「て」を含む故事・ことわざ・慣用句
「て」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 1006 件
愛想も小想も尽き果てる(あいそもこそもつきはてる)
愛情や好意がすっかりなくなり、いやになってしまうこと。
愛立てないは祖母育ち(あいだてないはばばそだち)
祖母に甘やかされて育った子供は、無遠慮でわがままになりやすい。特に、祖母が孫を過剰に可愛がると、礼儀や節度を身につける機会を失うことを戒める言葉。 「愛立てない」は、「愛立ちなし」が転じたもので、無作法や自分勝手の意。
相手変われど主変わらず(あいてかわれどぬしかわらず)
相手になる人は次々と変わっているのに、こちらは変わらず同じことを繰り返し続けること。 進歩や変化のみられない様子をいう言葉。 「相手変われど手前変わらず」ともいう。
相手にとって不足はない(あいてにとってふそくはない)
相手が相当な実力者で、自分と競い合うのに十分である。
相手のさする功名(あいてのさするこうみょう)
相手の力が弱かったり、やり方が劣っていたために、思わぬ手柄を立てることのたとえ。「さする」は「してくれる」の意。
相手のない喧嘩はできぬ(あいてのないけんかはできぬ)
受けて立つ者がいなければ喧嘩は成り立たないから、喧嘩を売られても相手にするなというおしえ。
相手見てからの喧嘩声(あいてみてからのけんかごえ)
相手が自分より弱そうだと判断すると、いきなり喧嘩を売る大声を出して威張り出すこと。
合いの手を入れる(あいのてをいれる)
会話や動作の間に、それに弾みがつくような言葉や動作を差し挟む。 「合いの手を打つ」は誤用。
敢えて主とならず客となる(あえてしゅとならずきゃくとなる)
自分が中心にならずに受身でいるほうが無難だということ。
敢えて天下の先とならず(あえててんかのさきとならず)
積極的に人の先頭に立つことを避け、控えめな姿勢を保つことで、波風を立てずに安泰な生活を送ることができるという考え方。 先頭に立つと競争や妬みなど人間関係のトラブルに巻き込まれるリスクが高まるため、あえて目立たない立場に身を置くことが賢明だとされる。 出典では「故(ゆえ)に能(よ)く器長(きちょう)を成(な)す」と続き、控えめな態度を保つことで、かえって周囲の人々を上手に導く優れた指導者になれると述べられている。
仰いで天に愧じず(あおいでてんにはじず)
天を仰ぎ見ても恥ずかしくないほど、心も行いも何らやましいことがないこと。
青筋を立てる(あおすじをたてる)
激しく怒ること。 こめかみに青く血管を浮き上がらせるほど怒ったり興奮することから。
青は藍より出でて藍より青し(あおはあいよりいでてあいよりあおし)
弟子が師より優れていることのたとえ。 藍草から作られた染料の青色が、元となる藍草よりも青く美しいことから。 「出藍の誉れ」ともいう。
赤子の手を捻る(あかごのてをひねる)
抵抗する力のないものを打ち負かす。また、容易に行えることのたとえ。
証を立てる(あかしをたてる)
自分が潔白であったり、確かであることを証明する。疑いを晴らす。
呆れて物が言えない(あきれてものがいえない)
あまりのひどさにあっけに取られて、何も言えないようす。声もでないようす。
商人は損していつか倉が建つ(あきんどはそんしていつかくらがたつ)
商人は、損をしたなどと言いながら、いつの間にか倉が建つほどの金持ちになっていることが多いということ。
開けて悔しき玉手箱(あけてくやしきたまてばこ)
期待がはずれてがっかりすること。浦島太郎が竜宮城から持ち帰った玉手箱を開けたとたん、白い煙が出てあっという間に年をとってしまったという浦島太郎の伝説から。
明けても暮れても(あけてもくれても)
毎日毎日同じような状態が続いたり、同じことを続けて行ったりするようす。
挙げ句の果て(あげくのはて)
物事が終わった最後の結果。「挙げ句」は連歌・俳諧の最後の句のこと。転じて、ものごとの終わりの意。
朝酒は門田を売っても飲め(あさざけはかどたをうってものめ)
朝酒は格別おいしいので、少々無理をしてでも飲むべきだということ。「門田」は家の門前にある田の意。
朝茶は七里帰っても飲め(あさちゃはしちりかえってものめ)
朝の茶は一日の災難よけなので、飲み忘れて旅立ちしたら、たとえ七里の道を戻ってでも飲むべきだということ。
明後日の方(あさってのほう)
見当違いの方向。
朝に紅顔ありて夕べに白骨となる(あしたにこうがんありてゆうべにはっこつとなる)
無常のこの世では、人の生死は予測できないということ。 朝血色のよい顔をしていた人が、夕方には死んで白骨となるという意味から。
足駄を履いて首ったけ(あしだをはいてくびったけ)
異性に惚れ込み夢中になることのたとえ。 「足駄」は歯の高い下駄のこと。 足駄を履いていても首のあたりまで深みにはまるとの意から。
足を向けて寝られない(あしをむけてねられない)
恩を受けた人に対する尊敬や感謝の気持ちを、強く忘れずにいることのたとえ。 恩人に対して足を向けることは、失礼に当たるということから。
与って力がある(あずかってちからがある)
あることの進展や実現に、大きな役割を果たすこと。貢献をすること。
当たって砕けろ(あたってくだけろ)
うまくいくかどうかわからないが、思い切ってやってみよということ。
頭隠して尻隠さず(あたまかくしてしりかくさず)
悪事や欠点の一部を隠して、全部を隠したつもりでいる者をあざけっていう言葉。雉(きじ)が草むらに頭を突っ込み隠れたつもりでも、尾が見えていることから。
頭から湯気を立てる(あたまからゆげをたてる)
激怒するようす。かんかんになって怒るようす。
頭の天辺から足の爪先まで(あたまのてっぺんからあしのつまさきまで)
人の身体の上から下まで。全身のこと。転じて、何から何まで。全部。すべて。
頭禿げても浮気はやまぬ(あたまはげてもうわきはやまぬ)
年をとっても色気がなくならず、浮気心はおさまらないということ。
寇に兵を藉し、盗に糧を齎す(あだにへいをかし、とうにかてをもたらす)
敵に利益を与えるような行動、また自らの損失となるような行動をするたとえ。 「寇」は敵、「兵」は武器の意。 敵に武器を貸し与えたり、盗賊に食糧を与えたりすることから。
あちら立てればこちらが立たぬ(あちらたてればこちらがたたぬ)
一方に良いようにすれば、他方には悪く、どちらにも都合の良いようにするのは難しいということ。
あって地獄、なくて極楽(あってじごく、なくてごくらく)
金と子どもは、あれば苦労が絶えないので、むしろないほうが気が楽だということ。
あっても苦労、なくても苦労(あってもくろう、なくてもくろう)
金と子どもは、あればあったで苦労するし、なければないで苦労するということ。
暑さ忘れて陰忘る(あつさわすれてかげわする)
苦しい時が過ぎると、助けてくれた人の恩をとかく忘れがちになるということ。 暑さが過ぎると、涼しい物陰のありがたみを忘れてしまうとの意から。
羹に懲りて膾を吹く(あつものにこりてなますをふく)
失敗に懲りて、必要以上に用心深くなることのたとえ。 「羹」は熱い吸い物のこと。 熱い吸い物を飲んでやけどをしたことに懲りて、冷たい膾まで吹いて冷ますことから。
当てが外れる(あてがはずれる)
期待や予想とは異なった結果になること。
当て事と越中褌は向こうから外れる(あてごととえっちゅうふんどしはむこうからはずれる)
当てにしていた事は相手の都合で外れることが多いことのたとえ。 「当て事」は当てにしている事。 「向こう」は身体の前、また、相手のこと。 越中褌が身体の前から外れやすいのと同じように、当てにしていた事は向こうから外れることが多いということ。 「当て事は向こうから外れる」「当て事と畚褌は先から外れる」ともいう。
穴を掘って言い入れる(あなをほっていいいれる)
人に言えない悲しいこと悔しいことを、穴を掘って思いっきり言えば、気持ちが楽になるということ。
あの手この手(あのてこのて)
いろいろな手段や方法を使うこと。
油を以って油煙を落とす(あぶらをもってゆえんをおとす)
油を使って油煙を落とすように、同種のものをうまく利用して効果を上げることのたとえ。
網なくて淵を覗くな(あみなくてふちをのぞくな)
十分な用意なしでは物事はうまくいかないというたとえ。また、努力もしないで人を妬んではいけないということ。網を持たずに淵を覗き込んでも、魚は捕れるわけがないという意味から。
雨の降る日は天気が悪い(あめのふるひはてんきがわるい)
あたりまえのこと、わかりきったことのたとえ。
雨晴れて笠を忘れる(あめはれてかさをわすれる)
苦しみが過ぎれば、すぐに受けた恩を忘れてしまうことのたとえ。雨がやむと、役に立った笠のことを忘れることから。
雨降って地固まる(あめふってじかたまる)
もめごとが解決したあとに、物事が前の状態より良くなること。
過ちて改めざる是を過ちと謂う(あやまちてあらためざるこれをあやまちという)
人は過ちを犯したらすぐに反省して改めるべきであり、過ちを犯して改めようとしないことが本当の過ちであるということ。 「過ちを改めざる是を過ちと謂う」ともいう。
過ちては改むるに憚ること勿れ(あやまちてはあらたむるにはばかることなかれ)
過ちを犯したことに気がついたら、体面や体裁などにとらわれず、すぐに改めるべきだという戒め。
過ちを観て仁を知る(あやまちをみてじんをしる)
人の過ちの種類を観察することによって、その人の人柄がわかるということ。
争い果てての棒乳切り(あらそいはててのぼうちぎり)
時機に遅れて何の役にも立たないことのたとえ。 「棒乳切り」は棒の切れ端のこと。 喧嘩が終わってから、棒切れを持ち出しても役に立たないことから。 「争い果てて」は「諍い果てて」や「喧嘩過ぎて」、「棒乳切り」は「乳切り木(千切り木)」などともいう。
有り体に言う(ありていにいう)
ありのままを言うこと。うそ偽りなく述べること。
在りての厭い、亡くての偲び(ありてのいとい、なくてのしのび)
生きている間は悪いところばかり目について疎ましかった人が、いざ亡くなってみると今度は良いところばかり思い出されて、恋しくなるということ。
蟻の思いも天に届く(ありのおもいもてんにとどく)
弱小な者でも懸命に努力すれば、希望を叶えることができるというたとえ。 蟻のように小さなものでも、一心に努力すれば願いは天に達するとの意から。 「蟻の思いも天に昇る」ともいう。
ある手からこぼれる(あるてからこぼれる)
金持ちは金が有り余るほどあるから、自然にまわりに金がこぼれ落ちる。だから施す気持ちがなくても、まわりの人々に恩恵を施していることになるということ。
慌てる蟹は穴へ入れぬ(あわてるかにはあなへはいれぬ)
何事も焦ったり慌てたりすると失敗するというたとえ。 「慌てる蟹は穴の口で死ぬ」ともいう。
慌てる乞食は貰いが少ない(あわてるこじきはもらいがすくない)
急ぎ過ぎると、かえって失敗したり損をすることのたとえ。 先を争って施し物を貰おうとすると反感を買ってしまい、貰える物が少なくなってしまうとの意から。
案じてたもるより銭たもれ(あんじてたもるよりぜにたもれ)
心配して下さるより銭を下さいということ。口だけで心配してくれても、実質が伴わなければ役に立たない。心配するより銭をくれ、ということをおもしろい語呂合わせで言った言葉。「たもる」は「賜わる」が転じた言葉。
アンテナを張る(あんてなをはる)
いろいろな手段や方法をとって、情報を集めること。
安に居て危を思う(あんにいてきをおもう)
平和の時でも、常に災難・危機に対する備えを忘れないようにすること。
暗夜の礫(あんやのつぶて)
暗い夜に飛んでくる小石のことから、不意に受ける防ぎようのない襲撃のこと。また、思ってもみないこと、あてずっぽうなことについてもいう。
威あって猛からず(いあってたけからず)
威厳があり、しかも温厚で荒々しくないようす。孔子の人柄を弟子が評したことばで、君子の理想的な人柄をいうことば。
言い得て妙(いいえてみょう)
的確で巧みに言い表している。
意到りて筆随う(いいたりてふでしたがう)
思いのままに筆が動いて文章が書けること。 自分が書く気になれば、筆がひとりでに進むとの意から。
いい年をして(いいとしをして)
分別ある年齢でありながら。 大人としてのふさわしくない行為を非難めかして言う言葉。
謂う勿れ、今日学ばずして来日ありと(いうなかれ、こんにちまなばずしてらいじつありと)
明日があるからといって、今日学ぶべきことを後回しにしてはいけない。学びはその時その時で真剣に取り組むべきであるということ。 朱熹が若者に対して学問に励む心構えを説いたもの。 さらにこの後に「謂う勿れ、今年学ばずして来年ありと」と続く。 「謂う」は「言う」とも書く。
言うに事欠いて(いうにことかいて)
他の言い方があるだろうに。また、他の話題があるだろうに。 非難の気持ちを込めて言う語。
家貧しくして孝子顕る(いえまずしくしてこうしあらわる)
貧乏な家庭では、子どもも親を助けるために働いたりするので、その孝行ぶりが目立って人に知られるようになるということ。 逆境のときに、それを助けるものが現れること。
家貧しくして良妻を思う(いえまずしくしてりょうさいをおもう)
貧乏をすると、この境遇を一緒に乗り越えてくれる良い妻が欲しいと、つくつぐ思うということ。
怒りは敵と思え(いかりはてきとおもえ)
怒りは慎むべきであるという戒めの言葉。 怒りの感情を持てば、相手からの怒りや憎しみを招くことになり、結局自分の身を滅ぼすことになるということ。 徳川家康の遺訓のひとつ。
生きている犬は死んだライオンに勝る(いきているいぬはしんだらいおんにまさる)
どんな偉人でも死んでしまってはおしまいだから、凡人でも生きてる方がいいということ。
意気天を衝く(いきてんをつく)
意気込みが非常に盛んであること。 「[[意気衝天(いきしょうてん)*https://yoji.jitenon.jp/yoji/264.html]]」ともいう。
戦を見て矢を矧ぐ(いくさをみてやをはぐ)
物事が起こってから、慌てて準備にとりかかる愚かさをいう言葉。 戦いが始まってから矢を作ることから。 「軍を見て矢を矧ぐ」「敵を見て矢を矧ぐ」ともいう。
石が流れて木の葉が沈む(いしがながれてこのはがしずむ)
物事の道理が逆であることのたとえ。
石に齧りついても(いしにかじりついても)
どんな苦労や困難があっても。何がなんでも。
石橋を叩いて渡る(いしばしをたたいてわたる)
用心の上にも用心を重ねて事を行うことのたとえ。 丈夫な石橋ですら安全を確かめてから渡るとの意から。
衣食足りて栄辱を知る(いしょくたりてえいじょくをしる)
人は生活にゆとりができて、初めて礼儀や節度をわきまえるようになるということ。
衣食足りて礼節を知る(いしょくたりてれいせつをしる)
人は生活にゆとりができて、初めて礼儀や節度をわきまえるようになるということ。
石を抱きて淵に入る(いしをいだきてふちにいる)
自分から進んで災難や危険を招くようなことをするたとえ。自ら石を抱いて、川の深みに入るような無謀なことをするの意から。
何れを見ても山家育ち(いずれをみてもやまがそだち)
大勢いる者のどれを見ても田舎育ちで、誰一人役に立ちそうにない。