「し」を含む故事・ことわざ・慣用句
「し」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 2073 件
虫の知らせ(むしのしらせ)
なんとなく悪い予感がすること。
虫も殺さぬ(むしもころさぬ)
殺生などできず、やさしくておとなしい人柄であるようす。
娘三人持てば身代潰す(むすめさんにんもてばしんだいつぶす)
娘を三人持てば、その嫁入り支度で財産がなくなるということ。
無駄足を踏む(むだあしをふむ)
わざわざ出掛けたのに、留守などで本来の目的を果たせずに徒労に終わること。
無駄飯を食う(むだめしをくう)
仕事をするわけでもなく、毎日ぶらぶらして暮らすこと。
胸拉ぐ(むねひしぐ)
ひどく驚き悲しんで、胸がしめつけられる様子。
名所に見所なし(めいしょにみどころなし)
一般に名所といわれている所も、案外見るものが少なくつまらない所が多い。名は必ずしも実を伴わないということ。
名人は人を謗らず(めいじんはひとをそしらず)
名人は人の欠点を悪く言うようなことはしないということ。
冥土の道には王なし(めいどのみちにはおうなし)
現世での身分の上下、貧富の差は、死ねばいっさい無くなるということ。また、死は誰にも等しく訪れるということ。「冥土」は「冥途」とも書き、死者の霊魂が行くという世界のこと。
名物に旨い物なし(めいぶつにうまいものなし)
名物と言われている物には、案外旨い物がない。名と実は必ずしも一致しないということ。
牝牛に腹突かれる(めうしにはらつかれる)
油断していた相手に不意打ちされ、ひどい目に遭うたとえ。 雄牛に比べておとなしい牝牛に、突然腹を突かれることから。
目頭が熱くなる(めがしらがあつくなる)
あることに感動して、涙が溢れ出しそうになること。 「目頭を熱くする」ともいう。
目頭を押さえる(めがしらをおさえる)
指やハンカチなどで目頭を優しく押さえて、涙が落ちてこないようにすること。
目白押し(めじろおし)
たくさんの人や物が込み合って並ぶこと。鳥の目白が仲間と枝にとまるとき、押し合うように並ぶ習性があることから。
目に一丁字なし(めにいっていじなし)
まったく字が読めないこと。 「一丁字」は一つの文字のこと。 「丁」は个(か)の誤用で、「个」は人やものなどを数える語。 「一丁字を知(識)らず」ともいう。
目に染みる(めにしみる)
色彩や情景があざやかで、心に強く残るさま。 「染みる」は「沁みる」とも書く。
目の正月(めのしょうがつ)
珍しいものや貴重なもの、非常に美しいものを見て楽しむこと。
目端が利く(めはしがきく)
その場の状況に応じたとっさの行動ができること。
目星を付ける(めぼしをつける)
大体の目当てを付けること。
目を白黒させる(めをしろくろさせる)
苦しんだり驚いたりして目玉をはげしく動かすこと。 また、ある出来事にひどく驚き慌てること。
面目を一新する(めんぼくをいっしんする)
今までの様子を改めること。
面目を失う(めんぼくをうしなう)
名誉をひどく傷付けられること。世間からの評判を落とすこと。
孟母三遷の教え(もうぼさんせんのおしえ)
子どもの教育には良い環境を選ぶことが大切だという教え。 孟子は幼い頃墓地の近くに住んでいたが、孟子が葬式の真似をして遊ぶので母は市場の近くに居を移した。すると孟子は売買の真似をはじめたので、今度は学校のそばに転居した。すると礼儀作法を真似るようになったので教育に最適な場所として安住したという故事から。 「三遷の教え」「孟母の三遷」「孟母の三居」「孟母三遷」などともいう。
目睫の間(もくしょうのかん)
距離や時間がきわめて接近していることのたとえ。 目と睫(まつげ)の間のようにとても近いとの意から。
持ち出しになる(もちだしになる)
足りなかった費用を自分たちで負担すること。
持ち物は主に似る(もちものはぬしににる)
持ち物には持ち主の性格や好みが表れるので、持ち物を見ればその持ち主の人柄が想像できるということ。
沐猴にして冠す(もっこうにしてかんす)
見かけは立派でも中身が愚かな者をあざけって言う言葉。 「沐猴」は猿のこと。 ある者が楚の項羽のことを「冠をかぶって気取っていても中身は猿だ」と評したという故事から。
以て瞑すべし(もってめいすべし)
ここまでできれば、もう死んでもよい。また、満足すべきであるということ。 「瞑す」は、安らかに死ぬこと。
本木に勝る末木なし(もときにまさるうらきなし)
何度取り換えてみても結局は最初のものよりすぐれたものはないというたとえ。 特に男女関係についていう言葉。 「本木」は幹、「末木」は枝のこと。 幹より太い枝はないとの意から。
元も子も失う(もともこもうしなう)
何もかも失うようす。「元」は元金、「子」は利子でそのどちらも失う意から。
モナリザの微笑(もなりざのびしょう)
喜びとも悲しみともつかない、謎めいた微笑のこと。レオナルド・ダ・ビンチが描いた絵画「モナリザ」の謎めいた微笑から。
物言えば唇寒し秋の風(ものいえばくちびるさむしあきのかぜ)
余計なことを言うと、思いがけない災難を招くということ。松尾芭蕉の句。
物は言いなし事は聞きなし(ものはいいなしことはききなし)
ものは言い方によって、相手に良くも悪くも受け取られる。また、聞き手の聞き方次第で受け取る感じも違ってくるということ。
物は試し(ものはためし)
なにごとも実際にやってみなければ成否はわからないので、最初から諦めずに一度はやってみるべきだということ。
夜鶴の鶏群に在るが如し(やかくのけいぐんにあるがごとし)
鶏(にわとり)の群れの中に一羽だけ鶴(つる)がいるように、平凡な人々の中に一人だけ際立って優れた人物がいる様子のたとえ。 「夜鶴の鶏群に在るが如し」ともいう。
役者が一枚上(やくしゃがいちまいうえ)
能力や駆け引きなどが一段とすぐれていること。 芝居の番付や看板で、上位のものから順に名前が書かれていることから。
役者が揃う(やくしゃがそろう)
ある物事を行うために必要な人がすべて集まること。 また、さまざまな顔ぶれが関係者として名を連ねること。
役者に年なし(やくしゃにとしなし)
役者はどんな年齢の役でも巧みに演じ、また気が若く年齢を感じさせないということ。 「芸人に年なし」ともいう。
薬餌に親しむ(やくじにしたしむ)
病気がちなことのたとえ。「薬餌」は薬のことで、薬を常用する意から。
薬石効なし(やくせきこうなし)
薬も治療法もいろいろ試してみたが効果がなく、回復のきざしがみられないということ。「薬石」は薬と石鍼(中国の昔の治療器具)のこと。薬石を用いて治療すること。転じて治療全般を指す。
焼け石に水(やけいしにみず)
援助や努力がわずかで、何の役にも立たないこと。焼けた石に少量の水をかけても冷めないことから。
焼けたあとは立つが死んだあとは立たぬ(やけたあとはたつがしんだあとはたたぬ)
火事で焼けても家は立て直せるが、主人が死んだ後の家は存続が困難な場合が多いということ。また、焼けた家は再建できるが、人は死んだらおしまいということ。
夜食過ぎての牡丹餅(やしょくすぎてのぼたもち)
時機を逸して値打ちがなくなったり、ありがたみが薄れてしまうことのたとえ。夜の食事が終わったあとに牡丹餅をもらってもあまりうれしくないことから。
安きこと泰山の如し(やすきことたいざんのごとし)
どっしりと安定していて、ものに動じない様子のたとえ。 「泰山」は、中国山東省にある大きな山で、その泰山のように落ち着いてどっしりしているとの意から。
安物買いの銭失い(やすものかいのぜにうしない)
値段の安いものは品質も悪く、買い替えや修理などで高くついて、結局は損をするということ。
痩せ法師の酢好み(やせほうしのすごのみ)
人間はとかく、自分にふさわしくない物や必要ない物を好むものだということ。 痩せている僧が、飲むと痩せるといわれる酢を好むということから。
宿取らば一に方角、二に雪隠、三に戸締り、四には火の元(やどとらばいちにほうがく、ににせっちん、さんにとじまり、しにはひのもと)
昔、旅先で宿を取る時に、確認しておくべき事柄を順序だてて並べた言葉。「雪隠」は、便所のこと。
柳に雪折れなし(やなぎにゆきおれなし)
一見弱そうに見えても、柔らかいものは堅いものよりも耐久力があるということのたとえ。 柳の枝はしなやかに曲がるので、雪が積もっても折れることがないとの意から。 「柳の枝に雪折れはなし」「柳に風折れなし」ともいう。
柳の下にいつも泥鰌はいない(やなぎのしたにいつもどじょうはいない)
一度うまくいったからといって、いつも同じようにうまくいくとはかぎらないというたとえ。 柳の下で一度泥鰌を捕まえたからといって、そこでいつも泥鰌を捕まえられるとはかぎらないことから。
野に遺賢なし(やにいけんなし)
すぐれた人材はすべて官吏になり民間に残っていないということ。また、人材が集まり正しい政治が行われ、国が安らかに治まっているということ。「野」は民間、「遺賢」は埋もれている賢者の意。
藪医者の玄関(やぶいしゃのげんかん)
外見ばかり立派にして実質の伴わないことのたとえ。腕に自信のない医者ほど玄関を立派にするということから。
藪医者の手柄話(やぶいしゃのてがらばなし)
実力のない者ほど自慢話をしたがるというたとえ。
藪医者の病人選び(やぶいしゃのびょうにんえらび)
実力のない者にかぎって仕事のえり好みをするというたとえ。 「藪薬師の病人選び」ともいう。
病上手に死に下手(やまいじょうずにしにべた)
よく病気にかかる人は、自分の健康に気を遣い、長生きすることが多いということ。
病治りて薬師忘る(やまいなおりてくすしわする)
苦しい時が過ぎて楽になると、助けてもらった恩を忘れてしまうということ。 「薬師」は、医者。 病気が治ると世話になった医者のこともすっかり忘れてしまうとの意から。
山師の玄関(やましのげんかん)
内容や実質がないのに見かけだけが立派なことのたとえ。「山師」は投機的な事業で大儲けをたくらむ人。その山師が人を信用させるために玄関を特に立派にすることから。
山師山で果てる(やましやまではてる)
得意な技を持つ人は、その技のために身の破滅を招きやすいということのたとえ。山に慣れた山師は、つい油断して山で命を落とすことが多いということから。
山に躓かずして垤に躓く(やまにつまずかずしててつにつまずく)
大きなことには慎重に取り組むので失敗は少ないが、小さなことは油断して失敗しがちだということ。「垤」は、蟻塚(ありづか)のこと。
山より大きな猪は出ぬ(やまよりおおきないのししはでぬ)
入れ物よりも大きな中身などあり得ないというたとえ。また、大げさな言い方もほどほどにしろということ。 いくら大きな猪でも、山より大きい猪はいないとの意から。
闇夜の灯火(やみよのともしび)
とても困っているときに、頼りにできるものにめぐりあうことのたとえ。 「闇夜の灯火」ともいう。
闇夜の錦(やみよのにしき)
何の役にも立たない無駄なことのたとえ。 闇夜に美しい錦の着物を着ても誰にも見えないことから。 「夜の錦」ともいう。
八幡の藪知らず(やわたのやぶしらず)
迷うこと、また出口がわからなくなることのたとえ。 「八幡の藪知らず」は千葉県市川市八幡の森の通称。 古くから禁足地とされている場所で、一度入ると迷って二度と出られないとの言い伝えがあることから。
憂患に生き安楽に死す(ゆうかんにいきあんらくにしす)
人は心配事がある時は心をいため、命を守る努力をするが、憂いがなくなると心がゆるみ、思わぬ死を招くこともあるということ。
勇者は懼れず(ゆうしゃはおそれず)
勇気のある者は信念を持って行動するので臆することがないということ。
有終の美を飾る(ゆうしゅうのびをかざる)
最後までやりぬいて立派な成果をあげること。「有終」は終わりをまっとうするという意。
勇将の下に弱卒なし(ゆうしょうのもとにじゃくそつなし)
上に立つ者がすぐれていれば、その部下もまたすぐれているということ。 勇敢な大将の下に弱い兵士はいないという意味から。 「強将の下に弱卒なし」ともいう。
幽霊の正体見たり枯れ尾花(ゆうれいのしょうたいみたりかれおばな)
怖いと思っていると、何でもないものまで恐ろしく見えてしまうことのたとえ。 また、正体がわかると怖かったものも何でもなくなるということ。 「尾花」はススキの穂。 幽霊だと思って恐れていたものが、よく見ると枯れたススキの穂だったとの意から。 「化け物の正体見たり枯れ尾花」ともいう。
雪の明日は裸虫の洗濯(ゆきのあしたははだかむしのせんたく)
雪の降った翌日は晴天になることが多いということ。 「裸虫」は貧しくて着る物がろくにない人のこと。 雪が降った翌日は天気が良く、貧乏人も着ていた物を脱いで洗濯するほど暖かいとの意から。
雪は豊年の瑞(ゆきはほうねんのしるし)
雪が多く降る年は、その年が豊作になる前触れだということ。「瑞」は前触れの意。
夢の浮橋(ゆめのうきはし)
夢のこと。また、世間が頼りなく渡りにくいこと、はかないことのたとえ。「浮橋」は水上に筏や舟を並べて、その上に板を渡した橋のこと。
熊野松風は米の飯(ゆやまつかぜはこめのめし)
能の「熊野」と「松風」は、米の飯のように誰からも好まれる名曲であるということ。
湯を沸かして水にする(ゆをわかしてみずにする)
せっかくの苦労を無駄にすることのたとえ。 せっかく沸かした湯を使わずに水にしてしまうことから。 「湯を沸かして水に入る」ともいう。
夜上がり天気雨近し(よあがりてんきあめちかし)
夜のうちに雨が上がり晴れた天気は、長く続かないということ。
宵越しの銭は使わぬ(よいごしのぜにはつかわぬ)
その日に儲けたお金はその日に使ってしまい、翌日には残さないということ。
宵越しの茶は飲むな(よいごしのちゃはのむな)
一度入れて一晩置いたお茶は飲まないようがいいということ。茶葉に含まれる成分が、時間をおくと変質して身体によくないということから。
杳として(ようとして)
事情などがはっきり分からないさま。 特に、人の行方が知れないさま。
善かれ悪しかれ(よかれあしかれ)
よいにしても、悪いにしても。いずれにしても。
欲に頂なし(よくにいただきなし)
人間の欲望には限りがないということ。
欲は身を失う(よくはみをうしなう)
欲張りは身を滅ぼすもとであるということ。
欲を知らねば身が立たぬ(よくをしらねばみがたたぬ)
人並みに欲望がなければ、暮らしていくことはできないということ。