「しら」を含む故事・ことわざ・慣用句
「しら」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 98 件
相対のことはこちゃ知らぬ(あいたいのことはこちゃしらぬ)
当人同士が決めたことは自分には無関係だということ。鮎(あゆ)、鯛(たい)、鯒(こち)の魚の名を語呂合わせにしたことば。
明日知らぬ世(あすしらぬよ)
今日は無事に過ごせたとしても、明日のことはわからない。永久不変のものなど無いという、この世の無常をいうことば。
息の臭きは主知らず(いきのくさきはぬししらず)
自分の欠点は自分では気づかないということ。 自分の息が臭いことは自分ではわからないことから。
いざ知らず(いざしらず)
…についてはわからないが。…はともかく。
一文惜しみの百知らず(いちもんおしみのひゃくしらず)
目先の損得にとらわれて、あとで大損することに気づかない愚かさを嘲笑するたとえ。たった一文惜しんだために、あとで百文もの損失を招く意から。
一を識りて二を知らず(いちをしりてにをしらず)
知識が浅く応用力がないこと。一つのことだけ知って、それ以外のことには知識がない意から。
一丁字を知らず(いっていじをしらず)
まったく字が読めないこと。 「一丁字」は一つの文字のこと。 「丁」は个(か)の誤用で、「个」は人やものなどを数える語。 「一丁字を知(識)らず」ともいう。
命知らず (いのちしらず)
死を恐れずに物事を行うこと。また、そのような人。
井の中の蛙大海を知らず(いのなかのかわずたいかいをしらず)
他に広い世界があることを知らずに、自分の周りの狭い見識や知識にとらわれてこと。 小さな井戸に住んでいる蛙は、井戸の外の世界に大きな海があることなど知らないとの意から。 「坎井の蛙」「井底の蛙」「井蛙」などともいう。
芋頭でも頭は頭(いもがしらでもかしらはかしら)
どんなに小さな集団の長でも、長にかわりはないということ。「芋頭」は里芋の球茎、親芋。
後ろに柱前に酒(うしろにはしらまえにさけ)
快く気楽な気分のたとえ。 後ろにある柱にもたれかかり酒を飲むことから。
独活の大木柱にならぬ(うどのたいぼくはしらにならぬ)
身体ばかり大きくて何の役にも立たない人のたとえ。 「独活」は植物の名。 独活は木のように大きくなるが、茎が柔らかいため材木にはならないことから。 「独活の大木柱にならぬ」ともいう。
易者、身の上知らず(えきしゃ、みのうえしらず)
他人のことについてはいろいろと言えても、自分のことはよくわからないことのたとえ。 「易者」は、占い師のこと。 他人の運命を占う占い師も、自分の身の上についてはわからないとの意から。
燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや(えんじゃくいずくんぞこうこくのこころざしをしらんや)
小人物には、大人物の志は理解できないということのたとえ。「燕雀」は小さな鳥の意から転じて小人物、「鴻鵠」は大きな鳥の意から転じて大人物のこと。
親の心、子知らず(おやのこころ、こしらず)
子どもを思う親の深い愛情を知らず、子どもは勝手気ままなことをするということ。
親の十七、子は知らぬ(おやのじゅうしち、こはしらぬ)
親は自分が未熟だった若い頃の失敗談などをしないから、子どもにはわからない。完全なふりをして子どもに意見する親を皮肉っていう言葉。
陰陽師、身の上知らず(おんようじ、みのうえしらず)
他人のことについてはいろいろと言えても、自分のことはよくわからないことのたとえ。 他人の運命を占う陰陽師も、自分の身の上についてはわからないとの意から。
顔を拵える(かおをこしらえる)
化粧をすることのたとえ。
嘉肴ありと雖も食らわずんばその旨きを知らず(かこうありといえどもくらわずんばそのうまきをしらず)
何事も自分で体験してみなければ、その価値やすばらしさがわからないということ。 「嘉肴」は、おいしい料理。 どんなにおいしい料理も、自分で食べてみなければそのおいしさはわからないとの意から。
頭が動かねば尾が動かぬ(かしらがうごかねばおがうごかぬ)
上に立つ者がすすんんで行動しなければ、下の者は働かないというたとえ。
頭に霜を戴く(かしらにしもをいただく)
頭髪が白髪になること。白髪が目立つこと。 白髪を霜にたとえた言葉。 「頭に霜を置く」「霜を置く」ともいう。
頭を下ろす(かしらをおろす)
頭髪を剃り落として尼僧になること。 「頭を下ろす」ともいう。
客と白鷺は立ったが見事(きゃくとしらさぎはたったがみごと)
客は長居をしないで、早く帰るほうがよいということ。白鷺の美しい立ち姿に掛けていった言葉。
嫌いは知らぬの唐名(きらいはしらぬのからな)
負け惜しみの強い人は「知らない」とは言いたくないので、「嫌い」と言ってごまかすというたとえ。「唐名」は、別名の意。
臭いもの身知らず(くさいものみしらず)
自分の悪臭に気がつかないように、欠点は自覚しにくいというたとえ。
朽ち木は柱にならぬ(くちきははしらにならぬ)
朽ちた木が柱にならないように、心の腐った者は使いものにならないというたとえ。
食らえどもその味わいを知らず(くらえどもそのあじわいをしらず)
何事も精神を集中しないと、身につかないというたとえ。ただ食べていたのでは、その食べ物の味はわからないという意味から。
口中の虱(こうちゅうのしらみ)
逃げ場がなくて、非常に危険なことのたとえ。 口の中のしらみは、逃げ場がないため簡単に噛み殺されることから。
紺屋の白袴(こうやのしらばかま)
他人の事に忙しくて、自分のことをする暇がないこと。 「紺屋」は染物屋の総称。もとは、藍染め屋のこと。 染物屋が、自分の袴は染めずにいつも白袴をはいていることから。 一説には、あえて白い袴を身につけることで、染料を扱う技術力の高さ、また少しも袴を汚さないという職人気質を表したともいわれる。 紺屋は「こんや」、白袴は「しらばかま」ともいう。
子の心、親知らず(このこころ、おやしらず)
親はとかく、子どもの本当の心や考えを察知することは出来ないということ。
小船の宵拵え(こぶねのよいごしらえ)
準備が早すぎること、おおげさすぎることのたとえ。 小船を出そうとして、前の晩から船出の準備をすることから。
ごまめでも尾頭つき(ごまめでもおかしらつき)
小さいながらも立派に形が整っていることのたとえ。「ごまめ」は片口鰯を干したもので、小さくても頭から尾までそろっていることから。
座が白ける(ざがしらける)
それまで盛り上がっていた楽しい雰囲気が壊れて面白味がなくなること。
死せる孔明、生ける仲達を走らす(しせるこうめい、いけるちゅうたつをはしらす)
生前の威信が死後も保たれ、人々を恐れさせるたとえ。 中国、蜀の諸葛孔明が魏の司馬仲達と対陣中病死した。退却しようとした蜀軍を仲達はただちに追撃したが、蜀軍は孔明の遺命に基づいて反撃の姿勢を見せたため、仲達は孔明がまだ死んでおらず、何か策略があるのではないかと恐れ退却したという故事から。
白髪は冥土の使い(しらがはめいどのつかい)
年をとって増えてくる白髪は、死が近づきつつある証拠であるということ。
知らざるを知らずと為せ、是れしるなり(しらざるをしらずとなせ、これしるなり)
知ったふりをしないで、知らない事は知らないと自覚すること、これが本当に知るということであるということ。
知らずば半分値(しらずばはんぶんね)
価値のわからないものは、予想する値の半分ぐらいの値をつければだいたい当たっているということ。
知らずば人に問え(しらずばひとにとえ)
知らない事は、知ったふりをしないで、人に聞いて教えてもらうのがよいということ。
知らずば人真似(しらずばひとまね)
分からないことをする時は、人の真似をするのが無難であるという教え。
白豆腐の拍子木(しらどうふのひょうしぎ)
見かけは立派でも、実際は役に立たないもののたとえ。豆腐で作った拍子木が使えるはずがないことから。
白波(しらなみ)
他人のものを盗む人。また、その集団。盗賊。中国の後漢末、黄巾の賊の残党が白波谷(はくはこく)に籠もって白波賊(はくはぞく)と呼ばれ、日本でそれを訓読したもの。
知らぬ顔の半兵衛(しらぬかおのはんべえ)
知っているのに知らない振りをすることを「半兵衛」という人名を使って言った言葉。
知らぬ神より馴染みの鬼(しらぬかみよりなじみのおに)
親しくない善良な人よりも、欠点やくせがあったとしても身近な人のほうが頼りになるというたとえ。 知らない神様より、よく知っている鬼のほうがいいとの意から。 「知らぬ仏より馴染みの鬼」ともいう。
知らぬが仏(しらぬがほとけ)
知れば腹も立つが、知らないばかりに仏のように穏やかでいられるということ。また、実態を知らずに平然としている人をあざけっていう言葉。
知らぬ京物語(しらぬきょうものがたり)
実際には知らないことをいかにも知っているかのように話すこと。また、その話。 実際には行ったことがない京について、いかにも見てきたかのように話すとの意から。 「知らぬ京物語」「似ぬ京物語」ともいう。
知らぬ存ぜぬ(しらぬぞんぜぬ)
自分は何一つ知らないということを主張する言葉。
知らぬは亭主ばかりなり(しらぬはていしゅばかりなり)
女房の浮気を周囲の者は知っていて、亭主だけが知らないこと。また、周りの者が皆知っていて、当人だけが知らずに平気でいることのたとえ。
白羽の矢が立つ(しらはのやがたつ)
多くの人の中から特別に選び出されること。人身御供として選んだ少女の家の屋根に、神が人知れずしるしの白羽の矢を立てたという俗説から。
調べがつく(しらべがつく)
詳しく調べて全てわかること。
芝蘭の室に入るが如し(しらんのしつにいるがごとし)
立派な人と交際すると、自然とその人のよい影響を受けるというたとえ。 芝と蘭のある部屋に入ると、いつの間にかそのよい香りが身に染みつくとの意から。
知りて知らざれ(しりてしらざれ)
よく知っていてもむやみに自慢しないほうが奥ゆかしいということ。 「知って知らざれ」ともいう。
知る者は言わず言う者は知らず(しるものはいわずいうものはしらず)
物事を本当に知っている人はむやみに口に出さないが、よく知らぬ者にかぎって軽々しくしゃべるということ。
上戸は毒を知らず下戸は薬を知らず(じょうごはどくをしらずげこはくすりをしらず)
酒飲みは酒が体に害になることを知らずに飲み過ぎ、酒を飲めない者は酒の効用を知らない。 酒は飲み方次第で、毒にも薬にもなるということ。
進むを知りて退くを知らず(すすむをしりてしりぞくをしらず)
前進することだけを考えて、時と場合によっては退くことも必要だということを知らないこと。
世間知らずの高枕(せけんしらずのたかまくら)
厳しい現実も知らずに、のんびり平然と暮らしている人を皮肉っていう言葉。
そ知らぬ顔(そしらぬかお)
知らない振りをすること。
その一を識りてその二を知らず(そのいちをしりてそのにをしらず)
知識が浅く応用力がないこと。一つのことだけ知って、それ以外のことには知識がない意から。
その子を知らざればその友を視よ(そのこをしらざればそのともをみよ)
その子のことがわからない時は、付き合っている友達を見ればわかるということ。
鯛の尾より鰯の頭(たいのおよりいわしのかしら)
大きな集団の最後についているよりも、たとえ小さな集団でもその先頭に立つほうがいいというたとえ。
民は之に由らしむべし、之を知らしむべからず(たみはこれによらしむべし、これをしらしむべからず)
人民に命令して従わせることは出来るが、その原理を理解させるのは難しいということ。
誰か烏の雌雄を知らんや(たれかからすのしゆうをしらんや)
外見だけでは物事の善悪や優劣がつけにくいことのたとえ。また、よく似ていて区別しにくいことのたとえ。 誰が真っ黒な烏の雌と雄を見分けることができるだろうかの意から。 単に「烏の雌雄」ともいう。
抱いた子の塵を食うを知らぬ(だいたこのちりをくうをしらぬ)
内輪のことには案外気が回らないというたとえ。 抱いている子どもが、ごみを口に入れても気がつかないことがあるとの意から。
町内で知らぬは亭主ばかりなり(ちょうないでしらぬはていしゅばかりなり)
女房の浮気を町内の者はみんな知っていて、亭主だけが知らないという間抜けぶりをあざけった言葉。
杖とも柱とも頼む(つえともはしらともたのむ)
全面的に頼りにすることのたとえ。
月の影取る猿(つきのかげとるましら)
自分の能力をわきまえず、欲張ったまねをして失敗することのたとえ。 猿が水に映った月を取ろうとしたとき、枝が折れ水に落ちて溺れ死んだという故事から。 「猿猴が月」「水の月取る猿」「月の影取る猿」ともいう。
手の舞、足の踏む所を知らず(てのまい、あしのふむところをしらず)
あまりのうれしさに思わず小躍りして喜ぶ様子。また、慌てふためくさま。
天井知らず(てんじょうしらず)
相場などが上がり続けて、どこまで上がるか予測がつかない様子。
遠きを知りて近きを知らず(とおきをしりてちかきをしらず)
他人のことはよくわかるのに、自分のことはわからないということ。
年寄りと釘頭は引っ込むが良し(としよりとくぎがしらはひっこむがよし)
打った釘の頭が飛び出ていないほうがいいように、年よりもでしゃばらないほうがいいということ。
ないが極楽、知らぬが仏(ないがごくらく、しらぬがほとけ)
貧しい者は贅沢を知らないので、欲に悩むこともなく幸せに暮らしていけるということ。
夏の虫、氷を知らず(なつのむし、こおりをしらず)
見識が狭い者が偉そうにすることのたとえ。 夏の間だけ生きている虫は、氷が何なのかを知らないくせに氷を笑うとの意から。 「夏の虫、氷を知らず」ともいう。
人相見の我が身知らず(にんそうみのわがみしらず)
他人の運命についてあれこれ占う人相見も、自分の事は正しい判断がつかないということ。「人相見」は、人相を見て運命を判断することを職業とする人のこと。
猫は虎の心を知らず(ねこはとらのこころをしらず)
つまらない人間には、大人物の心の中はわからないということのたとえ。
箱根知らずの江戸話(はこねしらずのえどばなし)
実際には見たこともないものを、いかにも見てきたように話すことのたとえ。箱根を越えたことのない西国の人間が、江戸のことを得意気に話すということから。
恥を知らねば恥搔かず(はじをしらねばはじかかず)
恥を恥と思わない者は、どんなに恥ずかしいことも平気でやる。恥を知らないことこそ、真の恥だということ。
鼻っ柱が強い(はなっぱしらがつよい)
相手に負けまいとする気持ちが強く、簡単に主張を曲げたり、くじけたりしないこと。
鼻っ柱を折る(はなっぱしらをおる)
得意げな相手の心をくじいて恥をかかせること。 「鼻っ柱を折る」ともいう。
早寝早起き、病知らず(はやねはやおき、やまいしらず)
早寝早起きの習慣をつければ、健康に恵まれて病気もしないということ。
腹を拵える(はらをこしらえる)
仕事などに取り組む前に、食事をして腹を満たしておくこと。 「腹拵えをする」ともいう。
人は足るを知らざるを苦しむ(ひとはたるをしらざるをくるしむ)
人間の欲望には際限がなく、そのために苦しむということ。