「ら」を含む故事・ことわざ・慣用句
「ら」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 1236 件
- 小田原評定(おだわらひょうじょう)- 長引いてなかなか結論が出ない話し合いのこと。豊臣秀吉に攻められた北条氏は、小田原城の城内で戦うか降伏するかの相談をしたが結論が出るまで時間がかかったということから。 
- 乙に絡む(おつにからむ)- いつもと違い、変に嫌味なことを言う。しつこく言ってからむ。 「乙」は、普段とは違って変なさま。 
- 男心と秋の空(おとこごころとあきのそら)- 男の愛情は、秋の空模様のように変わりやすいということ。 「男心と秋の空は一夜に七度変わる」ともいう。 
- 男は妻から(おとこはめから)- 男の出世や幸福は妻しだいだということ。 
- 同い年夫婦は火吹く力もない(おないどしみょうとはひふくちからもない)- 同い年の夫婦は仲が良く、いつも笑ってばかりいるので、火吹き竹を吹いて火をおこすためのふくれっ面もできないということ。 
- 鬼が笑う(おにがわらう)- 現実味のないことを言ったり、予測のつかないことを言ったりする相手を、からかって言う言葉。 
- 鬼瓦にも化粧(おにがわらにもけしょう)- 鬼瓦のように器量のよくない女性も、化粧ひとつでそれなりにきれいに見えるというたとえ。 
- 鬼に瘤を取られる(おににこぶをとられる)- 一見損害を受けたようで、実際は利益になることのたとえ。「こぶとりじいさん」の昔話にもとづくもの。 
- 鬼の霍乱(おにのかくらん)- ふだん非常に丈夫な人が珍しく病気にかかることのたとえ。 「霍乱」は日射病のこと。 鬼が日射病にかかることから。 
- 尾羽打ち枯らす(おはうちからす)- 落ちぶれて、みすぼらしい姿になることのたとえ。 鷹の尾と羽が傷ついてぼろぼろになるとの意から。 
- お払い箱になる(おはらいばこになる)- 使用人が辞めさせられること。 また、要らなくなったものが捨てられること。 伊勢神宮にある「お祓(はら)い箱」は、中の札が毎年取り換えられて古い札は捨てられることから。 「祓い」を「払い」に掛けて言ったもの。 
- お髭の塵を払う(おひげのちりをはらう)- 身分の高い人や権力のある人にこびへつらうたとえ。 中国宋の丁謂が、宰相である寇準の髭が吸い物で汚れたのを見て拭いたという故事から。 
- オブラートに包む(おぶらーとにつつむ)- 相手を刺激するような直接的な表現を避け、遠回しにやわらかく言うこと。 苦い薬をオブラートに包んで飲みやすくすることから。 
- 溺れる者は藁をも摑む(おぼれるものはわらをもつかむ)- 危険が差し迫っているときは、頼りにならないものにまで頼ろうとするということ。 溺れかけている者は、水に浮かぶ藁のような頼りないものにもすがりついて助かろうとするとの意から。 
- 御神酒上がらぬ神はない(おみきあがらぬかみはない)- 神様でさえお酒を召し上がるのだから、人間が酒を飲むのは当たり前だということ。 酒飲みが飲酒することの自己弁護に使う言葉。 「御神酒」は、神前に供える酒のこと。 
- 思い内にあれば色外に現る(おもいうちにあればいろそとにあらわる)- 心の中で思っていることは、自然と言動や態度にあらわれるということ。 
- 思いも寄らない(おもいもよらない)- まったく予測できないこと。思いつきもしないこと。 
- 思いを晴らす(おもいをはらす)- 恨みや不満の原因を取り除いてすっきりすること。 また、望みを遂げて気分を良くすること。 
- 思うこと言わねば腹ふくる(おもうこといわねばはらふくる)- 思っていることを我慢して言わずにいると、腹の中の物がつかえているようですっきりしないということ。 「物言わねば腹ふくる」「言わねば腹ふくる」ともいう。 
- 思うようなら子と三人(おもうようならことさんにん)- 人生が思い通りになるなら、夫婦と子ども一人の三人で暮らすのが一番いいということ。 
- 面も振らず(おもてもふらず)- 他に心を向けず、その事だけに一生懸命に取り組んでいるさま。 
- 親が親なら子も子(おやがおやならこもこ)- 親と子はよく似るものだということ。親がだめだと子どももだめだというように、悪いところが似た場合に多く使われる。 
- 親苦、子楽、孫乞食(おやく、こらく、まごこじき)- 親が苦労して築いた財産も、子が楽をして使い果たし、孫の代は乞食のような暮らしになりがちだというたとえ。 
- 親の心、子知らず(おやのこころ、こしらず)- 子どもを思う親の深い愛情を知らず、子どもは勝手気ままなことをするということ。 
- 親の十七、子は知らぬ(おやのじゅうしち、こはしらぬ)- 親は自分が未熟だった若い頃の失敗談などをしないから、子どもにはわからない。完全なふりをして子どもに意見する親を皮肉っていう言葉。 
- 親を睨むと鮃になる(おやをにらむとひらめになる)- 親に反抗したりおろそかに扱ったりしてはいけないという戒めの言葉。 親を睨んだりすると、ばちが当たって鮃(ひらめ)のように目がかたよってしまうとの意から。 「親を睨むと鰈(かれい)になる」ともいう。 
- 負わず借らずに子三人(おわずからずにこさんにん)- 人の世話にならず、借金もなく、子どもが三人ぐらいいる家庭が理想的で幸福だということ。 
- 女心と秋の空(おんなごころとあきのそら)- 秋の空模様のように、女性の心の変わりやすいということ。 
- 女ならでは夜は明けぬ(おんなならではよはあけぬ)- 女がいなければ何事もうまくいかないということ。 天照大神が天岩戸に隠れて世の中が暗くなった時、天鈿女命の舞踊で岩戸を開けることができたという故事から。 「日の本は女ならでは夜が明けぬ」ともいう。 
- 恩の腹は切らねど情けの腹は切る(おんのはらはきらねどなさけのはらはきる)- 受けた恩に報いるために死ぬ人はいないが、義理人情のためなら死ぬ人はいるということ。 
- 陰陽師、身の上知らず(おんようじ、みのうえしらず)- 他人のことについてはいろいろと言えても、自分のことはよくわからないことのたとえ。 他人の運命を占う陰陽師も、自分の身の上についてはわからないとの意から。 
- 恩を以て怨みに報ず(おんをもってうらみにほうず)- 恨みのある者に対して、復讐するのではなく、逆に恩徳を施すような広い心で接すること。 
- 貝殻で海を量る(かいがらでうみをはかる)- 自分の狭い見聞や浅薄な知識で、大きな問題を議論することのたとえ。 貝殻で海の水をすくい、海の水の量をはかろうとすることから。 
- 会心の笑みをもらす(かいしんのえみをもらす)- 思い描いた通りの結果となり、満足して喜びの表情をすること。 
- 快刀、乱麻を断つ(かいとう、らんまをたつ)- 込み入ってどうにもならない問題などを、鮮やかに解決することのたとえ。 「快刀」はよく切れる刀、「乱麻」はもつれた麻糸のこと。 切れ味のよい刀で、もつれた麻糸をすぱっと切るとの意から。 略して「快刀乱麻」ともいう。 
- 海棠の睡り未だ足らず(かいどうのねむりいまだたらず)- 眠り足らず酔いのさめきらない美人の、なまめかしい姿の形容。「海棠」は、春に薄紅色の美しい花が咲く庭木。玄宗皇帝が楊貴妃を評した言葉から。 
- 怪力乱神を語らず(かいりょくらんしんをかたらず)- 君子というものは道理にそむいたこと、理性で説明がつかないことは口にしないということ。転じて、不確かなこと、怪しげなことは口にすべきではないということ。「怪力乱神」は、「怪しく不思議なこと」「強い力」「道理を乱すこと」「鬼神」をあわせていったもので、計り知れない不思議な現象や存在のこと。 
- 買うは貰うに勝る(かうはもらうにまさる)- 人から物を貰えば得したような気がするが、気持ちの負担になるし相手に借りができてしまったりする。物はもらうよりも自分で買うほうがよいということ。 
- 帰らぬ人となる(かえらぬひととなる)- 死ぬこと。亡くなること。 
- 蛙の面に水(かえるのつらにみず)- どんなことをされても気にせず平気でいることのたとえ。蛙は顔に水をかけられても平気でいることから。 
- 蛙は口から呑まるる(かえるはくちからのまるる)- 余計なことを言ったために、災いを招いてしまうことのたとえ。 蛙は鳴き声をだすことから蛇に気づかれ、吞み込まれてしまう意から。 
- 顔から火が出る(かおからひがでる)- 大変恥ずかしいおもいをすることのたとえ。 顔が真っ赤になる意から。 
- 顔が合わせられない(かおがあわせられない)- 面目がなくてその人に会うことができないというたとえ。 
- 顔で笑って心で泣く(かおでわらってこころでなく)- 泣きたいほどつらくても顔では笑ってみせるということ。 
- 顔に紅葉を散らす(かおにもみじをちらす)- 若い女性が恥ずかしさのあまり、まるで紅葉の葉を散らすように顔をぱっと赤くする様子。 単に「紅葉を散らす」ともいう。 
- 顔を曇らせる(かおをくもらせる)- 心配事や悲しみなどで暗い表情をすることのたとえ。 
- 顔を拵える(かおをこしらえる)- 化粧をすることのたとえ。 
- 嬶天下にからっ風(かかあでんかにからっかぜ)- 上州(群馬県)名物といわれる嬶天下とからっ風の二つを並べて、上州人の気質や風土性を言ったことば。 
- 河海は細流を択ばず(かかいはさいりゅうをえらばず)- 度量の広い大人物は、どんな人でも受け入れるというたとえ。「河」は黄河のこと。黄河や大きな川はどんな小さな流れでも差別なく受け入れるという意味から。 
- 垣堅くして犬入らず(かきかたくしていぬいらず)- 家庭内が健全であれば外部からこれを乱すような者が入ってくることはないということ。垣根が厳重だと犬が入ってこられないという意味から。 
- 蝸牛、角上の争い(かぎゅう、かくじょうのあらそい)- 狭い世界でのつまらない争いのこと。 「蝸牛」はかたつむり、「角上」はつのの上のこと。 かたつむりの左の角の上にある触という国と右の角の上にある蛮という国が、領土を争ったという寓話から。 「蝸角の争い」ともいう。 
- 隠すより現る(かくすよりあらわる)- 隠し事は隠そうとすればするほど目立って、人に知られやすくなるということ。 
- 欠くべからざる(かくべからざる)- 絶対に必要で無くてはならないことのたとえ。 
- 隠れたるより現るるはなし(かくれたるよりあらわるるはなし)- やましいことや秘密は、隠そうとすればかえって人に知られてしまうというたとえ。 
- 隠れての信は顕われての徳(かくれてのしんはあらわれてのとく)- 心中に秘めている誠実さは、いつか自然に外にあらわれて自分自身の利得になるということ。 心中に神仏への信仰心があれば、必ずご利益があるとの意から。 「隠れたる信あらば顕われたる利生」「隠れたる信あらば顕われたる験」ともいう。 
- 嘉肴ありと雖も食らわずんばその旨きを知らず(かこうありといえどもくらわずんばそのうまきをしらず)- 何事も自分で体験してみなければ、その価値やすばらしさがわからないということ。 「嘉肴」は、おいしい料理。 どんなにおいしい料理も、自分で食べてみなければそのおいしさはわからないとの意から。 
- 駕籠舁き駕籠に乗らず(かごかきかごにのらず)- 日頃から仕事で使用しているものは、自分のためには使用しないということ。 また、他人の面倒を見るばかりで、自分のことには手が回らないこと。 「駕籠舁き」は、駕籠に人を乗せて運ぶことを職業にしている人。 駕籠舁きは、自分の駕籠には乗らないとの意から。 
- 駕籠に乗る人担ぐ人、そのまた草鞋を作る人(かごにのるひとかつぐひと、そのまたわらじをつくるひと)- 人の生き方は、貧富の差や境遇によってさまざまであるということ。また、そのさまざまな人のつながりで、世の中はうまく成り立っているということ。 世の中には駕籠に乗る身分の人もいれば、その駕籠を担ぐひともいる。また、駕籠を担ぐひとの履く草履を作る人もいる。 人の世は持ちつ持たれつであるとの意から。 
- 傘と提灯は戻らぬつもりで貸せ(かさとちょうちんはもどらぬつもりでかせ)- 傘と提灯は、必要な時以外は忘れがちな物だから、貸す時は返してもらえないつもりで貸せということ。 
- 頭が動かねば尾が動かぬ(かしらがうごかねばおがうごかぬ)- 上に立つ者がすすんんで行動しなければ、下の者は働かないというたとえ。 
- 頭に霜を戴く(かしらにしもをいただく)- 頭髪が白髪になること。白髪が目立つこと。 白髪を霜にたとえた言葉。 「頭に霜を置く」「霜を置く」ともいう。 
- 頭を下ろす(かしらをおろす)- 頭髪を剃り落として尼僧になること。 「頭を下ろす」ともいう。 
- 火事場の馬鹿力(かじばのばかぢから)- 切迫した状況に置かれると、普段なら考えられないようなすごい力を発揮するということのたとえ。火事の時に、ふつうでは持ち上げることのできないような重い物を動かす力が出ることから。 
- 歌人は居ながらにして名所を知る(かじんはいながらにしてめいしょをしる)- 歌人は古歌や歌枕の研究によって、実際にその場所に行ったことはなくても、名所について詳しいということ。 
- 苛政は虎よりも猛し(かせいはとらよりもたけし)- 悪政が人民に与える害は、虎よりも恐ろしいということ。 「苛政」は、人民を苦しめる過酷な政治のこと。 中国の泰山の麓で、家族を虎に食われ泣いていた婦人に孔子が「何故この国を出て行かないのか」と尋ねると「苛政がないからだ」と答えたという故事から。 
- 風に櫛り雨に沐う(かぜにくしけずりあめにかみあらう)- 風雨にさらされて苦労することのたとえ。 風で髪をとかし、雨で体を洗うことから。 「櫛風沐雨」ともいう。 
- 風を食らう(かぜをくらう)- 事態を察知して、すばやく逃げるようすをいう。息せききって大口を開けて走り、口いっぱいに空気が入り込む様子をいった言葉。多くは悪事が発覚した時などに使う。 
- 敵の家でも口を濡らせ(かたきのいえでもくちをぬらせ)- たとえ敵の家でも出された食べ物には口をつけるのが礼儀だということ。つまり、いかなる場合も礼儀を守らなければならないということ。「口を濡らせ」は、少しだけでも飲食せよということ。本来は酒について言った言葉。 
- 片腹痛い(かたはらいたい)- 脇で見ていて、非常にばかばかしく滑稽に感じられるさま。 
- 肩を怒らす(かたをいからす)- 肩にちからを入れ、威圧的な態度をとること。 
- 肩を並べる(かたをならべる)- 横に並ぶこと。また、実力や地位が対等の位置に立つこと。 
- 癩の瘡うらみ(かったいのかさうらみ)- 大差のないものを見てうらやむこと。また、愚痴をいうこと。 「癩」はハンセン病、「瘡」は梅毒のこと。 「うらみ」は「うらやみ」がなまって変わったもの。また、一説に恨みのこと。 ハンセン病の患者が梅毒の患者をうらやむの意から。 「江戸いろはかるた」の一つであるが、現代では別の語に差し替えられることもある。 
- 活路を開く(かつろをひらく)- 行き詰った状況から抜け出す方法を見つけること。 「活路」は、生きるための方法。 
- 蟹は甲羅に似せて穴を掘る(かにはこうらににせてあなをほる)- 人はそれぞれ自分の身分や力量に応じた考え方や行動をするというたとえ。蟹は自分の大きさに合わせて穴を掘るということから。 
- 金で面を張る(かねでつらをはる)- 金の力で相手を服従させたり、手なずけたりすること。 
- 金の草鞋で捜す(かねのわらじでさがす)- 根気強くあちこち探し回るたとえ。 いくら歩いても擦り減らない金の草鞋で探すという意味から。 
- 蕪は鶉となり、山芋は鰻となる(かぶらはうずらとなり、やまいもはうなぎとなる)- 起こるはずのないことが時には起こることのたとえ。また、身分の低い人が急に出世したり金持ちになることのたとえ。 いくら形が似ていても、蕪(かぶら)が鶉(うずら)になったり山芋が鰻になったりすることなどありえないが、それが起こるとの意から。 「山の芋鰻になる」ともいう。 
- 神ならぬ身(かみならぬみ)- 全知全能の神ではない我が身。人間の能力には限界があるということ。 
- 亀の年を鶴が羨む(かめのとしをつるがうらやむ)- 欲望に限りのないことのたとえ。 千年の寿命をもつという鶴が、万年の寿命をもつ亀をうらやましがるとの意から。 
- 空馬に怪我なし(からうまにけがなし)- 無一物の人は損のしようがないというたとえ。 「空馬」は、人や荷物などなにも乗せていない馬。 
 
         
    