「と」から始まる故事・ことわざ・慣用句
「と」から始まる故事・ことわざ・慣用句 — 183 件
床に就く(とこにつく)
寝ること。寝床に入ること。 または、病気になって寝込むこと。
床に臥す(とこにふす)
病気になって寝込むこと。
床の間の置き物(とこのまのおきもの)
高い地位があって立派に見えるが実権を持たない人のたとえ。
所構わず(ところかまわず)
他人の迷惑など考えず、どんな場所でも好き勝手に行動する様子。 「所嫌わず」ともいう。
所変われば品変わる(ところかわればしなかわる)
土地が変わると風俗や習慣が違うということ。また、同じ物でも土地によって呼び方や用途が違うものだということ。
所で吠えぬ犬はない(ところでほえぬいぬはない)
自分の住まいで吠えない犬はいないように、弱い者でも自分の縄張りでは威張るということ。
所の神様ありがたからず(ところのかみさまありがたからず)
自分の身近にあり、よく知っているものは、そのありがたみが薄いというたとえ。
所の法には矢は立たぬ(ところのほうにはやはたたぬ)
その土地の定めは、たとえ不合理と思っても、そこにいるかぎりは従うしかないということ。
所を得る(ところをえる)
その人の能力と釣り合いのとれた地位や職に就くこと。
床を上げる(とこをあげる)
敷いていた布団を片付けること。 または、寝込んでいた人の病気が治ること。 「床を払う」ともいう。
床を取る(とこをとる)
いつでも寝ることができるように布団を敷くこと。寝所をつくること。
鶏冠に来る(とさかにくる)
怒りで冷静さを失うこと。
年が改まる(としがあらたまる)
新しい年になること。または、年号が変わること。
年が行く(としがいく)
ある程度の年齢になること。年を取ること。
年甲斐もない(としがいもない)
年齢に相応しくなく、愚かであること。
年が薬(としがくすり)
年を取るにつれて分別が身に付いてくるということ。 「年こそ薬なれ」ともいう。
年問わんより世を問え(としとわんよりよをとえ)
年をとっているか若いかを問題にするよりも、その人の人生経験の内容を問題にせよということ。
年には勝てない(としにはかてない)
気力があっても、年をとれば体力や健康が思うようにならないということ。
年は争えない(としはあらそえない)
年老いると、気持ちは若いつもりでも体力の衰えは隠せないということ。
年端も行かぬ(としはもいかぬ)
若いこと。幼い年頃であること。
年は寄れども心は寄らぬ(としはよれどもこころはよらぬ)
年はとっても、気力はまだ衰えていないということ。
斗酒なお辞せず(としゅなおじせず)
多くの酒を飲むこと。 一斗の量の酒を勧められて平気で飲み干すということから。 「斗」は容積の単位の一つで、一斗は約十八リットル。
屠所の羊(としょのひつじ)
屠殺場に引かれていく羊のように、刻々と死期が近づいてくることのたとえ。また、打ちひしがれて気力をなくしていることのたとえ。
年寄りて達者なものは口ばかり(としよりてたっしゃなものはくちばかり)
年寄りは体力や気力は衰えても、口だけは元気だということ。
年寄りと釘頭は引っ込むが良し(としよりとくぎがしらはひっこむがよし)
打った釘の頭が飛び出ていないほうがいいように、年よりもでしゃばらないほうがいいということ。
年寄りの言うことと牛の鞦は外れない(としよりのいうこととうしのしりがいははずれない)
経験豊富な年寄りの意見に間違いはないということ。 「鞦」は、馬や牛の尻にかけて鞍を固定する紐のこと。
年寄りの達者、春の雪(としよりのたっしゃ、はるのゆき)
年寄りはいくら元気だといっても、春の雪が消えやすいのと同じで、当てにならないということ。
年寄りの冷や水(としよりのひやみず)
年寄りが年齢や体力を考えずに、無理な行いをすること。年寄りが無理をして、体によくない冷たい水を飲んだり浴びたりすることから。
年寄りの昔話(としよりのむかしばなし)
年寄りが、昔の自慢話ばかりするのを嘲笑していうことば。
年寄りの物忘れ、若者の無分別(としよりのものわすれ、わかもののむふんべつ)
年寄りは物忘れをしがちで、若者は思慮が足りないふるまいをしがちだということ。それぞれの著しい欠点をあげた言葉。
年寄りは家の宝(としよりはいえのたから)
経験の豊かな年寄りは何でもよく知っていて、家の宝のような存在だということ。
年寄りは二度目の子供(としよりはにどめのこども)
老いるとわがままになったり、甘えたりするようになって子どものようになるということ。 「Old men are twice children.」を訳した言葉。
年寄れば愚に帰る(としよればぐにかえる)
年を取れば、子どものように愚かになってしまうということ。
年を追う(としをおう)
ある傾向が時間と共に強まり続けたり、弱まり続けたりすること。
年を食う(としをくう)
年を取ること。年老いること。
塗炭の苦しみ(とたんのくるしみ)
ひどい苦痛のたとえ。「塗炭」は、泥にまみれ火に焼かれること。
取っ替え引っ替え(とっかえひっかえ)
次から次へと取り替えて試してみること。
取って付けたよう(とってつけたよう)
言動などがわざとらしく不自然な様子。
突拍子もない(とっぴょうしもない)
言動などがその場に相応しくないこと。調子外れであること。
トップを切る(とっぷをきる)
競争などで一番前を走ること。 または、順位が一位になること。 また、真っ先にある物事を始めること。
途轍もない(とてつもない)
常識や道理などからかけ離れていること。 「途轍」は道と轍(わだち)のことから、物事の筋道のこと。
とてもじゃないが(とてもじゃないが)
どうすることもできない、どうしても実現しない、という意味を表す言葉。 「とても」を強調した言い方。
徒党を組む(ととうをくむ)
悪事を働くために仲間が集まること。
とどのつまり(とどのつまり)
挙げ句の果て。結局。多くは思わしくない結果で終わる場合に使う。「ぼら」は、成長するとともに呼び名が変わり、最後に「とど」と呼ばれることから。
止めを刺す(とどめをさす)
二度と立ち上がれなくなるほどの決定的な打撃を与えること。息の根をとめる。 または、後から問題にならないように急所を押さえておくこと。 また、同じ種類のものの中でもっともすぐれていること。それに限る。
隣の芝生は青い(となりのしばふはあおい)
他人の物はなんでもよく見えるというたとえ。 自分の家の芝生に比べて、隣の庭の芝生のほうが青々としているように見えるという意味から。
隣の糂汰味噌(となりのじんだみそ)
他人の物はなんでもよく見えるというたとえ。「糂汰味噌」はぬかみそのこと。
隣の疝気を頭痛に病む(となりのせんきをずつうにやむ)
自分には関係のない物事で、いらぬ心配をすることのたとえ。 「疝気」は漢方で腰・下腹部の病気のこと。 他人の疝気を心配して自分が頭痛になることから。 「人の疝気を頭痛に病む」「隣の疝気を頭痛に病む」ともいう。
隣の宝を数える(となりのたからをかぞえる)
自分には何の得にもならないことのたとえ。 「他人の宝を数える」「隣の宝を数える」「隣の家の宝を数える」ともいう。
隣の花は赤い(となりのはなはあかい)
他人の物はなんでもよく見えてうらやましく思えるというたとえ。 隣の家に咲いている花は、自分の家の花より赤く見えるという意味から。
隣の貧乏鴨の味(となりのびんぼうかものあじ)
人はとかく他人の不幸を願うものだということ。 隣の家が貧乏だと、まるで美味しい鴨でも食べているようないい気分になるとの意から。 「隣の貧乏雁の味」ともいう。
隣の餅も食ってみよ(となりのもちもくってみよ)
世の中の事は、実際に経験しないとわからないというたとえ。 おいしそうに見える隣家の餅も、食べてみなければ味はわからないとの意から。
隣は火事でも先ず一服(となりはかじでもまずいっぷく)
どんなに慌ただしい時でも休息は必要だというたとえ。忙しい時に休息しようとする場合に使う言葉。
図南の翼(となんのつばさ)
大事業や海外進出などの大きな計画を立てること。 「図」は、企てること。 想像上の巨鳥、鵬(おおとり)が遠い南の地に向かって飛び立とうと翼を広げるとの意から。 「図南の鵬翼」ともいう。
兎にも角にも(とにもかくにも)
いずれにしても。ともかく。 細かい部分を気にせずに、重要な部分に関心を向けることを表す言葉。
堵に安んず(とにやすんず)
心を落ち着けて暮らすこと。安心して暮らすこと。 「安堵」の語源とされる言葉。
鳶が鷹を生む(とびがたかをうむ)
平凡な親から優れた子どもが生まれることのたとえ。 「とび」は「とんび」とも読む。 「鳶が孔雀を生む」ともいう。
鳶に油揚げを攫われる(とびにあぶらあげをさらわれる)
大事な物を不意に横から奪い取られることのたとえ。 空を飛んでいる鳶がさっと舞い降りて、すばやく油揚げを奪っていくということから。 「とび」は「とんび」とも読む。
鳶の子は鷹にならず(とびのこはたかにならず)
平凡な人間の子は、やはり平凡な人間になるというたとえ。
鳶も居ずまいから鷹に見える(とびもいずまいからたかにみえる)
どんな人間でも、立ち振る舞いをきちんとすれば、立派に見えるというたとえ。 見栄えのよくない鳶でも、振る舞い次第では鷹のように見えるとの意から。
飛ぶ鳥、跡を濁さず(とぶとり、あとをにごさず)
立ち去る者は、後始末をきちんとしなければならないということ。また、引き際が潔いことのたとえ。水鳥は飛び立ったあとの水を濁さずに飛び去ることから。 「飛ぶ鳥、跡を濁さず」「鳥は立てども跡を濁さず」ともいう。
飛ぶ鳥の献立(とぶとりのこんだて)
手に入れる前に、その使い道を早々と計画することのたとえ。空を飛ぶ鳥を見て、捕らえもしないうちから料理の献立を考えるということから。
飛ぶ鳥懐に入る時は狩人も助く(とぶとりふところにいるときはかりゅうどもたすく)
窮地に陥った者が救いを求めてくれば、どんな事情があっても助けるのが人情であるというたとえ。 追いつめられた鳥が自分のふところに飛び込んでくれば、さすがの猟師も殺したりは出来ないということから。
飛ぶ鳥を落とす(とぶとりをおとす)
権力や勢力が盛んで、多くの人々が従う様子。
飛ぶ鳥を落とす勢い(とぶとりをおとすいきおい)
権力や勢力が盛んな様子。 空を飛んでいる鳥さえ落としてしまうほどの勢いとの意から。
跳ぶ前に見よ(とぶまえにみよ)
行動を起こす前に、よく考えてしっかり準備せよということ。
途方に暮れる(とほうにくれる)
どうすればよいか分からず困り果てること。
途方もない(とほうもない)
道理から外れていること。または、程度が常識からひどく離れていること。
富は一生の宝、知は万代の宝(とみはいっしょうのたから、ちはばんだいのたから)
財産は一代限りの宝であるが、すぐれた知恵は後世の人にも役立つ宝であるということ。
とめてとまらぬ恋の道(とめてとまらぬこいのみち)
人の忠告や理性などで止められないのが恋というものだ、ということ。
止め処が無い(とめどがない)
次から次へと続いて、いつまでも終わらない様子。
朋あり遠方より来る(ともありえんぽうよりきたる)
遠くにいる友だちが、はるばる会いに来てくれた喜びをいう言葉。「朋」は、友の意。
友と酒は古いほどいい(ともとさけはふるいほどいい)
友人は長い間付き合って気心の知れた人間がいいし、酒も長くねかせた古い酒がおいしいということ。
倶に天を戴かず(ともにてんをいただかず)
相手を殺すか自分が殺されるかの関係で、共存ができないこと。また、復讐せずにはいられないほど激しく憎むこと。 相手と同じ天の下では生きていけないとの意から。 「[[不倶戴天(ふぐたいてん)*https://yoji.jitenon.jp/yojic/1340.html]]」ともいう。
取らずの大関(とらずのおおぜき)
実際の実力を見せたこともないのに、偉そうに振る舞う人のたとえ。 実際に相撲をとって見せたことのない大関との意から。
虎に翼(とらにつばさ)
勢力のあるものに、さらに力強いものが加わることのたとえ。 強い虎に翼をつけることから。
虎になる(とらになる)
酒に酔って恐怖を感じなくなること。 または、酒に酔って暴れること。
捕らぬ狸の皮算用(とらぬたぬきのかわざんよう)
当てにならないことを当てにして計画を立てることのたとえ。まだ捕まえていない狸の皮の価格を計算することから。
虎の威を藉る狐(とらのいをかるきつね)
他人の権力に頼って、弱いものが空威張りすることのたとえ。 虎に捕らえられた狐が「天の神が私を百獣の長にした。だから私を食べると天の命令にそむくことになる。うそだと思うならついてきなさい。獣たちはみな逃げ出すはずだ」といった。 虎が狐のあとについていくと、獣たちがみな逃げて行った。 虎は自分を恐れて獣たちが逃げたことに気づかず、狐を恐れて逃げ出したと信じたという故事から。
虎の尾を踏む(とらのおをふむ)
非常に危険なことをすることのたとえ。