「て」を含む故事・ことわざ・慣用句
「て」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 1006 件
大手を振って(おおでをふって)
何の遠慮も気兼ねもなく、堂々と。
大鍋の底は撫でても三杯(おおなべのそこはなでてもさんばい)
規模が大きいものは、何から何まで大きくてたいしたものだということ。 大きな鍋は底に残ったものを集めても碗に三杯分はあるという意味から。
起きて働く果報者(おきてはたらくかほうもの)
健康で働けることは、何よりも幸せだということ。「果報者」は幸運な人の意。
起きて半畳、寝て一畳(おきてはんじょう、ねていちじょう)
人間は必要以上の豊かさをもとめても仕方ないということ。どんなに大きな家に住んでいようと、人一人が必要とする広さは、起きている時は半畳、寝る時も一畳あればすむということから。
沖な物あて(おきなものあて)
まだ手に入らないものをあてにすること。「沖な物」は「沖にある物」でまだ捕っていない獲物の意。「あて」は当てにする意。
奥の手を出す(おくのてをだす)
とっておきの方法や手段を用いること。
推して知るべし(おしてしるべし)
考えてみれば容易にわかる。言うまでもない。簡単に推測できる。
押しの一手(おしのいって)
目的を達成するために、ただひたすらに突き進んでいくさま。
お膳立てが揃う(おぜんだてがそろう)
すっかり準備が整えられる。 食膳がすべて並べられるという意味から。
煽てと畚には乗りたくない(おだてともっこにはのりたくない)
おだてには乗りたくない、ということを強調した言葉。「畚」は、棒で担いで土や石を運ぶ道具。江戸時代、畚は死刑囚を運ぶのにも使われたことから、他人の煽てにも畚にも乗りたくないといったもの。
おだてに乗る(おだてにのる)
人からおだてられていい気になり、軽率な行動をとること。
おっと合点承知之助(おっとがってんしょうちのすけ)
納得・承諾したことを人名になぞらえ調子よくいった言葉。 単に「合点承知之助」「合点承知」ともいう。
お手上げ(おてあげ)
解決する方法がなく、どうにもならないさま。 両手をあげて降参の意思を示すとの意から。
お手の物(おてのもの)
たやすく出来るもの。得意とするもの。 自分の手中にした物との意から。
男は敷居を跨げば七人の敵あり(おとこはしきいをまたげばしちにんのてきあり)
男が世の中に出て活動するようになると、多くの競争相手や敵に出会うということのたとえ。 男が敷居を跨いで外に出れば七人の敵がすでに待ち構えているとの意から。 「敷居を跨げば七人の敵あり」「男子家を出ずれば七人の敵あり」ともいう。
己を責めて人を責めるな(おのれをせめてひとをせめるな)
自分の責任でさせたことを、人のせいにするなということ。徳川家康の遺訓から。
己を以て人を量る(おのれをもってひとをはかる)
人はとかく自分を基準にして、他人のことを判断しがちだということ。
斧を掲げて淵に入る(おのをかかげてふちにいる)
物の用途を誤ること。また、適時適所でないこと。 水中では役に立たない斧を振りかざして淵に入っていくことから。
思うに別れて思わぬに添う(おもうにわかれておもわぬにそう)
思い焦がれた相手とは結ばれず、好きではない相手と結婚すること。人の縁や運命は、思い通りにならないということ。
表看板にする(おもてかんばんにする)
世の中に何かを示すための表面上の名目にすること。 「表看板」は、劇場の正面に、上演内容や出演者などを記して掲げる看板のこと。
表に立つ(おもてにたつ)
世間にその存在を示して行動すること。
面も振らず(おもてもふらず)
他に心を向けず、その事だけに一生懸命に取り組んでいるさま。
表を繕う(おもてをつくろう)
内情を知られないように、見かけを立派に整えること。
折に触れて(おりにふれて)
機会があるたびに。事あるごとに。
折も折とて(おりもおりとて)
ちょうどその時。この大事な時にあたって。
終わりよければすべてよし(おわりよければすべてよし)
物事は結果さえよければ、動機や途中経過など問題にならないということ。
女賢しゅうして牛売り損なう(おんなさかしゅうしてうしうりそこなう)
女は利口そうに見えても、目先の利にとらわれて大局を見通せずに失敗するというたとえ。 女がでしゃばりすぎて売り物の牛について余計なことを言い、売り損なってしまったという話から。
女は氏無うて玉の輿に乗る(おんなはうじのうてたまのこしにのる)
女は低い家柄の生まれでも、容姿や運しだいで、金持ちや高貴な人と結婚できるということ。
恩を以て怨みに報ず(おんをもってうらみにほうず)
恨みのある者に対して、復讐するのではなく、逆に恩徳を施すような広い心で接すること。
飼い犬に手を噛まれる(かいいぬにてをかまれる)
日頃から特別に目をかけていた者や信用していた者に裏切られることのたとえ。
顧みて他を言う(かえりみてたをいう)
答えに窮して、話題を逸らしたり話をはぐらかしたりすること。孟子に問い詰められた梁の恵王が、左右を顧みて、無関係な別のことを言ったという故事から。
顔で笑って心で泣く(かおでわらってこころでなく)
泣きたいほどつらくても顔では笑ってみせるということ。
顔に書いてある(かおにかいてある)
なにも言わなくても、相手の表情からその人の本心を読み取ることができるということ。
顔を立てる(かおをたてる)
その人の名誉が保たれるようにすること。
垣堅くして犬入らず(かきかたくしていぬいらず)
家庭内が健全であれば外部からこれを乱すような者が入ってくることはないということ。垣根が厳重だと犬が入ってこられないという意味から。
隠れての信は顕われての徳(かくれてのしんはあらわれてのとく)
心中に秘めている誠実さは、いつか自然に外にあらわれて自分自身の利得になるということ。 心中に神仏への信仰心があれば、必ずご利益があるとの意から。 「隠れたる信あらば顕われたる利生」「隠れたる信あらば顕われたる験」ともいう。
陰に居て枝を折る(かげにいてえだをおる)
恩を受けた人にひどいことをするたとえ。 木陰で涼んでいた者がその木の枝を折ることから。また、恩人の見ていない所で恩人の家の木の枝を折ることから。
陰に託して影を求む(かげにたくしてかげをもとむ)
方法を間違うことのたとえ。 物陰に入って自分の影を探すとの意から。
華燭の典(かしょくのてん)
婚礼。結婚式。「華燭」は華やかなともしび、「典」は儀式のこと。
歌人は居ながらにして名所を知る(かじんはいながらにしてめいしょをしる)
歌人は古歌や歌枕の研究によって、実際にその場所に行ったことはなくても、名所について詳しいということ。
片口聞いて公事を分くるな(かたくちきいてくじをわくるな)
訴訟の裁きは、一方の言い分だけを聞いて判定してはいけないということ。「片口」は一方だけの言い分、「公事」は訴訟のこと。
片手落ち(かたておち)
片方へ配慮しているが、もう一方への配慮が欠けていること。不公平。
片手で錐は揉まれぬ(かたてできりはもまれぬ)
物事を成し遂げるためには、力を合わせることが大事だということ。 穴をあけるための錐は片手では揉むことができないとの意から。
片山曇れば片山日照る(かたやまくもればかたやまひてる)
一方に悪いことがあれば、もう一方に良いことがあり、世の中は様々だということ。
渇しても盗泉の水を飲まず(かっしてもとうせんのみずをのまず)
どんなに困っていても、断じて不正には手を出さないというたとえ。「盗泉」は、中国山東省にある泉の名。孔子はのどが渇いていても、その名を嫌って泉の水を飲まなかったという故事から。
勝った自慢は負けての後悔(かったじまんはまけてのこうかい)
勝負に勝った時に自慢しすぎると、負けた時に引っ込みがつかず、恥ずかしい思いをして後悔するということ。
勝って兜の緒を締めよ(かってかぶとのおをしめよ)
戦いに勝っても油断しないで心を引き締めよという戒めの言葉。 戦いに勝って兜を脱いだ時に、敵に襲われたらひとたまりもないので、勝っても兜の緒を締めなおして気を抜くなとの意から。
勝手が違う(かってがちがう)
慣れないことで、どう対処すべきか戸惑うこと。面食らうこと。
買って出る(かってでる)
自らすすんで難しい役割を担うこと。 「買う」は引き受けること。
勝手な熱を吹く(かってなねつをふく)
言いたい放題にいうこと。大げさにいうこと。
勝手を知る(かってをしる)
ある場所の様子や内情を知っていること。
餓えて死ぬは一人、飲んで死ぬは千人(かつえてしぬはひとり、のんでしぬはせんにん)
餓えて死ぬ人間は少ないが、酒の飲みすぎが原因で死ぬ人間は非常に多いということ。
渇に臨みて井を穿つ(かつにのぞみていをうがつ)
必要に迫られてから慌てて対処しても間に合わないことのたとえ。事前に適切な対策や準備をしておかなければならないということ。 のどが渇いてから、ようやく井戸を掘るとの意から。
褐を被て玉を懐く(かつをきてたまをいだく)
すぐれた才能を世間に知られないように隠していることのたとえ。 「褐」は粗末な衣服、「玉」はすぐれた才能のこと。 粗末な身なりをしていても、内にはすぐれた才能を秘めているとの意から。
勝てば官軍、負ければ賊軍(かてばかんぐん、まければぞくぐん)
道理の有無にかかわらず戦いに勝ったほうが正義、負けたほうが悪になるというたとえ。 単に「勝てば官軍」ともいう。
角を立てる(かどをたてる)
相手の気に障るような行動や発言をして、事を荒だてること。
蟹は甲羅に似せて穴を掘る(かにはこうらににせてあなをほる)
人はそれぞれ自分の身分や力量に応じた考え方や行動をするというたとえ。蟹は自分の大きさに合わせて穴を掘るということから。
蟹を縦に歩かせることはできない(かにをたてにあるかせることはできない)
横に歩く蟹を縦に歩かせるのは無理なように、生まれつきの性格は変えられないということ。
金は天下の回り物(かねはてんかのまわりもの)
金は人から人へと渡り回っていくものだから、いつか自分の所にも回ってくるはずだから、今は貧しくてもくよくよするなということ。
株を守りて兎を待つ(かぶをまもりてうさぎをまつ)
古い習慣や過去の偶然の成功にこだわり、進歩や向上がないことのたとえ。 中国・宋の農民が農作業をしていると、兎が木の切り株にぶつかって死んだ。農民は労せず兎を手に入れることができたその経験以来、農作業をせずに毎日切り株を見張っていたという故事から。 「守株」ともいう。
果報は寝て待て(かほうはねてまて)
幸運は自然にやってくるものだから、焦らず気長に待つほうがよいということ。「果報」は、前世での行いの結果として現世で受ける報いのことで、本来は善悪どちらをも意味したが、しだいに幸運の意になった。
神掛けて(かみかけて)
神様に誓って。 自分の言動などに偽りがないことを強調するときに言う言葉。
紙子着て川へはまる(かみこきてかわへはまる)
軽率な行いによって、自ら破滅を招くことのたとえ。 「紙子」は、渋柿を塗った紙で仕立てた衣服。 紙の服を着て川の中へ入るという無謀なことをいう。
髪の毛を逆立てる(かみのけをさかだてる)
はげしく怒るさま。
髪結いの亭主(かみゆいのていしゅ)
妻の稼ぎで養われている男のたとえ。 髪結いの女房をもつと、その稼ぎで、働かずに遊んで暮らせる意から。
鴨が葱を背負って来る(かもがねぎをしょってくる)
好都合な状況が重なり、さらに良い結果が生まれることのたとえ。 鍋料理で用いる鴨が自ら葱を背負ってやってくるような、非常に都合の良い状況を表す言葉。 特にお人好しが自らの行動で他人に利益をもたらす場合によく使われ、略して「鴨葱」ともいう。
痒い所に手が届く(かゆいところにてがとどく)
細かい点まで心配りが行き届いて、気が利いていることのたとえ。
烏の鳴かない日はあっても(からすのなかないひはあっても)
それだけは必ず毎日行われるということを強調していう語。 毎日必ず鳴く烏が鳴かない日があったとしてもの意。
借りて借り得、貸して貸し損(かりてかりどく、かしてかしぞん)
借りても返さないですむこともあるので借りるのは得だが、反対に貸したら返してもらえないこともあるので貸すのは損だということ。
借りてきた猫(かりてきたねこ)
ふだんと違って非常におとなしいようす。ねずみを捕らせるために他人の家から借りた猫は、おとなしく小さくなっていることから。
可愛さ余って憎さが百倍(かわいさあまってにくさがひゃくばい)
かわいいと思う気持ちが強ければ強いほど、いったん憎いと思いはじめると憎み方が特別に激しくなるということ。
川越して宿とれ(かわこしてやどとれ)
先のことを考えて事前に対策を講じておくべきだということ。また、困難なことは後回しにせずに片付けておくべきだということ。 昔は大きな川には橋がなく、大雨が降ると渡れずに何日も足止めされることもあったので、宿を取るのは川を越してからにしろといわれていたことから。
川立ちは川で果てる(かわだちはかわではてる)
人は得意なことほど油断して、かえって身を滅ぼすことがあるというたとえ。「川立ち」は、川のほとりで生まれ育った泳ぎ上手な人のこと。
川中には立てど人中には立たれず(かわなかにはたてどひとなかにはたたれず)
世渡りは難しいというたとえ。 流れが急な川の中に立つことはできても、世間に流されずに生きることは難しいとの意から。
皮を切らせて肉を切り、肉を切らせて骨を切る(かわをきらせてにくをきり、にくをきらせてほねをきる)
自分自身も犠牲を払いながら、相手にはより大きな打撃を与えることのたとえ。 「肉を斬らせて骨を斬る」「肉を切らせて骨を断つ」などともいう。
勘定合って銭足らず(かんじょうあってぜにたらず)
理論と実際とが一致しないことのたとえ。計算は合っているのに、現金が足りないということから。
肝胆相照らす(かんたんあいてらす)
互いに心の底まで打ち解けて親しく付き合うことのたとえ。「肝胆」は、肝臓と胆嚢のことで、転じて心の奥底の意。
干天の慈雨(かんてんのじう)
待ち望んでいたことが実現することのたとえ。 また、困っている時に助けが現れることのたとえ。 「干天」は日照りのこと。 日照りの時に恵みの雨が降るとの意から。 「干天」は「旱天」とも書く。
簡にして要を得る(かんにしてようをえる)
簡単な言葉であるが、要点を正確に捉えている。
堪忍五両、負けて三両(かんにんごりょう、まけてさんりょう)
我慢には大きな値打ちがあるということ。 堪忍には五両の価値があり、たとえ堪忍がやや足りなくても三両の価値があるとの意から。