「く」を含む故事・ことわざ・慣用句
「く」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 1851 件
明日の百より今日の五十(あすのひゃくよりきょうのごじゅう)
不確かな期待よりも、たとえ量が少なくても、今日確実に手にできるもののほうがよいということ。
汗をかく(あせをかく)
食べ物などが古くなり腐りかけて、表面がべとつくこと。また、表面に水滴がついたりにじみ出て濡れること。
畦から行くも田から行くも同じ(あぜからいくもたからいくもおなじ)
手段や方法が違っても、同じ結果になることのたとえ。 畦道から行っても田から行っても、結局行き着く所は同じということから。 「田から行くも畦から行くも同じ事」「田を行くも畦を行くも同じ」「田歩くも畔歩くも同じ」などともいう。異形の多い語。
与うるは受くるより幸いなり(あたうるはうくるよりさいわいなり)
人に対して恩恵を与えることが出来る立場や境遇にあることは、恩恵を受ける立場よりも幸福であるということ。
当たって砕けろ(あたってくだけろ)
うまくいくかどうかわからないが、思い切ってやってみよということ。
頭搔くか字を書くか(あたまかくかじをかくか)
文字を書くのが苦手な者が、字を書かなければならくなり、困り果てている様子をからかっていう言葉。「掻く」と「書く」は語呂をあわせ。
頭隠して尻隠さず(あたまかくしてしりかくさず)
悪事や欠点の一部を隠して、全部を隠したつもりでいる者をあざけっていう言葉。雉(きじ)が草むらに頭を突っ込み隠れたつもりでも、尾が見えていることから。
頭が動けば尾も動く(あたまがうごけばおもうごく)
上に立つ者が行動すれば、下の者は自然と従うということ。 動物の頭と尾は一体で、頭が動けば当然尾も動くという意味から。
頭が低い(あたまがひくい)
人に対する態度が、謙虚で丁寧であるさま。
頭に来る(あたまにくる)
怒る。かっとなる。
頭の黒い鼠(あたまのくろいねずみ)
物を盗む人のこと。家に住んでいて、物を盗む頭髪の黒い人間を、鼠になぞらえて言う言葉。
頭を搔く(あたまをかく)
小さな失敗について気まずく感じたり、恥ずかしく照れたりしたときなどに行う、頭に手をやって軽くかくしぐさのこと。
新しい酒は新しい革袋に盛れ(あたらしいさけはあたらしいかわぶくろにもれ)
新しい内容を表現するためには、新しい形式が必要であるということ。
新しい酒を古い革袋に盛る(あたらしいさけをふるいかわぶくろにもる)
新しい内容を古い形式にはめ込むこと。多く内容も形式とが、ともに生かされないことにいう。
仇を恩で報いる(あだをおんでむくいる)
憎むべき相手を憎まずに、かえってその人に情けをかけること。
悪貨は良貨を駆逐する(あっかはりょうかをくちくする)
質の異なる貨幣が同一の価値を持って流通している場合、良質の貨幣は貯蔵・溶解などで市場から姿を消し、悪貨のみが流通するようになるという「グレシャムの法則」のこと。グレシャムは16世紀のイギリスの財政家。
あったら口に風邪をひかす(あったらくちにかぜをひかす)
親切な気持ちで言ったことが無駄になるたとえ。「あったら」は「あたら」が転じた言葉で、残念なことにの意。
あって地獄、なくて極楽(あってじごく、なくてごくらく)
金と子どもは、あれば苦労が絶えないので、むしろないほうが気が楽だということ。
あっても苦労、なくても苦労(あってもくろう、なくてもくろう)
金と子どもは、あればあったで苦労するし、なければないで苦労するということ。
熱くなる(あつくなる)
一つのことに熱中して、他のことを忘れる。特に、異性に夢中になることについていう。 また、熱中するあまり、感情が高ぶって腹を立てる。かっとなる。
熱火子にかく(あつびこにかく)
緊急事態には、利己心が醜く現れるというたとえ。 炎が自分に迫ってきた時は、炎を我が子の方へ払いのけてでも助かろうとするとの意から。 「熱火子にかく」ともいう。
羹に懲りて膾を吹く(あつものにこりてなますをふく)
失敗に懲りて、必要以上に用心深くなることのたとえ。 「羹」は熱い吸い物のこと。 熱い吸い物を飲んでやけどをしたことに懲りて、冷たい膾まで吹いて冷ますことから。
圧力を掛ける(あつりょくをかける)
権力や財力などで威圧して、相手を自分の意のままに従わせようとする。
後口が悪い(あとくちがわるい)
物事が済んだ後に、後悔や不快感が残るさま。 飲食の後に口の中にいやな味が残ることから。
跡を晦ます(あとをくらます)
行き先を告げず、姿を隠すこと。
後を引く(あとをひく)
物事の影響が、いつまでも残ること。とくに、悪い物事についていう。 また、飲食物などを引き続き欲してやめられなくなること。
穴が開く(あながあく)
商売で損失が生じること。また、必要な人員が欠けたり予定がなくなったりすること。
穴の開くほど(あなのあくほど)
何かをじっと見つめるさま。
姉女房は身代の薬(あねにょうぼうはしんだいのくすり)
夫より年上の妻は家計のやりくりもうまく、夫に尽くすので、家庭が円満であるということ。
あの声で蜥蜴食らうか時鳥(あのこえでとかげくらうかほととぎす)
人や物事は、見かけでは判断できないということ。美しい声で鳴く時鳥が蜥蜴を食べることに驚いた、という意味で、江戸時代の俳人、宝井其角の句から。
痘痕も靨(あばたもえくぼ)
ひいき目で見ると、相手の欠点も長所に見えるということのたとえ。恋する者にとっては、相手のあばたも、かわいいえくぼに見えるというということから。
甘い物に蟻がつく(あまいものにありがつく)
甘い物に蟻が集まるように、利益にありつけそうなところには人が人が群がるということ。
甘く見る(あまくみる)
たいしたことはないと軽く見て、あなどる。
余す所なく(あますところなく)
残らず。全て。全部。ことごとく。
天の邪鬼(あまのじゃく)
他人の意見などにわざと逆らう性質。また、そのような人。
余り茶に福あり(あまりちゃにふくあり)
余っている物の中にも、思いがけずよいものがあるということ。
余り物には福がある(あまりものにはふくがある)
最後まで残っている物の中には、思いがけずよいものがあるということ。
網なくて淵を覗くな(あみなくてふちをのぞくな)
十分な用意なしでは物事はうまくいかないというたとえ。また、努力もしないで人を妬んではいけないということ。網を持たずに淵を覗き込んでも、魚は捕れるわけがないという意味から。
網の目を潜る(あみのめをくぐる)
捜査網や監視から巧みに逃れる。 また、法律や規則の盲点を突いて悪事をはたらく。
雨、車軸の如し(あめ、しゃじくのごとし)
大粒の雨がはげしく降るさま。雨脚を車軸に見立てていうことから。
雨塊を破らず、風枝を鳴らさず(あめつちくれをやぶらず、かぜえだをならさず)
世の中が大平であることのたとえ。周公が中国を統治していた頃は天下泰平で、雨は静かに降って土のかたまりを壊さず、風は木の枝も動かないように静かに吹いたという故事から。
荒肝を抜く(あらぎもをぬく)
ひどく驚かすこと。また、恐れさせること。 「荒肝」は、荒々しいこころ。また、肝っ玉の意。
新たに沐する者は必ず冠を弾く(あらたにもくするものはかならずかんむりをはじく)
潔白な人ほど自分の身を汚すおそれのあるものを避けるということ。 「沐」は髪を洗うこと。 髪を洗ったばかりの人は、必ず冠のちりを払ってから頭にのせるとの意から。
有り金をはたく(ありがねをはたく)
持っている金を全部出すこと。
在りての厭い、亡くての偲び(ありてのいとい、なくてのしのび)
生きている間は悪いところばかり目について疎ましかった人が、いざ亡くなってみると今度は良いところばかり思い出されて、恋しくなるということ。
蟻の穴から堤も崩れる(ありのあなからつつみもくずれる)
ちょっとした油断・不注意から大事が起こることのたとえ。 蟻の穴を見過ごしたために堤防が崩れることもあるとの意から。
蟻の甘きにつくが如し(ありのあまきにつくがごとし)
蟻が甘いものに群がるように、利益のある所に人が群がることのたとえ。
蟻の思いも天に届く(ありのおもいもてんにとどく)
弱小な者でも懸命に努力すれば、希望を叶えることができるというたとえ。 蟻のように小さなものでも、一心に努力すれば願いは天に達するとの意から。 「蟻の思いも天に昇る」ともいう。
蟻の熊野参り(ありのくまのまいり)
多くの人が、ひっきりなしにぞろぞろ列を作って行くこと。昔、紀伊国(和歌山県)の熊野に参詣する人々が、まるで蟻の行列のように長く続いていたことから。
歩く足には塵が付く(あるくあしにはちりがつく)
何か物事を行おうとすれば必ず煩わしいことが起きる。だから何もせずじっとしているのにかぎるということ。 「歩く足には泥が付く」ともいう。
ある時払いの催促なし(あるときばらいのさいそくなし)
金の都合がついた時に返せばいい、催促は一切しないという寛大な借金の返済条件をいう言葉。
慌てる蟹は穴の口で死ぬ(あわてるかにはあなのくちでしぬ)
何事も焦ったり慌てたりすると失敗するというたとえ。 「慌てる蟹は穴の口で死ぬ」ともいう。
慌てる乞食は貰いが少ない(あわてるこじきはもらいがすくない)
急ぎ過ぎると、かえって失敗したり損をすることのたとえ。 先を争って施し物を貰おうとすると反感を買ってしまい、貰える物が少なくなってしまうとの意から。
阿波に吹く風は讃岐にも吹く(あわにふくかぜはさぬきにもふく)
ある土地の風習は、他の土地にも移る。上の人の行いは、下の者も真似るようになるということ。また、どこの土地でも人情は変わらないということ。「阿波」は現在の徳島県、「讃岐」は香川県。
泡を食う(あわをくう)
思わぬ出来事に、ひどく驚きあわてることのたとえ。
鞍上人なく、鞍下馬なし(あんじょうひとなく、あんかうまなし)
乗り手が巧みに馬を乗り回し、乗り手と馬が一体となって見えるさま。乗り手と馬の呼吸が合い、鞍の上の人と鞍の下の馬が渾然一体となっている意から。
Rのない月の牡蠣はよくない(あーるのないつきのかきはよくない)
英語の月名でRの文字が入っていない月(5月~8月)の牡蠣は食べるべきではないということ。 この時期は牡蠣の産卵期にあたることから。 May(5月)、June(6月)、July(7月)、August(8月)このように5月~8月はRの文字が入っていない。
帷幄の臣(いあくのしん)
参謀のこと。「帷幄」は垂れ幕や引き幕のことで、その幕を張り巡らした本陣で主君を補佐し、作戦計画を立てる臣の意から。
いい薬になる(いいくすりになる)
辛い経験や失敗などが教訓として役に立つ、という意。
好い線を行く(いいせんをいく)
ある程度のレベルまで、技術や能力が達しているということ。
言い含める(いいふくめる)
事情や内容を理解してもらえるようにしっかりと言うこと。
「事情を―」いい迷惑だ(いいめいわくだ)
自分とは直接関係のないことで、迷惑をこうむること。
言う口の下から(いうくちのしたから)
言ったとたんに。言ったすぐあとから。
言うた損より言わぬ損が少ない(いうたそんよりいわぬそんがすくない)
しゃべり過ぎに注意せよという戒めの言葉。 言い過ぎや言い間違いから受ける損より、黙っていたために受ける損のほうが少ないとの意から。
言うは易く行うは難し(いうはやすくおこなうはかたし)
口で言うのは簡単だが、言ったことを実行するのは難しいということ。
家売れば釘の価(いえうればくぎのあたい)
どんなに高価な家でも、売るときには釘の値段ほどの価値しか残らないということ。
家に杖つく(いえにつえつく)
五十歳のこと。昔、中国では五十歳になれば屋敷内で杖をつくことが許されたことから。
家に鼠、国に盗人(いえにねずみ、くににぬすびと)
規模の違いはあるが、どんな所にも悪いことをする者がいるということ。
家貧しくして孝子顕る(いえまずしくしてこうしあらわる)
貧乏な家庭では、子どもも親を助けるために働いたりするので、その孝行ぶりが目立って人に知られるようになるということ。 逆境のときに、それを助けるものが現れること。
家貧しくして良妻を思う(いえまずしくしてりょうさいをおもう)
貧乏をすると、この境遇を一緒に乗り越えてくれる良い妻が欲しいと、つくつぐ思うということ。
家を道端に作れば三年成らず(いえをみちばたにつくればさんねんならず)
他人の助言をいちいち聞いていると、何事もやり遂げることが出来ないというたとえ。 道に面した場所に家を建てようとすると、口出しをする人が多くてなかなか出来上がらないとの意から。
怒りを招く(いかりをまねく)
自分の言動で、相手を怒らせてしまうこと。 「怒りを招く」ともいう。
遺憾なく(いかんなく)
心残りがまったくないほど十分に。
生き馬の目を抜く(いきうまのめをぬく)
生きている馬の目を抜き取るほどすばやいこと。また、ずるくて油断も隙もならないことのたとえ。
息が続く(いきがつづく)
一つの事を長期間続けること。また、同じ状態を長く保つこと。
生き肝を抜く(いきぎもをぬく)
人をひどく驚かせる。 「生き胆」は生きている動物の肝。
意気天を衝く(いきてんをつく)
意気込みが非常に盛んであること。 「[[意気衝天(いきしょうてん)*https://yoji.jitenon.jp/yoji/264.html]]」ともいう。
息の臭きは主知らず(いきのくさきはぬししらず)
自分の欠点は自分では気づかないということ。 自分の息が臭いことは自分ではわからないことから。
委曲を尽くす(いきょくをつくす)
事情を詳しく明らかにすること。「委曲」は、詳しいという意。
息を吐く(いきをつく)
緊張などから解き放たれ、ほっとして一休みすること。