてにでる)
相手に威圧的な態度をとること。
上手を行く(うわてをいく)
能力や才知などが他の人よりすぐれていること。 他の人より悪知恵が働くといった悪い意味にも使われる。
上前を撥ねる(うわまえをはねる)
人に取り次いで渡す金銭の一部を、不当に自分のものにすること。 「上前」は「上米(うわまい)」が変化した語とされる。
えせ者の空笑い(えせもののそらわらい)
軽薄な者や、したたかな者が真実をかくすため,おかしくもないのに追従笑いなどをすること。「えせ者」な偽者の意。
江戸っ子は宵越しの銭は使わぬ(えどっこはよいごしのぜにはつかわぬ)
江戸っ子はその日に稼いだお金はその日のうちに使ってしまうということ。江戸っ子の気前のよさを自慢して言った言葉。
得も言われぬ(えもいわれぬ)
言葉では何とも言い表すことが出来ない。
栄耀に餅の皮を剝く(えようにもちのかわをむく)
度を越したぜいたくをするたとえ。 「栄耀」は、ぜいたくをすること。 ぜいたくに慣れると、むく必要のない餅の皮までむいて食べるようになるとの意から。
遠水、近火を救わず(えんすい、きんかをすくわず)
遠くにあるものは、緊急時には役に立たないということ。 遠くにある水は、近くの火事を消すのには役に立たないとの意から。
老いたる馬は道を忘れず(おいたるうまはみちをわすれず)
経験を積んだ人は方針を誤らないというたとえ。 老馬はいろいろな道を知っており、迷うことがないということから。 中国、斉の桓公が山中で道に迷った時に、老馬の歩みに従って無事に帰り着いたという故事から。
追いつ追われつ(おいつおわれつ)
両者の実力が同じくらいで、追いかけたり追いかけられたりしている様子。
往生際が悪い(おうじょうぎわがわるい)
諦めなければならない状態なのに、未練がましく執着しているさま。 「往生際」は、死に際の意。
負うた子に教えられて浅瀬を渡る(おうたこにおしえられてあさせをわたる)
人は時には自分より経験の浅い年下の者から物事を教わることもあるというたとえ。背中に負ぶった子に浅瀬を教えられて川を無事に渡るとの意から。
大男総身に知恵が回りかね(おおおとこそうみにちえがまわりかね)
からだばかり大きくて愚かな男をあざけっていう言葉。
大河を手で堰く(おおかわをてでせく)
無謀で不可能なことをするたとえ。大きな川を手で堰き止めようとするということから。
大きい薬缶は沸きが遅い(おおきいやかんはわきがおそい)
大人物は大成するのに時間がかかるというたとえ。大きい薬缶は水がたくさん入るので沸騰するのに時間がかかるということから。
大きなお世話(おおきなおせわ)
いらぬおせっかい。よけいな世話。 他人からの忠告や手助けを拒むときに使う言葉。
小田原評定(おだわらひょうじょう)
長引いてなかなか結論が出ない話し合いのこと。豊臣秀吉に攻められた北条氏は、小田原城の城内で戦うか降伏するかの相談をしたが結論が出るまで時間がかかったということから。
落ちれば同じ谷川の水(おちればおなじたにがわのみず)
出発点は違っていても、行き着く先は同じだということ。また、人間も身分や貧富の差があっても、死ねばみな同じであるということ。 雨・霰(あられ)・雪・氷など形はさまざまでも、地上に落ちてしまえば同じ谷川を流れる水になるとの意から。 「雨霰雪や氷と隔(へだ)つらん落つれば同じ谷川の水」との和歌より。
男心と秋の空は一夜に七度変わる(おとこごころとあきのそらはいちやにななたびかわる)
男の愛情は、秋の空模様のように変わりやすいということ。 「男心と秋の空は一夜に七度変わる」ともいう。
男鰥に蛆が湧き、女寡に花が咲く(おとこやもめにうじがわき、おんなやもめにはながさく)
妻のいない男は身の回りの世話をしてくれる人がいなくなり不潔な生活になりがちなのに対し、未亡人は、夫にわずらわされることがなくなり、自分の身を美しく清潔に出来るので、世間の男にもてはやされ華やかだということ。
お縄になる(おなわになる)
犯人がつかまること。 昔、捕らえた罪人を縄でしばったことから。
鬼が笑う(おにがわらう)
現実味のないことを言ったり、予測のつかないことを言ったりする相手を、からかって言う言葉。
鬼瓦にも化粧(おにがわらにもけしょう)
鬼瓦のように器量のよくない女性も、化粧ひとつでそれなりにきれいに見えるというたとえ。
鬼も頼めば人食わず(おにもたのめばひとくわず)
相手の好きな事であっても、こちらから頼むともったいぶってしてくれないことのたとえ。 鬼に食べてくれとこちらから頼めば、かえってたべないとの意から。 「頼めば鬼も人食わず」ともいう。
お鉢が回る(おはちがまわる)
順番がまわってくること。「お鉢」は飯びつのこと。人の多い食事の席で、自分の所に飯びつが回ってくる順番になることから。
溺れる者は藁をも摑む(おぼれるものはわらをもつかむ)
危険が差し迫っているときは、頼りにならないものにまで頼ろうとするということ。 溺れかけている者は、水に浮かぶ藁のような頼りないものにもすがりついて助かろうとするとの意から。
お前百までわしゃ九十九まで(おまえひゃくまでわしゃくじゅうくまで)
夫婦がともに元気で仲睦まじく長生きしたいと願う言葉。「お前」は夫、「わしゃ」は妻のことで、この後に「共に白髪の生えるまで」と続く。
思い内にあれば色外に現る(おもいうちにあればいろそとにあらわる)
心の中で思っていることは、自然と言動や態度にあらわれるということ。
思い面瘡、思われ面皰(おもいおもくさ、おもわれにきび)
人に恋したり、誰かに思いを寄せられたりすると、にきびができるということ。「面瘡」は、にきびの意。
思うこと言わねば腹ふくる(おもうこといわねばはらふくる)
思っていることを我慢して言わずにいると、腹の中の物がつかえているようですっきりしないということ。 「物言わねば腹ふくる」「言わねば腹ふくる」ともいう。
思うに別れて思わぬに添う(おもうにわかれておもわぬにそう)
思い焦がれた相手とは結ばれず、好きではない相手と結婚すること。人の縁や運命は、思い通りにならないということ。
思う念力、岩をも徹す(おもうねんりき、いわをもとおす)
心を込めて一心に事を行えば、どんなことでも必ず成し遂げられるというたとえ。
思えば思わるる(おもえばおもわるる)
こちらが相手に好意を持てば、相手も好意を持ってくれるようになるということ。
泳ぎ上手は川で死ぬ(およぎじょうずはかわでしぬ)
自分の力を過信するあまり、得意なことで失敗してしまうことのたとえ。 泳ぎの上手な人が油断して、川で死んでしまうことがあるとの意から。
俺は言わぬがわれ言うな(おれはいわぬがわれいうな)
相手に口止めしながら、自分が人に秘密を漏らす人間に対していう言葉。「われ」は、お前のこと。俺は人には言わないが、おまえこそ人に秘密をしゃべらないように気をつけろという戒めの言葉。
負わず借らずに子三人(おわずからずにこさんにん)
人の世話にならず、借金もなく、子どもが三人ぐらいいる家庭が理想的で幸福だということ。
終わりよければすべてよし(おわりよければすべてよし)
物事は結果さえよければ、動機や途中経過など問題にならないということ。
終わりを全うする(おわりをまっとうする)
物事を最後まできちんとやり遂げること。 また、すべきことを成し遂げて恥ずかしくない一生を終えること。
お椀を持たぬ乞食はない(おわんをもたぬこじきはない)
仕事に必要な道具はちゃんと揃えておけということ。 乞食でも、貰い物を入れるお椀はどんな時も持っているとの意から。
女の一念、岩をも徹す(おんなのいちねん、いわをもとおす)
女が執念深いことのたとえ。
回禄の災い(かいろくのわざわい)
火事・火災のこと。 「回禄」は、中国の火の神の名。その火の神から受けた災いのことから。
顔が合わせられない(かおがあわせられない)
面目がなくてその人に会うことができないというたとえ。