「かた」を含む故事・ことわざ・慣用句
「かた」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 115 件
相惚れ自惚れ片惚れ岡惚れ(あいぼれうぬぼれかたぼれおかぼれ)
両思いの相惚れ、ひとりよがりの自惚れ、片思いの片惚れ、ひそかに恋い慕う岡惚れ、と恋愛の言葉を並べたもの。
足場を固める(あしばをかためる)
物事を行うときの、拠り所となる土台をしっかりとしたものにすること。
足元を固める(あしもとをかためる)
自分の立場や状況を安定させること。
頭が固い(あたまがかたい)
既存の観念にとらわれて、柔軟な考え方が出来ないこと。融通が利かないこと。
雨降って地固まる(あめふってじかたまる)
もめごとが解決したあとに、物事が前の状態より良くなること。
鮑の片思い(あわびのかたおもい)
自分が慕っているだけで、相手にはその気がないこと。 片思いをしゃれていう言葉。 鮑の貝殻が二枚貝の片側だけのように見えることから。 「磯の鮑の片思い」「鮑の貝の片思い」ともいう。
言うは易く行うは難し(いうはやすくおこなうはかたし)
口で言うのは簡単だが、言ったことを実行するのは難しいということ。
家を傾ける(いえをかたむける)
一家の財産をなくすこと。身代を持ち崩す。
一犬形に吠ゆれば百犬声に吠ゆ(いっけんかたちにほゆればひゃっけんこえにほゆ)
一人がいいかげんなこと言い出すと、世間の多くの人がそれを真実として広めてしまうことのたとえ。 一匹の犬が何かの影を見て吠え出すと、辺りの百匹の犬がそれにつられて吠え出すとの意から。 「影に」は「形に」「虚を」、「百犬」は「千犬」「万犬」、「声に吠ゆ」は「実を伝う」「虚を伝う」「実に吠ゆる」などと多くの表現がある。
嘘で固める(うそでかためる)
嘘ばかりで話をまとめる。嘘ばかりで繕う。
蘊蓄を傾ける(うんちくをかたむける)
自分の持っている知識・技能のすべてを発揮すること。「蘊」は、たくわえるという意。「蘊蓄」は十分勉強や研究をして蓄えた知識や技能のこと。
えせ侍の刀弄り(えせざむらいのかたないじり)
実力の乏しい者ほど外見をとりつくろうことのたとえ。 「えせ侍」は武士の心得がない臆病な侍のこと。 えせ侍にかぎって人前で刀を抜いて虚勢を張るとの意から。
江戸の敵を長崎で討つ(えどのかたきをながさきでうつ)
意外な場所で、または筋違いのことで、昔の恨みの仕返しをするたとえ。江戸で恨みを受けた相手を、遠い長崎で討ち果たすということから。
親方思いの主倒し(おやかたおもいのしゅたおし)
主人のためを思ってしたことが、逆に主人に不利益をもたらすこと。
親方日の丸(おやかたひのまる)
国家が後ろ盾になっている官庁や公営企業などは、倒産の心配もなく利益を図る必要もないだろうと、公務員の気楽さを皮肉っていうことば。
女は衣装髪かたち(おんなはいしょうかみかたち)
女は着る物と髪かたちによって見違えるほど美しくなれる。女にとって着る物と髪かたちはとても大切なものだということ。
女は己を説ぶ者のために容づくる(おんなはおのれをよろこぶもののためにかたちづくる)
女は自分を愛してくれる男のために、よりいっそう念入りに化粧をし着飾ったりするということ。
怪力乱神を語らず(かいりょくらんしんをかたらず)
君子というものは道理にそむいたこと、理性で説明がつかないことは口にしないということ。転じて、不確かなこと、怪しげなことは口にすべきではないということ。「怪力乱神」は、「怪しく不思議なこと」「強い力」「道理を乱すこと」「鬼神」をあわせていったもので、計り知れない不思議な現象や存在のこと。
返す刀(かえすかたな)
一方を攻撃したあと、間を置かずに他方を攻撃するさま。 一方を斬りつけた刀を素早くひるがえして、他方に斬りかかる意から。
垣堅くして犬入らず(かきかたくしていぬいらず)
家庭内が健全であれば外部からこれを乱すような者が入ってくることはないということ。垣根が厳重だと犬が入ってこられないという意味から。
影の形に随うが如し(かげのかたちにしたがうがごとし)
いつもいっしょにいて離れないこと。 影が必ず物につき随うことから。 「影の形に添うが如し」「影の形に添うように」ともいう。
影も形もない(かげもかたちもない)
そこに人や物が存在していたことを示すものがまったくない。跡形もない。 「影も形も見えない」ともいう。
片足を突っ込む(かたあしをつっこむ)
ある分野に少しだけ関わりをもつこと。
堅い木は折れる(かたいきはおれる)
ふだんは強情な人が、何か問題にぶつかると意外にもろく、くじけやすいことのたとえ。また、頑丈な人が急に大病で倒れることのたとえ。柔軟性のない堅い木は、風が吹けば折れやすいことから。
片意地を張る(かたいじをはる)
ひとの話に聞く耳をもたず、頑なに自分の考えを押し通そうとするさま。
肩入れする(かたいれする)
ある人や物を特別に援助したり贔屓したりすること。 物を担ぐのを助けるとの意から。
片腕をもがれたよう(かたうでをもがれたよう)
最も信頼していた人を失い、ひどく悲しむさま。 「片腕」は、自分の腕のように信頼できて頼りになる人のことで、その人を失うとの意から。
肩が軽くなる(かたがかるくなる)
重たい責任や負担がなくなって気が楽になること。 肩こりがとれて楽になるとの意から。
肩が凝る(かたがこる)
ひどく緊張したり堅苦しさを感じたりして、疲れたような気分になることのたとえ。 「肩が張る」ともいう。
方が付く(かたがつく)
ものごとの処理が終わって決着がつくこと。解決すること。 「方」は「片」とも書く。
敵の家でも口を濡らせ(かたきのいえでもくちをぬらせ)
たとえ敵の家でも出された食べ物には口をつけるのが礼儀だということ。つまり、いかなる場合も礼儀を守らなければならないということ。「口を濡らせ」は、少しだけでも飲食せよということ。本来は酒について言った言葉。
敵の前より借金の前(かたきのまえよりしゃっきんのまえ)
敵の前では平然とできても、借金をしている相手の前では頭が上がらないということ。
難きを先にし、獲るを後にす(かたきをさきにし、うるをのちにす)
困難な仕事を先に行い、自分の利益は後回しにすること。
片口聞いて公事を分くるな(かたくちきいてくじをわくるな)
訴訟の裁きは、一方の言い分だけを聞いて判定してはいけないということ。「片口」は一方だけの言い分、「公事」は訴訟のこと。
硬くなる(かたくなる)
緊張してしまい、言動がぎこちなくなること。
肩透かしを食う(かたすかしをくう)
意気込んで向かったところを、相手にうまくかわされてしまうことのたとえ。 「肩透かし」は、相撲の決まり手の一つであり、相手の攻めをかわして前へ引き倒す技のこと。
固唾を呑む(かたずをのむ)
事の成り行きを心配して、緊張しているさま。「固唾」は、緊張した時に口の中にたまる唾。それを飲み込んで見守るということから。
形が付く(かたちがつく)
体裁が整うこと。
容を繕う(かたちをつくろう)
化粧などをして体裁を整えること。
片手落ち(かたておち)
片方へ配慮しているが、もう一方への配慮が欠けていること。不公平。
片手で錐は揉まれぬ(かたてできりはもまれぬ)
物事を成し遂げるためには、力を合わせることが大事だということ。 穴をあけるための錐は片手では揉むことができないとの意から。
肩で風を切る(かたでかぜをきる)
肩をそびやかして、得意げに颯爽と歩くさま。また、得意げに振る舞うさま。
刀折れ矢尽きる(かたなおれやつきる)
物事を続けていく手段がなくなってしまうことのたとえ。 刀が折れ、矢が尽きて戦う手段がなくなってしまうとの意から。 「弓折れ矢尽きる」ともいう。
肩に掛かる(かたにかかる)
ある人が責任や任務などの負担を負わなければならなくなること。
型に嵌まる(かたにはまる)
考えや行動に個性や独創性がないこと。また、新鮮味がないこと。
形の如く(かたのごとく)
ものごとが決まった法則の通りに行われるさま。
肩の荷が下りる(かたのにがおりる)
重たい責任や負担から解放され、気が楽になること。 単に「荷が下りる」ともいう。
肩の荷を下ろす(かたのにをおろす)
義務や責任を果たし、負担から解放されて気が楽になること。 「荷を下ろす」ともいう。
片肌脱ぐ(かたはだぬぐ)
本気で力を貸すことのたとえ。 仕事をするときの姿、着物の片袖を脱いで片方の肩をあらわにする「片肌脱ぎ」になることから。
片腹痛い(かたはらいたい)
脇で見ていて、非常にばかばかしく滑稽に感じられるさま。
肩肘張る(かたひじはる)
人に弱みを見せないように、気負ったり威張ったりする様子。 肩をそびやかして肘を張る意から。
片棒を担ぐ(かたぼうをかつぐ)
協力して仕事を行うこと。二人で担ぐ駕籠の一方を担ぐことから。多くは悪いことをする時にいう。
肩身が狭い(かたみがせまい)
世間に対して面目が立たず、恥ずかしい思いをすること。「肩身」は、世間や他人に対する面目の意。
肩身が広い(かたみがひろい)
世間に対して面目がたち、得意げにするさま。
筐の水(かたみのみず)
ものごとの当てにならないこと。また、ものごとが頼りにならないこと。 「筐(かたみ)」は、竹で細かく編まれた籠。 筐で水を汲んでもすぐに漏れてしまうことから。
片目が開く(かためがあく)
相撲などで、負け続けていた勝負に、初めて勝利すること。
固めの杯(かためのさかずき)
お互いに約束を守るために取り交わす杯のこと。 夫婦や主従、師弟関係などを結ぶ際におこなわれる。
片山曇れば片山日照る(かたやまくもればかたやまひてる)
一方に悪いことがあれば、もう一方に良いことがあり、世の中は様々だということ。
語るに足る(かたるにたる)
語り合う相手にするだけの価値があるということ。 また、話題にするだけの価値があるということ。
肩を怒らす(かたをいからす)
肩にちからを入れ、威圧的な態度をとること。
肩を入れる(かたをいれる)
ある人や物を特別に援助したり贔屓したりすること。物を担ぐために物の下に肩をあてて助けるとの意から。 また、[[肌脱ぎ*https://kokugo.jitenon.jp/word/p41092]]の状態から着物を着ること。
肩を落とす(かたをおとす)
がっかりして気力を失うさま。 力が抜けて肩が垂れ下がる意から。
肩を貸す(かたをかす)
手助けをする。援助する。 自分の肩につかまらせて支えとなる、また物を担ぐのを助けるとの意から。
肩を竦める(かたをすくめる)
肩を少し上げ、首を縮めるようにして、困惑や呆れの気持ちなどを表す。
肩を窄める(かたをすぼめる)
肩を落とすように身を縮める様子。 また、寒さや肩身が狭い思いをして元気がない様子。
肩を叩く(かたをたたく)
相手の肩を軽くたたきながら頼みごとをすること。 特に、上役が部下に退職を勧めるときに用いられる。
片を付ける(かたをつける)
ものごとを処理・解決すること。
肩を並べる(かたをならべる)
横に並ぶこと。また、実力や地位が対等の位置に立つこと。
肩を持つ(かたをもつ)
その人の味方になって、援助したりかばったりする。
金が敵(かねがかたき)
人が悩んだり苦しんだりする原因が金であることが多い。金は敵のようなものだということ。また、なかなか敵に巡りあえないように、金運との巡りあいも難しいということ。
金は命の親、命の敵(かねはいのちのおや、いのちのかたき)
金によって命を助けられることもあれば、逆に命を落とすこともあるというたとえ。
金は片行き(かねはかたいき)
金は、ある所にはたくさんあるのに、ない所にはさっぱりないということ。
棺桶に片足を突っ込む(かんおけにかたあしをつっこむ)
死期が迫っていることのたとえ。
寒に帷子、土用に布子(かんにかたびら、どようにぬのこ)
物事が逆さまであること。また、季節はずれで役に立たないことのたとえ。 「帷子」は裏地をつけない夏物の衣類、「布子」は木綿の綿入れのこと。 冬の寒い時に単衣の帷子を着て、夏の暑い時に綿入れを着るということから。 「土用布子(綿入れ)に寒帷子」「夏布子の寒帷子」ともいう。
気持ちが傾く(きもちがかたむく)
当初とは考え方や感じ方が変わり、次第にそれが好ましく感じられて惹きつけられること。
口が堅い(くちがかたい)
他人に言ってはいけないことを軽々しく口にしない様子。
鍬を担げた乞食は来ない(くわをかたげたこじきはこない)
働く者は貧乏になることはないことのたとえ。 鍬を持ってしっかり働く人は乞食にはならないので、鍬をかついだ乞食などは来るはずがないとの意から。
心を傾ける(こころをかたむける)
一つのことに集中すること。
財布の紐が堅い(さいふのひもがかたい)
必要なものかどうかをしっかりと確認して、金銭を無駄に使わないこと。
三界の火宅(さんがいのかたく)
苦悩に満ちた世界を、火に包まれて燃えさかる家にたとえた言葉。「三界」は、この世のこと。