「ぬ」を含む故事・ことわざ・慣用句
「ぬ」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 424 件
弦なき弓に羽抜け鳥(つるなきゆみにはぬけどり)
どうしようもないことのたとえ。また、まったく役に立たないことのたとえ。弦のない弓は矢を射ることは出来ず、羽のない鳥は飛べないことから。
梃子でも動かぬ(てこでもうごかぬ)
どんな手段を用いても、絶対にその場から動かないことのたとえ。 または、どんな事があっても、頑として言うことをきかないことのたとえ。 梃子は小さな力で大きなものを動かすことができるが、その梃子を用いても動かすことができないことから。
手を拱く(てをこまぬく)
何もしないで傍観すること。 「拱く」は、腕組みをするということ。 「こまねく」は「こまぬく」ともいう。
手を抜く(てをぬく)
しなければいけないことをやらないこと。 または、力を尽くさず、いい加減にすること。
手を濡らさず(てをぬらさず)
自分で苦労せずに成果を得ようとする様子。
天に跼り地に蹐す(てんにせぐくまりちにぬきあしす)
ひどく怯えて、恐る恐る行動することのたとえ。また、肩身が狭く隠れるように生活することのたとえ。 高い天の下で体を屈め、厚い大地の上を抜き足でひっそりと歩くとの意から。 略して「跼蹐」「[[跼天蹐地*https://yoji.jitenon.jp/yojie/2227.html]]」ともいう。
伝家の宝刀を抜く(でんかのほうとうをぬく)
ここぞという場面でしか用いない、奥の手を使うこと。 「伝家の宝刀」は先祖代々その家に伝わる大切な刀。転じて、いざという時に使う切り札のたとえ。
問うは一旦の恥、問わぬは末代の恥(とうはいったんのはじ、とわぬはまつだいのはじ)
知らないことを聞くのはほんの一時だけ恥ずかしい思いをするが、聞かずに知らないまま過ごすのは一生恥ずかしい思いをするということ。
所で吠えぬ犬はない(ところでほえぬいぬはない)
自分の住まいで吠えない犬はいないように、弱い者でも自分の縄張りでは威張るということ。
所の法には矢は立たぬ(ところのほうにはやはたたぬ)
その土地の定めは、たとえ不合理と思っても、そこにいるかぎりは従うしかないということ。
年端も行かぬ(としはもいかぬ)
若いこと。幼い年頃であること。
年は寄れども心は寄らぬ(としはよれどもこころはよらぬ)
年はとっても、気力はまだ衰えていないということ。
とめてとまらぬ恋の道(とめてとまらぬこいのみち)
人の忠告や理性などで止められないのが恋というものだ、ということ。
捕らぬ狸の皮算用(とらぬたぬきのかわざんよう)
当てにならないことを当てにして計画を立てることのたとえ。まだ捕まえていない狸の皮の価格を計算することから。
虎を描いて狗に類す(とらをえがいていぬにるいす)
凡人が優れた人の真似をして、軽薄になることのたとえ。また、立派過ぎるものを求めて失敗することのたとえ。 虎を書こうとして犬の絵になってしまうということから。
堂が歪んで経が読めぬ(どうがゆがんできょうがよめぬ)
自分の怠慢や落ち度を棚に上げ、失敗を責任転嫁することのたとえ。また、理屈ばかりこねて実行が伴わないことのたとえ。仏堂が歪んで座りにくいから上手に経が読めないと、僧が言い訳する意から。
度肝を抜く(どぎもをぬく)
激しく驚かせること。
どこの烏も黒さは変わらぬ(どこのからすもくろさはかわらぬ)
どこに行っても、そう目新しいものはないということ。また、どこの国でも人間の本性同じだということ。 「どこの烏も黒い」「どこの鶏も裸足」ともいう。
毒気を抜かれる(どっけをぬかれる)
ひどく驚かされて呆然となること。度肝を抜かれること。 「毒気」は「どっき」とも読む。
ないが極楽、知らぬが仏(ないがごくらく、しらぬがほとけ)
貧しい者は贅沢を知らないので、欲に悩むこともなく幸せに暮らしていけるということ。
ない子では泣かれぬ(ないこではなかれぬ)
子育てには苦労があり時には泣かされることもあるが、たとえ苦労させられても子どもはいたほうがよいということ。 「ない子に泣かないが有る子に泣く」「ない子では泣かである子に泣く」などともいう。
無い袖は振れぬ(ないそではふれぬ)
いくら出したくても持っていなければ出しようがないということ。 着物に袖がなければ、いくら振りたくても振ることはできないとの意から。
鳴かぬなら鳴くまで待とう時鳥(なかぬならなくまでまとうほととぎす)
好機が来るまで、辛抱強く待つということ。徳川家康が詠んだとされ、家康の辛抱強い性格を表した句。 これに対し、織田信長が「鳴かぬなら殺してしまえ時鳥」、豊臣秀吉が「鳴かぬなら鳴かしてみせよう時鳥」と詠んだとされている。
泣く子と地頭には勝てぬ(なくことじとうにはかてぬ)
道理の通じない相手にはかなわないから、争っても無駄ということのたとえ。 「地頭」は、中世の荘園管理に当たった権力ある役人。
鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす(なくせみよりもなかぬほたるがみをこがす)
態度に出す者よりも態度に出さない者のほうが、心の中に切実な思いを秘めているというたとえ。 激しく鳴く蝉よりも、鳴くことのない蛍のほうが強い思いを秘めていて、その思いから身を焦がすように光っているとの意から。 単に「鳴かぬ蛍が身を焦がす」ともいう。
鳴く猫は鼠を捕らぬ(なくねこはねずみをとらぬ)
口数が多い者は、とかく口先だけで実行が伴わないというたとえ。よく鳴く猫は鼠を捕らないということから。
生さぬ仲(なさぬなか)
血の繋がっていない親子の間柄。 「生す」は産むという意味。
七つ下がりの雨と四十過ぎての道楽はやまぬ(ななつさがりのあめとしじゅうすぎてのどうらくはやまぬ)
七つ下がりから降り出した雨と、中年になってから覚えた道楽はなかなかやまないということ。「七つ下がり」は午後四時過ぎのこと。
何食わぬ顔(なにくわぬかお)
事実を知っていながら、何も知らないような顔つきをすること。またはそのような態度をとること。
七日通る漆も手に取らねばかぶれぬ(なぬかとおるうるしもてにとらねばかぶれぬ)
物事に直接かかわらなければ、害を受けることはないというたとえ。 漆の木のそばを何度通っても、手で触れなければかぶれることはないことから。
名主の跡は芋畑(なぬしのあとはいもばたけ)
名家のほどんどは、何代も続くことなくつぶれてしまうというたとえ。 名主の家が没落して、その跡が芋畑になっているとの意から。 名主という立場は多忙で、自分の家の仕事まで手が回らなくなったり、その立場ゆえの出費が多くなったりすることから言われた言葉。
成らぬうちが頼み(ならぬうちがたのみ)
物事は、出来上がる前は期待して楽しみにするが、出来上がると気が抜けてしまうということ。また、出来上がるまでは人を頼りにするが、出来上がると頼った相手に知らん顔をするのが世の常だということ。
ならぬ堪忍、するが堪忍(ならぬかんにん、するがかんにん)
これ以上は我慢できないというところを耐え抜くのが、真の忍耐だということ。
習わぬ経は読めぬ(ならわぬきょうはよめぬ)
知識や経験のないことは、いくらやれといわれても出来るものではないというたとえ。 習ってもいないお経など、難しくて読めるはずがないとの意から。
成るも成らぬも金次第(なるもならぬもかねしだい)
物事がうまくいくかどうかは、すべて金の力で決まるということ。
似合わぬ僧の腕立て(にあわぬそうのうでたて)
その人に似合わないことをすることのたとえ。「腕立て」は腕力を誇ることで、僧侶が腕力をふるうのは不似合いであることから。
錦は雑巾にならぬ(にしきはぞうきんにならぬ)
よいものであっても、すべての用途に使えるとはかぎらないということ。 高価な錦も雑巾としては役に立たないことから。
似ても似つかぬ(にてもにつかぬ)
全く似ていないこと。
煮ても焼いても食えぬ(にてもやいてもくえぬ)
どうにも扱いようがなく持て余す様子。また、思いどおりにならず、どうしようもないこと。
二の矢が継げぬ(にのやがつげぬ)
次に打つべき手段がないことのたとえ。 「二の矢」は、二度目に射る矢。 二度目に射る矢がないとの意から。
糠に釘(ぬかにくぎ)
糠に釘を打つように、少しの効き目も手ごたえもないこと。
抜かぬ太刀の高名(ぬかぬたちのこうみょう)
力量のある人がそれを発揮せず、かえって人から重んじられることのたとえ。また、口先だけ達者で実際に腕前を披露したことのない人をあざけることば。
糠味噌が腐る(ぬかみそがくさる)
調子外れの下手な歌いぶりをからかうことば。
糠味噌臭い(ぬかみそくさい)
家事に追われて所帯じみている。
抜き足差し足(ぬきあしさしあし)
物音を立てないように、そっと静かに歩くこと、また、そのさま。
抜き足して来るひとに碌な者なし(ぬきあししてくるひとにろくなものなし)
音をさせないように近づく者は、何か後ろ暗い所があるので碌(ろく)な者ではないということ。
抜き足すれば道付く(ぬきあしすればみちつく)
人に知られないようにすると、かえって目立つことになるということ。 音を立てないように抜き足差し足で歩くと、かえってその跡がついてしまうとの意から。
抜き差しならない(ぬきさしならない)
動きがとれない、のっぴきならない様子。 抜くことも差すこともできないことから。
抜きつ抜かれつ(ぬきつぬかれつ)
両者の実力が同じくらいで、お互いに追いかけたり追いかけられたりするさま。
抜け駆けの功名(ぬけがけのこうみょう)
人を出し抜いて手に入れた手柄。「抜け駆け」は自分の戦陣を抜け出して、人より先に敵陣に攻め込むこと。
抜け目がない(ぬけめがない)
自分が損をしないように要領よく振るまう様子。
抜けるよう(ぬけるよう)
空に雲が一つもなく、青く澄みきっている様子。 また、透き通るように肌が白くてうつくしい様子。
盗人猛猛しい(ぬすっとたけだけしい)
悪事をはたらきながら、平然としていたり、居直ったりすること。
盗人が盗人に盗まれる(ぬすびとがぬすびとにぬすまれる)
上には上があるというたとえ。 泥棒が逆に自分の物を盗まれてしまうとの意から。
盗人と言えば手を出す(ぬすびとといえばてをだす)
他人に盗人と言われて、手を出して暴れるような者は本当に盗人であるということ。
盗人に追い銭(ぬすびとにおいせん)
損をしたうえに、さらに損をすることのたとえ。 泥棒に入られたれたうえに、さらに金銭までやることから。 「泥棒に追い銭」ともいう。
盗人に鍵を預ける(ぬすびとにかぎをあずける)
悪人とは知らずに信頼して、うかつにも悪事の手助けをしてしまうたとえ。また、気づかずに災いを大きくする手伝いをするたとえ。盗難を防ぐための鍵をよりにもよって盗人に預けてしまう意から。
盗人にも三分の理(ぬすびとにもさんぶのり)
どんなことでも、こじつければ理屈はつけられるということ。 盗みは悪いことだが、それを正当化する三分ほどの理屈があるとの意から。 「泥棒にも三分の道理」「盗人にも一理屈」ともいう。
盗人にも仁義(ぬすびとにもじんぎ)
盗人の世界にも仁義や礼儀があるということ。
盗人の上米を取る(ぬすびとのうわまいをとる)
悪人にも、上には上がいるということ。 盗人が盗んだ物の一部を盗み取ることから。
盗人の逆恨み(ぬすびとのさかうらみ)
捕えられた盗人が自らの悪事を反省することもなく、捕えた人や被害者をうらむこと。
盗人の提灯持ち(ぬすびとのちょうちんもち)
悪人の手先となって、手助けをすること。「提灯持ち」は、夜道に提灯を持って先に行く人。転じて、人の手先になって、その人をほめ従う者。
盗人の取り残しはあれど火の取り残しはなし(ぬすびとのとりのこしはあれどひのとりのこしはなし)
盗難に遭っても取り残しがあるが、火事は全てを焼いてしまい残る物はないということ。火事の恐ろしさを言ったことば。
盗人の寝言(ぬすびとのねごと)
盗人が正体を隠そうとしてみても、寝言ではつい本音が出てどうしようもないということ。
盗人の隙はあれど守り手の隙はなし(ぬすびとのひまはあれどまもりてのひまはなし)
盗難を防ぐのは難しいということ。 盗人はよい機会を狙って盗みに入るので暇もあるが、番をする方は盗人がいつ来るかわからないので休む暇がないことから。
盗人の昼寝(ぬすびとのひるね)
ひそかに悪事をたくらんで準備をしていること。また、何をするにも思惑があるということ。 盗人が夜の盗みに備えて昼寝をすることから。 「盗人の昼寝も当てがある」ともいう。
盗人も戸締り(ぬすびともとじまり)
盗人も自分の物は盗まれないように戸締りをするということ。
盗人を捕らえて縄を綯う(ぬすびとをとらえてなわをなう)
物事が起こったり直前に迫ったりしてから、慌てて準備することのたとえ。 盗人を捕まえてから、泥棒を縛るための縄の準備を始めるとの意から。 「盗人」は「泥棒」、「捕らえて」は「見て」ともいう。 また、「泥棒を捕らえて縄を綯う」を略して「[[泥縄*https://kokugo.jitenon.jp/word/p37603]]」ともいう。
盗人を捕らえて見れば我が子なり(ぬすびとをとらえてみればわがこなり)
思いがけない事態に直面し、処置に窮することのたとえ。また、親しい者でも油断できないというたとえ。
盗みする子は憎からで縄掛くる人が恨めしい(ぬすみするこはにくからでなわかくるひとがうらめしい)
盗みをした我が子を憎まず、その子を捕まえて縄を掛けた相手を恨むという、親の身びいきのたとえ。
塗り箸で芋を盛る(ぬりばしでいもをもる)
滑ってはさみにくいことから、物事のやりにくい様子のたとえ。 「塗り箸で素麺(そうめん)を食う」「塗り箸で鰻(うなぎ)を挟む」ともいう。
ぬるま湯に浸かる(ぬるまゆにつかる)
緊張感や刺激の少ない環境に甘んじて、のんびりと気楽に暮らすこと。
濡れ紙を剝がすよう(ぬれがみをはがすよう)
濡れた紙を剥がすように、物事を静かに取り扱うようす。また、病気が日に日に快方に向かうようすのたとえ。
濡れ衣を着せられる(ぬれぎぬをきせられる)
無実の罪を負わされたり、身に覚えのない悪い評判をたてられたりすること。 「濡れ衣」は、無実の罪の意。
濡れ衣を着せる(ぬれぎぬをきせる)
無実の罪を負わせることのたとえ。 「濡れ衣」は無実の罪のこと。
濡れ手で粟(ぬれてであわ)
苦労せずに楽々と利益を得ることのたとえ。濡れた手で粟を掴むと、手に粟粒がたくさん付いてくることから。
濡れぬ先こそ露をも厭え(ぬれぬさきこそつゆをもいとえ)
一度過ちを犯すと、その後はもっと大きな過ちも平然と犯すようになるというたとえ。 濡れる前は露(つゆ)に濡れることさえ嫌がるが、いったん濡れてしまうといくら濡れても平気になるとの意から。 男女間の過ちについていうことが多い言葉。
濡れぬ先の傘(ぬれぬさきのかさ)
失敗しないように前もって準備することのたとえ。 雨が降る前から傘を用意するとの意から。 「降らぬ先の傘」ともいう。
猫の魚を食わぬ振り(ねこのさかなをくわぬふり)
内心は欲しくてたまらないのに、うわべだけ遠慮することのたとえ。 また、その場だけのことで長続きしないことのたとえ。 猫が大好きな魚を辞退するとの意から。 「猫の精進」「猫の魚を食わぬ振り」ともいう。
能書きの読めぬ所に効き目あり(のうがきのよめぬところにききめあり)
効能書きは難解だが、それがかえって効き目があるように感じられる。よくわからないものほど、有難みがあるということのたとえ。また、効能書きの難解さへの皮肉にいう。