「せ」を含む故事・ことわざ・慣用句
「せ」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 609 件
民の口を防ぐは水を防ぐよりも甚だし(たみのくちをふせぐはみずをふせぐよりもはなはだし)
人々の言論の自由を封じることは、川の水をせき止めることよりも困難で危険であるということ。人民の言論の自由を奪うことの危険性をいった言葉。
単糸、線を成さず(たんし、せんをなさず)
人間はひとりでは何もできないというたとえ。 「単糸」は一本の紡績糸のこと。これを何本か撚(よ)り合わせて撚糸(ねんし)にするが、一本の紡績糸だけではそれができないとの意から。
丹精を込める(たんせいをこめる)
真心を込めて物事を行うこと。 「丹精」は「丹誠」とも書く。
丹精を凝らす(たんせいをこらす)
真心を込めて物事を行うこと。 「丹精」は「丹誠」とも書く。
丹精を尽くす(たんせいをつくす)
真心を込めて物事を行うこと。 「丹精」は「丹誠」とも書く。
旦夕に迫る(たんせきにせまる)
危機が間近に迫っている様子。 「旦夕」は朝晩のこと。 この朝か晩かというほどに危機が迫っているとの意から。 多く、「命(めい)旦夕に迫る」の形で、死期が間近に迫っている様子を表す。
抱かさせば負ぶさる(だかさせばおぶさる)
他人の力を当てにして、つけあがって甘えることのたとえ。 負んぶしてやると次には抱っことねだることから。 「負ぶえば抱かろう」「負んぶすれば抱っこ」「抱かさせば負ぶさる」ともいう。
談義説法は出家の生計(だんぎせっぽうはしゅっけのせいけい)
ありがたい談義や説法も、結局は僧侶が生計を立てる手段でしかないということ。 「生計」は「身過ぎ」ともいう。
団子隠そうより跡隠せ(だんごかくそうよりあとかくせ)
事を隠そうとする時、思わぬところから露見するかもしれないから、念には念をいれて注意せよということ。こっそり団子を食べたとき、残りの団子だけ隠しても、串を片付けなければばれてしまうので跡が残らないようにせよということ。
男女七歳にして席を同じゅうせず(だんじょしちさいにしてせきをおなじゅうせず)
人は七歳にもなれば、男女の別を明らかにしてみだりに慣れ親しんではならないということ。男女は七歳になったら同じ敷物に座るべきではないという儒教の道徳から。
知恵は小出しにせよ(ちえはこだしにせよ)
自分の持っている知恵を一度に出さず、必要に応じて少しずつ出すのが賢明だということ。
力は正義なり(ちからはせいぎなり)
何事も、結局力を持った者が正しいことになるということ。
血と汗の結晶(ちとあせのけっしょう)
たいへんな苦労や努力を重ねた末に得た成果。
血の気が失せる(ちのけがうせる)
恐怖や緊張などにより、顔が青ざめる。
柱石(ちゅうせき)
国家や組織などを支える重要な人物のこと。 柱と土台石が建物を支える重要な部分であることから。
中流に船を失えば一瓢も千金(ちゅうりゅうにふねをうしなえばいっぴょうもせんきん)
つまらないものでも、場合によってはとても価値があるというたとえ。 流れの真ん中で船を失ったときには、ひょうたん一個でも浮き袋の代わりになるとの意から。
長袖よく舞い、多銭よく賈う(ちょうしゅうよくまい、たせんよくかう)
素質と条件に恵まれた者が有利で、思い通りに事が運べるというたとえ。 長袖の着物を着た人は舞うと美しく見え、多くの金銭を持つ者は商売がしやすいとの意から。 「賈う(かう)」は、「商う(あきなう)」ともいう。
調子を合わせる(ちょうしをあわせる)
相手に反発せずに話を合わせること。 または、音の高低や強弱などをある基準に合わせること。
帳尻を合わせる(ちょうじりをあわせる)
決算で収入と支出が正しく合うようにすること。または、物事の辻褄を合わせること。
帳面づらを合わせる(ちょうめんづらをあわせる)
数字をいじって収入と収支が合うようにすること。
枕席に侍る(ちんせきにはべる)
女性が男性と同じ寝床で寝ること。夜伽をすること。 「枕席」は枕と敷物のことから、寝床をいう。 女性が男性の意に従い、寝床を共にするとの意から。
月日に関守なし(つきひにせきもりなし)
年月が過ぎるのがきわめて早いことのたとえ。「関守」は関所の番人のことで、月日が過ぎるのを止められる番人はいないということから。
月夜に背中あぶる(つきよにせなかあぶる)
回りくどくて、まるで効果のないことのたとえ。また、誤った方法のたとえ。月の光で背中を温めようとしても、とうてい出来ないことから。
月夜にも背中炙りて温まれ(つきよにもせなかあぶりてあたたまれ)
効果がないと思われることも、しないよりはましだというたとえ。また、わずかでも利用できるものは使った方がいいというたとえ。
月を指せば指を認む(つきをさせばゆびをみとむ)
物事を説明しても、その文字や言葉にこだわって本質を理解しないということ。 月の説明をするために月を指さしても、月を見ずに指している指を見るとの意から。
辻褄を合わせる(つじつまをあわせる)
話の筋道が通るようにすること。 「辻」は裁縫で縫い目が十字に合う所、「褄」は着物の裾の左右が合う所。転じて「辻褄」はきちんと合う物事の道理のこと。
美人局(つつもたせ)
夫婦や愛人などが共謀して、女が他の男と関係し、それを種にその男から金品などをゆすり取ること。もと博打の「筒持たせ」からきたものといわれ「美人局」の字は、中国の書にあるのを当てたもの。
鼓を鳴らして攻む(つづみをならしてせむ)
大きな声で相手の非や罪を言い立てて攻撃すること。 太鼓を打ち鳴らしながら敵陣に攻め込むとの意から。
角突き合わせる(つのつきあわせる)
仲が悪く、いつも争うこと。 特に身近な人同士の争いをいう。 角のある同種の動物が、互いの角をぶつけて争うとの意から。
罪の疑わしきは軽くせよ、功の疑わしきは重くせよ(つみのうたがわしきはかるくせよ、こうのうたがわしきはおもくせよ)
罪状が疑わしいときはなるべく罪を軽く、功績の疑わしいときはできるだけ手厚く賞するのがよいということ。 「罪の疑わしきは軽くせよ、功の疑わしきは重くせよ」ともいう。
罪を着せる(つみをきせる)
自分の罪を、罪のない他の人に負わせること。
冷たい戦争(つめたいせんそう)
武力は用いないが、国同士が激しく対立している状態のこと。特に、第二次大戦後のアメリカと旧ソ連の対立をいう言葉。冷戦。また、表面には現さないが、両者が激しく張り合う緊張状態のたとえ。
爪の垢を煎じて飲む(つめのあかをせんじてのむ)
優れた人にあやかろうとするたとえ。 爪の垢のようなものでも、優れた人のものを煎じて飲めば、少しはその人に似るだろうという考えから。
詰め腹を切らせる(つめばらをきらせる)
辞職させるなどして、強制的に責任を取らせること。 「詰め腹」は強制的に強いられる切腹のこと。
面の皮千枚張り(つらのかわせんまいばり)
きわめて恥知らずで厚かましいことのたとえ。 顔の皮が千枚張り合わせたほど厚いとの意から。
鶴は千年、亀は万年(つるはせんねん、かめはまんねん)
鶴は千年、亀は万年生きるということから、長寿でめでたいことをいう。
手が離せない(てがはなせない)
やりかけている事があって、他の事をする余裕がないこと。 「手が塞がる」ともいう。
手癖が悪い(てくせがわるい)
他人の者を盗む癖があること。 または、女癖が悪いこと。 「手癖」は「てぐせ」とも読む。
手千両(てせんりょう)
手先が器用なことや手に技術を持っていることは、千両にも匹敵する値打ちがあるということ。
手に汗を握る(てにあせをにぎる)
危険な状態や緊迫したことを前にして、緊張したり、興奮したりする様子。
手の内を見せる(てのうちをみせる)
自分の能力を相手に示すこと。 または、心の中で考えていることや秘密にしている計画などを相手に明かすこと。
手を合わせる(てをあわせる)
心の底から感謝したり、頼んだりすること。両の掌を合わせて神や仏を拝むということから。 または、勝負をすること。手合わせする。
手を翻せば雲となり、手を覆せば雨となる(てをひるがえせばくもとなり、てをくつがえせばあめとなる)
人の心の変わりやすいことのたとえ。 手のひらを上に向ければ雲がわき、手のひらを下に向けると雨が降るとの意から。
手を煩わせる(てをわずらわせる)
人の世話になること。面倒をかけること。
点数を稼ぐ(てんすうをかせぐ)
相手に気に入られるようなことをして、立場などをよくしようとすること。
転石苔を生せず(てんせきこけをしょうせず)
活発に行動をしている人は常に健康で生き生きしていられることのたとえ。また、転職や転居を繰り返す人は地位も得られず金も貯まらないことのたとえ。 「転石苔を生せず」「転石苔むさず」ともいう。
天に跼り地に蹐す(てんにせぐくまりちにぬきあしす)
ひどく怯えて、恐る恐る行動することのたとえ。また、肩身が狭く隠れるように生活することのたとえ。 高い天の下で体を屈め、厚い大地の上を抜き足でひっそりと歩くとの意から。 略して「跼蹐」「[[跼天蹐地*https://yoji.jitenon.jp/yojie/2227.html]]」ともいう。
出船に船頭待たず(でふねにせんどうまたず)
好機が到来したら、他の事情などをかまってはいられないということ。出航にちょうどいい風向きになったら、たとえ船頭がいなくても待っていられないということから。
東家に食して西家に眠らん(とうかにしょくしてせいかにねむらん)
欲が深いことのたとえ。昔、中国斉の国の美女が両隣の男性から求婚され、東側の家は金持ちだが醜男、西側の家は貧乏だが美男だった。母親がどちらに嫁ぐのか尋ねたところ、昼間は東側の家で過ごし、夜は西側の家で過ごしたいと答えたという故事から。
灯滅せんとして光を増す(とうめっせんとしてひかりをます)
病人が死ぬ間際に一時的に回復したり、物事が滅びる前に一時勢いを盛り返すことのたとえ。灯火が消える直前に明るく輝くことから。
遠い親戚より近くの他人(とおいしんせきよりちかくのたにん)
いざという時には、遠方に住んでいる親戚より近所に住んでいる他人の方が頼りになるということ。
遠くの火事、背中の灸(とおくのかじ、せなかのきゅう)
遠くの大事件より自分に関係する小事のほうが気にかかるというたとえ。
時の花を挿頭にせよ(ときのはなをかざしにせよ)
時流に乗って世渡りすることがよいということ。 「挿頭」は髪や冠に挿す飾り花のこと。 その時季に咲く花を飾るように、その時代の風潮や傾向に合わせて暮らすべきであるということ。
時を稼ぐ(ときをかせぐ)
準備を整えたり有利な状況になったりするまで長引かせること。 「時間を稼ぐ」ともいう。
斗酒なお辞せず(としゅなおじせず)
多くの酒を飲むこと。 一斗の量の酒を勧められて平気で飲み干すということから。 「斗」は容積の単位の一つで、一斗は約十八リットル。
虎は千里行って千里帰る(とらはせんりいってせんりかえる)
勢いが盛んで力強い行動力のたとえ。また、また、子を思う親の愛情深い行動力のたとえ。虎は一日に千里の道を進み、その後、再び同じ距離を戻ってくると言われることから。
虎は千里の藪に栖む(とらはせんりのやぶにすむ)
優れたものは、広々として奥深い所にいるということ。虎は千里もあるような広い藪にすんでいるということから。
毒を以て毒を制す(どくをもってどくをせいす)
悪を排除するのに、他の悪を使うことのたとえ。
何処を押せばそんな音が出る(どこをおせばそんなねがでる)
何を根拠にしてそのようなことをいうのか、という意味。 相手の常識外れの言い分を非難していう言葉。
団栗の背比べ(どんぐりのせいくらべ)
どれも平凡で、特に目立つような優れたものがないことのたとえ。団栗を比べてみても、みんな同じような大きさでほとんど違いがないことから。
無い物食おうが人の癖(ないものくおうがひとのくせ)
十分にある物は欲しがらず、ないとわかっている物をほしがること。わがままを言うこと。 「無い物食おうが人の癖」ともいう。
仲立ちするより逆立ちせよ(なかだちするよりさかだちせよ)
他人の間に立って仲介をすることは非常に気苦労が多く、時には骨が折れる作業であるため、むしろ逆立ちでもしていた方が楽だということ。
泣きを見せる(なきをみせる)
つらく悲しい思いをさせること。泣くような目にあわせること。
鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす(なくせみよりもなかぬほたるがみをこがす)
態度に出す者よりも態度に出さない者のほうが、心の中に切実な思いを秘めているというたとえ。 激しく鳴く蝉よりも、鳴くことのない蛍のほうが強い思いを秘めていて、その思いから身を焦がすように光っているとの意から。 単に「鳴かぬ蛍が身を焦がす」ともいう。
無くて七癖、有って四十八癖(なくてななくせ、あってしじゅうはっくせ)
人は誰でも、多少の癖があるということ。 癖がないように見える人でも七つ、癖の多そうな人には四十八もあるとの意から。 単に「無くて七癖」、また「難無くして七癖」ともいう。
仲人は草鞋千足(なこうどはわらじせんぞく)
縁談をまとめる仲人の苦労をたとえた言葉。 縁談成立のためには、千足の草鞋を履きつぶすほど、何度も双方の家を訪ねて調整を重ねなければならないとの意から。
茄子の花と親の意見は千に一つも無駄はない(なすびのはなとおやのいけんはせんにひとつもむだはない)
茄子の花に無駄花がないように、親が子どもにいう意見もすべて子どもの役に立つことばかりで、一つとして無駄がないということ。
為せば成る(なせばなる)
やる気になれば必ずやりとげられるということ。江戸時代の米沢藩主上杉鷹山の「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」という歌からといわれる。また、それより以前に武田信玄が詠んだ歌に由来するともいわれる。
何もせずにいることは悪を為していることなり(なにもせずにいることはあくをなしていることなり)
何もしないでいることは、それだけでもう悪行を為しているのと同じことであるということ。
難波の葦は伊勢の浜荻(なにわのあしはいせのはまおぎ)
物の呼び名、風俗、習慣などは、地方によって異なるというたとえ。 難波では「葦(あし)」と呼んでいる植物を、伊勢では「浜荻(はまおぎ)」と呼ぶとの意から。
怠け者の節句働き(なまけもののせっくばたらき)
ふだん怠けている者が、世間の人が休む節句などに限ってわざと忙しそうに働くことをあざけっていう言葉。
涙に咽ぶ(なみだにむせぶ)
こみ上げてくる涙のために、声を詰まらせながら泣くこと。
習い、性と成る(ならい、せいとなる)
習慣も続けていると、しまいにはその人の生まれつきの性質のようになるということ。
習い性となる(ならいせいとなる)
何度も同じことを繰り返すことで、それが習慣となり、しまいにはその人の生まれつきの性質のようになるということ。
名を馳せる(なをはせる)
世間に広くその名が知られること。
難癖を付ける(なんくせをつける)
些細なミスや欠点などを取りあげて、あれこれと非難すること。荒さがしをすること。
汝の敵を愛せよ(なんじのてきをあいせよ)
自分に悪意を持ち、迫害してくる相手にこそ、慈愛の心を持って接するのが真の愛だということ。
汝の隣人を愛せよ(なんじのりんじんをあいせよ)
自分自身のことだけ考えずに、まわりの人々にも愛情を持って接しなさいということ。
二世の契り(にせのちぎり)
現世だけでなく来世まで夫婦として連れ添おうという約束。 「二世」は、現世と来世のこと。
二世を契る(にせをちぎる)
夫婦として末永く(来世まで)連れ添うことを約束する。 「二世」は、現世と来世のこと。 「二世の契りを結ぶ」「夫婦の契りを結ぶ」ともいう。
