「えん」を含む故事・ことわざ・慣用句
「えん」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 53 件
挨拶より円札(あいさつよりえんさつ)
お礼の言葉より、金銭をもらうほうがありがたいということ。「拶」と「札」を語呂合わせにしたことば。
悪縁契り深し(あくえんちぎりふかし)
悪い縁ほど結びつきが強く断ち切りにくいということ。
油を以って油煙を落とす(あぶらをもってゆえんをおとす)
油を使って油煙を落とすように、同種のものをうまく利用して効果を上げることのたとえ。
一樹の陰一河の流れも他生の縁(いちじゅのかげいちがのながれもたしょうのえん)
この世で起こるすべての出来事は、すべて前世からの因縁によるものなので大切にしなければならないということ。 同じ木の陰で雨宿りをしたり、同じ流れの水を飲んだりするといった、偶然のちょっとした出来事も、すべて前世からの縁によるものであるとの意から。 「一河の流れを汲むも他生の縁」ともいう。
一木いずくんぞ能く大廈を支えん(いちぼくいずくんぞよくたいかをささえん)
大きな勢力の危機は、一人の力だけではどうすることもできないということ。 「大廈」は、大きな建物のこと。 大きな建物が倒れかけているのを、一本の木だけで支えることはできないとの意から。 「倒れんとする」は「顚れんとする」とも書く。 「一木大廈の崩るるを支うる能わず」「一木いずくんぞ能く大廈を支えん」ともいう。
嘘をつくと閻魔様に舌を抜かれる(うそをつくとえんまさまにしたをぬかれる)
嘘をつくと、死んでから地獄の閻魔大王に悪い舌を抜かれる。だから嘘をついてはいけないと、子どもを戒めたことば。
縁あれば千里(えんあればせんり)
縁があれば千里も離れた所の人と会うこともあるし、結ばれることもあるということ。「縁あれば千里を隔てても会い易し、縁なければ面を対しても見え難し」を略した言葉。
鴛鴦の契り(えんおうのちぎり)
夫婦仲の睦まじいことのたとえ。「鴛」はおしどりの雄、「鴦」はおしどりの雌で、雌雄がいつも寄り添っていることから。
煙霞の痼疾(えんかのこしつ)
自然の風景を愛する気持ちが非常に強いこと。または、隠居して自然と親しみながら暮らすこと。 「烟霞」はもやと霞のこと。転じて自然の景色。 「痼疾」は治ることなく長い期間患っている病。持病。 山水の美しい風景を愛好する習性を持病にたとえた言葉。
縁起でもない(えんぎでもない)
悪いことが起こりそうで不安だ。縁起が悪い。 不吉なことを言った相手をとがめる言葉として使われる。
縁起を担ぐ(えんぎをかつぐ)
縁起がよいのか縁起が悪いのかを気にすること。 「担ぐ」は何かを気にしたり、とらわれたりすること。
猿猴が月を取る(えんこうがつきをとる)
自分の能力をわきまえず、欲張ったまねをして失敗することのたとえ。 猿が水に映った月を取ろうとしたとき、枝が折れ水に落ちて溺れ死んだという故事から。 「猿猴が月」「水の月取る猿」「月の影取る猿」ともいう。
燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや(えんじゃくいずくんぞこうこくのこころざしをしらんや)
小人物には、大人物の志は理解できないということのたとえ。「燕雀」は小さな鳥の意から転じて小人物、「鴻鵠」は大きな鳥の意から転じて大人物のこと。
エンジンが掛かる(えんじんがかかる)
物事に始める意欲がわくこと。 また、物事が順調に進むこと。
遠水、近火を救わず(えんすい、きんかをすくわず)
遠くにあるものは、緊急時には役に立たないということ。 遠くにある水は、近くの火事を消すのには役に立たないとの意から。
円石を千仞の山に転ず(えんせきをせんじんのやまにてんず)
非常に勢いが激しく、抑えようがないことのたとえ。 高い山から丸い石を落とすと、ものすごい勢いで転がることから。
縁と浮き世は末を待て(えんとうきよはすえをまて)
良縁と好機は、自然に訪れるまで気長に待つのがよいということ。
豌豆は日陰でもはじける(えんどうはひかげでもはじける)
だれでも年頃になると、男女の情に目覚めるということ。また、事が成るにはそれなりの時間が必要であり、その時がくれば自然に達せられるということ。 日陰で育った豌豆も時期がくれば実が熟してはじけるとの意から。
縁なき衆生は度し難し(えんなきしゅじょうはどしがたし)
人の忠告を聞き入れようとしない者は、救いようがないということ。 「縁」は、ここでは仏縁の意。 「衆生」は、仏が慈悲を垂れる人間。 「度す」は、悟りを開かせること。 仏縁のない者は、たとえ仏でも救いようがないとの意から。
縁の切れ目は子で繋ぐ(えんのきれめはこでつなぐ)
夫婦仲がうまくいかなくなっても、子どもがいれば縁をつなぎとめてくれるということ。
縁の下の力持ち(えんのしたのちからもち)
他人のために、人目につかないところで苦労や努力をすること。また、そのような人のこと。
縁の下の舞(えんのしたのまい)
人目につかないところで、苦労や努力を重ねること。また、表に出ずに物事を支える陰の働きのたとえ。 大阪・四天王寺で行わる「経供養」が、かつては非公開で、衆人の目に触れない場所で舞楽が奉納されたことに由来する。
縁の目には霧が降る(えんのめにはきりがふる)
縁によって結ばれる者は、互いの欠点が見えにくく、美点ばかりが目につくというたとえ。 霧が降ると物が見えにくくなることから。
縁は異なもの、味なもの(えんはいなもの、あじなもの)
男女の縁というものは、どこでどう結ばれるかわからず、予測のつかない不思議でおもしろいものだということ。「縁は異なもの」「縁は味なもの」と切り離してもいう。
猿臂を伸ばす(えんぴをのばす)
物をつかむために、腕を長く伸ばすこと。「猿臂」は、猿のように長い腕。
煙幕を張る(えんまくをはる)
真意を悟られないように、曖昧な言い方をしたり、問題をすり替えたりしてごまかすこと。
縁もゆかりもない(えんもゆかりもない)
何もかかわりがない。何のつながりもない。 「縁」と「ゆかり」という同じ意味の言葉を重ねて強調した言葉。
遠慮会釈もない(えんりょえしゃくもない)
相手を気遣うこともなく、自分の思い通りに事を行うさま。 「会釈」は、思いやりの意。
遠慮なければ近憂あり(えんりょなければきんゆうあり)
遠い将来を見越した考えを持っていないと、必ず急な憂い事が起こるということ。 「遠慮」は、先々のことを思慮すること。 「近憂」は、間近の憂い事のこと。 「遠き慮りなき者は必ず近き憂えあり」ともいう。
遠慮は無沙汰(えんりょはぶさた)
遠慮もほどほどにしないと、かえって失礼になるということ。 先方に遠慮して訪問や連絡を控えすぎると、長期間付き合いが途絶えることとなり、かえって礼を欠くことになるとの意から。 「遠慮が無沙汰」ともいう。
遠慮ひだるし伊達寒し(えんりょひだるしだてさむし)
遠慮も見栄もほどほどにせよということ。 「ひだるし」はひもじいの意。 食事を遠慮して食べないとひもじい思いをし、格好を気にして薄着でいると寒い思いをするとの意から。
縁を切る(えんをきる)
人間関係や物事との関係を断つこと。
金の切れ目が縁の切れ目(かねのきれめがえんのきれめ)
金がある時はちやほやされるが、金がなくなると相手にされず関係が切れるということ。
金を貸したのが円の切れ目(かねをかしたのがえんのきれめ)
金の貸し借りには問題が起こりやすく、親しい友人同士でも金の貸し借りはするべきではないという戒め。
借りる時の地蔵顔、返す時の閻魔顔(かりるときのじぞうがお、かえすときのえんまがお)
お金を借りる時は地蔵菩薩のようにやさしい顔をするが、返す時は閻魔大王のような不機嫌な顔をするということ。
気炎を上げる(きえんをあげる)
威勢のいいことを得意げに言うこと。また、意気盛んに議論を交わすこと。 「上げる」は「揚げる」とも書く。 また「気炎を吐く」ともいう。
曲水の宴(きょくすいのえん)
平安時代、陰暦の三月三日の節句に宮中で行われた行事の一つ。庭園の曲水に臨んで座し、上流から流される杯が自分の前を通り過ぎないうちに詩歌を詠み、その杯を取って酒を飲むという遊び。「ごくすいのえん」とも読む。
腐れ縁は離れず(くされえんははなれず)
悪縁は、切ろうとしてもなかなか断ち切れないということ。
犬猿の仲(けんえんのなか)
仲の悪い関係のたとえ。 単に「犬猿」、また「犬と猿」ともいう。
失態を演じる(しったいをえんじる)
人前で笑われるような無様な失敗をすること。
醜態を演じる(しゅうたいをえんじる)
人前で恥となる行為や見苦しい行為をすること。
食後の一睡、万病円(しょくごのいっすい、まんびょうえん)
食後のひと眠りはからだによいというたとえ。「万病円」は、万病に効果があるといわれる丸薬。
袖振り合うも他生の縁(そでふりあうもたしょうのえん)
見知らぬ人と袖が触れ合うようなちょっとしたことも、偶然ではなく前世からの因縁によるものなので、どんな出会いも大切にしなければならないということ。 「他生の縁」は前世からの因縁のこと。 「他生」は「多生」とも書く。 「袖振り合う」は「袖すり合う」「袖触れ合う」ともいう。
立ち回りを演じる(たちまわりをえんじる)
つかみ合ったり殴り合ったりして喧嘩をする。 「立ち回り」は芝居などでの乱闘の場面。
大徳は小怨を滅ぼす(だいとくはしょうえんをほろぼす)
受けた恩が大きければ、少しの怨みや不満は気にならなくなるということ。 「大徳」は「たいとく」とも読む。 「大徳は小怨を滅す」ともいう。
長夜の宴(ちょうやのえん)
夜通し酒を飲むこと。 古代中国殷の紂王(ちゅうおう)が、夜通し酒を飲み、夜が明けても戸も開けず明かりを灯したまま酒盛りを続けたという故事から。 「長夜の宴」ともいう。
鍔迫り合いを演じる(つばぜりあいをえんじる)
同じくらいの力のもの同士が激しく争うこと。 「鍔迫り合い」は互いの刀を鍔で受け止めながら押し合うこと。
躓く石も縁の端(つまずくいしもえんのはし)
自分にかかわるすべてのものが、なんらかの因縁で結ばれているということ。 ふとつまずいた石も、多くの石の中で何かの縁があってつまずいたのであるとの意から。
釣り合わぬは不縁のもと(つりあわぬはふえんのもと)
身分や財産などの釣り合いが取れない男女の結婚は、うまくいかなくなることが多いということ。
朋あり遠方より来る(ともありえんぽうよりきたる)
遠くにいる友だちが、はるばる会いに来てくれた喜びをいう言葉。「朋」は、友の意。
二の舞を演じる(にのまいをえんじる)
前の人と同じ失敗を繰り返すこと。 「二の舞」は舞楽で、安摩(あま)という舞の次に、それを真似て演じるこ滑稽な舞のこと。 単に「二の舞」ともいう。
水は方円の器に随う(みずはほうえんのうつわにしたがう)
人は交友関係や環境しだいで、良くも悪くもなるというたとえ。 「方円」は四角形と円形のこと。水は容器の形によって四角にも丸くもなるということから。
用ある時の地蔵顔、用なき時の閻魔顔(ようあるときのじぞうがお、ようなきときのえんまがお)
人にものを頼む時はお地蔵様のようにやさしいにこにこ顔をするが、用事がない時は閻魔様のように不機嫌な顔つきになるということ。
故事・ことわざ・慣用句一覧
- /
- 1ページ
- 全1件