「な」を含む故事・ことわざ・慣用句
「な」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 1700 件
四月の中の十日に心なしに雇われるな(しがつのなかのとおかにこころなしにやとわれるな)
四月の中旬頃は日が長いので、思いやりのない人に雇われるといつまでも働かされるので気をつけよということ。また、その頃の日中の時間が長いことをいう。
歯牙にもかけない(しがにもかけない)
まったく問題にしないで無視するようす。「歯牙」は歯と牙(きば)。転じて言葉・議論の意で、わざわざ取り上げて議論の対象にしないことをいう。
仕事幽霊飯弁慶、その癖夏痩せ寒細り、たまたま肥ゆれば腫れ病(しごとゆうれいめしべんけい、そのくせなつやせかんぼそり、たまたまこゆればはれやまい)
仕事は出来ないのに飯は山のように食べ、夏も冬のように痩せていて、たまに太ったかと思えば病気にかかっている。怠け者の大食漢の多病をあざけった言葉。
師匠のはな負け(ししょうのはなまけ)
最初は師匠が弟子に負けることもあるが、回を重ねると弟子が負け、やはり師匠の実力にはかなわないということ。勝負事で初めに負けたものが負け惜しみにいう言葉。
四十過ぎての道楽と七つ下がって降る雨は止みそうで止まぬ(しじゅうすぎてのどうらくとななつさがってふるあめはやみそうでやまぬ)
中年になってから始めた道楽と、七つ下がりに降り出した雨は、なかなかやまないということ。「七つ下がり」は午後四時過ぎのこと。
親しき仲に垣をせよ(したしきなかにかきをせよ)
親しい間柄でも遠慮がなくなると不仲のもとになるので、節度を守れという戒めの言葉。 「思う仲には垣をせよ」「良い仲には垣をせよ」「睦まじき仲に垣をせよ」「近しき仲にも垣を結え」などともいう。
親しき仲にも礼儀あり(したしきなかにもれいぎあり)
親しい間柄であっても、遠慮がなくなると関係が悪化する原因になるため、礼儀を大切にする必要があること。 「近しき仲に礼儀あり」ともいう。
下地は好きなり御意はよし(したじはすきなりぎょいはよし)
もともと好きなところへ、相手から好意をもって勧められ、こんなに都合のいいことはないということ。
滴り積もりて淵となる(したたりつもりてふちとなる)
少しのものでも集まれば大きなものになることのたとえ。一滴のわずかな滴も溜まり続ければいつかは深い淵になるという意味から。
下にも置かない(したにもおかない)
客などを非常に丁寧にもてなす様子。 下座につかせないとの意から。 「下へも置かない」ともいう。
下腹に毛がない(したはらにけがない)
老獪な人物や腹黒い人物のたとえ。年老いた狼や狸の下腹には毛がないという言い伝えから。
舌を鳴らす(したをならす)
舌を打ち付けて音を出すこと。舌打ちをすること。不満や軽蔑などを隠さずに表す様子。または、美味しい食べ物を食べて満たされる様子。
七尺去って師の影を踏むな(しちしゃくさってしのかげをふむな)
師につき従う時、弟子は三尺ほど後ろを歩いて、師の影を踏んではいけないということ。 弟子は師を敬い礼儀を失わないように心がけるべきであるという戒めの言葉。 「弟子七尺去って師の影を踏まず」「七尺去って師の影を踏まず(踏むな)」ともいう。
知って問うは礼なり(しってとうはれいなり)
たとえ知っていることでも、専門家に意見を聞くのが礼儀だということ。
しつこい坊主に檀那がない(しつこいぼうずにだんながない)
しつこいものは人に嫌われるというたとえ。「檀那」は、檀家のこと。財物の寄進をしつこく言う僧侶は嫌われるということから。
死なぬ子三人、皆孝行(しなぬこさんにん、みなこうこう)
三人の子どもが親より先に死なずに成人してくれたら、これ以上の孝行はないということ。
死なば諸共(しなばもろとも)
死ぬまで運命を共にするという覚悟を表す言葉。または、道連れにして死んでやるという脅しの言葉。死ぬときは一緒に死ぬという意味から。
科を作る(しなをつくる)
女性が男性の気を引く艶めかしい仕草や態度を見せること。
至難の業(しなんのわざ)
実現できるとは思えないほどに難しいこと。
死にたいと麦飯食いたいほど大きな嘘はない(しにたいとむぎめしくいたいほどおおきなうそはない)
人間は時には心にもないことを言うということ。死にたいと言っても本当に死ぬ気のある者はいないし、麦飯を食べたいと言っても本当は粗食を好むわけではないということ。
死に花を咲かせる(しにばなをさかせる)
死に際が立派で、名誉を死後に残すこと。
死人に口なし(しにんにくちなし)
死人に無実の罪を着せること。また、死人を証人に立てることは出来ないということ。
死ぬ死ぬと言う者に死んだ例なし(しぬしぬというものにしんだためしなし)
死ぬ死ぬと言う者にかぎって、本当に自殺する者はいないということ。
渋柿の長持ち(しぶがきのながもち)
何の取り柄もない人や悪人が長生きすることのたとえ。そのまま食べられない渋柿は人に採られることなく長く木に残っているということから。
始末に負えない(しまつにおえない)
どうすることもできない。手に負えない。
示しが付かない(しめしがつかない)
教える側の立場としてよい例にならないこと。手本にならない。
釈迦に宗旨なし(しゃかにしゅうしなし)
仏教の開祖である釈迦には、何宗何派という宗派があったわけではない。仏教の教えはすべて釈迦が発しているのだから、宗派の争いは無意味であるということ。
杓子は耳搔きにならず(しゃくしはみみかきにならず)
大きいものが、必ずしも小さいものの代わりのなるとはかぎらないことのたとえ。形が似ていても、杓子は大きすぎて耳かきには使えないということから。
尺も短き所あり、寸も長き所あり(しゃくもみじかきところあり、すんもながきところあり)
場合によっては賢い者も劣ることがあり、愚かな者が勝る場合もあるというたとえ。尺でも短くて足りないこともあり、寸でも長すぎることがあるということから。
尺を枉げて尋を直くす(しゃくをまげてじんをなおくす)
大事のために小事を犠牲にすること。 「尋」は、八尺。 一尺を曲げてでも尋(八尺)をまっすぐに伸ばすとの意から。
奢侈に流れる(しゃしにながれる)
収入や立場を超えた贅沢な生活をすること。
車軸を流す(しゃじくをながす)
激しく雨が降るさま。大雨のさま。 「車軸」は車の車輪に取り付ける軸こと。 その車軸のような太い雨が降るとの意から。 「車軸を下す」ともいう。
沙弥から長老にはなれぬ(しゃみからちょうろうにはなれぬ)
物事には順序があり、一足飛びには上に進めないというたとえ。「沙弥」は仏門に入ったばかりの修行未熟な若い僧、「長老」は徳の高い僧。
習慣は第二の天性なり(しゅうかんはだいにのてんせいなり)
習慣はいつしか深く身について、まるで生まれつきの性質のように日常生活に影響を及ぼすということ。
舅の物で相婿もてなす(しゅうとのものであいむこもてなす)
自分のふところは痛めずに、人の物を相手にふるまう、ちゃっかりとした行いのたとえ。「相婿」は姉妹の夫どうしのこと。舅のふるまいで出された料理や酒を、相婿が勧め合う意から。「舅の酒で相婿もてなす」
姑の十七、見た者ない(しゅうとめのじゅうしち、みたものない)
姑は自分の若い頃のことを引き合いに出して嫁に小言を言うが、誰も姑の若い時を知らないので当てにはならないということ。
衆望を担う(しゅうぼうをになう)
多くの人からの期待や信頼が集まること。
手足を措く所なし(しゅそくをおくところなし)
安心して身を置く所がないということ。また、不安でたまらないこと。
手段を選ばない(しゅだんをえらばない)
あらゆる方法を使って目的を果たそうとすること。
朱に交われば赤くなる(しゅにまじわればあかくなる)
人は交際する相手によって善にも悪にもなるというたとえ。 赤いものに触れると赤くなるように、人も周りの影響を受けるということ。
舜も人なり吾もまた人なり(しゅんもひとなりわれもまたひとなり)
人は誰でも努力や心がけ次第で立派な人間になれるということ。 「舜」は、中国太古の伝説上の聖天子のこと。五帝の一人。 「吾」は、自分のこと。 舜も自分も同じ人間なのだから、舜に出来たことは自分にも出来るとの意から。
背負い投げを食う(しょいなげをくう)
大事な局面で信頼していた人に裏切られて酷い思いをすること。 「背負い投げ」は「せおいなげ」とも読む。
しょう事なしに米の飯(しょうことなしにこめのめし)
貧しさのため、かえって不経済な生活をしなければならないことのたとえ。また、一つしか取り柄がないので、やむなくその事を自慢するたとえ。「しょう事なし」は、どうしたらいいのか、適当な方法がみつからないこと。麦飯のほうが安上がりだが、新たに麦を買う金がないので、仕方なく持っている米の飯を食べるということから。
性懲りもなく(しょうこりもなく)
懲りずに同じ過ちを繰り返す様子。懲りもしないで。
小人閑居して不善をなす(しょうじんかんきょしてふぜんをなす)
小人物は暇を持て余すと、とかくろくでもないことをするということ。「小人」は君子に対する言葉で、人徳や教養のない卑しい者の意。「閑居」は本来「間居」と書き、暇でのんびり暮らすこと。
小人罪なし璧を懐いて罪あり(しょうじんつみなしたまをいだいてつみあり)
身分不相応なものを手にすると、災いを招いてしまうということ。 「小人」は凡人のこと。 凡人であることに罪はないが、凡人には不相応な宝玉を持ってしまうとその宝玉が災いを招く原因になるとの意から。 「小人」は「匹夫(ひっぷ)」とも、また単に「璧を懐いて罪あり」ともいう。
性に合わない(しょうにあわない)
そのものが性格や好みに合わないこと。
少年老い易く学成り難し(しょうねんおいやすくがくなりがたし)
年月は油断しているうちに、たちどころに過ぎ、すぐに年をとってしまう。学問を修めるのは難しいので、若いうちから時間を無駄にせず勉学に励めというおしえ。
商売往来にない商売(しょうばいおうらいにないしょうばい)
泥棒など世間に認められない商売のこと。 「商売往来」は、商売に関係した事柄を書いた江戸時代の書物で、その書物に載っていない商売との意から。
正法に奇特なし(しょうぼうにきどくなし)
正しい宗教には不思議な利益(りやく)などは存在せずに、不思議な恩恵があるとすればそれは邪教であるということ。 「正法」は「しょうほう」とも読む。 「正法に不思議なし」ともいう。
しょうもない(しょうもない)
つまらないやばかばかしいなどの意味を表す言葉。 「仕様もない」が変化してできた言葉。
知らざるを知らずと為せ、是れしるなり(しらざるをしらずとなせ、これしるなり)
知ったふりをしないで、知らない事は知らないと自覚すること、これが本当に知るということであるということ。
白波(しらなみ)
他人のものを盗む人。また、その集団。盗賊。中国の後漢末、黄巾の賊の残党が白波谷(はくはこく)に籠もって白波賊(はくはぞく)と呼ばれ、日本でそれを訓読したもの。
知らぬ神より馴染みの鬼(しらぬかみよりなじみのおに)
親しくない善良な人よりも、欠点やくせがあったとしても身近な人のほうが頼りになるというたとえ。 知らない神様より、よく知っている鬼のほうがいいとの意から。 「知らぬ仏より馴染みの鬼」ともいう。
知らぬは亭主ばかりなり(しらぬはていしゅばかりなり)
女房の浮気を周囲の者は知っていて、亭主だけが知らないこと。また、周りの者が皆知っていて、当人だけが知らずに平気でいることのたとえ。
尻が長い(しりがながい)
他人の家を訪れて話し込んでなかなか帰らないこと。 「長尻」や「長っ尻」ともいう。
尻の穴が小さい(しりのあながちいさい)
心が狭いこと。度量が狭いこと。 「尻」は「けつ」とも読む。
尻の持って行き場がない(しりのもっていきばがない)
不平や不満、苦情などを訴える所がないこと。
知る由もない(しるよしもない)
その物事を知るための手がかりや方法が一つもないこと。
師走女房難つけな(しわすにょうぼうなんつけな)
年の瀬は忙しく、女たちは身なりに構う暇などないので、文句を言ったりするなということ。
吝ん坊と灰吹きは溜まるほど汚い(しわんぼうとはいふきはたまるほどきたない)
けちん坊は、金を貯めれば貯めるほど遣うのが惜しくなり、よけい物惜しみして意地汚くなるということ。「吝ん坊」は、けちん坊。「灰吹き」は煙草の吸殻入れ。
新規蒔き直し(しんきまきなおし)
初めからやり直すこと。
辛酸を嘗める(しんさんをなめる)
辛く苦しい目に遭うこと。「辛酸」は、辛い目や苦しい思いのこと。
親戚の泣き寄り(しんせきのなきより)
親戚は普段はあまり関わりがなくても、不幸があると集まって一緒に悲しむということ。
死んで花実が咲くものか(しんではなみがさくものか)
人間死んでしまえば万事おしまいである。どんな状況にあっても、生きていればこそいいこともあるということ。死んだ木に花が咲いたり実がなったりしないことから。
親は泣き寄り、他人は食い寄り(しんはなきより、たにんはくいより)
不幸があったとき、身内は心から悲しんで集まるが、他人は葬儀のご馳走を目当てに集まるということ。 身内は困ったときに心から助けようとしてくれるが、他人はうわべだけの同情しか見せないというたとえ。 単に「他人は食い寄り」ともいう。
辛抱する木に金がなる(しんぼうするきにかねがなる)
辛抱強くこつこつ努めれば、いつか成功して財産もできるというたとえ。「木」は「気」にかけて言ったもの。
地震、雷、火事、親父(じしん、かみなり、かじ、おやじ)
世の中で恐ろしいとされているものを、こわいもの順に並べた言葉。
事実は小説よりも奇なり(じじつはしょうせつよりもきなり)
この世の実際の出来事は、作り事の小説よりも変化に富んでおもしろいということ。イギリスの詩人バイロンの言葉。
地蔵は言わぬが我言うな(じぞうはいわぬがわれいうな)
秘密を打ち明けたあと、相手に口止めしながら、自分が人にしゃべってしまう人間に対していう戒めの言葉。悪事を働いた者が、道端の地蔵に「どうか黙っていて下さい」とお願いしたところ「俺は言わぬがわれ言うな」と地蔵が答えたという昔話から。
耳目となる(じもくとなる)
その人の補佐をすること。その人の目や耳と同じ役割を果たすということから。
冗談じゃない(じょうだんじゃない)
調子に乗った相手に注意を与える時に使う言葉。 または、相手の意思と自分の意思が異なっている時に使う言葉。
如才がない(じょさいがない)
気が利いていて配慮が行き届いている様子。 「如才」は「如在」が変化したもので、手抜かりという意味。 「如才ない」ともいう。
女子と小人は養い難し(じょしとしょうじんはやしないがたし)
女性と器量の小さい人は扱いにくいということ。 孔子の言葉で、この後に「之(これ)を近づくれば則(すなわ)ち不遜(ふそん)、之を遠ざくれば則ち怨む」と続く。 親切にすると図に乗り、遠ざけると恨まれるとの意から。 「女子と小人とは養い難し」ともいう。
人後に落ちない(じんごにおちない)
他人にひけをとらないこと。「人後」は、他人のうしろの意。
人心の同じからざるは其の面の如し(じんしんのおなじからざるはそのおもてのごとし)
人の顔がひとりひとり違うように、人の心もそれぞれ異なるということ。 「人心の同じからざるは其の面の如し」ともいう。
人生七十、古来稀なり(じんせいしちじゅう、こらいまれなり)
七十歳まで生きる人は、昔から非常に少ないということ。このことから七十歳のことを「古稀(古希)」という。
好いた水仙好かれた柳(すいたすいせんすかれたやなぎ)
お互いに好き合った男女を水仙と柳になぞらえたもの。
好いた同士は泣いても連れる(すいたどうしはないてもつれる)
お互いに好き合った男女は、辛さに泣きながらでも離れず連れ添うものだということ。
末大なれば必ず折る(すえだいなればかならずおる)
下の者の勢力が強くなると、上の者は必ず倒されてしまうということ。 松葉が茂り重くなると、強い幹も折れてしまうとの意から。