「ち」で終わる故事・ことわざ・慣用句
「ち」で終わる故事・ことわざ・慣用句 — 104 件
開いた口へ牡丹餅(あいたくちへぼたもち)
努力もなしに思いがけない幸運がやってくること。
愛立てないは祖母育ち(あいだてないはばばそだち)
祖母に甘やかされて育った子供は、無遠慮でわがままになりやすい。特に、祖母が孫を過剰に可愛がると、礼儀や節度を身につける機会を失うことを戒める言葉。 「愛立てない」は、「愛立ちなし」が転じたもので、無作法や自分勝手の意。
愛の鞭(あいのむち)
相手のことを思い、厳しく接したり罰を与えたりすること。
垢も身のうち(あかもみのうち)
垢も身体の一部であるから、長湯して丹念に身体を洗うのもほどほどにせよという、風呂好きの人をからかって言うことば。「腹も身の内」をもじったことば。
足下の明るいうち(あしもとのあかるいうち)
自分が不利な状態にならないうちに、手遅れにならないうちに、ということ。
あの世の千日、この世の一日(あのよのせんにち、このよのいちにち)
あの世の極楽で千日暮らすより、この世で一日でも楽しむほうがよいということ。
危ないことは怪我のうち(あぶないことはけがのうち)
危ないことには、はじめから近寄るなという教え。 危険なことはもう怪我の圏内に入るとの意から。
飴と鞭(あめとむち)
支配または指導の方法で、飴を譲歩、鞭を厳しい弾圧になぞらえて使い分けることのたとえ。 ドイツのビスマルクの社会主義運動に対する政策を評したことばから。
石地蔵に蜂(いしじぞうにはち)
何とも感じないことのたとえ。蜂が石地蔵を刺しても痛くも何ともないことから。
何れを見ても山家育ち(いずれをみてもやまがそだち)
大勢いる者のどれを見ても田舎育ちで、誰一人役に立ちそうにない。
鼬の道(いたちのみち)
交際や音信が途絶えることのたとえ。 鼬(イタチ)は一度通った道は二度と通らないといわれることから。 「鼬の道を切る」「鼬の道が切れる」「鼬の道」ともいう。
茨の道(いばらのみち)
苦難の多い人生のたとえ。 茨の生えている道の意から。
鰯で精進落ち(いわしでしょうじんおち)
せっかくの努力がつまらないことで報われなくなることのたとえ。また、長い間の努力が十分に報われないことのたとえ。 「精進落ち」は菜食で身を慎む精進期間が終わって、魚肉類を食べること。 精進期間中に鰯のようなつまらない魚をうっかり食べてそれまでの努力を無駄にするとの意から。また、精進期間が終わったのに鰯のようなつまらない魚で祝いをするとの意から。
浮世は回り持ち(うきよはまわりもち)
幸不幸、貧富、栄枯盛衰などは絶えず人から人へと回っていき、一ヶ所にとどまらないということ。
烏鵲の智(うじゃくのち)
遠い先のことばかり心配して、すぐそばに危険が迫っていることに気がつかない愚かさのたとえ。 「烏鵲」はカササギのこと。 カササギは、強風の吹くことが多い年には、高い枝ではなく低い枝に巣を作るが、そのために人からひなや卵をとられる危険があることには気づかないとの意から。
氏より育ち(うじよりそだち)
人格形成に大事なのは、家系や血統より育った環境であるということ。
絵に描いた餅(えにかいたもち)
実際の役に立たない物事のたとえ。絵に描いた餅はどんなに巧みに描かれていても食べられないことから。「[[画餅*https://kokugo.jitenon.jp/word/p9022]]」ともいう。
縁の下の力持ち(えんのしたのちからもち)
他人のために、人目につかないところで苦労や努力をすること。また、そのような人のこと。
大船に乗った気持ち(おおぶねにのったきもち)
信頼できるものに任せすっかり安心しきったようす。難破する心配のない大きな船に乗ったようだということから。
鬼も十八(おにもじゅうはち)
器量が悪くても、年ごろになれば誰でも娘らしい魅力が出てくるということ。 鬼の娘でも十八という年ごろになれば娘らしくなるし、安い番茶も入れたては香りがよくおいしいとの意から。 単に「鬼も十八」また「番茶も出花」ともいう。
思い立ったが吉日(おもいたったがきちにち)
何かをしようと思ったら、その日が吉日としてすぐに始めるのがよいということ。「吉日」は暦で縁起がいい日。
女は衣装髪かたち(おんなはいしょうかみかたち)
女は着る物と髪かたちによって見違えるほど美しくなれる。女にとって着る物と髪かたちはとても大切なものだということ。
鹿島立ち(かしまだち)
旅に出ること。防人や武士などが旅の守り神である鹿島神宮で安全を祈ってから旅に出たということから。
片手落ち(かたておち)
片方へ配慮しているが、もう一方への配慮が欠けていること。不公平。
金は天下の回り持ち(かねはてんかのまわりもち)
金は人から人へと渡り回っていくものだから、いつか自分の所にも回ってくるはずだから、今は貧しくてもくよくよするなということ。
合点承知(がってんしょうち)
納得・承諾したことを人名になぞらえ調子よくいった言葉。 単に「合点承知之助」「合点承知」ともいう。
金銀は回り持ち(きんぎんはまわりもち)
金は人から人へと渡り回っていくもので、いつか自分の所にも回ってくるはずなので、今は貧しくてもくよくよするなということ。
食うた餅より心持ち(くうたもちよりこころもち)
ごちそうしてもらったり、贈り物をもらったりするのもうれしいが、それをしてくれた相手の心持ちがもっとうれしいということ。「餅」と「持ち」をかけたしゃれ。
荊棘の道(けいきょくのみち)
困難で苦しい人生のたとえ。「荊」「棘」とも茨の意で、困難や障害がある道ということ。
怪我と弁当は自分持ち(けがとべんとうはじぶんもち)
自分で負った怪我は自分の責任だ、という職人の間で言われている言葉。
結構は阿呆のうち(けっこうはあほうのうち)
あまりにお人好しなのは、馬鹿と同じだということ。 「結構は阿呆の唐名」ともいう。
軒輊(けんち)
上がり下がりや高低。転じて、優劣のこと。「軒」は車の前が高い、「輊」は車の前が低いという意。
恋は仕勝ち(こいはしがち)
恋は、周りの事情など考えずに、積極的に自分から仕掛けたほうがうまくいくということ。
後悔は知恵の緒(こうかいはちえのいとぐち)
後悔することによって、次から事に備えることができる。後悔は気付きのきっかけであるということ。
蝙蝠も鳥のうち(こうもりもとりのうち)
つまらない者が優れた者たちの中に交じっていることのたとえ。また、あまり力にならない者でも仲間には違いないというたとえ。 蝙蝠(こうもり)も空を飛ぶからには鳥の仲間であるとの意から。
壺中の天地(こちゅうのてんち)
俗世間から離れた別世界のたとえ。また、酒を飲んで俗世間のことを忘れる楽しみのたとえ。 中国後漢の費長房が、薬売りの老人が商売が終わると壺の中に入るのを見て一緒に入れてもらったところ、そこにはりっぱな建物があり、美酒や旨い肴が並んでいたので、ともに酒を飲んで外に出てきたという故事から。
虚無僧に尺八(こむそうにしゃくはち)
必ず付いているもののたとえ。
先勝ちは糞勝ち(さきがちはくそがち)
勝負で最初に勝つのは当てにならないということ。 「初めの勝ちは糞勝ち」「早勝ちは糞勝ち」ともいう。
酒と朝寝は貧乏の近道(さけとあさねはびんぼうのちかみち)
酒を飲み過ぎ、朝寝をして怠けていれば、たちまち貧乏になってしまうということ。
三国一(さんごくいち)
世界一のこと。「三国」は、インド・中国・日本の三つの国のことで、昔はこの三国を全世界としていたことから。
三五の十八(さんごのじゅうはち)
計算が合わないことや見込み違いのたとえ。
死しての千年より生きての一日(ししてのせんねんよりいきてのいちにち)
死んでからの千年より、この世での一日のほうが大事だということ。
舌の根も乾かぬうち(したのねもかわかぬうち)
言葉を言い終わるか終わらないうちにということ。言い終わったそのすぐ後で、前言に反したことを言ったときに非難していう言葉。
四知(しち)
悪事はいつか必ず露見するということ。 後漢の楊震(ようしん)が賄賂(わいろ)の受け取りを断った時の言葉。 誰も知るまいと思っても、隠し事は天の神様も、地の神様も、自分も、それを仕掛けたあなたも知っているとの意から。 「四知」ともいう。
渋柿の長持ち(しぶがきのながもち)
何の取り柄もない人や悪人が長生きすることのたとえ。そのまま食べられない渋柿は人に採られることなく長く木に残っているということから。
自慢高慢、馬鹿のうち(じまんこうまん、ばかのうち)
自慢や高慢な態度は愚かしいということ。
千日の萱を一日(せんにちのかやをいちにち)
長年苦労して築き上げたものを一瞬にして失うことのたとえ。 「萱」は、屋根をふくのに用いる植物の総称。 千日もかけて刈り集めた萱をたった一日で燃やしてしまうとの意から。
銭なしの市立ち(ぜになしのいちだち)
方法や手段もなく何かをしようとしても、どうにもならないことのたとえ。 銭を持たずに市場に行っても、何も買えずにただ立っているだけとの意から。
田作りも魚のうち(たづくりもうおのうち)
弱小で無力な者でも仲間には違いがないというたとえ。「田作り」はごまめの別名で鰯の幼魚。ごまめのように小さな魚でも、魚の仲間に違いはないということから。
棚から牡丹餅(たなからぼたもち)
思いがけない幸運が転がり込むこと、何の苦労もせずに幸運を得ることのたとえ。 略して「[[棚ぼた*https://kokugo.jitenon.jp/word/p31557]]」ともいう。
掌の内(たなごころのうち)
まるで手の中にあるかのように、物事が自分の思い通りになること。 「掌」は、てのひらのこと。
矯めるなら若木のうち(ためるならわかぎのうち)
樹木の枝などの形を整えるなら柔らかい若木のうちにせよということ。 人間の悪い癖や欠点なども若いうちになおすのがよいというたとえ。 「矯める」は曲げたり伸ばしたりして形を整えること。
大地に槌(だいちにつち)
まるで大地を槌で打つように、確実で絶対に失敗しないことのたとえ。 「槌で大地を叩く」「地を打つ槌」ともいう。
弾丸黒子の地(だんがんこくしのち)
非常に狭い土地のたとえ。「弾丸」は昔、中国で鳥などを捕るために、はじき弓につけて飛ばしたたま、「黒子」はほくろのこと。
近道は遠道(ちかみちはとおみち)
近道は危険だったり悪路だったりして結局時間がかかることがある。物事も一見回り道のように見えても安全で確実な道を選ぶほうがいいということ。
提灯持ち(ちょうちんもち)
人の手先になって、その人のことを褒めて回ること。また、それをする人。
搗いた餅より心持ち(ついたもちよりこころもち)
品物をもらったことより、その心づかいがなおうれしいということ。
露の命(つゆのいのち)
はかない命のこと。 露のようにすぐ消えてしまうとの意から。
天下は回り持ち(てんかはまわりもち)
天下の君主となる者は、次々と変わるものだということ。また、貧富貴賎の運命は人々の間を回るというたとえ。
天に口(てんにくち)
秘密や悪事は、とかく人に漏れやすいということ。 まるで天や地が話したり聞いたりするかのように、話が広まるとの意から。 略して「天に口」ともいう。
天にも昇る心地(てんにものぼるここち)
これ以上ないほどに嬉しい気持ちのたとえ。
遠道は近道(とおみちはちかみち)
危険な近道を行くより、一見遠回りのようでも安全で確実な道を行くほうが早く着く。物事も焦らずじっくり行うほうが早く目的を遂げられるというたとえ。
遠目、山越し、笠の内(とおめ、やまごし、かさのうち)
遠くから見るとき、山越しに見るとき、また、笠に隠れた顔の一部をちらりと見る時は、はっきりと見えないので、実際以上に美しく感じられるということ。
とめてとまらぬ恋の道(とめてとまらぬこいのみち)
人の忠告や理性などで止められないのが恋というものだ、ということ。
どっちもどっち(どっちもどっち)
二つのもののどちらにもよい所と悪い所があって大きな差がないこと。
仲立ちより逆立ち(なかだちよりさかだち)
他人の間に立って仲介をすることは非常に気苦労が多く、時には骨が折れる作業であるため、むしろ逆立ちでもしていた方が楽だということ。
長い浮き世に短い命(ながいうきよにみじかいいのち)
この世が長く続いているのに比べて、人の命ははかなく短いということ。 「長い月日に短い命」ともいう。
泣きっ面に蜂(なきっつらにはち)
悪い事が重なって起こることのたとえ。 泣いている顔を、さらに蜂が刺すということから。 「泣き面に蜂」「泣きっ面を蜂が刺す」ともいう。
泣く子に乳(なくこにちち)
効果がすぐに現れることのたとえ。泣いている赤ん坊に乳を与えれば、すぐに泣きやむことから。
仲人は宵の口(なこうどはよいのくち)
仲人は結婚式での務めを終えたら、長居せずに引き上げたほうがよいということ。 「仲人は宵のうち」「仲人は宵の程」ともいう。
仁王立ち(におうだち)
仁王像のようにしっかりと立つこと。 「仁王」は、寺院の山門の両脇におかれている金剛力士像。 「仁王」は「二王」とも書く。
逃げるが勝ち(にげるがかち)
場合によっては、その場は逃げるほうが結局は勝利を得られるということ。
人間一生二万日(にんげんいっしょうにまんにち)
人間の平均寿命はかつては五十年とされ、日数にすると約二万日ということになり、一生は長いようにも短いようにも思われるということ。
盗人の提灯持ち(ぬすびとのちょうちんもち)
悪人の手先となって、手助けをすること。「提灯持ち」は、夜道に提灯を持って先に行く人。転じて、人の手先になって、その人をほめ従う者。
鑿と言えば槌(のみといえばつち)
万事に気が利くこと。また、気を利かすべきだという教え。 鑿をくれと言われれば、それを使う時に必要な槌も一緒に渡すとの意から。
走り馬にも鞭(はしりうまにもむち)
勢いのあるものに、さらに勢いをつけることのたとえ。 走っている馬に、鞭を打ってさらに早く走らせる意から。 「駆ける馬にも鞭」「走る馬に鞭」「駆け馬に鞭」「行く馬に鞭」ともいう。
裸馬の捨て鞭(はだかうまのすてむち)
何もかもなくした状態になったあと、自暴自棄になって無茶苦茶なことをするたとえ。「捨て鞭」は、馬を速く走らせるために尻を鞭打つこと。人も荷物も乗せていない馬の尻を鞭打つということから。
初物七十五日(はつものしちじゅうごにち)
その年の初めての収穫品を食べると、寿命が七十五日延びるということ。
花盗人は風流のうち(はなぬすびとはふうりゅうのうち)
美しい花を、つい一枝折ってしまうのは風流というもので、とがめるほどのことではないということ。
早い者勝ち(はやいものがち)
何事も人より早いほうが有利だということ。 「早いが勝ち」ともいう。