「い」を含む故事・ことわざ・慣用句
「い」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 2677 件
息の臭きは主知らず(いきのくさきはぬししらず)
自分の欠点は自分では気づかないということ。 自分の息が臭いことは自分ではわからないことから。
息の根を止める(いきのねをとめる)
殺す。また、二度と立ち直れないように、徹底的に打ち負かす。
生き恥を曝す(いきはじをさらす)
生きながらえたために恥をかくこと。
生き身は死に身(いきみはしにみ)
この世に生きているものは、いつかは必ず死ぬものであるということ。
委曲を尽くす(いきょくをつくす)
事情を詳しく明らかにすること。「委曲」は、詳しいという意。
生きるべきか死すべきかそれが問題だ(いきるべきかしすべきかそれがもんだいだ)
生きるか死ぬか、どちらの方法を選ぶべきなのかなど、選択すべき状況で思い悩む気持ちを表す言葉。シェークスピアの戯曲『ハムレット』から。
息を凝らす(いきをこらす)
緊張して、呼吸を抑えてじっとしている。
息を殺す(いきをころす)
呼吸を抑えて、動かずにじっとしている。
息を吐く(いきをつく)
緊張などから解き放たれ、ほっとして一休みすること。
息を継ぐ(いきをつぐ)
何かをする途中で休息すること。
息を詰める(いきをつめる)
呼吸を抑えて、動かずにじっとしている。
息を抜く(いきをぬく)
緊張を緩めて一休みすること。 「息抜きをする」ともいう。
息を呑む(いきをのむ)
はっと驚いて、思わず息を止めること。
息を弾ませる(いきをはずませる)
激しい運動や興奮のために、荒い息づかいをすること。
息を引き取る(いきをひきとる)
死ぬ。呼吸が止まる。
息を潜める(いきをひそめる)
存在に気づかれないように、息をおさえてじっとしていることのたとえ。
息を吹き返す(いきをふきかえす)
生き返る。また、よくない状態に陥っていたものが、再び勢いを取り戻す。
衣錦の栄(いきんのえい)
成功して錦の衣服を着て故郷に帰る名誉のこと。
威儀を正す(いぎをただす)
身なりを整えて、作法にかなった振る舞いをすること。
行く行くの長居り(いくいくのながおり)
「もう帰る、もう帰る」と言いながら、なかなか帰らずいつまでも話し込んで長居をすること。
育英(いくえい)
すぐれた才能を持つ青少年を教え育てること。特に資金的に援助して学業に専念させることをいう。
戦を見て矢を矧ぐ(いくさをみてやをはぐ)
物事が起こってから、慌てて準備にとりかかる愚かさをいう言葉。 戦いが始まってから矢を作ることから。 「軍を見て矢を矧ぐ」「敵を見て矢を矧ぐ」ともいう。
意気地がない(いくじがない)
物事をやり遂げようという気力がない。
生簀の鯉(いけすのこい)
自由を束縛されていることのたとえ。また、死が待ち受けている運命のたとえ。
生ける屍(いけるしかばね)
身体が生きているだけで、精神的には死んだも同然の人。
意見と餅はつくほど練れる(いけんともちはつくほどねれる)
餅は、つけばつくほど練れて粘りのあるおいしい餅になる。他人の意見も、つき従うようにすればするほど、よい結果が得られるということ。
韋弦の佩(いげんのはい)
自分の性格の悪い点を改めるために常に努力することのたとえ。 「韋」はなめし皮。 「弦」は弓のつる。 「佩」は身につけるという意味。 中国の戦国時代、西門豹は短気な性格を直そうと「ゆったりとしたなめし皮」を身に着け、春秋時代の董安干は厳格な性格に改めるために「かたい弓のつる」を身につけたという故事から。
委細構わず(いさいかまわず)
どのような事情があろうとも。遠慮なく。 「委細」は、くわしい事情。
異彩を放つ(いさいをはなつ)
際立ってすぐれて見えること。 他とは違った色彩を放っているとの意から。
諍いをしいしい腹を大きくし(いさかいをしいしいはらをおおきくし)
喧嘩ばかりしている夫婦なのに、子どもだけはよくできるということ。
潔しとしない(いさぎよしとしない)
自分の信念に照らし合わせて、許すことが出来ない。
いざ鎌倉(いざかまくら)
重大事件が起こった場合をいう言葉。鎌倉時代、幕府に一大事が起こった時、諸国の武士が我先に馳せ参じたということから。謡曲「鉢木(はちのき)」にある言葉。
いざ知らず(いざしらず)
…についてはわからないが。…はともかく。
いざという時(いざというとき)
非常事態が発生した場合。
石臼を箸に刺す(いしうすをはしにさす)
無理難題を言うこと。 石臼を箸で刺すことなど不可能であることから。
石が流れて木の葉が沈む(いしがながれてこのはがしずむ)
物事の道理が逆であることのたとえ。
石地蔵に蜂(いしじぞうにはち)
何とも感じないことのたとえ。蜂が石地蔵を刺しても痛くも何ともないことから。
礎を築く(いしずえをきずく)
物事の基礎となる大事なものを作り上げる。 「礎」は、もとは「石据え」で、家屋などの柱の下に据える土台石のこと。
石に齧りついても(いしにかじりついても)
どんな苦労や困難があっても。何がなんでも。
石に裃(いしにかみしも)
硬い石に裃を着せたように、堅苦しい人のたとえ。また、そういう様子のこと。「裃」は江戸時代の武士の礼服。
石に灸(いしにきゅう)
いくらやっても効き目のないこと、無駄なことのたとえ。
石に漱ぎ、流れに枕す(いしにくちすすぎ、ながれにまくらす)
負け惜しみが強いことのたとえ。また、屁理屈をつけて自説を正当化することのたとえ。晋の孫楚が「石に枕し、流れに漱ぐ」というべきところを「石に漱ぎ、流れに枕す」といい誤ったとき、「石に漱ぐとは歯を磨くこと、流れに枕すとは耳を洗うことだ」とこじつけた故事から。夏目漱石の号もこの故事から。
石に立つ矢(いしにたつや)
一念を込めて事を行えば、できないことはないというたとえ。漢の李広が石を虎と見誤り、一心に集中して矢を射たところ、矢が石に刺さったという故事から。
石に花咲く(いしにはなさく)
現実には起こるはずのないことのたとえ。
石に布団は着せられず(いしにふとんはきせられず)
親が死んでからでは、したくても孝行はできないということ。 「石」は墓石のことで、墓石に布団を着せても何の役にも立たないことから。
石に枕し流れに漱ぐ(いしにまくらしながれにくちすすぐ)
俗世間から離れ、自然の中で自由な生活をすること。 石を枕にして眠り、起きれば川の水で口を洗うということから。
意志のある所には道がある(いしのあるところにはみちがある)
実現しようという意志があれば、できないことはないというたとえ。
石の上にも三年(いしのうえにもさんねん)
辛抱すればいつか必ず成功することのたとえ。 冷たい石の上でも、三年座り続ければ暖まるとの意から。
石の物言う世の中(いしのものいうよのなか)
秘密や隠し事が漏れやすいことのたとえ。 言葉を発するはずのない石が物を言うほど世の中では秘密が漏れやすいとの意から。
石橋を叩いて渡る(いしばしをたたいてわたる)
用心の上にも用心を重ねて事を行うことのたとえ。 丈夫な石橋ですら安全を確かめてから渡るとの意から。
石部金吉鉄兜(いしべきんきちかなかぶと)
非常に物堅く生真面目な人のこと。また、融通のきかない人のこと。 「石部金吉」は、物堅くて融通のきかない人のたとえとして、堅い物として有名な「石」と「金」を並べて人名のように言った語。 その石部金吉が、鉄の兜をかぶっているような極端な堅物ということから。
医者が取るか坊主が取るか(いしゃがとるかぼうずがとるか)
生死の境にいるような重病人のこと。生きているうちは医者が金を取り、死んでしまえば僧侶が金を取るということから。また、所詮あの世に金は持っていけないと守銭奴を皮肉ることば。
医者寒からず儒者寒し(いしゃさむからずじゅしゃさむし)
医者はおおむね裕福で、学者はたいてい貧乏だということ。「儒者」は学者、「寒し」は貧しい意。
医者上手にかかり下手(いしゃじょうずにかかりべた)
物事はうまく行うためには相手を信用しなければならないというたとえ。 どんな名医でも、患者が信頼して従わなければ病気を治すことは出来ないとの意から。
医者と味噌は古いほどよい(いしゃとみそはふるいほどよい)
医者は経験を積んだ年寄りのほうが信頼できるし、味噌は年月が経ったもののほうがおいしいということ。
医者の薬も匙加減(いしゃのくすりもさじかげん)
何事も加減が大事だというたとえ。 医者がどんなに良い薬を使っても、分量が適切でなければ効き目がないということ。
医者の自脈効き目なし(いしゃのじみゃくききめなし)
たとえ専門分野のことでも、自分のことになると適切な処理ができないということ。 医者は他人の病気は治せても、自分の病気は適切な処置ができないとの意から。
医者の只今(いしゃのただいま)
あてにならない約束のたとえ。往診をたのまれた医者は「只今、参ります」と返事するが、なかなか来てくれないことから。
医者の不養生(いしゃのふようじょう)
口では立派なことを言いながら、自分では実行していないことのたとえ。患者に養生を勧める医者が自分の健康に注意しない意から。
医者よ自らを癒せ(いしゃよみずからをいやせ)
他人に立派なことを言う人は自分も立派でなければならにというたとえ。患者を治療する医者は自分自身も健康に注意せよという意。
衣食足りて栄辱を知る(いしょくたりてえいじょくをしる)
人は生活にゆとりができて、初めて礼儀や節度をわきまえるようになるということ。
衣食足りて礼節を知る(いしょくたりてれいせつをしる)
人は生活にゆとりができて、初めて礼儀や節度をわきまえるようになるということ。
石を抱きて淵に入る(いしをいだきてふちにいる)
自分から進んで災難や危険を招くようなことをするたとえ。自ら石を抱いて、川の深みに入るような無謀なことをするの意から。
意地が汚い(いじがきたない)
食べ物や金銭などに対する欲が深い。 「意地汚い」ともいう。
意地でも(いじでも)
行き掛かり上、なんとしてでも。 無理にでも成し遂げようとする心意気を表す語。
意地になる(いじになる)
何があっても譲らず、自分の主張を押し通そうとすること。
意地張るより頬張れ(いじはるよりほおばれ)
意地を張って食べずにいるより、卑しく思われても食べるほうがいいということ。
意地を通す(いじをとおす)
心に決めたことをどこまでも押し通す。 「意地を貫く」ともいう。
意地を張る(いじをはる)
何が何でも自分の考えを押し通そうとすること。
交喙の嘴(いすかのはし)
物事が食い違って思いどおりにならないことのたとえ。 「交喙」は鳥の名で嘴が上下食い違っていることから。
居住まいを正す(いずまいをただす)
きちんと座り直す。座り方をあらためる。
いずれ菖蒲か杜若(いずれあやめかかきつばた)
どちらもすぐれていて優劣をつけにくく、選択に迷うたとえ。菖蒲も杜若もよく似た美しい花で区別がむずかしいことから。
何れを見ても山家育ち(いずれをみてもやまがそだち)
大勢いる者のどれを見ても田舎育ちで、誰一人役に立ちそうにない。
伊勢へ七度、熊野へ三度(いせへななたび、くまのへみたび)
信仰心が深いことのたとえ。 伊勢神宮へ七度、熊野三山へ三度もお参りするほど信仰深いとの意から。 このあと続けて「愛宕(あたご)様へは月参り」ともいう。
居候、三杯目にはそっと出し(いそうろう、さんばいめにはそっとだし)
他人の家に世話になっている者は、食事の時も遠慮がちに三杯目のお代わりをするということ。居候の肩身のせまさを詠んだ川柳から。
急がば回れ(いそがばまわれ)
急を要することは時間や手間がかかっても安全確実にやる方が得策だということ。急ぐ時に危険な近道を通るより遠回りでも安全な道を行く方が結局早く着く意から。
急ぎの文は静かに書け(いそぎのふみはしずかにかけ)
急ぎの手紙ほど大事な用件が多く、あせって早く書こうとすると間違うことが多いので、落ち着いてゆっくり書いとほうがいいということ。
磯際で船を破る(いそぎわでふねをやぶる)
物事が達成する直前で失敗してしまうこと。 港の近くまできた船が難破してしまうとの意から。
急ぐな休むな(いそぐなやすむな)
早く仕事の成果をあげようと焦ると、落ち度があったり疲れすぎたりするし、休んでばかりでは仕事がはかどらない。大きな仕事を成し遂げるためには、あわてずに、また休み過ぎずにするのがよいということ。
痛い上の針(いたいうえのはり)
不運や災難にさらなる不運や災難が重なることのたとえ。 痛みがあるところに、さらに針が刺さるとの意から。