「く」で終わる故事・ことわざ・慣用句
「く」で終わる故事・ことわざ・慣用句 — 474 件
手を焼く(てをやく)
ある物事の扱いや処置に困ること。持て余すこと。
天井を突く(てんじょうをつく)
相場がこれ以上上がらない最高の値になること。
天は自ら助くる者を助く(てんはみずからたすくるものをたすく)
天は、人に頼らず自ら努力する者に力を貸し、幸福を与えるということ。 「神は自ら助くる者を助く」ともいう。
天馬空を行く(てんばくうをゆく)
天馬が、天空を自由に駆け巡るように、着想や行動が自由奔放である様子。
天を衝く(てんをつく)
山や建物などが一際高く立つ様子。 または、勢いがこの上なく盛んな様子。
出端を挫く(でばなをくじく)
物事をし始めたばかりのところを妨害して、中断させたり意欲をなくさせたりすること。 「出端」は「出鼻」とも書き、「ではな」ともいう。 「出端を折る」ともいう。
出る船の纜を引く(でるふねのともづなをひく)
あきらめられず、未練がましく振る舞うこと。 「纜」は、船を岸につなぐ綱のことで、出て行く船の纜を引っ張るとの意から。
伝家の宝刀を抜く(でんかのほうとうをぬく)
ここぞという場面でしか用いない、奥の手を使うこと。 「伝家の宝刀」は先祖代々その家に伝わる大切な刀。転じて、いざという時に使う切り札のたとえ。
時を得た一針は九針の手間を省く(ときをえたいっしんはきゅうしんのてまをはぶく)
すぐに対処しておけば、あとで大掛かりな手間をかけずにすむということ。 その時に一針縫っておけば、あとで九針縫う手間を省くことができるとの意から。 「適時の一針は九針の手間を省く」ともいう。
得心が行く(とくしんがいく)
相手の言動に納得すること。
とぐろを巻く(とぐろをまく)
数人の人たちが、特に用をするでもなく、ある場所に集まってたむろしている様子。 蛇が体を渦巻き状にしてその場から動かないとの意から。
床に就く(とこにつく)
寝ること。寝床に入ること。 または、病気になって寝込むこと。
年が行く(としがいく)
ある程度の年齢になること。年を取ること。
隣は火事でも先ず一服(となりはかじでもまずいっぷく)
どんなに慌ただしい時でも休息は必要だというたとえ。忙しい時に休息しようとする場合に使う言葉。
図南の鵬翼(となんのほうよく)
大事業や海外進出などの大きな計画を立てること。 「図」は、企てること。 想像上の巨鳥、鵬(おおとり)が遠い南の地に向かって飛び立とうと翼を広げるとの意から。 「図南の鵬翼」ともいう。
飛ぶ鳥懐に入る時は狩人も助く(とぶとりふところにいるときはかりゅうどもたすく)
窮地に陥った者が救いを求めてくれば、どんな事情があっても助けるのが人情であるというたとえ。 追いつめられた鳥が自分のふところに飛び込んでくれば、さすがの猟師も殺したりは出来ないということから。
度肝を抜く(どぎもをぬく)
激しく驚かせること。
どすが利く(どすがきく)
声や話し方に、相手を脅すような凄みがあること。
怒髪、冠を衝く(どはつ、かんむりをつく)
すごい剣幕で怒る様子。また、そのような形相のたとえ。 烈しい怒りのために逆立った髪の毛が冠を突き上げるとの意から。 「かんむり」は「かん」とも読む。 「冠を衝く」は「天を衝く」ともいう。
泥を吐く(どろをはく)
隠していた悪事などを、追及されて白状すること。
ない子に泣かないが有る子に泣く(ないこにはなかないがあるこになく)
子育てには苦労があり時には泣かされることもあるが、たとえ苦労させられても子どもはいたほうがよいということ。 「ない子に泣かないが有る子に泣く」「ない子では泣かである子に泣く」などともいう。
ない時の辛抱、ある時の倹約(ないときのしんぼう、あるときのけんやく)
金がない時はじっと辛抱し、金のある時は倹約を心がけよということ。
仲を裂く(なかをさく)
親しい者同士や愛し合う者同士を無理に引きはなすこと。
永い眠りにつく(ながいねむりにつく)
死ぬことを眠りに見立てた婉曲(えんきょく)表現。直接的な死の表現を避け、穏やかな眠りにたとえることで、故人への哀悼と慎ましさを表す。
長追いは無益(ながおいはむやく)
勝ちに乗じて深追いすると、思わぬ反撃を受け不利な立場に陥ることもあるので、ほどほどにするのが賢明ということ。 「長追いは無用」ともいう。
名が泣く(ながなく)
高い名声や評判にそぐわないようなことをして、評価を下げること。
泣きべそをかく(なきべそをかく)
今にも泣きそうな顔をすること。
泣く子も目を開く(なくこもめをあく)
無分別な者や一見何も考えていないように見える者であっても、多少は周囲の状況を考慮して振る舞うものであるというたとえ。 泣きわめいている子供でも、時折目を開けて周囲の状況や相手の態度をうかがっているとの意から。
仲人の嘘八百(なこうどのうそはっぴゃく)
仲人は縁談を成立させるために、双方の欠点を隠し、長所を誇張して話を進めることが多く、結果として嘘が多くなるということ。 または、調子のよいことを言って話をまとめようとするため、注意が必要であるということ。
仲人は草鞋千足(なこうどはわらじせんぞく)
縁談をまとめる仲人の苦労をたとえた言葉。 縁談成立のためには、千足の草鞋を履きつぶすほど、何度も双方の家を訪ねて調整を重ねなければならないとの意から。
情け容赦もなく(なさけようしゃもなく)
相手に対して遠慮や手加減をすることなく、物事を進める様子。
夏歌う者は冬泣く(なつうたうものはふゆなく)
働ける時に働いておかなければと、後になって暮らしに困るということ。 夏に歌など歌って遊んで暮らしている者は、冬になったときに蓄えがないので飢えや寒さに泣く羽目になるとの意から。
何くれとなく(なにくれとなく)
特にこれと決まったこと以外にも、あれこれと些細なところにまで気を配るさま。
名に背く(なにそむく)
名声や評判を裏切ること。 また、名声と実力が一致しないこと。
生木を裂く(なまきをさく)
相思相愛の男女を無理に別れさせること。 地に根を張って生きている木を無理に裂くとの意から。
憎まれ口を叩く(にくまれぐちをたたく)
人から嫌われたり憎たらしく思われるような言い方をすること。
二十五菩薩もそれぞれの役(にじゅうごぼさつもそれぞれのやく)
二十五菩薩にもそれぞれの役目があるように、人間にも各自の役目があるということ。「二十五菩薩」とは、往生を願う信者が臨終の時に、阿弥陀仏とともに迎えに来るといわれる二十五体の菩薩のこと。
二足の草鞋を履く(にそくのわらじをはく)
両立しないような二つの職業を一人で同時に兼ねることのたとえ。 単に「二足の草鞋」ともいう。
女房の悪いは六十年の不作(にょうぼうのわるいはろくじゅうねんのふさく)
悪い妻は夫を一生不幸にしてしまうということ。 悪い妻をもらうと六十年の不作に匹敵するとの意から。
睨みが利く(にらみがきく)
他者を威圧し、押さえつけるだけの力量があること。
抜き足すれば道付く(ぬきあしすればみちつく)
人に知られないようにすると、かえって目立つことになるということ。 音を立てないように抜き足差し足で歩くと、かえってその跡がついてしまうとの意から。
根がなくても花は咲く(ねがなくてもはなはさく)
根がない生け花にも花が咲くように、まったく事実無根のことでも噂が立つことがあるということ。
寝首を掻く(ねくびをかく)
相手が油断している隙に不意をついて陥れることのたとえ。 ぐっすり寝ている人の首を切るとの意から。
螺子を巻く(ねじをまく)
気持ちが緩んだ時、注意したり励ましたりして気を引き締めなおすことのたとえ。
鼠が塩を引く(ねずみがしおをひく)
小事が積み重なって大事になることのたとえ。また、ものが少しずつ減っていき、最後にはなくなってしまうことのたとえ。 鼠が盗んでいく塩は少量ずつだが、何度も盗まれているといつの間にか大量の塩が無くなってしまうことから。 「鼠が塩を嘗める」ともいう。
熱を吹く(ねつをふく)
言いたい放題にいうこと。大げさにいうこと。
寝る間が極楽(ねるまがごくらく)
寝ている間は現実の心配事や苦労を忘れることができて、まるで極楽にいるようだということ。
念頭に置く(ねんとうにおく)
常にそのことを意識すること。
脳裏に焼き付く(のうりにやきつく)
非常に強い印象を受けて、いつまでも記憶に残っていること。
肺肝を砕く(はいかんをくだく)
非常に苦心することのたとえ。「肺肝」は肺臓と肝臓のことで、転じて「心」の意。心が砕けてしまうほど考えるという意味。
肺腑を衝く(はいふをつく)
心の奥底に衝撃を与えることのたとえ。また、深い感銘を与えることのたとえ。 「肺腑」は肺臓のこと。転じて心の底のこと。 「衝く」は「突く」とも書く。 また、「肺腑を貫く」「肺腑を抉る」ともいう。
箔が付く(はくがつく)
値打ちが上がること。貫禄がつくこと。「箔」は金属を紙のように薄くたたきのばしたもの。その箔が付いて立派になることから。
走れば躓く(はしればつまずく)
物事は急ぐと失敗しやすいので、落ち着いてじっくり取り組めということ。 焦って走ると、躓(つまづ)いて転んでしまうとの意から。
旗を巻く(はたをまく)
成功や勝利が不可能だと判断して諦めること。 戦場で軍旗を下ろし、巻いて納めるとの意から。
白虹日を貫く(はっこうひをつらぬく)
臣下が君主に対して反乱を起こす予兆のたとえ。白い虹は武器、太陽は君主の象徴と解釈され、白い虹が太陽を貫いてかかることから、兵乱が起こり君主に危害を加える前兆とされたことから。
鼻が胡坐をかく(はながあぐらをかく)
鼻が低く横に広がっている様子。
鼻が利く(はながきく)
隠し事などを見抜いたり、利益になりそうなことを探し出したりする能力がすぐれていること。
鼻毛を抜く(はなげをぬく)
相手の心を見抜いて騙したり、出し抜いたりすること。
話に花が咲く(はなしにはながさく)
話題が尽きず、会話が盛り上がること。
鼻に付く(はなにつく)
似たようなことが何度も繰り返され、飽きて嫌になること。 または、人の言動が煩わしく感じて嫌になること。 嫌な臭いが鼻に付いて消えなくなるという意味から。
早起きは三文の徳(はやおきはさんもんのとく)
朝早く起きるとなにかしらいい事があるということ。「徳」は「得」と同じ。
腸が見え透く(はらわたがみえすく)
隠している企みなどがよくわかること。
腹を見抜く(はらをみぬく)
相手の言動などから、相手の考えや気持ちなどを推測して知ること。 または、相手のたくらみを知ること。
一口物に頬焼く(ひとくちものにほおやく)
ちょっとしたことに手を出して、意外な失敗をすることのたとえ。 一口で食べられるような食べ物で、口の中をやけどすることから。
人には飽かぬが病に飽く(ひとにはあかぬがやまいにあく)
長わずらいの病人が、看病する人や周囲の人から嫌がられることをいう言葉。病人に飽きたわけではないが、病気に飽き飽きしてしまったということ。
人の一寸、我が一尺(ひとのいっすん、わがいっしゃく)
人の欠点は少しのことでも目につくが、自分の欠点はどんなに大きくても気がつかないというたとえ。
人目を引く(ひとめをひく)
服装や態度などが目立っていて注目を集めること。
百日の労、一日の楽(ひゃくにちのろう、いちにちのらく)
働くばかりではなく、たまには休むほうがよいということ。 百日も働いたら、一日くらいゆっくり休養したほうがよいとの意から。
百年の不作(ひゃくねんのふさく)
一生悔やまれる失敗。取り返しがつかないほどの失敗。特に結婚での失敗についていう言葉。
冷や汗をかく(ひやあせをかく)
恥ずかしさや恐怖などによって緊張すること。
冷や酒と親の意見は後で利く(ひやざけとおやのいけんはあとできく)
親の意見は聞き流してしまいがちだが、後になると納得できて、なるほどと思うようになるということ。冷酒は飲んですぐより、あとから酔いが回ってくる意から。
氷山の一角(ひょうざんのいっかく)
表面に現れているのは全体のほんの一部で、大部分は隠れたままであることのたとえ。 海面上に見える氷山は、全体のうちの一部分にすぎないとの意から。
貧の楽は寝楽(ひんのらくはねらく)
貧しい人の楽しみは寝ることであるということ。 または、貧しい人は盗まれるものがないので安心して寝られるということ。
貧乏籤を引く(びんぼうくじをひく)
損な役割をさせられること。
降って湧く(ふってわく)
物事が突然起こる。思いがけないときにあらわれる。
筆を擱く(ふでをおく)
文章を書くことを止めること。 または、最後まで書いてしまうこと。
太く短く(ふとくみじかく)
我慢して長く生きるよりも、やりたいことをやって楽しんで生きたほうがよいということ。 また、たとえ長生きできなくても楽しんで生きたいという態度のこと。
分相応に風が吹く(ぶんそうおうにかぜがふく)
人にはそれぞれの身分や地位に応じた生き方があるということ。
減らず口を叩く(へらずぐちをたたく)
負けを認めずに強がりや屁理屈を言うこと。
褒姒の一笑国を傾く(ほうじのいっしょうくにをかたむく)
美女のために国が滅びること。 「褒姒」とは中国、周の幽王の后。 めったに笑わない褒姒が、手違いで上がったのろしによって諸侯が参集するのを見て笑ったため、幽王が平時にたびたびのろしを上げさせたので、本当の戦乱の時には諸侯が集まらず国が滅びたという故事から。