「持」を含む故事・ことわざ・慣用句
「持」を含む故事・ことわざ・慣用句の一覧です。五十音順に表示しています。
浮世は回り持ち(うきよはまわりもち)
幸不幸、貧富、栄枯盛衰などは絶えず人から人へと回っていき、一ヶ所にとどまらないということ。
馬持たずに馬貸すな(うまもたずにうまかすな)
物の扱い方を知らない人に、物を貸してはいけないということ。 「馬持たず」は馬を持っていない人のこと。 馬を持ったことのない人は、馬を粗末に扱うかもしれないので貸してはいけないとの意から。
縁の下の力持ち(えんのしたのちからもち)
他人のために、人目につかないところで苦労や努力をすること。また、そのような人のこと。
大船に乗った気持ち(おおぶねにのったきもち)
信頼できるものに任せすっかり安心しきったようす。難破する心配のない大きな船に乗ったようだということから。
置き酌失礼、持たぬが不調法(おきじゃくしつれい、もたぬがぶちょうほう)
お酌のとき、置いた杯に酒を注ぐのも失礼だが、杯を持とうとしない受け手も不調法である。酒の席での微妙なおもむきを言ったことば。
お椀を持たぬ乞食はない(おわんをもたぬこじきはない)
仕事に必要な道具はちゃんと揃えておけということ。 乞食でも、貰い物を入れるお椀はどんな時も持っているとの意から。
肩を持つ(かたをもつ)
その人の味方になって、援助したりかばったりする。
金は天下の回り持ち(かねはてんかのまわりもち)
金は人から人へと渡り回っていくものだから、いつか自分の所にも回ってくるはずだから、今は貧しくてもくよくよするなということ。
金持ち、金使わず(かねもち、かねつかわず)
金持ちはけちが多いということ。また、金持ちは無駄な金は使わないということ。
金持ち喧嘩せず(かねもちけんかせず)
喧嘩をしても得にならないことを金持ちは知っているので、人と争うような愚かなことはしないというたとえ。
金持ちと灰吹きは溜まるほど汚い(かねもちとはいふきはたまるほどきたない)
金持ちは、財産を増やそうとしたり、減らすまいとしてけちになり、心が卑しくなるというたとえ。「灰吹き」はたばこの吸い殻を入れる竹筒のことで、吸い殻が溜まることと金が貯まることをかけている。
癇癪持ちの事破り(かんしゃくもちのことやぶり)
気短な人間は少しのことでも怒り出して、決まりかけた話や計画を台無しにしてしまうことがあるということ。
気持ちが傾く(きもちがかたむく)
当初とは考え方や感じ方が変わり、次第にそれが好ましく感じられて惹きつけられること。
気持ちを汲む(きもちをくむ)
相手の意向や事情を推察する。
気を確かに持つ(きをたしかにもつ)
気持ちを抑えてしっかりと意識を保つこと。
気を持たせる(きをもたせる)
思わせぶりな言動をして、相手に期待や希望をいだかせること。
金銀は回り持ち(きんぎんはまわりもち)
金は人から人へと渡り回っていくもので、いつか自分の所にも回ってくるはずなので、今は貧しくてもくよくよするなということ。
食うた餅より心持ち(くうたもちよりこころもち)
ごちそうしてもらったり、贈り物をもらったりするのもうれしいが、それをしてくれた相手の心持ちがもっとうれしいということ。「餅」と「持ち」をかけたしゃれ。
怪我と弁当は自分持ち(けがとべんとうはじぶんもち)
自分で負った怪我は自分の責任だ、という職人の間で言われている言葉。
子を持って知る親の恩(こをもってしるおやのおん)
自分が子どもを持ち育ててみて、初めて親のありがたさがわかり恩を感じるということ。
三人子持ちは笑うて暮らす(さんにんこもちはわろうてくらす)
子どもを持つなら三人くらいがちょうどよく、幸せな暮らしができるということ。
座を取り持つ(ざをとりもつ)
同席している人たちが白けないように応対すること。
渋柿の長持ち(しぶがきのながもち)
何の取り柄もない人や悪人が長生きすることのたとえ。そのまま食べられない渋柿は人に採られることなく長く木に残っているということから。
所帯を持つ(しょたいをもつ)
独立した生計を立てて一家を構えること。 または、結婚して親元を離れて暮らすこと。
尻の持って行き場がない(しりのもっていきばがない)
不平や不満、苦情などを訴える所がないこと。
尻を持ち込む(しりをもちこむ)
面倒な物事の後始末や責任を取るように要求すること。
述懐奉公身を持たず(じゅっかいぼうこうみをもたず)
不平、不満を持ちながら働いていても、身が持たないということ。
脛に疵持つ(すねにきずもつ)
やましいことや人に知られたくない前歴があることのたとえ。 他人の目につきにくい脛に傷があるとの意から。
脛に疵持てば笹原走る(すねにきずもてばささはらはしる)
自分の身にやましいところのある者は、落ち着いて生活することができないということ。 脛に傷のある者は笹が傷にふれると痛いので笹原を走り抜ける、または後ろめたいことがある者は笹の葉のそよぐ音にもおびえて走り出すとの意から。
太鼓を持つ(たいこをもつ)
他人に同調して機嫌をとること。太鼓を叩く。
宝の持ち腐れ(たからのもちぐされ)
役に立つ物を持ちながら、利用しないたとえ。また、優れた才能や手腕がありながら、それを活用しないたとえ。
知恵の持ち腐れ(ちえのもちくされ)
すぐれた知恵を持っていながら、有効に活用できないこと。また、有効に活用しないこと。
提灯持ち(ちょうちんもち)
人の手先になって、その人のことを褒めて回ること。また、それをする人。
提灯持ち川へはまる(ちょうちんもちかわへはまる)
人を導くべき人が、先に失敗してしまうことのたとえ。提灯を持って先導する人が、自分の足元が暗いため川に落ちてしまうということから。
提灯持ちは先に立て(ちょうちんもちはさきにたて)
指導的立場にある人は、先頭に立って模範を示すべきであるということ。 提灯を持って先導する人が先頭に立たずに後ろを歩いていても役に立たないとの意から。
提灯を持つ(ちょうちんをもつ)
ある人の手先になって、頼まれてもいないのに、その人を褒めたり宣伝したりすること。
搗いた餅より心持ち(ついたもちよりこころもち)
品物をもらったことより、その心づかいがなおうれしいということ。
天下は回り持ち(てんかはまわりもち)
天下の君主となる者は、次々と変わるものだということ。また、貧富貴賎の運命は人々の間を回るというたとえ。
仲を取り持つ(なかをとりもつ)
双方の仲立ちをすること。
長持枕にならず(ながもちまくらにならず)
大は小を兼ねるとはいえ、大き過ぎるものは、必ずしも小さなものの代わりを果たせるわけではないということ。 長持(衣装箱)が大きくて枕に似ているからといって、その大きさゆえに枕としての役割を果たせないことから。
盗人の提灯持ち(ぬすびとのちょうちんもち)
悪人の手先となって、手助けをすること。「提灯持ち」は、夜道に提灯を持って先に行く人。転じて、人の手先になって、その人をほめ従う者。
根に持つ(ねにもつ)
人から受けた仕打ちをいつまでも忘れず、いまだにそのことを恨んでいる様子。
根葉に持つ(ねはにもつ)
人から受けた仕打ちをいつまでも忘れず、いまだにそのことを恨んでいる様子。
掃き溜めと金持ちは溜まるほど汚い(はきだめとかねもちはたまるほどきたない)
金持ちは、お金がたまればたまるほど欲深くけちになるというたとえ。「掃き溜め」は、ごみ捨て場のこと。
箸より重い物を持たない(はしよりおもいものをもたない)
裕福な家庭で育てられるなどして、労働の経験がないことのたとえ。 食事で使う箸以上に重たい物を持ったことがないとの意から。 「箸より重い物を持たない」ともいう。
箸より重い物を持ったことがない(はしよりおもいものをもったことがない)
裕福な家庭で育てられるなどして、労働の経験がないことのたとえ。 食事で使う箸以上に重たい物を持ったことがないとの意から。 「箸より重い物を持たない」ともいう。
花を持たせる(はなをもたせる)
身を退いて、勝利や名誉などを人に譲ること。
幅を持たせる(はばをもたせる)
細かい部分を意図的に明言せず、融通が利くようにすること。
文は遣りたし書く手は持たず(ふみはやりたしかくてはもたず)
恋文を書いて送りたいが文字が書けない、また代筆を頼むのも恥ずかしいと思い悩む心情をいう言葉。 「文は遣りたし書く手は持たぬ」ともいう。
文は遣りたし書く手は持たぬ(ふみはやりたしかくてはもたぬ)
恋文を書いて送りたいが文字が書けない、また代筆を頼むのも恥ずかしいと思い悩む心情をいう言葉。 「文は遣りたし書く手は持たぬ」ともいう。
箆増しは果報持ち(へらましはかほうもち)
年上の女性を妻にすると幸せになるということ。「箆増し」は年上の女房、「果報持ち」は幸運・幸せの意。
弁当持ち先に食わず(べんとうもちさきにくわず)
お金や物をたくさん持っている人は、なかなか自分の物を使おうとしないことのたとえ。 特に、金持ちが金を使わないことをいう場合が多い。 弁当を運ぶ役目の人は、人より先に弁当を食べたりしないとの意から。
褒めらるる身の持ちにくさ(ほめらるるみのもちにくさ)
世間からほめられる立場になると、その評判に恥じないようにするのが難しく、常に注目されているので窮屈な思いをするということ。
満を持す(まんをじす)
十分に準備をして機会の到来を待つこと。 「満」は、みちること、みたすこと。ここでは、弓をいっぱいに引き絞ること。 弓をいっぱいに引き絞った状態で待ち構えるとの意から。
身を持する(みをじする)
生活態度や品行を厳しく守り、保ち続けること。
身を持ち崩す(みをもちくずす)
品行が悪化し、生活がだらしなくなること。
娘三人持てば身代潰す(むすめさんにんもてばしんだいつぶす)
娘を三人持てば、その嫁入り支度で財産がなくなるということ。
持ち出しになる(もちだしになる)
足りなかった費用を自分たちで負担すること。
持ちつ持たれつ(もちつもたれつ)
お互いに助けあうさま。
持ち物は主に似る(もちものはぬしににる)
持ち物には持ち主の性格や好みが表れるので、持ち物を見ればその持ち主の人柄が想像できるということ。
持ったが病(もったがやまい)
持たなければ何もなかったものをなまじ持ったばっかりに、いらぬ苦労をするということ。
持って生まれた(もってうまれた)
生まれつき備わっているさま。
持って来い(もってこい)
最も適しているようす。うってつけ。
持つべきものは子(もつべきものはこ)
他人ではあてにできない事も、わが子ならばしてくれる。子は持つべきもので、わが子ほどありがたいものはないということ。
持つべきものは女房(もつべきものはにょうぼう)
苦労や感動をともにわかち合える妻のありがたさを言うことば。
持てる者と持たざる者(もてるものともたざるもの)
世の中は財産を持つ豊かな者と、それを持たない貧しい者の二種類しかないということ。
矢でも鉄砲でも持って来い(やでもてっぽうでももってこい)
どんな手段を用いても構わないのでかかってこいの意。 固い決意をしたりやけになったりしたときにいう言葉。 「矢でも鉄砲でも持って来い」ともいう。
槍でも鉄砲でも持って来い(やりでもてっぽうでももってこい)
どんな手段を用いても構わないのでかかってこいの意。 固い決意をしたりやけになったりしたときにいう言葉。 「矢でも鉄砲でも持って来い」ともいう。
槍持槍を使わず(やりもちやりをつかわず)
日頃から仕事で使用しているものは、自分のためには使用しないということ。 また、他人の面倒を見るばかりで、自分のことには手が回らないこと。 「駕籠舁き」は、駕籠に人を乗せて運ぶことを職業にしている人。 駕籠舁きは、自分の駕籠には乗らないとの意から。
世の中は相持ち(よのなかはあいもち)
世の中はお互いに助け合っていくことで成り立つということ。 「世の中は相持ち」ともいう。
世は相持ち(よはあいもち)
世の中はお互いに助け合っていくことで成り立つということ。 「世の中は相持ち」ともいう。
両端を持す(りょうたんをじす)
どちらに付くか迷い、あいまいな態度をとること。
艪を押して櫂は持たれぬ(ろをおしてかいはもたれぬ)
艪を漕ぎながら櫂を操ることはできないように、一人で同時に二つのことはできないというたとえ。