「み」を含む故事・ことわざ・慣用句
「み」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 888 件
一天万乗の君(いってんばんじょうのきみ)
天下を治める天子のこと。 「一天」は天下、「万乗」は兵車一万台。 中国の周代、天子は戦いの時に一万台の兵車を出すことができたことから。 「万乗の君」ともいう。
一敗、地に塗れる(いっぱい、ちにまみれる)
二度と立ち上がることができないほど大敗してしまうこと。 「地に塗れる」とは、地面に散らばった戦死者の内臓が泥まみれになるとの意から。 「一敗、地に塗る(いっぱい、ちにまみる)」ともいう。
一斑を見て全豹を卜す(いっぱんをみてぜんぴょうをぼくす)
物事の一部分だけを見て、全体を推し量る愚かさをいう言葉。 「一斑」は、豹(ひょう)の毛皮にあるまだら模様のうちの一つのこと。転じて物事の一部分。 「卜す」は、占うこと。判断すること。 毛皮にある一部のまだら模様を見て、豹であること、またどのような豹であるかを断定すること。
一歩を踏み出す(いっぽをふみだす)
(目的や目標に向けて)新しいことを始める。着手する。
意に満たない(いにみたない)
満足出来ない。気に入らない。
犬は三日飼えば三年恩を忘れぬ(いぬはみっかかえばさんねんおんをわすれぬ)
犬は三日間餌をやってかわいがれば三年間恩を忘れない。犬でさえそうなのだから、人間は受けた恩を忘れてはいけないという戒めの言葉。
祈らずとても神や守らん(いのらずとてもかみやまもらん)
行いが正しく慎み深ければ、ことさら神に祈らなくても自然に神の加護があるものだということ。 菅原道真の作といわれる「心だに誠の道に叶いなば祈らずとても神や守らん」より出た言葉。
茨の道(いばらのみち)
苦難の多い人生のたとえ。 茨の生えている道の意から。
韋編三度絶つ(いへんみたびたつ)
繰り返して書を読むこと。 「韋編」は、字を書いた木や竹の札を、なめし皮の紐(ひも)でとじた中国の昔の書物。 孔子は「易経」を愛読し繰り返し何度も読んだため、書物をとじている革紐が三度も切れたという故事から 「[[韋編三絶*https://yoji.jitenon.jp/yojih/3680.html]]」ともいう。
色眼鏡で見る(いろめがねでみる)
先入観や偏見をもって物事を判断する。
鰯網で鯨捕る(いわしあみでくじらとる)
思いがけない幸運や収穫を得たりすることのたとえ。また、あるはずのないことのたとえ。
員に備わるのみ(いんにそなわるのみ)
数の中には入っているが、実際には何の役にも立たないこと。実権を持っていないこと。
上見ぬ鷲(うえみぬわし)
何者もおそれずゆったりと落ち着いている様子。また、他をはばからず傲慢にふるまうことのたとえ。鷲は強いので上空からの攻撃を警戒しなくてよいことから。
上を見れば方図がない(うえをみればほうずがない)
上を見ればきりがないから、節度をわきまえよということ。「方図」は際限の意。
魚心あれば水心(うおごころあればみずごころ)
相手が好意を示せば、こちらもまた好意を持つ。 先方の出方次第で、こちらの態度が決まるということ。 もとは「魚、心あれば、水、心あり」で魚と心、水と心が一語化したものといわれる。 魚が水に好意を示せば、水もその魚に好意を持つであろうという意味から。 「水心あれば魚心」「網心あれば魚心」ともいう。
魚と水(うおとみず)
切っても切れない非常に親しい関係のたとえ。
魚の水に離れたよう(うおのみずにはなれたよう)
水から出た魚のように、頼りを失ってどうすることもできないことのたとえ。
魚の水を得たよう(うおのみずをえたよう)
自分の力を発揮できる場所を得て、生き生きと活躍するようすのたとえ。
魚の目に水見えず(うおのめにみずみえず)
自分の身近なものの価値には気がつきにくいことのたとえ。
浮き沈み七度(うきしずみななたび)
長い人生には良いときもあれば悪いときもあり、それを何度も繰り返すということ。
憂き身をやつす(うきみをやつす)
苦労や辛さなどを意に介さずに物事に熱中すること。 また、無意味なことに夢中になること。 「憂き身」は辛いことが多い身の意。
憂き目を見る(うきめをみる)
つらく苦しい体験をすること。
兎も七日なぶれば噛みつく(うさぎもなぬかなぶればかみつく)
おとなしい人でも、たびたび辱めを受けるとついには怒るというたとえ。おとなしい兎でも七日もいじめられればついには噛みつくというたとえ。
兎を見て犬を呼ぶ(うさぎをみていぬをよぶ)
事を見極めてから対策をしても遅くないということ。 また、一見手遅れに見えても、対策次第で間に合うこともあるので、あきらめてはいけないということ。 兎を見つけてから猟犬を呼ぶという意味から。 また、兎を見つけてから猟犬を呼んでも遅すぎるとの意味で、手遅れのたとえとして用いられることもある。
牛の歩み(うしのあゆみ)
ゆっくりと歩く牛のように、ものごとの進み方が遅いことのたとえ。
後ろ髪を引かれる(うしろがみをひかれる)
まるで後ろ髪を引っ張られるような未練にとらわれ、心が残って思い切れないようす。
後ろを見せる(うしろをみせる)
相手に背を向けて逃げ出すこと。また、弱みを見せること。
薄紙を剝ぐよう(うすがみをはぐよう)
薄い紙を一枚一枚剝ぐように病気が日ごとに快方に向かうようす。
薄気味が悪い(うすきみがわるい)
何となく怖くて気持ちが悪い。
内兜を見透かす(うちかぶとをみすかす)
相手の内情や弱点を掴むたとえ。「内兜」は兜の内側のこと。
内に省みて疚しからず(うちにかえりみてやましからず)
自分の心の中を振り返ってみて、良心に恥じることが少しもないということ。
腕を磨く(うでをみがく)
能力や技術が向上するように習練に励むこと。
鵜の真似をする烏水に溺れる(うのまねをするからすみずにおぼれる)
自分の能力をわきまえず、人の真似をして失敗することのたとえ。 「鵜」は、水鳥の名。 水に潜って巧みに魚を捕る鵜の真似をして、烏が水に潜っても溺れるばかりであるとの意から。 「鵜の真似をする烏水に溺れる」「鵜の真似をする烏水を呑む」「烏が鵜の真似」ともいう。
鵜呑みにする(うのみにする)
物事の真偽をよく確認せず、そのまま受け入れること。 鵜が魚を噛まずに丸呑みすることから。
うまくいったらお慰み(うまくいったらおなぐさみ)
上手くいったら大いに結構である。 成功する確率が低いことを行なう時に当人がへりくだって、または周りの人が軽い皮肉を込めて言う言葉。
馬には乗ってみよ人には添うてみよ(うまにはのってみよひとにはそうてみよ)
何事も経験してみなければわからないということ。 いい馬かどうかはその馬に乗ってみないとわからないし、人間の善し悪しも付き合ってみなければわからないことから。 「人には添うてみよ馬には乗ってみよ」ともいう。
馬の耳に風(うまのみみにかぜ)
馬の耳に風が吹きつけても馬は何も感じないことから、人の意見を聞き入れない、または聞き流すことのたとえ。
馬の耳に念仏(うまのみみにねんぶつ)
人の意見や忠告を上の空で聞き流すため、まったく効果のないことのたとえ。
馬を水辺につれていけても水を飲ませることはできない(うまをみずべにつれていけてもみずをのませることはできない)
その気のない人間は、周囲がいくら心配したり気をもんだりしても無駄であるというたとえ。
海魚腹から川魚背から(うみうおはらからかわうおせから)
海の魚は腹から、川の魚は背から裂くのがよいということ。
海に千年山に千年(うみにせんねんやまにせんねん)
経験豊富で抜け目なく悪賢いこと。また、そういう人のこと。 海に千年、山に千年住んだ大蛇は竜になるという言い伝えから。 「海千山千」ともいう。
生みの親より育ての親(うみのおやよりそだてのおや)
生んでくれた親より、育ててくれた親に愛情も恩義も感じるということ。
生みの苦しみ(うみのくるしみ)
新たに物事を作り出すときの困難や苦労のこと。 出産のときの苦しみの意から。
海の事は漁師に問え(うみのことはりょうしにとえ)
その道のことは、その道の専門家に相談するのが最善の方法だということ。
海の物とも山の物ともつかぬ(うみのものともやまのものともつかぬ)
この先どうなるか見当がつかないこと。また、正体がわからないこと。
膿を出す(うみをだす)
組織や団体などの悪い慣習を根本から取り除くこと。
恨み骨髄に徹す(うらみこつずいにてっす)
相手を激しく恨む様子。 相手への恨みが骨の髄まで染みるとの意から。
怨みに報ゆるに徳を以てす(うらみにむくゆるにとくをもってす)
恨みのある相手に対しても、恩徳を施すこと。
怨みほど恩を思え(うらみほどおんをおもえ)
人は怨みという感情はなかなか忘れないが、恩義を受けたことは忘れがちである。怨みを忘れないのと同じように、恩を忘れてはいけないということ。
恨みを買う(うらみをかう)
自分の言動で、人から恨まれること。
恨みを飲む(うらみをのむ)
恨みを胸の内にしまい込み、じっと我慢すること。
瓜の皮は大名に剝かせよ、柿の皮は乞食に剝かせよ(うりのかわはだいみょうにむかせよ、かきのかわはこじきにむかせよ)
瓜の皮は厚くむき、柿の皮は薄くむいたほうがおいしいということ。 大名は大まかなので瓜の皮を厚くむかせる時に適し、貧乏な乞食は柿の皮を薄くむかせる時に適しているとの意から。
運用の妙は一心に存す(うんようのみょうはいっしんにそんす)
何事もその機能をうまく活用するためには、それを用いる人の心ひとつにかかるということ。
易者、身の上知らず(えきしゃ、みのうえしらず)
他人のことについてはいろいろと言えても、自分のことはよくわからないことのたとえ。 「易者」は、占い師のこと。 他人の運命を占う占い師も、自分の身の上についてはわからないとの意から。
江戸っ子の往き大名還り乞食(えどっこのゆきだいみょうかえりこじき)
江戸っ子は気前がよく無計画なので、往きは大名のように贅沢をしてお金を使い果たし、帰りには乞食のように一文無しになるということ。
榎の実は生らば生れ木は椋の木(えのみはならばなれきはむくのき)
道理にかなっていなくても主張を曲げないこと、また強情で人の意見に従わないことのたとえ。 榎の木を椋の木と誤り、榎の実が生った後も椋の木だと言い張ることから。 「椋の木の下にて榎の実を拾う」「椋は生っても木は榎」ともいう。
追い込みを掛ける(おいこみをかける)
物事の最後の段階でいっそう力を入れて努力すること。
老いたる馬は道を忘れず(おいたるうまはみちをわすれず)
経験を積んだ人は方針を誤らないというたとえ。 老馬はいろいろな道を知っており、迷うことがないということから。 中国、斉の桓公が山中で道に迷った時に、老馬の歩みに従って無事に帰り着いたという故事から。
近江泥棒伊勢乞食(おうみどろぼういせこじき)
近江の人には商才があり、伊勢の人は倹約家であり、どちらも商人としての成功者が多いことを、江戸っ子がやっかみ半分に言った言葉。
大男総身に知恵が回りかね(おおおとこそうみにちえがまわりかね)
からだばかり大きくて愚かな男をあざけっていう言葉。
狼に衣(おおかみにころも)
まるで僧衣をまとった狼のように、慈悲深い善人のようにみせかけて内面は恐ろしいことのたとえ。 「狼が衣を着たよう」ともいう。
大摑みより小摑み(おおづかみよりこづかみ)
一度に大儲けしようとするより、少しずつ確実に儲けていくほうが、結果的には成功するということ。
大見得を切る(おおみえをきる)
大げさな言動をとって、自分の自信のほどを強調すること。「大見得」は歌舞伎役者が、芝居が最高潮に達した時に目立つ表情や演技をすることで、大げさな言動で自分を誇示するということから。
大水に飲み水なし(おおみずにのみみずなし)
大勢の人がいても、本当に役に立つ人は少ないということ。 洪水の水はたくさんあっても、飲み水としては使えないとの意から。 「火事場に煙草の火なく大水に飲み水なし」ともいう。
大目に見る(おおめにみる)
少しくらいの欠点や過失を厳しくとがめず寛大に扱うこと。
臆病の神降ろし(おくびょうのかみおろし)
臆病な者が神々に祈って加護を求めること。「神降ろし」は巫女などが神霊を呼び招く行為。
送り狼(おくりおおかみ)
親切を装って女性を送るふりをして、途中で乱暴をはたらこうとする男のこと。夜中の山道などで人のあとをつけ、隙をみて襲おうとする狼(もしくは犬)に由来する。
おじを見ると荷が重い(おじをみるとにがおもい)
助けてくれそうな人を見たとたん、力が抜けて依頼心をおこし意気地がなくなることのたとえ。自分で荷物を運んでいる時、伯父(叔父)を見たとたんに荷物が重く感じられるということから。
落ちれば同じ谷川の水(おちればおなじたにがわのみず)
出発点は違っていても、行き着く先は同じだということ。また、人間も身分や貧富の差があっても、死ねばみな同じであるということ。 雨・霰(あられ)・雪・氷など形はさまざまでも、地上に落ちてしまえば同じ谷川を流れる水になるとの意から。 「雨霰雪や氷と隔(へだ)つらん落つれば同じ谷川の水」との和歌より。
男冥利に尽きる(おとこみょうりにつきる)
男としてこれ以上の幸福はないということ。「男冥利」は男に生まれた幸せ、「尽きる」はこれ以上はないという意。
男を磨く(おとこをみがく)
男としての面目を保てる人間になるために努力すること。 特に、義侠心を養う意味で使われる。
同い年夫婦は火吹く力もない(おないどしみょうとはひふくちからもない)
同い年の夫婦は仲が良く、いつも笑ってばかりいるので、火吹き竹を吹いて火をおこすためのふくれっ面もできないということ。
鬼の目にも涙(おにのめにもなみだ)
鬼のように無慈悲な者でも、時には情け深い心を起こし、目に涙をうかべることがあるというたとえ。
鬼の目にも見残し(おにのめにもみのこし)
鬼のようにくまなく目を光らせている人でも、時には見落としや不注意があるというたとえ。
帯に短し、襷に長し(おびにみじかし、たすきにながし)
中途半端で役に立たない物事のたとえ。 帯にするには短く、襷にするには長すぎて結局は使えないことから。
御神酒上がらぬ神はない(おみきあがらぬかみはない)
神様でさえお酒を召し上がるのだから、人間が酒を飲むのは当たり前だということ。 酒飲みが飲酒することの自己弁護に使う言葉。 「御神酒」は、神前に供える酒のこと。
親が死んでも食休み(おやがしんでもしょくやすみ)
どんなに忙しくても食後の休憩は大切だということ。
親の顔が見たい(おやのかおがみたい)
よその子の行動や態度の悪さに、驚きあきれて発する言葉。
折り紙付き(おりがみつき)
絶対に間違いないと保証できること。「折り紙」は、鑑定書のことで、書画や骨董品などに折り紙がついて品質が保証されていたことから。
折り紙を付ける(おりがみをつける)
人物や品物が、確かなものであることを保証すること。 「折り紙」は、書画や刀剣などの鑑定書。