「な」を含む故事・ことわざ・慣用句
「な」を含む故事・ことわざ・慣用句 — 1701 件
一樹の陰一河の流れも他生の縁(いちじゅのかげいちがのながれもたしょうのえん)
この世で起こるすべての出来事は、すべて前世からの因縁によるものなので大切にしなければならないということ。 同じ木の陰で雨宿りをしたり、同じ流れの水を飲んだりするといった、偶然のちょっとした出来事も、すべて前世からの縁によるものであるとの意から。 「一河の流れを汲むも他生の縁」ともいう。
一度死ねば二度死なぬ(いちどしねばにどしなぬ)
人間死ぬのは一度きりと、事に当たる時決死の覚悟を決めて自分自身に言い聞かせることば。
一難去ってまた一難(いちなんさってまたいちなん)
災難が次々と襲ってくるたとえ。
一日一字を学べば三百六十字(いちにちいちじをまなべばさんびゃくろくじゅうじ)
毎日少しずつでも怠らずに勉強を続ければ、積もり積もって大きな成果が得られるというたとえ。
一富士、二鷹、三茄子(いちふじ、にたか、さんなすび)
初夢に見ると縁起がいいとされるものを順に並べたことば。
一も二もなく(いちもにもなく)
あれこれ言うまでもなく、すぐさま。
一文にもならない(いちもんにもならない)
苦労をしても、何の得にもならない。 「一文」は、江戸時代の少額の貨幣単位でわずかな金のこと。 「一文の得にもならない」ともいう。
一翼を担う(いちよくをになう)
全体の中で、一つの大事な役割を受け持つ。
一輪咲いても花は花(いちりんさいてもはなははな)
たとえ小さく目立たない存在でも、その存在自身には何ら変わりはないということ。
一家の言を成す(いっかのげんをなす)
その人独特の主張や学説を打ち立てること。
一家を成す(いっかをなす)
家庭を持つ。また、学問や芸術の分野で新しい流派を立ち上げる。 「一家を立てる」ともいう。
一掬の涙(いっきくのなみだ)
両手ですくうほどの涙。 または、ほんのわずかな涙の意でも用いる。
一顧だにしない(いっこだにしない)
まったく気にとめない。少しも考えようとしない。 「一顧」は、ちょっと振り返ってみること。
一糸も纏わない(いっしもまとわない)
衣類を何も身に付けていない。素っ裸である。
一糸も乱れない(いっしもみだれない)
整然としていて、少しの乱れもない。
一将功成りて万骨枯る(いっしょうこうなりてばんこつかる)
輝かしい功績をあげた人の陰には、多くの人の努力や苦労があるというたとえ。 指導者だけが功名を得ることを嘆く言葉。 一人の将軍が輝かしい功名をあげた陰には、犠牲となった一万人もの兵士の骨が戦場にさらされているとの意から。
一生添うとは男の習い(いっしょうそうとはおとこのならい)
一生君を愛して離さない、というのは男が女を口説くときの決まり文句であるということ。
一銭を笑う者は一銭に泣く(いっせんをわらうものはいっせんになく)
わずかな金銭を粗末に扱うものは、いつかそのわずかな金銭に泣くはめになる。たとえわずかな金額でも大事にしなければならないという戒めのことば。
一夫関に当たれば万夫も開くなし(いっぷかんにあたればばんぷもひらくなし)
地形がきわめて険しく、守備が固い場所のこと。 たった一人が関所を守っていれば、万人の兵が攻めても突破できないとの意から。
何時にない(いつにない)
普段とは違っている。平生とは異なる。
いつまでもあると思うな親と金(いつまでもあるとおもうなおやとかね)
独立と倹約を心がけよという戒めのことば。 親はいつまでも面倒見てくれるわけでもなく、金も使えばなくなることから。
居ても立っても居られない(いてもたってもいられない)
不安なことや嬉しいことがあり、心がそわそわして落ち着かないさま。
糸目を付けない(いとめをつけない)
惜しみなく金を使うようす。 「糸目」は凧の表面につけて引き締めるための糸。 糸目を付けない凧が飛ぶように金を使うことから。
居ない者貧乏(いないものびんぼう)
その場に居合わせない者は、分け前をもらえなかったり、自分のうわさ話をされたりして、いろいろと損をするということ。
田舎の学問より京の昼寝(いなかのがくもんよりきょうのひるね)
田舎で勉強するより、たとえ昼寝をしながらのんびり過ごしたとしても、都会に身を置いたほうがさまざまな人や物に接するため、多くのことを学ぶということ。
稲荷の前の昼盗人(いなりのまえのひるぬすびと)
神をも恐れない図々しい人のたとえ。 白昼堂々、稲荷神社の前で物を盗む不届き者のことから。
意に介さない(いにかいさない)
気に掛けない。気にしない。気にもとめない。
意に適う(いにかなう)
考えや気持ちに合っている。気に入る。
意に染まない(いにそまない)
気に入らない。気乗りがしない。
意に満たない(いにみたない)
満足出来ない。気に入らない。
犬も食わない(いぬもくわない)
嫌がって誰もまともに相手にしない、誰も取り合わないこと。 何でも食べる犬でさえも食べないとの意から。
命長ければ恥多し(いのちながければはじおおし)
長く生きていれば、それだけ恥をかく事も多くなるということ。 「恥」は「辱」とも書く。 また、「長生きは恥多し」「長生きすれば恥多し」「長命すれば恥多し」などともいう。
命に過ぎたる宝なし(いのちにすぎたるたからなし)
命以上に大切なものはこの世にないということ。
命の綱(いのちのつな)
命をつなぎとめるために大切なもの。生きていくための頼みとなるもの。
命を擲つ(いのちをなげうつ)
自分の命をそっくり投げ出す覚悟で物事を行うこと。 「擲つ」は、惜しげもなく投げ出すこと。
命を投げ出す(いのちをなげだす)
死んだつもりで一生懸命事に当たる。
井の中の蛙大海を知らず(いのなかのかわずたいかいをしらず)
他に広い世界があることを知らずに、自分の周りの狭い見識や知識にとらわれてこと。 小さな井戸に住んでいる蛙は、井戸の外の世界に大きな海があることなど知らないとの意から。 「坎井の蛙」「井底の蛙」「井蛙」などともいう。
今鳴いた烏がもう笑う(いまないたからすがもうわらう)
今まで泣いていた子どもが、すぐに機嫌を直して笑うこと。
今の情けは後の仇(いまのなさけはのちのあだ)
一時の安易な同情による手助けは、かえって相手のためにならず、あとになって害になることがあるということ。
今際の念仏誰も唱える(いまわのねんぶつだれもとなえる)
不信心な人でも、死に際には念仏を唱えて仏にすがるということ。
芋の煮えたも御存じない(いものにえたもごぞんじない)
芋が煮えたかどうかの判断もできないこと。世間知らずな者を馬鹿にしていう言葉。
厭じゃ厭じゃは女の癖(いやじゃいやじゃはおんなのくせ)
女というものは男にくどかれると、内心はうれしくても、口では嫌だ嫌だと言うものだということ。
入り鉄砲に出女(いりでっぽうにでおんな)
江戸時代、幕府が諸大名の謀反を警戒して、江戸に持ち込まれる鉄砲と、江戸にとどめていた大名の妻女が国元に帰るのを関所で厳しく取り締まったこと。
炒り豆に花が咲く(いりまめにはながさく)
衰えていたものが、再び栄えることのたとえ。また、ありえないことが実現することのたとえ。 炒った豆に芽が出て花が咲くということから。 「炒り豆に花」ともいう。
入るを量りて出ずるを為す(いるをはかりていずるをなす)
収入の額を計算し、それに見合った支出をするということ。
色男、金と力はなかりけり(いろおとこ、かねとちからはなかりけり)
美男子は、経済力も腕力もないものだということ。美男子をからかった川柳。
色気と痔の気のない者はない(いろけとじのけのないものはない)
人は誰でも似たり寄ったりだということ。痔で悩む人が多いことから、色気と痔の気の語呂を合わせて生まれたことわざ。
色の白いは七難隠す(いろのしろいはしちなんかくす)
色が白ければ、顔かたちに多少の欠点があっても気にならないということ。
色を失う(いろをうしなう)
思いがない事態に直面して、驚きや恐怖で顔色が青ざめる。
色をなす(いろをなす)
怒りで顔色を変える。
言わずもがな(いわずもがな)
言う必要のない。言わないほうがいい。言うべきではないこと。また、言うまでもなく。もちろん。言うまでもなくはっきりとしていること。
言わぬが花(いわぬがはな)
はっきりと口に出していうより、黙っていたほうが趣があるということ。
異を唱える(いをとなえる)
他人の考えに反対し、異なる意見を主張すること。
陰徳あれば必ず陽報あり(いんとくあればかならずようほうあり)
人知れず善い行いをする者には、必ず善い報いがあるということ。
員に備わるのみ(いんにそなわるのみ)
数の中には入っているが、実際には何の役にも立たないこと。実権を持っていないこと。
有為転変は世の習い(ういてんぺんはよのならい)
この世の一切の事物は因縁によって生じ、常に変化し続けていくはかないものであるということ。
上を見れば方図がない(うえをみればほうずがない)
上を見ればきりがないから、節度をわきまえよということ。「方図」は際限の意。
魚の水に離れたよう(うおのみずにはなれたよう)
水から出た魚のように、頼りを失ってどうすることもできないことのたとえ。
浮かぶ瀬がない(うかぶせがない)
苦しい境遇や立場から逃れる機会が得られない様子。 「浮かぶ瀬」は、川の浅い所。転じて、場所や機会の意。
浮き沈み七度(うきしずみななたび)
長い人生には良いときもあれば悪いときもあり、それを何度も繰り返すということ。
浮き名を流す(うきなをながす)
恋愛や情事などの噂が世間に注目される。
鶯鳴かせたこともある(うぐいすなかせたこともある)
若いころは魅力的で異性にもてはやされたこともあったと、老女が昔を自慢していうことば。女性の美しさを梅、男性を鶯にたとえて枝にとまらせて鳴かせたという意味。
動きが取れない(うごきがとれない)
制約があり思うように行動出来ないこと。 また、窮地に追い込まれ、自分の力ではその状態から抜け出せないこと。
兎の罠に狐がかかる(うさぎのわなにきつねがかかる)
思いがけない幸運や収穫を得ることのたとえ。
兎も七日なぶれば噛みつく(うさぎもなぬかなぶればかみつく)
おとなしい人でも、たびたび辱めを受けるとついには怒るというたとえ。おとなしい兎でも七日もいじめられればついには噛みつくというたとえ。
後ろに目なし(うしろにめなし)
背後にあるものが見えないように、誰にでも気がつかないことがあるということ。
氏なくして玉の輿(うじなくしてたまのこし)
女性は家柄や身分が低くても、富貴の人と結婚すれば高位に上がることができるということ。「氏」は苗字、「玉の輿」は貴人の乗り物。
嘘八百を並べる(うそはっぴゃくをならべる)
やたらに嘘をつくこと。また、まったくのでたらめであること。「八百」は数が多いことの意。
打たねば鳴らぬ(うたねばならぬ)
何もしなければ何も生まれない。何事も行動しなければ成果はでないということ。
うだつが上がらない(うだつがあがらない)
逆境から抜け出せずに地位や生活がよくならにことのたとえ。 「うだつ」は梁の上に立てて棟木を支える短い柱のこと。 棟木に押さえられて頭が上がらない、出世できないとの意から。
有頂天になる(うちょうてんになる)
激しく喜んで大得意になること。 仏教で、三界の中で最も上位の世界の意から。
打って一丸となる(うっていちがんとなる)
すべての関係者が心を一つにして事に当たる。一致団結する。
美しい花には棘がある(うつくしいはなにはとげがある)
美しいものには人を傷つける一面があるということ。
打つも撫でるも親の恩(うつもなでるもおやのおん)
子を叱ってぶつのも、ほめて撫でるのも、すべて親の愛情のあらわれだということ。
移れば変わる世の習い(うつればかわるよのならい)
時代が移り変われば世の中も変わっていくのが当然だということ。 「移り変わるは浮き世の習い」ともいう。
腕が鳴る(うでがなる)
自分の能力を早く発揮したくて、気持ちがはやること。
腕を鳴らす(うでをならす)
優れた技量を発揮して名声を得ること。
独活の大木柱にならぬ(うどのたいぼくはしらにならぬ)
身体ばかり大きくて何の役にも立たない人のたとえ。 「独活」は植物の名。 独活は木のように大きくなるが、茎が柔らかいため材木にはならないことから。 「独活の大木柱にならぬ」ともいう。
優曇華の花(うどんげのはな)
きわめて珍しいことのたとえ。「優曇華」は三千年に一度咲くという、インドの想像上の植物。「盲亀の浮木、優曇華の花」と続けてもいう。
鰻の寝床(うなぎのねどこ)
間口が狭く、奥行きの長い建物や場所のたとえ。