「無」を含む故事・ことわざ・慣用句
「無」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 124 件
相手にとって不足は無い(あいてにとってふそくはない)
相手が相当な実力者で、自分と競い合うのに十分である。
相手の無い喧嘩は出来ぬ(あいてのないけんかはできぬ)
受けて立つ者がいなければ喧嘩は成り立たないから、喧嘩を売られても相手にするなというおしえ。
足の踏み場も無い(あしのふみばもない)
足を置くわずかなすき間もないほど、部屋に物が散らかっているようす。
味も素っ気も無い(あじもそっけもない)
何の面白みもないこと。味わいもない。つまらない。
有っても苦労、無くても苦労(あってもくろう、なくてもくろう)
金と子どもは、あればあったで苦労するし、なければないで苦労するということ。
後が無い(あとがない)
逃げ場や退く余裕がなく、限界まで追い詰められている状況のこと。
網無くて淵をのぞくな(あみなくてふちをのぞくな)
十分な用意なしでは物事はうまくいかないというたとえ。また、努力もしないで人を妬んではいけないということ。網を持たずに淵を覗き込んでも、魚は捕れるわけがないという意味から。
有るか無きか(あるかなきか)
有るのか無いのかわからないほど、ほんのわずかなさま。
有る時払いの催促無し(あるときばらいのさいそくなし)
金の都合がついた時に返せばいい、催促は一切しないという寛大な借金の返済条件をいう言葉。
鞍上人無く鞍下馬無し(あんじょうひとなくあんかうまなし)
乗り手が巧みに馬を乗り回し、乗り手と馬が一体となって見えるさま。乗り手と馬の呼吸が合い、鞍の上の人と鞍の下の馬が渾然一体となっている意から。
生きた空も無い(いきたそらもない)
恐ろしさのあまり、生きているという感じがしないこと。
意気地が無い(いくじがない)
物事をやり遂げようという気力がない。
一言も無い(いちごんもない)
ひと言も弁解や反論出来ない。
一も二も無く(いちもにもなく)
あれこれ言うまでもなく、すぐさま。
有無相通じる(うむあいつうじる)
互いに足りないものを交換し融通し合うこと。
有無を言わせず(うむをいわせず)
相手の承知不承知に関係なく。無理やりに。否応なしに。
柄の無い所に柄をすげる(えのないところにえをすげる)
無理やり理屈をこじつけること。 柄が必要ないものにも無理に柄をつけるとの意から。
縁無き衆生は度し難し(えんなきしゅじょうはどしがたし)
人の忠告を聞き入れようとしない者は、救いようがないということ。 「縁」は、ここでは仏縁の意。 「衆生」は、仏が慈悲を垂れる人間。 「度す」は、悟りを開かせること。 仏縁のない者は、たとえ仏でも救いようがないとの意から。
縁もゆかりも無い(えんもゆかりもない)
何もかかわりがない。何のつながりもない。 「縁」と「ゆかり」という同じ意味の言葉を重ねて強調した言葉。
遠慮会釈も無い(えんりょえしゃくもない)
相手を気遣うこともなく、自分の思い通りに事を行うさま。 「会釈」は、思いやりの意。
遠慮無ければ近憂有り(えんりょなければきんゆうあり)
遠い将来を見越した考えを持っていないと、必ず急な憂い事が起こるということ。 「遠慮」は、先々のことを思慮すること。 「近憂」は、間近の憂い事のこと。 「遠き慮りなき者は必ず近き憂えあり」ともいう。
遠慮は無沙汰(えんりょはぶさた)
遠慮もほどほどにしないと、かえって失礼になるということ。 先方に遠慮して訪問や連絡を控えすぎると、長期間付き合いが途絶えることとなり、かえって礼を欠くことになるとの意から。 「遠慮が無沙汰」ともいう。
応接に暇が無い(おうせつにいとまがない)
人の相手をするのに追われて休む暇もないようす。また、ものごとが次から次へと起こって多忙なようす。もとは、美しい自然の風景が次から次に展開し、ゆっくり味わう暇がない意から。
奥行きが無い(おくゆきがない)
知識や考えなどに深みがないこと。思慮深さがないこと。
音沙汰が無い(おとざたがない)
何の便りもない。消息が不明である。
親の意見と茄子の花は千に一つも無駄はない(おやのいけんとなすびのはなはせんにひとつもむだはない)
茄子の花に無駄花がないように、親が子どもにいう意見も一つも無駄がなく、すべて子どもの役に立つことばかりであるということ。
親は無くとも子は育つ(おやはなくともこはそだつ)
親がいなくても、子どもはなんとか成長していく。世の中は、そう心配することもないというたとえ。
女は氏無うて玉の輿に乗る(おんなはうじのうてたまのこしにのる)
女は低い家柄の生まれでも、容姿や運しだいで、金持ちや高貴な人と結婚できるということ。
甲斐性が無い(かいしょうがない)
積極的に物事をやり遂げようという気力がなく、頼りにならないことのたとえ。
掛け値無し(かけねなし)
話を誇張したり取り繕ったりせずに、ありのままを言うこと。 「掛け値」は、実際の売り値よりも高くつけた値段の意から。
影も形も無い(かげもかたちもない)
そこに人や物が存在していたことを示すものがまったくない。跡形もない。 「影も形も見えない」ともいう。
稼ぐに追い付く貧乏無し(かせぐにおいつくびんぼうなし)
一生懸命働けば、貧乏に苦しむことはないというたとえ。 「稼ぐに貧乏追い付かず」「辛抱に追い付く貧乏なし」「稼げば身立つ」ともいう。
神も仏も無い(かみもほとけもない)
困難な状況から救ってくれる神様も仏様もいないと嘆いていう言葉。
可も無く不可も無し(かもなくふかもなし)
特によくもなく、悪くもないこと。普通であること。
間然する所無し(かんぜんするところなし)
非難すべき欠点がまったくないこと。 「間然」は、非難・批判すること。
看板に偽り無し(かんばんにいつわりなし)
外見と中身が一致していること。また、言動に行動が伴っていることのたとえ。看板に掲げているものと、実際に売っているものが同じということから。
完膚無きまで(かんぷなきまで)
徹底的に打ちのめすさま。 「完膚」は無傷の皮膚。
学問に王道無し(がくもんにおうどうなし)
学問というものは、積み重ねて学んでいかなければならないもので、簡単に身につける安易な方法はないということ。 「王道」は、王様のための特別な道、転じて近道や安易な道のこと。 エジプト王が数学者のユークリッドに幾何学を簡単に学ぶ方法を尋ねたとき、ユークリッドは「幾何学に王道なし」と答えたという故事から。
顔色無し(がんしょくなし)
恐れや驚きのために、顔色が真っ青になること。また、完全に圧倒されてどうにもならないようす。
眼中に無い(がんちゅうにない)
まったく気にしない。関心がない。 「眼中」は目に見える範囲のこと。転じて、意識や関心の届く範囲。
眼中人無し(がんちゅうひとなし)
他人のことは考えず、思うままに振る舞うこと。人を人とも思わないこと。
好物に祟り無し(こうぶつにたたりなし)
好きな食べ物は、少しくらい食べ過ぎてもからだに害はないということ。 「好きな物に祟りなし」ともいう。
尽く書を信ずれば則ち書無きに如かず(ことごとくしょをしんずればすなわちしょなきにしかず)
批判できる力を持たずに書物読んで、その全てを信じてしまうくらいなら、書物など読まないほうがよいということ。 どんな書物も完ぺきではないので、盲信してはいけないとの意から。
事も無げ(こともなげ)
特に問題がないかのように普段と変わらないように物事を行う様子。平気な様子。
虚無僧に尺八(こむそうにしゃくはち)
必ず付いているもののたとえ。
様は無い(ざまはない)
見苦しい様子。みっともない様子。 「様」は無様という意味。
芝居は無筆の早学問(しばいはむひつのはやがくもん)
芝居は歴史上の事柄や物事の道理を学ぶことができるので、無学な人でも手っ取り早く知識を得ることができるということ。 「芝居は無筆の早学問」ともいう。
正法に奇特無し(しょうほうにきどくなし)
正しい宗教には不思議な利益(りやく)などは存在せずに、不思議な恩恵があるとすればそれは邪教であるということ。 「正法」は「しょうほう」とも読む。 「正法に不思議なし」ともいう。
真の闇より無闇が怖い(しんのやみよりむやみがこわい)
真っ暗な闇はもちろん怖いが、それよりも無闇やたらに何をしでかすかわからない人間の方がもっと怖いということ。
是非も無い(ぜひもない)
どうしようもない。仕方ない。 好ましくない結果を認めるしかない時に使う言葉。
大欲は無欲に似たり(たいよくはむよくににたり)
大きな望みを持つものは、小さな利益にはこだわらないので、一見欲がないようにみえるということ。また、あまりに欲深いものは、欲に目がくらんで損を招き、結局無欲のものと同じ結果になるということ。
多芸は無芸(たげいはむげい)
多芸の人は、かえって一つの芸を深く極めることがなく、結局芸が無いのと同じだということ。
多勢に無勢(たぜいにぶぜい)
多人数に少人数で立ち向かっても、とても勝ち目はないということ。
只より高い物は無い(ただよりたかいものはない)
ただで物をもらうと、代わりに物事を頼まれたり、返礼にお金がかかったりして、かえって高いものにつくということ。
立場が無い(たちばがない)
信用を失ったり評価が下がったりして、面目を失う。
立つ瀬が無い(たつせがない)
立場が無くなる。面目を失う。
環の端無きが如し(たまきのはしなきがごとし)
巡り巡って終わりがないことのたとえ。 「環」は、輪の形をした飾り。 輪の形をしている環に端がないように、終わりがないとの意。
血も涙も無い(ちもなみだもない)
冷酷で思いやりがないこと。
長者に二代無し(ちょうじゃににだいなし)
ぜいたくに慣れた金持ちの子は、財産を守ったり増やしたりすることが出来ず、たいてい二代目でその家はつぶれてしまうということ。
摑み所が無い(つかみどころがない)
そのもののを理解したり判断したりするための手掛かりがないこと。
罪が無い(つみがない)
純粋で悪気がなく憎めない様子。
罪無くして配所の月を見る(つみなくしてはいしょのつきをみる)
流刑地のようなわびしい地で、罪人としてではなく、普通の人として月を眺めることができたら、さぞ趣きがあるだろうということ。 「配所」は罪によって流された土地のこと。
爪に爪無く瓜に爪あり(つめにつめなくうりにつめあり)
「爪」という漢字と「瓜」という似ている漢字の違いを教えた言葉。
手が無い(てがない)
働き手が足りないこと。人手が足りないこと。 または、物事を解決する方法がないこと。
天に二日無し(てんににじつなし)
天に太陽が二つないように、君主もただ一人だけで、二人存在してはならないということ。 「二日」は、二つの太陽。 「天に二日無し、土に二王無し」「天に二つの日無し」ともいう。
年寄りの物忘れ、若者の無分別(としよりのものわすれ、わかもののむふんべつ)
年寄りは物忘れをしがちで、若者は思慮が足りないふるまいをしがちだということ。それぞれの著しい欠点をあげた言葉。
途方も無い(とほうもない)
道理から外れていること。または、程度が常識からひどく離れていること。
止め処が無い(とめどがない)
次から次へと続いて、いつまでも終わらない様子。
取り付く島も無い(とりつくしまもない)
相手の態度が冷たく、相談や頼み事などをするためのきっかけがつかめないこと。 または、頼りとする所が一つもないこと。
取り留めが無い(とりとめがない)
話に一貫性がないこと。まとまりがないこと。
鳥無き里の蝙蝠(とりなきさとのこうもり)
強い者や優れた者がいないところで、つまらない者が威張っていることのたとえ。 鳥がいない所では、蝙蝠が幅をきかせて鳥のように飛び回るということから。
名有りて実無し(なありてじつなし)
名声や評判ばかりが立派で、実際の内容や実力が伴わないこと。[[有名無実*https://yoji.jitenon.jp/member/yojic/1229]]とも。
無いが意見の総仕舞(ないがいけんのそうじまい)
放蕩(ほうとう)や道楽(どうらく)は、金が尽きれば自然と収まるということ。 放蕩者は、どれだけ忠告しても金がある間は耳を貸さないが、金がなくなれば遊ぶこともできなくなり、忠告の必要もなくなることから。
無い子では泣かで有る子に泣く(ないこではなかであるこになく)
子育てには苦労があり時には泣かされることもあるが、たとえ苦労させられても子どもはいたほうがよいということ。 「ない子に泣かないが有る子に泣く」「ない子では泣かである子に泣く」などともいう。
無い袖は振れない(ないそではふれない)
いくら出したくても持っていなければ出しようがないということ。 着物に袖がなければ、いくら振りたくても振ることはできないとの意から。
無い知恵を絞る(ないちえをしぼる)
難しい問題などに対して、よい方法がないかと必死になって知恵を出すことのたとえ。
無い物食おう(ないものくおう)
十分にある物は欲しがらず、ないとわかっている物をほしがること。わがままを言うこと。 「無い物食おうが人の癖」ともいう。
無い物ねだり(ないものねだり)
ないものや手に入らないものを無理にほしがること。また、実現できないことをむりにもとめること。
無い物は金と化け物(ないものはかねとばけもの)
お金も化け物も、ありそうに見えても実際にはないということ。
無い物は無い(ないものはない)
存在しないものはどうしても存在しない、手に入らないものは手に入らない、という意味。 また、すべてのものが揃っている、欠けているものは何もないという意味でも使われる。 状況や文脈によって、対照的な二つの意味を持つ言葉。