「す」で終わる故事・ことわざ・慣用句
「す」で終わる故事・ことわざ・慣用句 — 471 件
柔よく剛を制す(じゅうよくごうをせいす)
弱い者が強い者に勝つことのたとえ。しなやかで柔らかいものは、力だけで押してくる剛強なものの矛先をそらして、結局は勝利を得るということ。
上手の猫が爪を隠す(じょうずのねこがつめをかくす)
すぐれた才能や実力のある人は、それをむやみにひけらかしたりしないということ。
水泡に帰す(すいほうにきす)
水の泡がはかなく消えるように、努力したことがまったく無駄に終わることのたとえ。
粋を利かす(すいをきかす)
人間関係をうまく取り計らうこと。特に男女関係についていう。
筋を通す(すじをとおす)
物事を行う時に道理に適うようにすること。
寸鉄人を刺す(すんてつひとをさす)
短く鋭い言葉で、相手の急所を突くたとえ。 「寸鉄」は、小さな刃物。転じて、短くて深い意味のある言葉。 「寸鉄人を殺す」ともいう。
図星を指す(ずぼしをさす)
相手が隠していることや弱点などを推測して当てること。 「図星」は弓道の的の中心の点のこと。転じて、核心となる部分や急所などのたとえ。
精を出す(せいをだす)
仕事や学問などに懸命に取り組むこと。精一杯励むこと。
席を外す(せきをはずす)
一時的にその場を離れること。
世話を焼かす(せわをやかす)
人に手間をかけさせること。人を煩わせること。
千日に刈った萱一日に亡ぼす(せんにちにかったかやいちにちにほろぼす)
長年苦労して築き上げたものを一瞬にして失うことのたとえ。 「萱」は、屋根をふくのに用いる植物の総称。 千日もかけて刈り集めた萱をたった一日で燃やしてしまうとの意から。
銭あれば木物も面を返す(ぜにあればきぶつもつらをかえす)
どんなに冷淡な者でも、金の力にはなびくというたとえ。 金銭があれば、感情がない木仏さえも振り向くとの意から。
善美を尽くす(ぜんびをつくす)
これ以上ないというほど美しく立派にこしらえること。「善美」は、物事が立派で美しいこと。
前面に押し出す(ぜんめんにおしだす)
ある物事を目立つように示すこと。
相好を崩す(そうごうをくずす)
嬉しそうな笑顔になること。にこやかな表情になること。 「相好」は顔つきという意味。
曽参、人を殺す(そうしん、ひとをころす)
嘘も繰り返して言われると、それを信じてしまうというたとえ。 「曽参」は親孝行で名高い孔子の弟子。 ある時、「曽参が人を殺した」との誤報を曽参の母に告げたが信じなかった。しかし、三人から同じ事を告げられた時、ついに曽参の母は織りかけの機をほうり投げ走り出したという故事から。
謗れば影さす(そしればかげさす)
悪口を言っていると、その噂の当人がひょっこりその場に現れること。
袖を通す(そでをとおす)
衣服を着ること。 特に新しい衣服を初めて着ることをいう。
空吹く風と聞き流す(そらふくかぜとききながす)
関心を示さずに無視すること。素知らぬ顔をすること。
大義、親を滅す(たいぎ、しんをめっす)
国や君主に尽くす時は親子兄弟さえ犠牲にすることがあるということ。
大魚を逸す(たいぎょをいっす)
大きな仕事・手柄などをあと少しのところで逃すこと。 大きな魚を取り逃すことから。
太鼓判を押す(たいこばんをおす)
絶対に間違いないと保証するたとえ。太鼓のように大きな判を押す意から。
体を交わす(たいをかわす)
相手の非難・追及などからうまく逃れること。体を向きを変えて衝突を避ける意から。 「交わす」は「躱す」とも書く。
体を成す(たいをなす)
それらしく形が整う。まとまった形になる。 「体(たい)」は「体(てい)」とも読む。
高きに登るには低きよりす(たかきにのぼるにはひくきよりす)
物事には順序があり、手近なところから確実に始めるべきだということ。
箍を外す(たがをはずす)
規律や束縛から抜け出し、自由に行動する。 「箍(たが)」は、桶(おけ)や樽(たる)の周りにはめて緩まないようにする竹や金属の輪。
助け舟を出す(たすけぶねをだす)
人が困っているときに力を貸して助ける。
達人は大観す(たつじんはたいかんす)
広く道理に通じた人は、物事の全体を見きわめて、正しい判断を下すということ。「達人」は物事の道理に深く通じた人、「大観」は広く全体を見通すこと。
掌を合わす(たなごころをあわす)
手を合わせて拝むこと。 「掌」は、てのひらのこと。
掌を返す(たなごころをかえす)
てのひらを返すように物事が簡単に出来ることのたとえ。 または、言葉や態度などをがらりと変えることのたとえ。
掌を指す(たなごころをさす)
てのひらにあるものを指して説明するように、物事がきわめて明白であることのたとえ。
種を明かす(たねをあかす)
手品などの仕掛けを見せて説明する。 また、相手が不審に思う点や裏の事情などについて説明する。
種を宿す(たねをやどす)
みごもる。妊娠する。
魂を消す(たましいをけす)
とてもさびしい思いをすること。心からさびしく思うこと。 または、非常に驚きおそれること。肝を冷やす。
魂を冷やす(たましいをひやす)
非常に驚きおそれる。肝を冷やす。
玉なす(たまなす)
玉のように立派である。 また、汗や涙が大粒の玉のようになって出てくる。
玉を転がす(たまをころがす)
音や声が高く澄んで美しい様子の形容。
丹精を凝らす(たんせいをこらす)
真心を込めて物事を行うこと。 「丹精」は「丹誠」とも書く。
丹精を尽くす(たんせいをつくす)
真心を込めて物事を行うこと。 「丹精」は「丹誠」とも書く。
胆は大ならんことを欲し、心は小ならんことを欲す(たんはだいならんことをほっし、こころはしょうならんことをほっす)
度胸は大きく持ちたいし、注意は細やかでありたいということ。 「胆大心小」ともいう。
大尽風を吹かす(だいじんかぜをふかす)
大金持ちのようにふるまっていばる。
大の虫を生かして小の虫を殺す(だいのむしをいかしてしょうのむしをころす)
小さなものを犠牲にして大きなものを守ること。 また、全体を生かすために一部分を犠牲にすることのたとえ。 「大の虫を生かして小の虫を殺す」ともいう。
荼毘に付す(だびにふす)
死者を火葬にする。 「荼毘」は、火葬を表す仏教用語。
駄目を押す(だめをおす)
間違いないとわかっていることを、念のためにもう一度確認すること。 囲碁で、どちらの陣地にもならない領域を「駄目」という。 陣地にならない(勝敗に関係ない)駄目に石を置いて自分の地(陣地)を再確認することから。 「駄目押しをする」ともいう。
駄目を出す(だめをだす)
演劇などで、俳優の演技を指摘したり、注文をつけたりすること。 転じて、悪い点を指摘したり、やり直させたりすること。
断を下す(だんをくだす)
決定する。決断する。
力を落とす(ちからをおとす)
がっがりする。落胆する。失望する。
力を貸す(ちからをかす)
手助けをする。援助する。力になる。
契りを交わす(ちぎりをかわす)
固い約束をする。特に夫婦になる約束をする。
血の雨を降らす(ちのあめをふらす)
戦争や殺傷事件などによって多数の死傷者を出す。
寵愛昂じて尼になす(ちょうあいこうじてあまになす)
かわいがるのも度が過ぎると、かえって本人のためにならないというたとえ。 親が娘をかわいがるあまり、いつまでも嫁にやらずついには尼にしてしまうことから。 「尼になす」は「尼にする」ともいう。
長蛇を逸す(ちょうだをいっす)
絶好の機会や非常に惜しい物などを取り逃がすこと。
ちょっかいを出す(ちょっかいをだす)
横から余計なことをしたり、言ったりすること。 または、遊び半分の気持ちで異性に手を出すこと。 「ちょっかい」は猫が前足でじゃれる時の動きをいう言葉。
痛棒を食らわす(つうぼうをくらわす)
厳しく叱ったり、責めたりすること。 「痛棒」は座禅で、心が乱れている人を打ち付けるための棒。
辻褄を合わす(つじつまをあわす)
話の筋道が通るようにすること。 「辻」は裁縫で縫い目が十字に合う所、「褄」は着物の裾の左右が合う所。転じて「辻褄」はきちんと合う物事の道理のこと。
角を矯めて牛を殺す(つのをためてうしをころす)
わずかな欠点を直そうとして、かえって全体をだめにしてしまうたとえ。 「矯める」は、矯正すること。 曲がっている牛の角をまっすぐに直そうとして、牛を死なせてしまうことから。 「角を直して牛を殺す」ともいう。
角を出す(つのをだす)
女性がやきもちを焼くこと。 能楽で、嫉妬に狂った女性の生き霊が角のある鬼になることから。 「角を生やす」ともいう。
蕾を散らす(つぼみをちらす)
若い才能や前途有望なものを挫折させること。
罪の疑わしきは軽くし、功の疑わしきは重くす(つみのうたがわしきはかるくし、こうのうたがわしきはおもくす)
罪状が疑わしいときはなるべく罪を軽く、功績の疑わしいときはできるだけ手厚く賞するのがよいということ。 「罪の疑わしきは軽くせよ、功の疑わしきは重くせよ」ともいう。
爪痕を残す(つめあとをのこす)
災害や戦争などの被害や影響が後々まで及ぶこと。 または、爪で体を掻いた跡が残ること。
爪で拾って箕でこぼす(つめでひろってみでこぼす)
苦労して蓄えたものを、一度に使い果たしてしまうことのたとえ。 「箕」は穀物をふるうための道具。 爪の先で拾うようにしてやっと集めたものを、箕で一度にこぼしてしまうとの意から。
爪に火を点す(つめにひをともす)
非常にけちなたとえ。また、大変貧しく、倹約する暮らしのたとえ。
手足を伸ばす(てあしをのばす)
ゆっくりと休むこと。のんびりとくつろぐこと。
亭主の好きを客に出す(ていしゅのすきをきゃくにだす)
自分の好きなものは相手も好きだと思い込んでしまい、無理に押しつけがちであるということ。 主人の好物を客にふるまうことから。
鉄槌を下す(てっついをくだす)
この上なく厳しい罰を与えること。 「鉄槌」は大きな金槌のこと。
手に唾す(てにつばす)
物事を行う前に気持ちを奮い立たせる様子。 重い物を持つ前に手に唾をかけるということから。
手の裏を返す(てのうらをかえす)
言葉や態度などをがらりと変えることのたとえ。
手の平を返す(てのひらをかえす)
言葉や態度などをがらりと変えることのたとえ。
手を返す(てをかえす)
言葉や態度などをがらりと変えることのたとえ。
手を貸す(てをかす)
他人の助力をすること。手伝うこと。
手を下す(てをくだす)
その人本人が直接行うこと。
手を出す(てをだす)
ある物事に進んで関わりを持つこと。 または、暴力を振るうこと。 また、女性と関わりを持つために近づくこと。言い寄ること。
手を尽くす(てをつくす)
目的のために、できることを全てやってみること。
手を延ばす(てをのばす)
新しい方面や分野に進出すること。
手を回す(てをまわす)
物事をうまく進めるために事前に対策しておくこと。
手を汚す(てをよごす)
面倒なことや好ましくないことを自らの手で行うこと。
手を煩わす(てをわずらわす)
人の世話になること。面倒をかけること。
天に跼り地に蹐す(てんにせぐくまりちにぬきあしす)
ひどく怯えて、恐る恐る行動することのたとえ。また、肩身が狭く隠れるように生活することのたとえ。 高い天の下で体を屈め、厚い大地の上を抜き足でひっそりと歩くとの意から。 略して「跼蹐」「[[跼天蹐地*https://yoji.jitenon.jp/yojie/2227.html]]」ともいう。
天に唾す(てんにつばきす)
他人に害を与えようとして、逆に自分がひどい目に遭うことのたとえ。 上を向いて唾をはくと、自分の顔に落ちてくることから。 「天を仰いで唾す」「天を仰いで唾する」「仰いで唾を吐く」などともいう。
泥中の蓮(でいちゅうのはす)
汚れた環境の中でも、それに染まらず清らかに生きていることのたとえ。汚い泥の中でも蓮は清らかな花を咲かせることから。